ヒキガネを轢いたら

晴野幸己

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第三部

最終話 太陽

 真っ暗な世界で俺は光刺す方向へ走り出した。
 暗闇に吸い込まれそうになるのを、逃げるように光を目指していた。そこに手を伸ばすと希望の面影が見えた。


 「……好きだよ、ジョゼフ」


 暗闇が少しずつ晴れていった。君の声で心が温まるのを感じた。

 これは夢なんだろうか?
 まさか、マリーの声でそんな言葉が聞けるなんて……信じられなかった。
 だけど、俺は確かにこの耳で聞こえたのだ。


 光に向かって腕を伸ばした。
 朧げな視界でマリーの姿がうつった。


 長い間、眠っていたのだろう。
 目を開けると俺は病院のベッドで横になっていた。顔のすぐ近くでマリーが驚いた顔で俺を見て泣いていた。


 「おはよう……マリー」

 マリーは俺の手を握ってこう言った。

 「良かった、ジョゼフ……っ」

 それからマリーは泣きながらも俺に笑顔を向けていた。

 マリー、俺も好きだよ。
 君と過ごす時間の中で、俺は生きる意味を見つけられた。俺達のような存在にも、感情はあっていいのだと、喜怒哀楽の激しい君が教えてくれた。
 俺はやっと自分の意思でナディエージダを守りたいと思った、君のいる世界を。

 世界を見る目が変わった。
 大切な人、友達もできた。家族をも見つけることができた。

 俺は、前までは自分を不幸だと思い込んでいた。そんなことはないのに、マリーは俺に教えてくれたからだ。

 生きる意味、いや、皆と過ごす時間が楽しいから……俺は頑張るよ。


 「マリー、心配かけて……ごめん。俺はもう大丈夫だ」

 まだ涙を流しているマリーに俺は言った。

 「大丈夫……って?」

 「絶対に……死なないよ」


 生きたい、という想いを細胞の一つ一つに念を込めよう。
 もう、俺は流されるがままの存在ではないからだ。
 自分の意志で生きてみせよう。

 この世界が……大切なんだ。






 数日前にジョゼフは昏睡の状態から奇跡的に目が覚めたらしい。
 イヴァン博士や中央総合病院の見立てによると、どうやらジョゼフの体内でアンバランスだった細胞の自己破壊と修復が少しずつ治ってきていたというのだ。壊死しかけていた肺の細胞も大部分が回復して、ジョゼフはそれで呼吸の自律を保てるようになったのだ。

 生物兵器、いや、疾患被験体は一度故障を始めると治った例がなかった。それなのにジョゼフは奇跡の回復を遂げ、今日は病院から退院する日だ。
 オレはマリーと一緒にジョゼフを迎えに行っていた。


 「ジョゼフの回復には驚いたけど、アレン、あなたもしっかり歩けるようになってそれもなんだか不思議な感じがするよ」

 病院へと向かう道のりでオレは車椅子を使わずに歩いていた。その隣でマリーはそう言っていた。

 「オレもちょっと違和感あるな……こんな距離を一人で歩くなんて何年振りかよってな」

 オレの病気が治ったのは、ジョゼフの決意と皆の研究への努力のおかげだ。
 昔、両親を亡くした時はナディェージダを憎んだこともあったが、それでもここで生活している内にそんな憎しみもだんだん薄れていった。イヴァン博士は親代わりとなってオレの世話をしてくれて、ジョゼフやマリーにも世話になって……結局、ここで大切な人達ができてしまったから。

 「本当に、辛くないの?」

 マリーはもう一度訊いた。

 「面白いことに、それが全く辛くねーよ。本当に治ったみたいだ」

 オレはマリーに笑ってみせて、心配させないように答えた。  
 それから、マリーは「ふぅん」と納得したように呟いてからまた無言になって歩き出した。そんな彼女にオレはまたこう話しかけた。

 「その、色々ありがとう……もう迷惑かけないからな」

 マリーにも、病気のせいで迷惑をかけただろうと思って、オレは視線も合わせられないのになんとか感謝の気持ちを伝えようとした。
 今度はオレがみんなを守りたい。病気が治ったならきっとそれができるから。オレには未来があるから、皆のおかげでそれを手に入れたから。


