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第三章 成長する魔王と迫る”冒険者組合”の影
第32話「交わす理の契り」
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「悪だくみ」という言葉に、応接間の空気がピリリと引き締まった。
レイラ、ゼトス、リルベア――全員が一様に警戒の色を浮かべる。
ただ一人――俺だけを除いて。
「お? いいねぇ、なにやんの?」
思わずウキウキと身を乗り出してしまった俺の頭に、ゴンッ、と衝撃。
「いって……!?」
リルベアが思い切り拳で叩いてきた。
「この虚け! 何度言ったらわかるんじゃ! もうちょい真剣にならんか!」
流石のゼトスも擁護できなかったのか、両手で顔を覆い隠している。
「っんだよ、ちゃんとやってるだろ?」
「主、失礼ですが明らかに好奇心の方が勝っていました」
レイラにそう言われ、ゼトスもうんうんと頷くのを見て、少しだけ反省。
「わるい、気を付ける……」
リルベアは深いため息を吐き、美月の方を向いた。
「はぁ……。勇者よ、すまんが我らと勇者という者達の間には深き溝がある。おいそれと、そちの言葉を信じてやれん。そこで、まずヴァルトと命をかけた契りを結んではくれぬか?」
「契り?」
美月が不思議そうに首を傾げる。
「別にどちらかが優位になるものではない。契りの内容は三つじゃ」
リルベアは指を三本立て、静かに条件を口にした。
一、互いに何があろうと絶対に嘘はつかない。
二、命の危機があった場合、必ず助け合う。
三、その二つを命をかけて遵守する。
「どうじゃ、守れるか?」
いつになく真剣なまなざしで、俺と美月を交互に見つめるリルベア。
……なんだよ、そんな堅苦しくなることか?と思いつつも、俺は頷いた。
「俺は特に問題ないな」
「そう、ですね。私も問題ないです。……ふふっ、なんだか結婚式みたいですね」
その一言で、全員の視線が一斉に俺と美月に集中する。
……心なしかレイラとリルベアからの視線が殺気混じりなのは気のせいじゃないだろう。触れないでおこう……。
そうしてリルベアの指揮のもと、契りの儀式が始まった。
俺と美月が互いに手首に小さな傷をつけ、血がにじむ手を重ねる。
リルベアが聞いたこともない言語で詠唱を始め、空気がピンと張り詰めていく。
次の瞬間、俺と美月の目の前に、先ほどの三つの条件が文字となって現れた。
「内容を再度確認し、問題なければ命に誓うと言うのじゃ」
二人して頷き、互いを見たまま声をそろえる。
「「命に誓う!」」
文字は白と黒の光に変わり、俺と美月の腕を縛るように巻き付いて消える――と同時に、頭の奥で声が響いた。
《世界の理として、個の願い聞き届けられました》
……は? なんでここで世界の声が出てくるんだ?
「あのー、リアさん? 世界の声が聞こえたんだけど」
「ヴァルトさんもですか? 私も聞こえました」
「当たり前じゃろ。理の契りをやったのじゃから」
え、なにそれ。こわい。しれっととんでもないことしてない?
