転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀

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141.ヴェティス様からの贈り物(1)

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『貴方には私の加護を与えたから周りの人達は貴方の事好きでしょう?』

ふいにヴェティス様の言葉がよぎった。

(カイお兄様がシスコンなのはもしかしてヴェティス様の加護があるから…?)


「あの、私御二方にお伝えしたい事があるんです。」

私は真剣な表情で2人が揉めているのを止めた。


「どうした?」

2人は私が真剣な表情をしているのを見て首を傾げた。

「私、眠っている間ヴェティス様にお会いしました。」

「ヴェティス?」

2人は更に首を傾げた。ヴェティスという言葉に聞き覚えはないみたい。

「はい。私が眠っている間はこの世とあの世の狭間にいました。私は自分の事すら誰なのか分からなくなっていてもう死んでしまうかもしれない所をヴェティスという名の神様に助けて貰いました。」
「スーが…もう少しで死んでしまうところだったのか…!?」
「はい…。」



私は2人に眠っている間にヴェティス様に言われた事を全て話した。そしてルル様には私には前世の記憶があるという事も。この世界が小説の中であり、どんなストーリーだったかも。

ヴェティス様から貰った力と加護の話も2人には伝えた。


「スーが異世界から来た転生者…?」
「そうです。私には前世の記憶があるというだけですけど…。ヴェティス様は毎回この国がバッドエンドになってしまう事で悩んでいた時に、『小説』としてこの物語を知っていた異世界の私をこの世界に引き寄せ転生させたと話していました。」
「そうだったのか…スーはこの国の未来を知っていたんだな…。」
「はい。それで…ヴェティス様が分けて下さった加護が『愛』だそうです。なのでカイお兄様もルル様も私ではなくてヴェティス様の加護があるから…私を好きでいてくれているのかなって…。」

「そんなことないよ」と2人は同時に言おうとした瞬間、ドアが大きな音でバン!と開いた。

「スレイ様!!」
「スレイちゃん!!声がすると思ったら…目が覚めたんだね!」

入ってきたのはサーシャとシリウス様だった。

「おい…病人がいるんだ。声もドアの音も大きい。」

ルル様の言葉を聞いているのかいないのか…2人は私を目掛けて駆け寄り抱きついた。

 
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