 「ハァ?何を急にかしこまっちゃってんのよ、気持ち悪いんだけど」

 それなのにマリーは素っ気ない態度だった。

 「何だよ!せっかくオレが勇気出してやっと言えたのに!!」

 「うるさい!公共の場で大きい声出すんじゃないよ、バカ!」

 「テメーも叫んでんじゃねぇかよ!つーかバカって何だよ!?」


 いつもの言い合い。くだらない痴話喧嘩。
 だけど、オレはまたそれができる幸せを噛みしめていた。

 そうこうしている内に、オレ達はいつの間にか病院に到着していた。
 もう少し歩を進めば、マリーはジョゼフのもとへ行くだろう。それからジョゼフは記念すべき退院を喜び、オレもそれを祝うだろう。


 「マリー、一言だけ……言ってもいいか?」

 前を進もうとするマリーの足を止めて呼びかけた。
 マリーはそれに応えてオレの方へ振り向いた。

 「何よ」


 「いや、やっぱりなんでもない……ジョゼフが待ってるから早く行こうぜ」


 オレはまだ、この感情を知らない。
 知らなくていい……大切なみんなが幸せなら、オレは何も自覚しないでおこう。

 2人にはずっと友達でいてほしい。
 今までずっと力になってくれてありがとう。
 オレはこんな性格だから、素直に感謝できないかもしれないけど……今度はオレが恩返しする番だ。
 
 オレにとって、2人とも大切な存在なんだから。


 「何つったってんの、早く行くよ」

 マリーは立ち止まっていたオレに手を差し出した。

 「……ああ、悪いな」


 オレはマリーの手を取らずにもう一度歩き出した。





 目が覚めてから数日経っていた。
 医者には、身体中の細胞が正常な修復機能を取り戻しつつあると言われた。それもまた医学的には説明できない現象らしいが、俺は、きっとその回復が精神的なものも含まれていると思った。
 俺自身が、強く願ったことが原因なのではないか。それでもこの世界で生きたい、と。


 退院の手続きを終えて早速帰るための身支度をしていると、病室にマリーとアレンがやってきた。
 ノック音のすぐ後に2人が入ってきて、覗き込むように俺のそばまで歩いてきた。
 アレンは無言でベッドの布団を畳み始めて、マリーは俺のカバンを手に持っていた。

 「ジョゼフ、もう大丈夫なんだね」

 マリーはカバンを運びながら俺の手を握って言った。その質問を聞いて、アレンも横目で俺の方を見ていた。

 「ああ、もう大丈夫だ」

 俺はもう、死にたいなんて二度と思わない。

 「別に、大丈夫じゃなくても……オレら付いてるし」

 アレンはボソボソと呟くように言っていた。


 きっと、俺はもう大丈夫なんだ。
 助けてくれる仲間がいるから。
 自分自身が生きたいと思えるようになったから。

 大切なものをたくさん見つけられた。
 だから、心から守りたいと思えるようになった。


 ナディェージダには大切なものがたくさんあるのだ。





 病院から出て、俺達はゴルバチョフ研究所へと向かっていた。俺とマリーはそこの居室で生活しているのだが、アレンはこの道の曲がり角の反対方向にあるアパートに住んでいる。それなのに、アレンは最後まで俺達についてきた。


 「ねぇ、何であなたが付いてきてるのよ。何、構ってちゃん?」

 アレンに向かって嫌味を言ったのはもちろんマリーだった。
 こうして3人揃って、いつもの調子でくだらないやりとりをしているのがなんだか懐かしく思えた。鍛錬場からの帰り道、アレンに食事を作りに行っていた日々、たまに商店街へ遊びに行っていた時も……俺にとってどれも新鮮な経験で、大切な思い出にもなったのだ。
 友達ってこんなものかと初めて知って、そしてそれを大切にできるようになったからだ。


 「……構ってちゃん?!うるせぇよ!あれでもジョゼフは病み上がりなんだから何かあったらいけねーと思って付いてきてんのに、何言ってんだバカ!」

 「はぁ?別にあたし一人で大丈夫だし。あなたが何言ってるのよ、構ってちゃん?」

 そんなマリーの嫌味を聞き続けていたアレンも苛立ち始めたのか、顔を真っ赤にして拳を握りしめていた。
 出会ったばかりの数年前なら容赦なくマリーを殴っていただろうなと考えながら、なんだかアレンの心の成長を感じていた。
 俺自身も、他人の気持ちを考えたり思いやれたりできるようになったことを実感していた。
 それに比べてマリーは成長できたのだろうか。それに関してはなんだか不安が拭いきれないでいた。
 

 「マリー……アレンも病み上がりなんだから、あんまり興奮させないでやってくれ……」

 アレンだってつい最近、研究所で俺達が開発した新薬で病気が治ったばかりだ。
 俺が病み上がりだと言うなら、アレンもそうだろう。アレンの方が長年病気に苦しんでいたのだ。

