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22話 心配してくれる人
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「コーデリア!」
朦朧とする意識の中、アルフレッドの声が聞こえた気がした。
あれからどれくらい時間が経ったのだろう。
眠っては駄目だと思っていたのに寒さの中いつの間にか意識を失っていたようだ。
ユミルは大丈夫だろうか。
「……アルフレッドさ、ま」
はっとして顔を上げると正面の雪で埋まってしまっていたはずの入口に穴が開いていた。村の人々が集まって雪をどけてくれているようだった。エヴァンズ氏が助けを呼んできてくれたのだ。
目の前にはアルフレッドがいて、抱きしめていたはずのユミルがいない。
「ユミルは……」
「大丈夫だ。今外に運び出したところだ」
「よかった……!」
「良かったじゃない! 危うく死ぬところだったんだぞ!」
どうやらユミルが無事に助けられたようでほっとしているとぴしゃりとアルフレッドに叱られた。その声に驚いてコーデリアはアルフレッドを見つめた。その表情は確かに怒っているけれど、今にも泣きだしそうなものだった。
「アル坊ちゃん! 中は危ない。また雪が落ちてくるかもしれん!」
「わかった」
外から村人達の声が聞こえて、アルフレッドは返事をしたかと思うとコーデリアに自分の上着を着せて抱き上げた。ふわりと宙に浮く感覚にコーデリアは慌てた。
「あ、アルフレッド様! 大丈夫です。歩けます」
「あのなあ、どう見ても無理だろう」
確かにアルフレッドが言うようにすでに身体は冷えきっていて立ち上がるのも難しかった。急に抱き上げられた気恥しさでつい歩けるなんて言ってしまったが、大人しく運ばれるしかないようだ。外はいつの間にか吹雪になっていたけれど、アルフレッドに抱えられたままのコーデリアは不思議と寒さを感じなかった。
(温かい……)
寄り掛かったアルフレッドの胸から心臓の音がする。最初は緊張していたものの、やがてコーデリアの身体から力が抜けていった。
「……まったく。どれだけ俺が恐ろしかったかわかるか?」
「……」
安心したら急に眠くなってきた。ふわふわとした意識の中、遠くにアルフレッドの声が聞こえた気がした。コーデリアはもう返事をすることもできない。
頭上でふっと笑う気配がした。
「コーデリア、よくがんばったな」
「もう! コーデリアのばかばかばか!! 本当に無茶ばっかりして! どれだけ心配したか……」
「本当よ。二人とも無事だったから良かったけれど」
「心配かけてごめんなさい。グレンダ様、カレン……」
涙目のカレント珍しく本気で怒っているグレンダを前にしてコーデリアはしゅんとして謝った。
ユミルが行方不明になった騒ぎから三日が過ぎていた。あの日、領主の屋敷に帰ってからコーデリアは高熱を出してしまい寝込んでいた。ようやく熱が下がりベッドの上に身体を起こせるようになったところでお説教を受けていた。
たくさんの人に迷惑と心配をかけてしまったのだからしかたない。
実は二人の前に号泣するデビーからもお説教を受けていた。
けれど皆がコーデリアをとても心配してくれていたことを知って、なんだか少しだけくすぐったい気持ちだった。
「コーデリアは見かけによらず無茶をするんだから。もっと自分を大事にしなさい」
「本当よ! 見ていて時々心配だったもの」
(私にはたくさん私のことを心配してくれる人がいる)
ただあの時はユミルを助けたくて必死で他の事など考えられなかった。今思い返すともっと他に方法があったのではないかと反省しきりだが。
ユミルはコーデリアが上着を貸して抱きしめていたおかげか翌日にはすっかり元気になったという。まだ会えていないが本当に良かったとほっとした。エヴァンズ氏はコーデリアを危険な目に遭わせてしまったことを深く反省しているようで、コーデリアは会えなかったが翌日には領主の屋敷にお詫びとお礼に来てくれていたらしい。
