究極のポーター 最弱の男は冒険に憧れる

長野文三郎

文字の大きさ
66 / 98

第66話 錬成夜話

 勢いづいた俺たちは、23匹のネピア・サイドワインダーを狩り、2個の魔石を手に入れることができた。
マモル君のお陰で俺の防御力も上がり、より前線に近い位置で活動できるようになったのが嬉しかった。
メンバーのレベルもどんどん上がっている。
そしてゴブのレベルが今日15に達し、【知力】が51になった。
「う~がうがが~♪ う~がうがが~♪」
ゴブは鼻歌を覚えた。
夕食用の蛇を捌《さば》きながら鼻歌を歌うゴブを見て、俺は猛烈に感動している。
こいつはどこまで育つのだろう。
ゴブは今後も大事に育てていこうと思う。
だがゴブはGランクの魔石を10個組み合わせてできたゴーレムだ。
1体のゴーレムに使える魔石は10個までで、今更追加することはできない。
ボディーも木製だ。
木は温もりがあるが強度は弱い。
ステータスを確認してみよう。

【名前】 ゴブ1号
【年齢】 0歳
【Lv】 15
【HP】 167/167 〈初期値162〉
【MP】 0/0
【攻撃力】53(+221)メイス(聖属性)〈初期値47〉
【防御力】172 (+175)〈初期値142〉アイアンメイル、ヘルメット、タワーシールド
【体力】 329(-7)〈初期値320〉
【知力】 51 〈初期値12〉
【素早さ】40 (-17)〈初期値37〉
【スキル】灯火Lv.3 目の部分が光って辺りを照らす。射撃Lv.10 シールド防御Lv.4
シールドバッシュLv.2
【備考】 半自立型ゴーレム。行動には3MP/分が必要。MPチャージは180まで。よって主人から1時間以上離れて行動できない。半径4メートル以内に主人がいれば魔力をチャージすることが出来る。
【次回レベル必要経験値】 2672/9000

初期値を見てもらうとわかるが、【知力】以外の性能はあまり上がっていない。
今後も期待できない気がする。
だが今更ゴブを封印することなど俺にはできない。
解決策の一つとして装備をよくすることがあげられる。
俺と違って元から体力の数値はよいので少し重くても余裕で装備が可能だ。
武器ももっとすごいのを持たせてしまおう。
マモル君のような装備型ゴーレムを持たせてやりたいが、【MP】のないゴブには不可能だ。
いっそ高ランク魔石で外付けジェネレーターを取り付けてしまうか? 
ボディーに脳波を感知する素材でコーティングを施して反応速度を上げるという手もある。
いろいろな考えが浮かぶが、とりあえず迷宮から出たら武器と防具をつくってやることにしよう。

 蛇を料理することに関して、パーティー内で反発が出ると思いきや全くでなかった。
メグ曰《いわ》く、蛇を食べるのは下町では当たり前なのだそうだ。
軽い忌避感《きひかん》があるのは俺だけか。
自分が食べやすいようにヘビは唐揚げにしてみた。
切り身にした蛇に塩コショウをして、小麦粉を薄くつける。
油はたくさん持ってこなかったので、フライパンに1センチほどひいて揚げた。
蛇の味は鶏肉と魚の中間? みたいな味だ。
カリッと揚がって美味しかったが、どちらかと言えば鶏肉の方が美味しいというのが俺の正直な感想だ。
メンバーがみなたくさん食べてくれたのが嬉しかった。

 翌日も朝から大蛇を狩った。
昨日より人が増えている。
ゴールドラッシュならぬFランクラッシュが起きているようだ。
昼を過ぎるころにはどこに行ってもパーティーが蛇狩りをしていて、5区の人口密度がとんでもなく上がってしまった。
「帰る…」
ボニーさんは人混みが嫌いなようだ。
実際のところ人が多すぎて狩りにならなくなっている。
時間とともに効率は下がり、その下降は留まるところをみせない。
本当は5区にもう一泊する予定だったが、予定を切り上げて2区に移動した。
Fランクの魔石はあの後2個しか出ていない。
その2個も俺が買い取らせてもらった。

 2区に来るのは久しぶりだ。
ここでは以前に美容関係の素材を採取した。
スケルトンの巣窟《そうくつ》でもある。
ようやく俺のハイドロキャノン・デラックス(高性能水鉄砲)が火を噴くときがやってきた。
噴くのは火じゃなくて聖水だけどね。
この二日間、桶一杯分の聖水を持ち歩くのはものすごく重かったぜ。
今日も迷宮は寒い。
前回は聖水が凍り付いて発射できなかったけど、今回は既に生活魔法で人肌に温めてある。
「見せてもらおうか、おっさんの新兵器の性能とやらを」
「なめるなよ」
俺は迫りくるスケルトンたちに照準を定め、ゆっくりとトリガーに指をかけた。
今度こそ、この聖水をくらって昇天しちまいな!
 結果は大成功だった。
聖水を浴びた骨は煙を上げながら溶けていく。
「やったじゃねえか、おっさん!」
「おめでとうございます」
「ありがとうジャン、クロ」
ハイドロキャノンはただの水鉄砲なので発射にMPを消費しない。
だから、俺の次にジャンやクロも使って、スケルトンを殲滅していった。
「イッペイさん、ちょっと気になったんですけど……」
ハイドロキャノンを使っていたクロがおずおずと話しかけてくる。
なにかトラブルか?
「どうした?」
「あの、聖水って必要でしょうか? イッペイさんなら銃本体に聖属性のエンチャントを施せるのではと思いまして…」
……? 
……っ!! 
そうだ。
水ではなく、銃に「聖」の属性を付ければよかったんだ。
水は生活魔法でいくらでも作りだせる。
1万リムもする、あんなくそ重い桶一杯分の聖水を苦労して運ぶこともなかったんだ。
「バカ……」
「アホだなおっさん!」
「フォローできません」
「ごめんなさい、僕が余計なことを言いました! 気にしないでくださいイッペイさん!」
皆の声が遠くに聞こえる。
スケルトンとの長きにわたる抗争はこれで一つの終局を迎えたが、有終《ゆうしゅう》の美《び》を飾ることはできなかった。


