『公爵令嬢の優雅な復讐』

ラムネ

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第十六話:ハーブティーブレンド

王都の喧騒から離れた郊外に、ローズベリー男爵家の屋敷はあった。 かつては、ピンク色の外壁と、過剰なほどに植えられた薔薇の庭が特徴的な、一種独特の(悪趣味とも言える)景観を誇っていた場所だ。

ミナは、泥にまみれた足を引きずりながら、実家へと続く並木道を歩いていた。 アルフォンスに捨てられ、宿を追い出され、王都の広場で笑い者にされた彼女にとって、ここが最後の聖域だった。

「パパ……ママ……」

彼女は乾いた唇で呟いた。 王都では誰も助けてくれなかった。 でも、パパとママなら違う。 二人はいつだって私を「世界で一番可愛いミナ」と呼び、私が欲しいと言ったものは何でも買い与えてくれた。 ドレスも、宝石も、甘いお菓子も。 私が「あの人形が欲しい」と泣けば、借金をしてでも買ってきてくれた。

「帰れば……きっと温かいお風呂に入れてくれるわ。ふわふわのベッドもあるし、美味しいハーブティーも淹れてくれる……」

ミナの脳内では、まだ都合の良い記憶が再生されていた。 アルフォンスが「実家も破産した」と言っていた言葉は、恐怖心から無意識にシャットアウトされていたのだ。

「ただいま、って言えば、ママはきっと『あらあら、可哀想に』って抱きしめてくれるわ。パパは『あのバカ王子め、許さんぞ』って怒ってくれる……」

そう、私は被害者なのだ。 悪いのは全部、周りの人間だ。 実家に帰れば、またあのお姫様のような生活に戻れる。

その希望だけを燃料に、彼女は何時間も歩き続けた。 そして、ついに屋敷の門が見えてきた。

「……え?」

ミナは足を止めた。 目の前の光景が、記憶と一致しなかったからだ。

自慢のピンク色の門扉は、無惨にも引き剥がされ、地面に転がっていた。 薔薇の庭園は踏み荒らされ、美しい花々は見る影もなく枯れ果て、雑草が生い茂っている。 そして、屋敷の窓という窓には、『差押』と書かれた赤い紙がベタベタと貼られ、木の板で目張りされていた。

「嘘……嘘よ……」

ミナは門をくぐり、庭へと駆け込んだ。 静かだ。あまりにも静かすぎる。 使用人たちの姿もない。

「パパ! ママ! どこ!? ミナよ! 帰ってきたのよ!」

叫んでも、返ってくるのは風の音だけ。 玄関の扉を叩こうとしたが、鍵がかかっていて開かない。

「開けてよ! 私よ! 締め出さないでよぉ!」

彼女が扉を叩き、蹴り、爪を立てていると、裏庭の方からガタゴトという音が聞こえてきた。 ミナはハッとして、裏手へと回った。

そこには、裏口から荷物を運び出している、薄汚れた男女の姿があった。 小さな荷車に、かろうじて持ち出せた家財道具を積み込んでいる。

「パパ……? ママ……?」

ミナが恐る恐る声をかけると、二人はギョッとして振り返った。

そこにいたのは、かつてふくよかで、派手な服を着ていた両親の成れの果てだった。 父である男爵は、頬がこけ、目は落ち窪み、着ている服はあちこち破れている。 母は、自慢だった巻き髪が白髪混じりのボサボサ頭になり、化粧気のない顔には深いシワが刻まれていた。