「グレンダ様、カレン。心配してくれて、ありがとう」
コーデリアは心からの感謝を込めて微笑んだ。まだ少々ぎこちない笑顔にグレンダとカレンが目を丸くして、それからぱっと表情を輝かせた。
「……コーデリアが笑った。うそ、嬉しい!」
「ええ本当に! ……ああコーデリア。ほらね、やっぱりとても可愛い笑顔じゃない」
「ひゃ!?」
カレンに抱きつかれて驚いたけれど、嬉しそうに目の端に涙をためるグレンダを見て胸がいっぱいになってしまった。
「ユミルを洞窟で見つけた時に、心から嬉しくてほっとたんです。そうしたら自然と笑顔になっていたみたいで……」
「そう……。本当に良かったわね」
「はい」
幼い頃以来の笑顔はまだ慣れなくて、なんだか頬が疲れてしまうのですぐに真顔に戻ってしまう。
けれどもう笑顔を誰かに見られるのは怖くなかった。
それはたくさんの人々がコーデリアのことを認めてくれるから。そしてコーデリア自身もいつの間にかそんな自分を少しだけ肯定できるようになったからだ。
話の間ずっとコーデリアに抱きついていたデビーが涙をぬぐいながら笑う。
「ああもう、本当に良かった! でもこんなことはもう嫌だからね。アルフレッド様もすごく心配してたのよ。あんな取り乱した姿見たことなかったもの」
「……そういえばアルフレッド様は?」
カレンの言葉にコーデリアは顔を上げた。
アルフレッドとは洞窟で助けられたあの時以降、コーデリアが寝込んでしまったこともあって会話をしていない。
一度見舞いに来てくれたことはなんとなく覚えている。熱で魘されていた時、朦朧とした意識の中でアルフレッドが傍らに座って手を握ってくれていたのはたぶん夢ではないだろう。
(アルフレッド様にもたくさん心配かけてしまった……)
抱き上げられた時のぬくもりや、握ってくれた手の感触を思い出すと頬が熱くなる。
彼には伝えなくてはならない大切なことがある。
「それがね」
カレンと顔を見合わせたグレンダが口を開いた。
「アルフレッド様は急用で今朝王都に出立されたのよ」
朦朧とする意識の中、アルフレッドの声が聞こえた気がした。
あれからどれくらい時間が経ったのだろう。
眠っては駄目だと思っていたのに寒さの中いつの間にか意識を失っていたようだ。
ユミルは大丈夫だろうか。
「……アルフレッドさ、ま」
はっとして顔を上げると正面の雪で埋まってしまっていたはずの入口に穴が開いていた。村の人々が集まって雪をどけてくれているようだった。エヴァンズ氏が助けを呼んできてくれたのだ。
目の前にはアルフレッドがいて、抱きしめていたはずのユミルがいない。
「ユミルは……」
「大丈夫だ。今外に運び出したところだ」
「よかった……!」
「良かったじゃない! 危うく死ぬところだったんだぞ!」
どうやらユミルが無事に助けられたようでほっとしているとぴしゃりとアルフレッドに叱られた。その声に驚いてコーデリアはアルフレッドを見つめた。その表情は確かに怒っているけれど、今にも泣きだしそうなものだった。
「アル坊ちゃん! 中は危ない。また雪が落ちてくるかもしれん!」
「わかった」
外から村人達の声が聞こえて、アルフレッドは返事をしたかと思うとコーデリアに自分の上着を着せて抱き上げた。ふわりと宙に浮く感覚にコーデリアは慌てた。
「あ、アルフレッド様! 大丈夫です。歩けます」
「あのなあ、どう見ても無理だろう」
確かにアルフレッドが言うようにすでに身体は冷えきっていて立ち上がるのも難しかった。急に抱き上げられた気恥しさでつい歩けるなんて言ってしまったが、大人しく運ばれるしかないようだ。外はいつの間にか吹雪になっていたけれど、アルフレッドに抱えられたままのコーデリアは不思議と寒さを感じなかった。
(温かい……)
寄り掛かったアルフレッドの胸から心臓の音がする。最初は緊張していたものの、やがてコーデリアの身体から力が抜けていった。
「……まったく。どれだけ俺が恐ろしかったかわかるか?」
