転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀

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131.意識の世界(1)

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ふわふわと体が気持ちよく浮いている。

ここは…どこ…?

辺りを見回しても白いモヤばかりでよく見えない。

「あれ…私何してたんだっけ…。」

浮いていた体を起こし、ふわっと足を地面に着地させ歩くことができた。とことこと歩いていると綺麗な草原が見える。

「綺麗な場所だけど…ここはどこなの?」

うろうろ歩いていても草原が続くばかりだった。



「やっと見つけた。こんな所にいたのね。」

後ろから声がして振り向くと金髪で綺麗な髪の長い女性が立っていた。

「あの、ここは何処でしょうか…。私は今まで何をしていたのか分からなくて…。」
「あら?そんなになるまで彷徨ってたの?危ない所だったわ。貴方、もう少しで死ぬ所だったわよ。良かったわ見つけられて。」
「え…!?し、死ぬ所だったんですか?」
「貴方は自分の名前覚えてるかしら?」

(私の名前…なまえ…)

「名前も忘れかけているの?本当に危ない所だったわ…。それなら今まで貴方に起こった事を思い出させてあげる。」

綺麗な女性は指をスナップさせると、私の頭の中に沢山の記憶が一気に入ってきた。


(そう…そうだった。私は前世で読んだ小説の世界に転生していたんだわ!名前もないモブよりもモブだったのに何故か王太子の婚約者になってお披露目していたんだわ。その時ルル様を狙う刺客のナイフが刺さって…)

「ルル様…ルル様はあの後どうしてますか?!まだ誰かに狙われたり…」
「大丈夫、怪我もないわ。何より貴方が庇って助けてあげたんだから…だけど心は大丈夫じゃないかもしれないわね。貴方の事が心配で気が気じゃないみたいよ。見てみる?」

困ったように笑う表情もとても綺麗なその人は、水辺まで私を案内してくれた。

「見てみて。この水に貴方が気になっている人が映っているわよ。」

私は覗き込むと水面にルル様とカイお兄様と寝ている私が映し出された。ルル様もカイお兄様も元気がなくずっと黙り込んで眠っている私の側にいた。

「ルル様…カイお兄様…。」


(早く起きなきゃいけないのにどうやったらいいの…?ここは夢の中なのかしら…)


「あの…貴方は…?それにここは何処なの?」
「私?私はこの世界の創造主から管理を任されている存在、つまり貴方達の言葉で言うと…『神様』ね。」
「神様!?」
「そう。そしてここはあの世とこの世の狭間みたいなものね。」

(神様って本当にいるのね…それよりも…)

「神様が何故私を探していたんですか?もしかして…あの世へ行く為にお迎え…?」

私の言葉が面白かったのか神様は急に笑い出した。

「お迎えだなんて…そんな事ありえないわ!だって貴方をこの世界に呼び寄せたのはこの私ですもの!」
「え!?」

(何!?どう言う事頭が追いつかなくてパニックだわ…!)
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