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92.魔獣との遭遇(1)
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学園での生活も数ヶ月が過ぎ、夏のホリデー前になった。
私達はサーシャとシリウス様と3人でランチをしたり、ルル様やカイお兄様ともランチしたりと変わらない日常生活を送っている。
変わった事と言えば、ルル様が今まで以上に私との距離感が近く、最初は周りの生徒達も目を丸くしていたがいつの間にか当たり前の光景になっていて、今ではジロジロと見られる事も少なくなって来た。
そんなルル様にシリウス様はいつも「近すぎだから離れろ」と言い合いしているが、前のような仲が悪い関係ではなく側から見ても仲の良い関係にみえる。
それが私には嬉しかった。
◇
◇
◇
◇
ーーーー放課後ーーーー
いつものように私はサーシャと帰っていた。
「もうすぐホリデーですね。スレイ様はホリデーにはお家に帰りますか?」
「そうね。カイお兄様と帰るつもりよ。サーシャさんもお家に帰るのかしら?」
「はい!私も帰ります。…ホリデーの間はスレイ様とお会いできなくなるのが寂しいです…。」
「そうね。毎日一緒に居たのに暫く会えないなんて寂しいですわね。」
「スレイ様…!私…」
サーシャが何か言いかけた時「きゃあ!」と女子生徒の叫ぶ声が聞こえた。
「な、何!?」
私とサーシャは目を合わせた後何が起こったのか辺りを見回すと、私達の後ろにいた生徒達が慌てて逃げてこちらへ来ていた。
「ま、魔獣だ!!魔獣がいるぞ!!」
「早く逃げろ!」
「先生と警備隊を!!誰か呼んで!」
(魔獣!?何で王都に?人が多い場所にはあまり来ないはずなのに…)
皆が逃げているという事は瘴気に当てられた魔獣かもしれない。
「サーシャさん!ここは危ないから早く逃げてください!」
「え…?でもスレイ様はどうするんですか?」
「私は魔獣の所へ行ってみます!」
私は走って魔獣の様子を見に行くことにした。
「駄目ですスレイ様!!危ないですから行かないでください!」
「大丈夫!私魔獣の事少しだけ詳しいので心配しないで。」
サーシャは心配そうに見ていたが私は構わずに魔獣の所へと走っていった。
生徒達皆が逃げている所に逆走していくと3つ目のオオカミがいた。
(あれは…アイロウルフ?!何故こんな所に…でも瘴気にあてられた訳ではなさそう。これなら会話ができるかもしれない)
アイロウルフは瘴気に当てられてはないが何だか少し怒っていて私を睨んでいる。私はあまり近づかないように距離を縮めていった。
『ワタシ ノ コドモ ドコニ カクシタ』
(子供…?このウルフは母親なのかしら…)
「貴方の子供がいなくなったの?私も協力するから一緒に探しに行きましょう?」
『ニンゲン シンヨウ デキナイ』
「そうよね…。でも貴方の子供の事を私も守りたいの。お願い協力させて!後、人前に出過ぎると良くないわ。皆ビックリしてしまうの。」
『オマエ…ワタシ ノ コトバ ワカルノカ?』
「分かるわ!だからお願い茂みに一緒に隠れて!」
『…ワカッタ ウラギッタラ ユルサナイ』
「信じてくれてありがとう。こっちよ。」
アイロウルフと一緒に人通りの少ない所へ移動しようとした瞬間、何処からかウルフを狙ってナイフが飛んできた。
「そこの女子生徒!危ないからこっちへ来なさい!」
警備隊や先生がウルフを狙ってナイフや銃を持っている。
「待って、待って下さい!この子は瘴気に当てられていません。危険ではありません!」
「何を言ってる!襲われたら危ないぞ。早く離れなさい!」
「違います!襲ったりはしません。この子は自分の子供を探しに来ているだけなんです。」
「誰がそんな事を言っていた?そのオオカミが言ってたのか?」
「はい。この子が自分の子が攫われたと焦って探していると言っていました!」
私がハッキリと伝えると警備隊や先生達が一瞬固まった。
「…ハッ!何を言ってるんだ?魔獣が喋れる訳ないだろ?気でもふれたか?早くこっちへ来なさい。その魔獣を早く殺さないと危ない。」
私を馬鹿にするように警備隊が笑い飛ばす。
「邪魔するようなら無理やりにでもこっちへ来させろ!」
(駄目だ…何を言っても信じてもらえなさそうだわ。)
腕を引っ張ろうと先生が私に近づき、警備隊は銃をかまえた。
(どうしよう…この子には何の罪もないのに絶対に嫌!!)