 「……じゃあ、オレ、帰るからな。何かあったら携帯に連絡くれ」

 そう言ってアレンは道の曲がり角へ、俺達とは反対方向へ歩き出した。
 研究所前に俺とマリーの2人が取り残された。

 「じゃあ、俺も部屋に戻るから」

 マリーにそう言って俺も自分の部屋まで歩き出した。研究所の門を通り、その中へ入ろうと歩き出したところでマリーも言った。

 「うん、あたし達、隣部屋だから一緒に行くよ」

 そうして、俺達は部屋まで無言で歩いていた。

 病院のベッドで寝ていた時、俺は確かに聞いた。マリーの「好き」だという声が。
 アレンと3人でいるとそれを思い出しても、2人っきりになった今みたいに気まずくはならなかった。

 部屋に入る前に俺はマリーに訊いた。


 「マリーは……俺といても、疲れたりしないか?」

 「……疲れるって??」

 「その、俺が……熱を出して迷惑をかけたり、それから……性格が」

 「熱は別にいいんだけど、自分の性格がめんどくさい自覚があるのは花丸だよ」

 「…………」

 マリーは色々なことをはっきり言ってくるから、俺もたまに落ち込むことがある。

 「何よ、今更そんなことを聞いてきて……どうしたの?」

 「……い、いや。別に……少し考えていただけだ」

 「考えていたって何を?」

 「何でもない!俺はもう疲れたから部屋に戻って寝るぞ、マリーは明日も鍛錬だろう。早く寝ろ」

 「ちょっと何よ?!急に大きい声出して……って、無視しないでよ!」


 そしてその時、俺はマリーを置いて早速さに自室へと駆け込んだのだった。





 ジョゼフの退院から数週間が過ぎた。
 あたし達には平和な日常が訪れて、今日も長閑な時間を過ごしていた。

 鍛錬場はいつも通り稼働している……けど、統率メンバーは昔とは少し違う人になっていた。指揮官はミカンさんに代わって副指揮官はあたしになった。そして、昔指揮官だったアレンは軍隊を退職して、何故か今は研究所の医療介護課で研修生をやっているらしい。あんな暴力男でも勉強できるんだって感心したのを覚えている。

 ジョゼフは、退院できてもまだ体調が万全に戻れず、とりあえず今も仕事をしないで多くの時間を自室で過ごしたり、たまに軽く外出したりしている。それでも前よりは顔色も良いし、高熱も出なくなったからきっとこの先も回復していくのだろうと信じている。

 地球管理システムAI国家OSとして開発された、人工知能を有した操作可能のコンピュータウィルスであるRINというホログラムは日に日に進化を遂げているらしい。RINは幼い少女の姿でナディエージダを駆け回り、まるで本当に人間の子どものように振る舞っていた。彼女は所構わず誰にでも新しい知識を求め、今も無限に世界を学び続けているという。ナディエージダの住民もRINのどんな質問でも答えてくれているらしい。


 そんなRINが、今度はあたしのもとへやってきた。
 鍛錬が終わって、あたしが研究所の自室へと戻ろうと歩み始めたところで彼女は突然目の前に現れた。


 『マリー様。今、お帰りですか?』

 「あぁ、うん。今から帰るけど……えっと、RINちゃん…さん?」

 『リンでいいですよ』

 「えっと、じゃあ……リンちゃん」

 『ありがとうございます』

 リンはあたしに微笑み返してきた。
 あたしも別に帰りを急いでいた訳ではなかったので、まあ、少しくらい彼女の話し相手になってもいいだろうと思って笑顔で接していた。少しだけ、研究所の自室にいるジョゼフの体調が心配ではあったけど、前ほど悪くはなかったからあまり気にしないようにしていた。

 それにしても不思議だなぁ……リンはただの人工知能ホログラムなのに、こんなに表情豊かだと本当に人間の感情を有しているのかと思ってしまう。彼女に感情があるのかどうかは、本当のところはどうか知らないけど。


