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第49話 魔道具の値段
しおりを挟む「魔道具は思っていたよりもだいぶ高いんだね……」
「キュウ?」
いろんな商店を回り、最後に魔道具を販売しているお店を見てきた。
日が暮れ始めてきたので、宿の方へ歩きながら、先ほどの魔道具の店の商品の値段を思い出す。
安いものでも金貨数枚、高いものは金貨数十枚もしたからなあ……。この前俺の世界へ持っていって試してみた火を点ける魔道具なんて金貨5枚もした。俺の世界では100円でライターが買えるけれど、やはりこちらの世界では魔道具は高価な物らしい。
「これでもだいぶ安いほう。高価な魔道具はもっと街の中心にある店でしか売っていないし、そういった店には専属の護衛がいる」
「うわっ、そうなんだ……」
あれでも十分高いと思っていたけれど、それよりもさらに上があるらしい。もしかすると金貨100枚を超える魔道具なんかもあるかもな。
そう考えると、その魔道具を作ることができるリリスやその師匠はすごい人なのだろう。高ランクの冒険者でもあるし、お金に困ることはなさそうだな。
「いやあ~今日は本当に楽しかったなあ」
「キュキュウ♪」
異世界の街を歩いて楽しみつつ、先ほど宿の晩ご飯を堪能してきた。
「宿の料理も味はちょっと微妙だったかもしれないけれど、シチューやパン、それにブドウ酒は初めて食べたり飲んだりする味だったよ」
宿の料理はサラダ、シチュー、パン、そして有料のブドウ酒を頼んだ。
サラダには酸味のある果汁がかけられていて、シチューには硬いパンを付けて食べた。味はちょっと微妙だったけれど、俺の世界ではほとんど食べられない黒くて硬いパンを食べられたことにちょっと感動した。
ぶっちゃけそのまま食べたら硬くて食べられたものじゃなかったぞ。シチューにつけてなんとか普通に食べられたくらいだ。
ブドウ酒とはワインのことだが、同じ酒とは思えないくらい味が違ったのでこちらのものはブドウ酒と呼ぶことにする。こちらのブドウ酒はワインよりも苦みと酸味が強く、雑味が酷かったのでほとんど別物と言ってもいいだろう。
やはり俺の世界のワインはワイン用の品種改良したブドウを使用し、皮や種など雑味の元になるような物が入らないように作られているようだ。
リリスが俺の世界の料理にあれだけ驚く理由がよくわかった一日だったな。とはいえ、昔の中世の料理を食べているようで、俺にとってはすごく楽しめたが。
「ケンタとハリーが楽しんでくれたようでよかった」
「うん。食材も一杯買ってもらったし、家に戻って料理をするのが楽しみだよ。俺もリリスがこっちの世界へ来られるようになったら俺の世界を案内するからね」
「すごく楽しみ!」
リリスにはここまで連れてきてもらって、いろんなお土産を買ってもらったことだし、俺もリリスがこっちの世界へ来られるようになったら、いろいろと案内してあげるとしよう。
「そういえば、リリスがこちらの世界へ来られない理由はまだ分からないんだよね?」
「理論上は誰でも通れるはずなのになぜか通れないし、理由もわかっていない……」
「そうなんだ」
リリスと知り合ってから結構経ったけれど、まだリリスはあの鏡を通れていない。ちゃんと睡眠はとるようにしてもらっているけれど、それ以外の時間は鏡や俺の世界の物を見て研究を進めているけれど難しいようだ。
こればかりは俺もまったく力になれそうにない。リリスの研究に役に立ちそうな物を俺の世界から持ってくるくらいだ。
「今のままだと原因がわからないから少し方向を変えて、師匠を探してみることにする」
「なるほど、リリスの師匠なら詳しい原因がわかるかもしれないね。ちょうどギルドマスターのセレナさんもリリスの師匠を探しているって言っていたし」
リリスと一緒にあの鏡を作った人か。確か女性と言っていた。リリスの師匠というくらいだし、そういった知識はあるだろうし、研究とかはいろんな視点で見るほうがなにか発見があるかもしれない。もしかすると、本当に何か小さなことを見落としているだけかもしれないものな。
そういえば俺もリリスの師匠についてはあまり聞けていなかったし、この機会に詳しい話を聞いてみるか。
「リリスの師匠ってどんな人なの? 冒険者ギルドだと一目置かれているみたいだったけれど」
「師匠も冒険者に登録していて、この国でも数人しかいないSランク冒険者。私はどちらかとういうと魔法の研究を中心にしているけれど、師匠は研究者でもありながらいろんな場所を旅している自由人」
「そ、そうなんだ」
「キュウ?」
……いろいろとすごい情報が出てきたな。冒険者にはAランクよりも上のランクがあるのか。
魔法の研究者というと、リリスみたいに一か所に留まって、ひたすら何かを極めているイメージだったけれど、その人は本当に自由っぽいな。昔の遺跡とかを研究して海外を飛び回る考古学者とかに近いのかもしれない。
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