73 / 110
第73話 今後のこと
しおりを挟む「ああ~食い過ぎた。それにこの椅子が気持ち良すぎてもう動けねえや……」
「同じくお腹がいっぱい……」
「キュウ……」
「みんな本当によく食べたね」
俺の部屋のソファにはヴィオラさんが横たわり、そのソファにもたれかかるようにリリスが、カーペットの上には大きくなったお腹を上にしているハリーが寝転がっている。
結局カップラーメンの他に冷凍食品のチャーハンと餃子を奪い合うように食べ終えた3人はお腹がいっぱいで動けなくなっている。あまりの勢いに思わず俺はチャーハンと餃子の方は自重したぞ。
ヴィオラさんはお酒も飲めるらしいから、こっちのお酒を試してもらおうかと思ったが、酔うとどうなるかわからないので今はやめておいた。
「それにしてもあんだけうまいだけでなく、すぐにできて技術もいらねえなんて、ケンタの世界の料理は本当にとんでもねえな。それにこの電灯ってやつも夜なのに魔力も使わずにこれだけ明るいなんて不思議で仕方ねえよ」
「確かにいろいろと進んでいる気がしますね。俺の世界だと、魔法がないぶん科学という技術が発達したんです」
「なるほどな。もしかすると俺の世界でも魔法がなければ違う技術が発展していた可能性もあるわけか」
「ケンタの世界と同じ技術が発達するかはわからないけれど、その可能性は十分にある」
人間不便であるほど、それを何とか改善しようと新しい技術を開発しようとするものだからな。
「くっくっく、面白そうなもんがいっぱいあるし、しばらくは退屈しなそうだぜ」
「あっ、そういえばレジメルの街の冒険者ギルドマスターから話があるんじゃなかったっけ?」
「そういえばそうだった。あまりにもいきなり師匠が来たから忘れていた。あとで連絡をしておく」
確かに連絡もなしにいきなり飛んでやってきたからな……。あの状況でその約束を覚えている人も少ないだろう。俺もヴィオラさんの登場で今の今まですっかりと忘れていた。
「ああん、そんなもんパスに決まってんだろ。こんな面白え世界が目の前にあるのにそんな話受けてられっか」
まあ、ヴィオラさんの性格上、そう言うと思っていた。
「でも今回は深刻そうだったから、一応師匠を見つけたことと、どんな依頼があるのかだけ聞いておく」
「んなもんほっときゃいいのによ」
「最近依頼をサボっているみたいだから、たまには依頼を受けないとSランク冒険者の称号が剥奪されてしまう」
「別にそれならそれで構わねえぞ。初めからそんな称号なんて興味はねえよ」
「……それだと自由にいろんな国へ行けなくなる。それにいろいろと問題を起こした時に冒険者ギルドが間に入ってくれたことも多くあった」
「ちぇっ、面倒くせえなあ」
自由な人みたいだし、本気でランクなんかも気にしていないらしい。ただ、その分高ランク冒険者には見返りや優遇などがあるのだろう。
リリスもヴィオラさんのお目付け役が大変みたいだ。
「まあ、気が向いたら行ってやるよ。それよりも、ケンタの家だけでも気になる物が山ほどあることだし、街へ行くのが楽しみだぜ!」
「それなんですけれど、街へ行く前に最低限のことは教えたいのと、2人には変装をしてもらいたいのでいろいろと準備をしてからにしてもらいます」
「面倒だな……。こういうのは準備なんか必要ねえだろ。細かいところは実際に街へ行ってから確認すればいいんじゃねえか?」
うん、そう返されると思っていた。だけど、これについては俺のリスクもあるわけだし、いくらリリスの師匠だからといって引くつもりはない。
「俺の世界では車という危険な乗り物も多いですからね。それにこっちではヴィオラさんやリリスのようなエルフという種族が存在しません。その長い耳をそのままにしていたら間違いなく目立ってしまい、俺の家やこの鏡のこともバレてしまう可能性もあるのので、これだけは譲れませんよ」
道路交通法で本当に基本的な赤信号と青信号から教えることになりそうである。俺の世界もこちらの世界とは異なる理由でいろいろと気を付けなければならないことが多い。
そしてただでさえハリーを連れたキャリーケースが目立ってしまうのに、綺麗かつ尖った耳が特徴的な2人とそのままに行くと、注目を集めることは必至だろう。
……まあ、本物のエルフであるとバレるよりも、コスプレをしているようにしか見えないだろうけれど。
「至るところに監視カメラという道具があって、場所を特定できてしまう仕組みがあります。俺はのんびりと平和に生活をしたいだけなので、あまりにも目立つ行動は避けてほしいです」
そこはヴィオラさんにはっきりと伝えておく。
最近は技術も進み、嘘か本当か分からないが、衛星からも個人を追うことができるらしい。今後の生活のためにも目立つ行動は厳禁である。
161
あなたにおすすめの小説
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。
ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。
ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。
ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。
なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。
もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。
もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。
モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。
なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。
顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。
辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。
他のサイトにも掲載
なろう日間1位
カクヨムブクマ7000
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる