異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

黒木夏

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第1話

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2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑え切れなかった。

各国政府は迅速に対応し、『ダンジョン立入禁止令』を発令。
軍や警察が最新鋭の兵器を携えて偵察に向かった。
しかし彼らを待ち受けていたのは予想外の現象、現代兵器が通用しない敵対存在だった。

銃弾や爆薬が奇妙な光で阻まれる現象が確認され、最終的に判明したのは現代兵器での殺傷が不可能な『モンスター』と呼ばれる生物が存在することだった。
科学技術を超えた存在に対し、人類は古い戦術、直接的な刃物による戦闘に回帰せざるを得なくなった。

この試練は新たな希望ももたらした。
ダンジョン内部からは多彩な資源が採掘可能だと判明したのだ。
中でも最大の発見は『魔石』だった。
これが画期的なエネルギー源となる可能性を秘めており、各国のエネルギー政策を根本から揺るがすこととなった。

しかし深刻な問題も生じた。
国家単独では探索範囲が限定されることへの焦燥感が高まった。
そこで民間への解放が論議の的となった。
そしてダンジョン出現から一年後、『探索者制度』が正式に導入され、『ダンジョン探索者ライセンス』の発行が始まった。

さらなる転機は『人物鑑定装置』の発見だった。
ダンジョン内の宝箱から見つかったこの装置によって、「ダンジョン侵入者は特殊職業『クラス』特殊能力『スキル』を獲得可能」という事が徐々に明らかになってきた。
これを受け政府は全てのダンジョン入口の探索者ギルドに『人物鑑定装置』を常設し、誰もがクラスとスキルを確認できる環境を整えた。

教育制度は大きく変わり、高等学校に探索科が全国規模で開始された。
『クラン』と呼ばれる半公式組織が台頭し、企業との連携が進んだ。
そして決定打となったのが『ダンジョンライブ配信』だった。
ダンジョン内でもライブ映像を撮影できる浮遊カメラの開発によりリアルタイム探索配信が可能になり、若者の間でライブ配信が一大ブームを巻き起こした。

時間の経過とともに、ダンジョンは地球の新しい産業基盤となった。
もはや脅威ではなく資源採掘場となり、多くの人々の仕事場となった。
『ダンジョンの祝福』と呼ばれる現象、ダンジョンに一度でも足を踏み入れた者は例外なく『多言語理解』スキルと『クラスと最低一つのスキル』を得るようになったこと。
これにより、危険がないわけではないが初期の混乱は収束し、社会全体がダンジョンと共存する体制へと自然に遷移していった。

さらなる転機はダンジョンが現れてから13年後に訪れた。
各ダンジョンの一階層に突如として時空の歪みが発生したのである。
そこから一番最初に現れたのは金色の髪を持つ男性と赤髪の男性、青髪の女性、そして黒髪の獣人女性から成るパーティーだった。
彼らの口から『ラキナ』という地球とは異なる世界の存在を告げられた。

世界各国で同様の出来事が報告され、ラキナと地球の両方から一般人が通れないように管理し、ラキナと地球の代表者による国際会談が急遽開催された。
会談において重要な4つの発見が共有された。
・ラキナでは魔法文明が発展しており、科学技術よりも魔術体系が中心となっている
・地球の近代兵器がラキナではほぼ無効である一方、地球にいる時はラキナの生物に対しても近代兵器が有効
・双方の世界におけるダンジョンが異次元トンネルとして機能している可能性
・ラキナの各国が地球の各国と繋がっている事

両世界は互いに未知の技術と文化に惹かれつつも慎重に協定を結び、『ラキナ・アース交流プログラム』が開始された。
ラキナ側では魔道技術や魔法知識、地球側では医療技術や電気機器などの技術交流が進められていった。

それから2年後、地球にダンジョンが出来てから15年後、『地球・ラキナ共同管理局』によりダンジョンの前で管理され、一般の探索者も地球とラキナを自由に行き来できるようになった。

---

私の名はレーナ。
かつて地球という星で風花麗奈と呼ばれていた日本人だ。
今年で236歳になるが、見た目は22歳の頃から変わらない。
220年前のあの日、私は平凡な高校生だった。
突然異世界ラキナに転移し、生き抜くため必死に冒険者となった。
幸運にも恵まれた才能と不屈の精神で冒険者ランクがSSに至り、ついにS級ダンジョンをソロで攻略するという前代未聞の偉業を成し遂げた。

その報酬は願ってもいないものだった。
髪と目の色が黒から白銀に変わり、容姿は美しく洗練された……面影は多少残したまま、そして永久に衰えない不老不死の体まで与えられたのだ。

S級ダンジョン攻略の噂はすぐに広まりギルドからは冒険者ランクSSSに認定され、各国からは勧誘や暗殺者が押し寄せてきた。
平穏を求めて新たな国を探し、ようやく辿り着いたのがここアルタニヤ王国のフォノンだ。
魔の森に近い辺境の町で、不老の理由のために『魔女』と名乗り200年以上過ごしてきた。

この町の片隅で、私は魔の森に捨てられていた子供たちを育て上げてきた。
彼ら彼女らは今や立派な冒険者となり、中には王都の王族に嫁いだ者もいるほどだ。
私の鍛冶技術で作った武器は我が子たちへの特別な贈り物となっている。
こうして今日も私は、愛すべき家族と共に平和な日々を送っていた。
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