 三日目の夜は第二階層2区の小部屋で過ごした。
錬成作業をしたかった俺は長めの見張り番を買って出た。
手元にはFランクの魔石が二つある。
これは家には持ち帰れないので、今回の探索が終わるまでに錬成するか、ゲートで買い取ってもらわないといけない。
 一番気になるのはゴブの装甲だ。
すぐにでも鎧を作ってやりたいが、如何せん素材が足りない。
普通の鋼なら迷宮の小部屋の扉を錬成で溶かしてしまえばいいが、せめてミスリルくらいは使っていいものを着せてやりたいのだ。
一応ミスリルのインゴットは1本持ってきている。
だが盾や鎧を作るにはとても足りない。
そこで俺は、ゴブを構成するパーツにミスリルでコーティングを施すことにした。
Fランク魔石を使い、各パーツの反応速度と魔法攻撃耐性をつけた。
特に木製のゴブに炎の攻撃は怖い。
そこは念入りに処置した。
結果、
【防御力】172→197、【素早さ】40→68、魔法攻撃耐性(小)、火属性耐性Lv.3,
とパラメーターが少し上昇した。
銀ギラだと目立つので、見た目は今まで通り木目調だ。
ぱっと見ではどこが変わったのかわからないだろう。
まさにマイナーチェンジって感じだった。
 魔石を持ち帰れないというのは本当に不便だ。
錬成のために素材を迷宮に持ち込まなくてはならない。
たまに小型のリアカーのようなものを迷宮で運用しているパーティーがいる。
俺も乗り物型、もしくはキャリー型のゴーレムを作りたいのだが、運搬用の荷車を作る方が先だろう。
 さて、残ったFランク魔石だが今回は俺の武器を作ることにした。
さすがにハンドガンだけでは心許《こころもと》ない。
本当はもう少し魔石を集めてから作りたかったが、とりあえず第三階層へ行くための武器が必要だ。
俺はずっと念願だったアサルトライフルの制作に取り掛かった。
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます! 〜王子の機転が国家を救う!?〜

婚后 清羅
ファンタジー
子供たちはただ遊んでいるだけなのに?王子の機転が国家を救う!?痛快ファンタジー!  平和な田舎町コレットに住む少女キスティーは、全属性の魔法を極めた規格外の魔力を持っていた。しかし彼女にとって魔法は「家事があっという間に終わってしまい、毎日の楽しみを奪うもの」でしかなく、その力を使うのはもっぱら幼馴染のアリシア(精密な無詠唱魔法の使い手)、ギルバート(規格外の強靭な肉体の持ち主)との「遊び」の中だけだった。  そんな彼女たちの前に、視察団として身分を隠した第三王子レイエスが現れる。王子は、三人が国家級の脅威である魔獣たちを、ただの「遊び」の延長で、一撃のもとに仕留める光景を目の当たりにし、驚愕する。この国の常識を遥かに超えた彼女たちの力は、本人たちにとってはあくまで「日常の遊び」に過ぎなかったのだ。  王子に同行している騎士団長は、自らの部隊が命懸けで挑む難敵を、遊び感覚で仕留める彼女たちの振る舞いに、常に顔を青ざめさせ、胃を痛め、絶叫に近いツッコミを入れ続ける。  レイエスは確信する。各地で活発化する魔獣の脅威を退け、王国の平和を守る鍵は彼女たちの力にあると。しかし、義務や名誉に興味がない自由奔放な彼女たちを、騎士団などの堅苦しい枠に閉じ込めることは不可能だ。そこでレイエスは、一石二鳥の妙案を思いつく。それは、彼女たちを「働かせる」のではなく、討伐対象がいる危険地帯へ「遊び」という名目で誘い出すことだった。  レイエスは親たちへの根回しを完璧に済ませ、再び三人の前に現れる。「褒美に海へ遊びに行こう」という誘いに、三人は、王子様が自分たちを騙して捕まえようとしてるのではないかと疑うが、結局未知なる冒険という名のピクニックへと旅立つことになる。  こうして、規格外の力を持つ三人と、彼女たちを「遊び」で導き、その力を正しく制御しようとする王子の奇妙な旅が始まる。彼女たちが無邪気に遊ぶたび、王国を脅かす難敵は露知らずのうちに駆逐されていく。自覚なき救世主たちのドタバタな日常が、世界の運命を静かに、そして豪快に変えていくのである。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 【2025カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト中間選考通過作品】 ・規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。