「……ミナ?」

父が、信じられないものを見るような目で娘の名を呼んだ。

「パパ! よかった、いたのね!」

ミナは安堵のあまり泣き出し、二人に駆け寄ろうとした。

「ひどいのよ、聞いて! アルフォンスのやつ、私を捨てたの! それにセレスティアがいじめるの! お腹すいたし、服も汚いし……早く中に入れて! お風呂に入りたい!」

彼女はいつものように、甘えた声で要求を並べ立てた。 当然、叶えられると信じて。

しかし、両親は動かなかった。 抱きしめてもくれなかった。 代わりに、父の口から漏れたのは、低い呻き声のような言葉だった。

「……お前、何しに来たんだ」

「え?」

ミナが立ち止まる。

「何しに来たって……帰ってきたのよ。私の家じゃない」

「家?」

母がヒステリックに笑った。 その笑い声は、王宮でのミナの笑い声とそっくりだった。

「家なんて、もうないわよ! 見て分からないの!? 全部取られたのよ! 屋敷も、家具も、宝石も! 借金取りが来て、何もかも持って行ったわ!」

「そ、そんな……。でも、パパたちが何とかしてくれるんでしょう? 私のために」

「何とかしろだァ!?」

父が突然、怒鳴り声を上げて荷車の取っ手を蹴り上げた。 ガシャン、と積んであった皿が落ちて割れる。

「ふざけるな! 誰のせいでこうなったと思ってるんだ! お前のせいだぞ、ミナ!」

「えっ……?」

「お前が! 『王子様と結婚するから』って言うから! 先行投資だと思って借金までして、高いドレスや宝石を買い与えたんじゃないか! それなのに、なんだあのザマは!」

父はミナを指差し、唾を飛ばして罵倒した。

「王子に捨てられただと? 婚約破棄されただと? ふざけるな! お前という『商品』にどれだけ金をかけたと思ってるんだ! 元を取るどころか、実家ごと破滅させやがって!」

「パ、パパ……? 何を言ってるの……?」

ミナは後ずさりした。 優しいパパじゃない。 いつも私のわがままを聞いてくれた、甘いパパじゃない。

「そうよ! あんたがもっとしっかりしていれば、私たちは今頃、王族の親戚として左団扇だったのに!」

ママも鬼のような形相で叫んだ。

「美容液だの、エステだの、散々金を使わせておいて! 結局、あんたには何の価値もなかったのよ! ただの金食い虫! 役立たず!」

「ひどい……! だって、ママたちが言ったんじゃない! 『ミナは可愛いから、何もしなくても愛される』って! 『勉強なんてしなくていい、男の人に媚びてればいい』って!」

ミナも負けじと叫び返した。 彼女の心の中にあった「理想の家族」の像が、ガラガラと崩れ落ちていく。

「そうよ、私はパパとママの言う通りにしただけよ! マナーなんて覚えなくていい、笑顔でいれば許されるって教えたのはママでしょう!? 私が失敗したのは、育てたママたちのせいよ!」

「なんですってぇ!?」

母がミナに掴みかかった。 薄汚れた爪が、ミナの頬を引っ掻く。

「痛っ! 何すんのよ!」

「この恩知らず! 誰がここまで大きくしてやったと思ってるの! ご飯を食べさせて、服を着せてやった恩を忘れやがって!」

「恩!? 変な教育をしたせいで、私は笑い者になったのよ! あんたたちのせいよ! 責任取りなさいよ!」

泥沼の罵り合い。 責任のなすりつけ合い。 そこには、親子の情愛など微塵もなかった。 あるのは、互いを「自分の欲望を満たすための道具」としてしか見ていなかった者たちの、醜い本性のぶつかり合いだけだった。