 『マリー様、もし今お帰りになるのでしたら……自室へ向かわずに研究所前の中央公園まで行くことをオススメしますよ』

 リンはニコニコしながらあたしにそう言った。

 「えっと、何で?」

 『ジョゼフ様がそこで、マリー様のために作った粘土細工のプレゼントを持って待っているみたいですよ』

 「粘土細工?!あの人、そんな器用だったの」

 ジョゼフに芸術的な趣味があるなんて意外過ぎて開いた口が塞がらなかった。というか、どんな奇天烈な細工が出てくるのかちょっと楽しみでワクワクしてきた。
 無理だよ、あんな人に粘土細工なんて。偏見?いや、違うよ。考えてみてほしい。力任せの元軍人で、今まで自分の都合しか考えてこなかったようなメンヘラ男が他のことに精神を捧げる?否、絶対に無理だと思う。


 『はい、ジョゼフ様は出来たそれを嬉しそうに持ってマリー様を待ってますよ。一緒に行きましょう』

 リンは私に手を伸ばして、それから導くように研究所前の中央公園まで歩き始めた。あたしもリンのあとについて歩いた。

 その中央公園には確かにジョゼフがいた。
 昼を過ぎていて、夕方の寒風のせいかジョゼフは厚着をしていた。マフラーにニットのカーディガンを羽織っていた。
 寒風はあっても、それでも夏にあんな厚着をして周りの視線を集めてもそれを気にしないところがなんとも自己中心的で……良い言い方をすればマイペース過ぎる。少し前までに幾度もあったジョゼフが夜中に癇癪を起こすというメンヘラ発作を思い出していた。


 「あっ、マリー……ごめん。ちょっと鍛錬場まで歩く気になれなくて……」
 
 「何でよ、来たらいいじゃない。リンちゃんをパシってないで自分で会いに来てよ」

 「いや、その……今の俺が鍛錬場に行ったらみんな驚くだろう」

 確かに今のジョゼフは痩せこけていて、前のような筋肉質な体型ではなくなっていた。鍛錬場のみんなもジョゼフが入院していたことを知っているし、もしかしたら心配をかけたくないのかもしれない。いや、病み上がりの体に単にそこまで歩く体力がなかっただけかもしれない。


 「マリー、リンから聞いていると思うが……今日は君に渡したいものがあるんだ」

 ジョゼフは背負っていたリュックを前に出して、そこから例の粘土細工を取り出した。
 そこから出てきたのはキラキラとした彩色を施された綺麗な向日葵の花の形をしたものだった。あたしはその粘土細工を美しいと思ってしまった。本当にジョゼフが作ったものなのだろうか。彼にそんな細かい作業が出来たのかと意外に思う気持ちを隠せなかった。

 ジョゼフはその向日葵の粘土細工を手に握ると、あたしに差し出してきた。


 「その、似合わないことをしたかもしれないが……俺、マリーのために頑張って作ってみた」

 「うん、本当……似合わないね……。何で向日葵?」

 ジョゼフは少し顔を赤らめて、あたしから視線を逸らした。
 あたしはその向日葵を受け取りながらジョゼフの言葉を聞いた。

 「……マリーが俺の太陽だと思ったから」

 「太陽?」

 「ああ、マリーは俺の太陽だ」

 ジョゼフは今度はあたしにしっかり向き直してはっきりとした口調で言った。

 「マリー、君は俺の太陽だ。暗闇にいた俺を導いてくれたから。ずっと、俺には何もなかった。だが、マリーに出逢ってから生きようと心から思えるようになった。前までは、もしかしたら俺と同じ存在に出逢ったことが嬉しかっただけかと思っていたが、違うとわかったのだ」

 「ちょっと、何よ。急に滑舌になって……」

 「ごめん、言わせてほしい」

 あたしはジョゼフに両肩を掴まれた。ジョゼフの顔が自分に近づいてきて、なんだかあたしも胸の鼓動を強く感じていた。


 「マリー、ありがとう。ずっと、言いたかった」

 「えっ、えっと……何が?」


 ジョゼフはゆっくりとあたしの肩を離した。胸の鼓動はまだおさまらない。

 「向日葵の花は太陽に向かって成長するらしい」

 「……知ってるよ」

 ジョゼフは、向日葵を握っていたあたしの手を握ってこう言った。


 「マリー……これからも俺と一緒にこの世界を見て、俺と一緒に希望を探しながら歩いていってほしい。2人で……向日葵の花のように成長していきたい」

 「…………っ」


 向日葵を握った手に、握られたジョゼフの熱が伝わって……胸の鼓動もだんだん激しくなっていく。

 「………いい?」

 ジョゼフの顔が、あたしの顔に近づいた。お互いがあと少しで肌と肌が触れそうな距離だった。鼻の先から触れると、ジョゼフは切ないような声であたしに許可を求めた。

 「………うん」


 あたしはずっと、この優しい口づけを忘れない。
 
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