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第64話 フライ
しおりを挟む「おいしい! サクッとした食感のあとに温かくてふっくらとした魚の身の味が広がってくる!」
「キュキュキュウ♪」
ザクッという音が響き、中からはアツアツの真っ白な白身が姿を現し、湯気が立つ。
「うん、こいつはいけるな。サビラという名前の魚らしいよ」
やはり魚自体がとてもおいしい。朝漁でとれたばかりの新鮮な魚かつ、ベリスタ村のみんなにおいしそうな魚を選んでもらった。そしてその魚を自分で油で揚げたという手間も加わり、普通のアジフライの何倍もうまい。
「このフライもソースが合うよ。あとはこっちのタルタルソースも合うから試してみてね」
フライといえばソースである。そして今回はタルタルソースも購入してきた。ネットで調べたらタルタルソースもマヨネーズを使って自作できるらしいけれど、今回は市販の物を用意した。売っているものでも十分過ぎるほどおいしいものな。
「こっちの白いソースもおいしい! クリーミーで甘酸っぱくてこのフライとよく合っている!」
「キュウ!」
「ソースとタルタルの両方を付けてもおいしいね。うん、これはビールが進んでしまうな!」
ダブルでかけてもうまい。両方かけてしまうとフライの白身の味が壊れるとも思っていたけれど、サビラの味が想像以上にしっかりしていて、全然そんなことはなかった。
ふむ、やはり揚げ物に外れはないな。
「こっちのは酸っぱくて辛さもあって、今まで食べたことがない不思議な味だけれど、すごくおいしい!」
「キュキュ♪」
「南蛮漬けは初めて作ってみたけれど、うまくできたみたいだ。こっちはタレにしばらく漬けておいてもおいしいらしいから、また明日も食べ比べてみよう」
初めて作る料理でもネットのレシピのおかげで簡単に作ることができた。ちゃんと南蛮漬け用に村では食べないという小さな魚をもらっておいて正解だったな。
南蛮漬けはよく総菜コーナーで酒のつまみとしてよく買っていたけれど、自分で作った味は新鮮だな。ただ、漬けた時間がまだ短かったのか、もう少し味を馴染ませてから食べた方がおいしかったかもしれない。冷蔵庫で冷やしながら、また明日試してみるとしよう。
「メンギアの実の辛さもちょうどいいくらいだね。うん、レジメルの街で買ってきた他の香辛料もいろいろと試してみるか」
南蛮漬けに使ったベリスタ村でも交換してきたメンギアの実も悪くない。時間があるとついいろんなものに凝ってしまう。
のんびりといろんな場所へ行ったり、おいしいご飯を作って食べたりと、思っていた以上に充実した毎日を過ごせている。明日からは畑を耕す予定だし、だいぶ充実した毎日を送れていいことだな。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「さて、この辺りから始めようか」
「キュキュ」
翌日、昨日百均やホームセンターで購入した農作業用の道具を鏡を通って持ち込んで作業を始める。
湖の小屋の横は草むらになっているから、まずは雑草を刈ってから小石などを取り除き、鍬で土を耕していく。
「本当に手伝わなくて大丈夫?」
「うん、最初は自分の手でやってみるよ。……でも、もしかしたらすぐにギブアップして助けてもらうかもしれないから、その時はよろしく」
「わかった」
リリスの魔法を使えばすぐに畑を作って耕すことができるらしいけれど、こういうのは自分で苦労した方が後でより感動するというものだ。
だけど畑作業はかなり大変らしいから、しっかりと保険をかけるのは忘れない。
リリスはいつも通りタブレットに夢中だけれど、今日は小屋の外に俺の世界のアウトドアチェアに座ってこちらを気にしてくれているようだ。
「それじゃあまずは小石や雑草を取り除いてと……」
「キュ!」
「おお、さすがハリーだ」
園芸用の手袋をして細かな雑草を引き抜いていくと、ハリーも俺の横で爪を使いながら、穴を掘って雑草を根っこから取り除いている。
そういえばハリネズミはモグラの仲間で穴を掘る習性があるらしいから、こういうのは得意なのかもしれない。ハリーが手伝ってくれたおかげで、少し楽になったな。
「ふう~なかなか腰にくるなあ」
「キュキュ~」
俺が伸びをすると、ハリーも身体を伸ばす。ハリーは元から基本的には四足歩行だけど、俺は中腰状態で雑草を引き抜いているから腰が痛くなってくる。
家庭菜園的なところがあるから、そこまで大きな畑を作らないように計画しておいて正解だった。この数メートル四方でこれだけ疲れるのなら、何十メートルの畑を作るなら相当疲れていただろう。
さて、雑草や石を取り除くとようやく地面の土が見えてきた。次は土を耕して柔らかくしつつ空気を含ませていく。
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