「もういい! 行こう、あなた!」

母がミナを突き飛ばし、父に声をかけた。

「こんな疫病神に関わってる暇はないわ! 夜逃げの途中なのよ!」

「ああ、そうだな。……これ以上、時間を無駄にはできん」

父は荷車を引き始めた。

「待って! 待ってよ!」

ミナが父の足に縋り付く。

「置いていかないで! 私、どこにも行くところがないの! お腹もすいたの!」

「離せ!」

父は無慈悲にミナを蹴り飛ばした。 ドガッ、という鈍い音がして、ミナは泥の中に転がった。

「ついてくるな! お前を養う金なんてもう一銭もないんだ! ……もしついてきたら、その顔の皮を剥いで売り飛ばしてやるからな!」

父の目は本気だった。 飢えた獣の目だった。 ミナは恐怖で動けなくなった。

「……さよなら、ミナちゃん」

母が冷たく見下ろした。

「あんたを生んだのが、私の人生最大の間違いだったわ」

二人は荷車を押し、裏口から出て行った。 雑木林の向こうへと消えていく背中。 一度も振り返ることはなかった。

残されたのは、泥まみれのミナだけ。 屋敷の裏庭には、割れた皿の破片と、ゴミの山が散乱していた。

「……う……ううっ……」

ミナは体を起こした。 泥の味がする。血の味がする。 そして何より、絶望の味がした。

ふと、彼女の手が、地面に落ちていた一つの缶に触れた。 それは、荷車からこぼれ落ちたらしい、古びた紅茶の缶だった。 ラベルには『ローズベリー家特製・オリジナルハーブブレンド』と書かれている。 かつて、父が「我が家の名物」として客人に振る舞い、誰もが社交辞令で褒めつつも、陰では「雑草の味がする」と笑っていた代物だ。

ミナは震える手で蓋を開けた。 中には、乾燥しきった正体不明の葉っぱが詰まっている。 ミント、レモングラス、そして雑草のような何かが混ざり合った、強烈で不快な匂い。

「……ハーブティー……」

ミナは、その葉っぱを一つまみ、口に入れた。 お湯もないから、そのまま噛み砕く。

「……ぐっ……!」

苦い。 青臭い。 そして、舌が痺れるようなエグみがある。

「不味い……。なんて不味いの……」

それは、彼女の人生そのものの味だった。 甘やかされ、間違った成分(教育)を配合され、熟成されることなく腐敗した、毒のような味。

ハーブティーは、単体では薬にもなる。 しかし、配合を間違えれば毒にもなる。 「溺愛」という名の甘味料と、「無知」という名の雑草、「虚栄心」という名の毒草を混ぜ合わせて作られた『ミナ』という人間は、誰にとっても、そして自分自身にとっても、有害な毒物でしかなかったのだ。

「ぺっ! ぺっ!」

ミナは口の中のものを吐き出した。 しかし、後味の悪さは消えない。

「……パパも、ママも、アルフォンスも、セレスティアも……みんな死んじゃえ……」

彼女は泥の中にうずくまり、呪詛を吐き続けた。 誰も助けに来ない。 屋敷は差押の札に守られ、彼女を拒絶している。 「可愛いミナちゃん」の帰る場所は、この世界のどこにも残されていなかった。

          ***

その頃、王都の中心にあるハイゼンベルク邸の執務室。 窓の外には、新しい国の旗がはためいていた。 王国の紋章ではなく、ハイゼンベルク家の天秤と、アークライト帝国の双頭鷲を組み合わせた、新しい時代の象徴だ。

「……ローズベリー男爵夫妻、行方をくらましたそうですわ」

セレスティアは、報告書を読み上げながら、静かに言った。 デスクの向かいには、ジークフリートが座っている。

「そうか。……娘は?」

「屋敷の跡地に置き去りにされたようです。……現地からの報告では、半狂乱で泥をすすっているとか」

「哀れな末路だな。……だが、毒草は根から絶たねばならん。彼女という存在そのものが、腐った土壌が生み出したあだ花だ」

ジークフリートは、手元のティーポットに手を伸ばした。 今日のお茶は、セレスティアが自ら調合したハーブティーブレンドだ。

「カモミール、レモングラス、そして少量のミント。……素晴らしいバランスだ」

彼は香りを楽しみ、一口飲んだ。 爽やかで、心が落ち着く味。 毒素を排出し、体を内側から浄化してくれるような、優しい「薬」の味だ。

「ハーブの調合は、国造りに似ていますわ」

セレスティアも自分のカップを手に取った。

「それぞれの素材には、個性と効能があります。強すぎるハーブは、他を殺してしまう。逆に弱すぎれば、味気ないものになる。……互いの良さを引き出し、欠点を補い合う『黄金比』を見つけること。それが、美味しいお茶を淹れる秘訣であり、良い国を作る秘訣です」