「……」
安心したら急に眠くなってきた。ふわふわとした意識の中、遠くにアルフレッドの声が聞こえた気がした。コーデリアはもう返事をすることもできない。
頭上でふっと笑う気配がした。
「コーデリア、よくがんばったな」
「もう! コーデリアのばかばかばか!! 本当に無茶ばっかりして! どれだけ心配したか……」
「本当よ。二人とも無事だったから良かったけれど」
「心配かけてごめんなさい。グレンダ様、カレン……」
涙目のカレント珍しく本気で怒っているグレンダを前にしてコーデリアはしゅんとして謝った。
ユミルが行方不明になった騒ぎから三日が過ぎていた。あの日、領主の屋敷に帰ってからコーデリアは高熱を出してしまい寝込んでいた。ようやく熱が下がりベッドの上に身体を起こせるようになったところでお説教を受けていた。
たくさんの人に迷惑と心配をかけてしまったのだからしかたない。
実は二人の前に号泣するデビーからもお説教を受けていた。
けれど皆がコーデリアをとても心配してくれていたことを知って、なんだか少しだけくすぐったい気持ちだった。
「コーデリアは見かけによらず無茶をするんだから。もっと自分を大事にしなさい」
「本当よ! 見ていて時々心配だったもの」
(私にはたくさん私のことを心配してくれる人がいる)
ただあの時はユミルを助けたくて必死で他の事など考えられなかった。今思い返すともっと他に方法があったのではないかと反省しきりだが。
ユミルはコーデリアが上着を貸して抱きしめていたおかげか翌日にはすっかり元気になったという。まだ会えていないが本当に良かったとほっとした。エヴァンズ氏はコーデリアを危険な目に遭わせてしまったことを深く反省しているようで、コーデリアは会えなかったが翌日には領主の屋敷にお詫びとお礼に来てくれていたらしい。
「グレンダ様、カレン。心配してくれて、ありがとう」
コーデリアは心からの感謝を込めて微笑んだ。まだ少々ぎこちない笑顔にグレンダとカレンが目を丸くして、それからぱっと表情を輝かせた。
「……コーデリアが笑った。うそ、嬉しい!」
「ええ本当に! ……ああコーデリア。ほらね、やっぱりとても可愛い笑顔じゃない」
「ひゃ!?」
カレンに抱きつかれて驚いたけれど、嬉しそうに目の端に涙をためるグレンダを見て胸がいっぱいになってしまった。
「ユミルを洞窟で見つけた時に、心から嬉しくてほっとたんです。そうしたら自然と笑顔になっていたみたいで……」
「そう……。本当に良かったわね」
「はい」
幼い頃以来の笑顔はまだ慣れなくて、なんだか頬が疲れてしまうのですぐに真顔に戻ってしまう。
けれどもう笑顔を誰かに見られるのは怖くなかった。
それはたくさんの人々がコーデリアのことを認めてくれるから。そしてコーデリア自身もいつの間にかそんな自分を少しだけ肯定できるようになったからだ。
話の間ずっとコーデリアに抱きついていたデビーが涙をぬぐいながら笑う。
「ああもう、本当に良かった! でもこんなことはもう嫌だからね。アルフレッド様もすごく心配してたのよ。あんな取り乱した姿見たことなかったもの」
「……そういえばアルフレッド様は?」
カレンの言葉にコーデリアは顔を上げた。
アルフレッドとは洞窟で助けられたあの時以降、コーデリアが寝込んでしまったこともあって会話をしていない。
一度見舞いに来てくれたことはなんとなく覚えている。熱で魘されていた時、朦朧とした意識の中でアルフレッドが傍らに座って手を握ってくれていたのはたぶん夢ではないだろう。
(アルフレッド様にもたくさん心配かけてしまった……)
抱き上げられた時のぬくもりや、握ってくれた手の感触を思い出すと頬が熱くなる。
彼には伝えなくてはならない大切なことがある。
「それがね」
カレンと顔を見合わせたグレンダが口を開いた。
「アルフレッド様は急用で今朝王都に出立されたのよ」
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