『億り人』になって田舎に家を買ったら、異世界と現代日本を行き来できるようになった件。~お金と文明の利器を使ってのんびり生活~

タジリユウ

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第76話 日本の朝食

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「ふあ~あ。あれ? そっか、昨日はリリスとヴィオラがこっちの世界に来たんだっけ」

「キュ」

 朝目が覚めると、そこにはいつもの寝室の天井ではなく、リビングの天井があった。俺の寝室には2人が寝ている。

 俺が寝ていた低反発マットの横にあるソファで寝ていたハリーもすでに目覚めていて、俺が目覚めたことに気付いてこっちにやってきた。

「2人はまだ寝ているみたいだ。あのベッドの寝心地はいいから、ぐっすりと眠れているのかな?」

「キュキュ」

 ハリーが俺の言葉に頷く。

 ハリーもあのベッドで一緒に寝ているから、あのベッドの寝心地がよくわかっているのだろう。

 さて、2人が寝ている間に朝食を作るとしよう。



「いやあ~よく寝た! こんなにぐっすり寝たのは久しぶりだぜ」

「やっぱりケンタの世界の寝具はすごく寝心地がいい」

 ヴィオラはスッキリとした様子をしていて、リリスは自分のまぶたを擦っていてまだ眠そうだ。気持ちよく眠れたようでなによりである。

「この家にまだ部屋はあるから使っていいよ。2人の分の寝具も購入しようか?」

「おう、遠慮なく頼むぜ」

「ケンタ、私の分もお願い」

「うん、了解だよ」

 この家は安い割にとても広い。リビングや俺の寝室以外に大きな部屋があるから2人に使ってもらうとしよう。

 彼女もいたことがない俺がいきなり女性2人とひとつ屋根の下で生活するというのもなんだかすごいことだが……。

「おっ、うまそうな匂いだな。こいつも昨日の料理みたいに簡単にできた料理なのか?」

「今日の朝食は俺が作った料理だよ。リリスは大丈夫だったけれど、もしも口に合わないようだったら遠慮なく教えてね」

 せっかくなので朝食は日本が誇る和食にしてみた。リリスは味噌汁やご飯も大丈夫だったし、ヴィオラも大丈夫だといいんだけれど。

「うん、こいつはいけるな! こっちのスープは初めて飲む味だがなかなかいけるぞ」

「それはよかった。魚の方はあっちの湖で獲れた魚を焼いたんだ。野菜は近くの村で交換してきたものを浅漬けといって短時間漬けたものだよ」

 ご飯、味噌汁、焼き魚、野菜の浅漬け、卵焼きなど、よく実家の朝食で出てきたものを作ってみた。実家では毎朝出てくる定番の朝食だったけれど、実際に自分で作ってみると結構な手間がかかっている。自分で一人暮らしをしてみて初めて分かる母親のありがたさだ。

 浅漬けの方は前もよく作っていた。野菜をざく切りにして浅漬けの素をぶちこみ冷蔵庫に入れておくだけで、簡単でうまい。生で食べられる大抵の野菜ならなんでもうまく食べられるからな。

 ヴィオラも味噌汁は大丈夫なようだ。昨日のチャーハンも普通に食べていたし、お米も問題ないらしい。他にも市販の海苔や佃煮なんかもおいしそうに食べていた。



「いやあ~本当にうまかった。こっちの世界の食い物は本当にうまいし、羨ましいぜ!」

「でも肉や野菜なんかの食材はそっちの世界の物の方がおいしいんだよね。俺から見ても少し羨ましく感じるよ」

 確かに料理の技術は俺の世界の方が進んでいるが、食材自体はあちらの世界の方がおいしいからお互い様だ。

「そういや昨日の飯の分の金も渡していなかったな。ほら、多めに渡しておくぜ」

 そう言いながら黒い渦の収納魔法からジャラジャラと金色に輝く金貨を取り出すヴィオラ。

 そういうところはしっかりとしているらしい。でもさすがにこれは明らかにもらいすぎだ。それにヴィオラには俺の事情もまだ説明していなかった。

「これくらいならお金は不要だよ。2人が作った鏡を使わせてもらっているし、俺もお金には余裕があるからね」

 いい機会なので、俺の現状についてを説明しよう。ヴィオラはともかく、リリスのことはもうだいぶ信用をしている。

 リリスにも俺の世界のことは説明したけれど、より詳しく俺が投資で大金を得て仕事を辞め、田舎の安い家を購入してのんびりと暮らそうとしていたことを説明した。

「なるほど、別にこの鏡を使うのは構わねえぜ。偶然とはいえ、ケンタの持っている家の鏡に繋がったんだからな」

 そういえば俺もあの鏡について、そこまで詳しいことは知らない。この機会に詳しく聞いておこう。



「……なるほど。この鏡が俺の世界に繋がったのは本当に偶然なんだね」

「まあそういうことだな」

 もちろん俺には専門的な魔法のことなんてこれっぽっちもわからないけれど、どうやらあちらの世界とこちらの世界は隣接した世界らしい。非常に稀にだが、お互いの人や物なんかが世界を巡ることがあるようだ。

 もしかすると俺の世界では神隠しとかオーパーツとか言われている不可思議な現象がそれにあたるのかもしれない。

 そして俺の世界の物を媒介としてこの鏡を俺の世界へ繋げようとしたのだが、タイムラグのようなものがあったようで、世界がつながるまでに結構な時間がかかったようだ。どうやらこの家の前持ち主は完全に無関係で、たまたま俺がこの家に引っ越してきたところで世界が繋がったようだな。

 投資で大金を稼げたことといい、たまたまこの家を購入したことといい、単純に俺の運が良かったのか。なんだか運を一生分使い果たした気もする……。
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