「なるほど。……では、我々の配合は?」

「最高傑作ですわ。……甘さと厳しさ、冷静さと情熱。これ以上ないブレンドかと」

二人は微笑み合い、カップを合わせた。 カチン、という澄んだ音。

「アルフォンス殿下とミナ様は……配合を間違えたのです。甘さばかりを求め、苦味(現実)を受け入れず、刺激(虚栄)ばかりを足し続けた。……その結果、誰も飲めない猛毒になってしまった」

セレスティアは窓の外、遠く郊外の方角を見つめた。 そこには、自分たちが切り捨てた「毒」が、誰にも見取られずに朽ちていこうとしている。

「毒を薬に変えることはできません。……ですが、その毒を教訓として、新しい土壌を作ることはできます」

「ああ。我々の国では、あのような悲劇(喜劇か?)は生まない。……子供たちには、正しい知識と、努力に見合った対価を教えよう」

ジークフリートが力強く頷く。

「さて、セレスティア。休憩は終わりだ。……結婚式の招待状リストの最終確認が残っているぞ」

「あら、大変。……帝国からのゲストが三百名増えたのでしたっけ?」

「人気者は辛いな。……だが、安心してくれ。ミナもアルフォンスも、招待客リストには載っていない。会場の警備員に『害獣駆除』の指示も出してある」

「ふふっ。完璧な危機管理ですわ」

執務室には、爽やかなハーブティーの香りと、未来への希望に満ちた会話が満ちていた。 それは、郊外の泥の中で孤独に震えるミナの世界とは、完全に隔絶された「勝者」たちの穏やかな時間だった。

          ***

夜が来た。 ローズベリー邸の跡地は、漆黒の闇に包まれていた。 ミナは、寒さと空腹で意識が朦朧としていた。

「……寒い……」

彼女は、ボロボロの服をかき合わせて震えた。 昼間に食べたハーブティーの葉っぱが、胃の中で悪さをしているのか、キリキリと痛む。 毒か、薬か。 彼女にとって、それは間違いなく毒だった。

「誰か……助けて……」

蚊の鳴くような声。 だが、誰もいない。 かつて彼女を取り巻いていた取り巻きも、甘やかしてくれた両親も、愛を誓った王子も、誰もいない。

ふと、空を見上げると、満月が輝いていた。 その光は冷たく、地上を照らしている。

「……綺麗……」

ミナは虚ろな目で月を見つめた。 そして、幻覚を見た。

月の中に、ドレスを着た自分がいる。 隣には王子様がいる。 みんなが拍手している。 「可愛いミナちゃん!」「世界一の王妃様!」

「……ふふっ……あはは……」

彼女は笑い出した。 壊れたオルゴールのような、不気味な笑い声。

「そうよ……私は王妃様なの……。ここは私のお城……。みんな、ひれ伏しなさい……」

彼女は立ち上がり、泥の上で踊り始めた。 誰もいない廃墟で、影だけを観客にして。 狂気という名の最後の「毒」が、彼女の脳を完全に侵食し、苦痛だらけの現実から、甘い妄想の世界へと連れ去っていったのだ。

それは、彼女にとってはある種の救い(薬)だったのかもしれない。 人としての尊厳と理性を代償にして手に入れた、永遠に覚めない夢。

ミナは踊り続けた。 力が尽き、泥の中に倒れ込むまで。 その顔には、幸せそうな、しかし見る者を凍り付かせるような歪んだ笑みが張り付いていた。

風が吹き抜け、枯れた雑草を揺らす。 ハーブの枯れた匂いが、死臭のように漂っていた。 物語は、残酷な結末を迎えつつある。 毒を飲み干した者たちの末路は、ただ静かに、闇に溶けていくだけだった。

次は第十七話:渋味の強い番茶(粗末な宴)。 アルフォンスとミナ、それぞれの「その後」と、対照的な結婚式当日が描かれる。 粗末な宴と、世紀の結婚式。 その対比が、物語のクライマックスを彩る。
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