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高校の部活同窓会帰りの母 リビングで
しおりを挟む風呂から上がって脱衣所を出ると、同窓会から帰った母が、酒を飲みながら涙を流していた。
見つめる携帯からは、何かの音楽が流れている。
「なにそれ? なんの音楽?」
そう尋ねると、母はこちらに一瞬目を向けて、またテーブルの上の携帯に視線を戻した。
「高校時代の部活の演奏」
「へー……」
返事を返しながら、向かいの席に座る。
ふと、なんとなく口から質問が溢れた。
「この頃の自分に今の自分を見せてさ、どう? どうだって胸を張れる?」
それを聞いた母は、1秒の間も置かずに——
「もちろん! 言うことなし! 満点!」
と、腕を前で組み、口角を上げて大きく頷きを返した。
「そっかぁ、それは良かった。それなら勝ち組じゃん」
なんだか嬉しくなって笑いながら言うと、一緒に母も笑った。
そうして二人で笑っているといつしか、母は顔を両手で覆い、肩を震わせて泣き出した。
それは笑うような泣き方で、なんだか幸せに見えた。
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