ふと腕を見ると、そこには見覚えのない紋様が浮かんでいた。
「なんだこの紋様」
「なにも見えませんぞ……?」
「私たちには見えませんね」
レイラたちには見えていないらしい。視線を美月に向けると、彼女はコクンと頷いた。
「それは契りを結んだ者にしか見えん。安心せい」
「結婚指輪みたいな感じですね!」
「美月、結婚指輪は見えるものだぞ」
思わずツッコむ。……てか、この子、天然だな。
戦闘の時とは別人みたいに柔らかくなる。恐らく、こっちが素の美月なんだろう。
リルベアが改めて腰を下ろし、真剣な声を出した。
「さて、本題じゃ。わらわ達にも聞かせてもらおうか? その悪だくみとやらを」
美月が口を開く。
その声色には、これから俺たちの運命を変える予感が確かにあった――。
レイラ、ゼトス、リルベア――全員が一様に警戒の色を浮かべる。
ただ一人――俺だけを除いて。
「お? いいねぇ、なにやんの?」
思わずウキウキと身を乗り出してしまった俺の頭に、ゴンッ、と衝撃。
「いって……!?」
リルベアが思い切り拳で叩いてきた。
「この虚け! 何度言ったらわかるんじゃ! もうちょい真剣にならんか!」
流石のゼトスも擁護できなかったのか、両手で顔を覆い隠している。
「っんだよ、ちゃんとやってるだろ?」
「主、失礼ですが明らかに好奇心の方が勝っていました」
レイラにそう言われ、ゼトスもうんうんと頷くのを見て、少しだけ反省。
「わるい、気を付ける……」
リルベアは深いため息を吐き、美月の方を向いた。
「はぁ……。勇者よ、すまんが我らと勇者という者達の間には深き溝がある。おいそれと、そちの言葉を信じてやれん。そこで、まずヴァルトと命をかけた契りを結んではくれぬか?」
「契り?」
美月が不思議そうに首を傾げる。
「別にどちらかが優位になるものではない。契りの内容は三つじゃ」
リルベアは指を三本立て、静かに条件を口にした。
一、互いに何があろうと絶対に嘘はつかない。
二、命の危機があった場合、必ず助け合う。
三、その二つを命をかけて遵守する。
「どうじゃ、守れるか?」
いつになく真剣なまなざしで、俺と美月を交互に見つめるリルベア。
……なんだよ、そんな堅苦しくなることか?と思いつつも、俺は頷いた。
「俺は特に問題ないな」
「そう、ですね。私も問題ないです。……ふふっ、なんだか結婚式みたいですね」
その一言で、全員の視線が一斉に俺と美月に集中する。
……心なしかレイラとリルベアからの視線が殺気混じりなのは気のせいじゃないだろう。触れないでおこう……。
そうしてリルベアの指揮のもと、契りの儀式が始まった。
俺と美月が互いに手首に小さな傷をつけ、血がにじむ手を重ねる。
リルベアが聞いたこともない言語で詠唱を始め、空気がピンと張り詰めていく。
次の瞬間、俺と美月の目の前に、先ほどの三つの条件が文字となって現れた。
「内容を再度確認し、問題なければ命に誓うと言うのじゃ」
二人して頷き、互いを見たまま声をそろえる。
「「命に誓う!」」
文字は白と黒の光に変わり、俺と美月の腕を縛るように巻き付いて消える――と同時に、頭の奥で声が響いた。
《世界の理として、個の願い聞き届けられました》
……は? なんでここで世界の声が出てくるんだ?
「あのー、リアさん? 世界の声が聞こえたんだけど」
「ヴァルトさんもですか? 私も聞こえました」
「当たり前じゃろ。理の契りをやったのじゃから」
え、なにそれ。こわい。しれっととんでもないことしてない?
ふと腕を見ると、そこには見覚えのない紋様が浮かんでいた。
「なんだこの紋様」
「なにも見えませんぞ……?」
「私たちには見えませんね」
レイラたちには見えていないらしい。視線を美月に向けると、彼女はコクンと頷いた。
「それは契りを結んだ者にしか見えん。安心せい」
「結婚指輪みたいな感じですね!」
「美月、結婚指輪は見えるものだぞ」
思わずツッコむ。……てか、この子、天然だな。
戦闘の時とは別人みたいに柔らかくなる。恐らく、こっちが素の美月なんだろう。
リルベアが改めて腰を下ろし、真剣な声を出した。
「さて、本題じゃ。わらわ達にも聞かせてもらおうか? その悪だくみとやらを」
美月が口を開く。
その声色には、これから俺たちの運命を変える予感が確かにあった――。
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