私達はサーシャとシリウス様と3人でランチをしたり、ルル様やカイお兄様ともランチしたりと変わらない日常生活を送っている。
変わった事と言えば、ルル様が今まで以上に私との距離感が近く、最初は周りの生徒達も目を丸くしていたがいつの間にか当たり前の光景になっていて、今ではジロジロと見られる事も少なくなって来た。
そんなルル様にシリウス様はいつも「近すぎだから離れろ」と言い合いしているが、前のような仲が悪い関係ではなく側から見ても仲の良い関係にみえる。
それが私には嬉しかった。
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ーーーー放課後ーーーー
いつものように私はサーシャと帰っていた。
「もうすぐホリデーですね。スレイ様はホリデーにはお家に帰りますか?」
「そうね。カイお兄様と帰るつもりよ。サーシャさんもお家に帰るのかしら?」
「はい!私も帰ります。…ホリデーの間はスレイ様とお会いできなくなるのが寂しいです…。」
「そうね。毎日一緒に居たのに暫く会えないなんて寂しいですわね。」
「スレイ様…!私…」
サーシャが何か言いかけた時「きゃあ!」と女子生徒の叫ぶ声が聞こえた。
「な、何!?」
私とサーシャは目を合わせた後何が起こったのか辺りを見回すと、私達の後ろにいた生徒達が慌てて逃げてこちらへ来ていた。
「ま、魔獣だ!!魔獣がいるぞ!!」
「早く逃げろ!」
「先生と警備隊を!!誰か呼んで!」
(魔獣!?何で王都に?人が多い場所にはあまり来ないはずなのに…)
皆が逃げているという事は瘴気に当てられた魔獣かもしれない。
「サーシャさん!ここは危ないから早く逃げてください!」
「え…?でもスレイ様はどうするんですか?」
「私は魔獣の所へ行ってみます!」
私は走って魔獣の様子を見に行くことにした。
「駄目ですスレイ様!!危ないですから行かないでください!」
「大丈夫!私魔獣の事少しだけ詳しいので心配しないで。」
サーシャは心配そうに見ていたが私は構わずに魔獣の所へと走っていった。
生徒達皆が逃げている所に逆走していくと3つ目のオオカミがいた。
(あれは…アイロウルフ?!何故こんな所に…でも瘴気にあてられた訳ではなさそう。これなら会話ができるかもしれない)
アイロウルフは瘴気に当てられてはないが何だか少し怒っていて私を睨んでいる。私はあまり近づかないように距離を縮めていった。
『ワタシ ノ コドモ ドコニ カクシタ』
(子供…?このウルフは母親なのかしら…)
「貴方の子供がいなくなったの?私も協力するから一緒に探しに行きましょう?」
『ニンゲン シンヨウ デキナイ』
「そうよね…。でも貴方の子供の事を私も守りたいの。お願い協力させて!後、人前に出過ぎると良くないわ。皆ビックリしてしまうの。」
『オマエ…ワタシ ノ コトバ ワカルノカ?』
「分かるわ!だからお願い茂みに一緒に隠れて!」
『…ワカッタ ウラギッタラ ユルサナイ』
「信じてくれてありがとう。こっちよ。」
アイロウルフと一緒に人通りの少ない所へ移動しようとした瞬間、何処からかウルフを狙ってナイフが飛んできた。
「そこの女子生徒!危ないからこっちへ来なさい!」
警備隊や先生がウルフを狙ってナイフや銃を持っている。
「待って、待って下さい!この子は瘴気に当てられていません。危険ではありません!」
「何を言ってる!襲われたら危ないぞ。早く離れなさい!」
「違います!襲ったりはしません。この子は自分の子供を探しに来ているだけなんです。」
「誰がそんな事を言っていた?そのオオカミが言ってたのか?」
「はい。この子が自分の子が攫われたと焦って探していると言っていました!」
私がハッキリと伝えると警備隊や先生達が一瞬固まった。
「…ハッ!何を言ってるんだ?魔獣が喋れる訳ないだろ?気でもふれたか?早くこっちへ来なさい。その魔獣を早く殺さないと危ない。」
私を馬鹿にするように警備隊が笑い飛ばす。
「邪魔するようなら無理やりにでもこっちへ来させろ!」
(駄目だ…何を言っても信じてもらえなさそうだわ。)
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