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~プロローグ~ 動き出す闇の一族
鬼に話は通じない
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(……くそっ、どうしてこうなった……!?)
全身から滝のような汗を流しながら、誠は眼前の鬼を見上げた。
身の丈3メートル近いそいつは、筋骨隆々の体に虎柄の腰巻き。頭に2本の角があり、およそ昔話の情報通りだ。
鬼は手をバキボキ鳴らし、ニヤニヤ笑いながら誠を見下ろすのだ。
「へへ、てめえブッ殺してやるぜ……!」
誠達がいるのは、かつて高校の体育館だった場所である。
先日のクーデターで大きく破損したこの場所は、急ピッチの補修作業が終わったばかり。
壁には学校時代のスローガンであろう『みんな仲良く、手を取り合って』の垂れ幕が掛かっているが、それも鬼の心には届いていない。
(考えろ俺ッ、打開策を考えるんだッ! 諦めた時が死ぬ時だ……!)
誠は17年の人生で得た知恵をフル回転させ、鬼を説得しようと試みた。
「いやあ、殺すなんて物騒じゃないですか。お会い出来たのも何かの縁だし、どうか仲良くしませんか」と提案する誠だったが、鬼から返る言葉は「ブッ殺すぜ!」の一辺倒。とりつくしまもない。
神や仏に祈ろうにも、当の女神は椅子に座って、物見遊山を決め込んでいる。赤い杯を片手に、暢気に酒を楽しむ始末だ。
「さあ黒鷹よ。これからの戦いに備え、まずはその鬼と手合わせといこう。ちなみに神器の太刀は使ってもよいぞ?」
長い黒髪に切れ長の目をした女神・岩凪姫は、そう言って杯を口に運んだ。
女神の足元には、キツネや狛犬、牛に猿……つまりは神社における神使達がいて、誠ではなく鬼の方を応援していた。
「そこや、いてまえ! 何ならワイらが手を貸すで!」
「頑張れ鬼助、お前ならやれるんじゃい!」
関西弁のキツネ、眼帯を付けた狛犬が叫ぶと、メガネをかけた賢そうな牛、森の石松のような旅装束の猿が続ける。
「私の計算によりますと、黒鷹さんは完全絶命。モウ者になります」
「いやあ残念、黒鷹さん。今日でウキ世とおさらばでござんすね」
今は子犬ぐらいの大きさで、見た目だけは可愛い神使達は、えぐい言葉を投げかけてくる。
唯一誠を応援するのは、他の神使より数倍大きい、ずんぐり体型の龍だけだ。
「いいか、停滞期には新しいトレーニングが大事なんだ! このチャンスでより筋肉を肥大させるんだぞ!」
「だから刺激が強すぎるんだよっ!」
結局彼も止める気がないので、誠は龍に怒鳴り返した。
一体なぜ、こんな事になってしまったのか?
10年前、日本を襲った正体不明の巨大な怪物、餓霊と呼ばれる人喰いの活動死体達。
国土の殆どが彼らに奪われ、四国の避難区が壊滅寸前になった時、日本神話に名だたる女神と、戦国時代の姫君……大祝鶴姫が降臨した。
それからは、まるで魔法のごとき連戦連勝。姫君は神懸かり的な指揮を執り、誠達は見事、四国地区から化け物どもを追い払ったのだ。
そして誠は、女神からこう依頼された。
『あの子を守り、共に日の本を立て直してやってくれ。これは命令ではなく願いである』
普段なら、ちょっと引くような荷の重さだったが、誠自身、故郷を奪還出来た高揚感でおかしくなっていたのだろう。感極まって快諾したのだ。
その挙げ句が女神のスパルタ特訓であり、鬼との危険な個人レッスンなのだから、人生一寸先は闇なのである。
「うおお、俺の馬鹿あっ、何であんな事軽々しく言っちゃうかなあ!」
頭を抱えて悶える誠に、女神が声をかけてくる。
「心配するな、鬼といっても地獄から来た獄卒なのだ。いわば刑務官だから良い鬼だが、戦い方は悪鬼どもと同じ。慣れておけば、恐らく今後の役に立つぞ」
「良い鬼……?」
てめえブッ殺してやる、などと呟いている鬼を眺め、誠はぶんぶん首を振った。
「いやいや、明らかに日頃のウサ晴らし出来るって顔してますよ!?」
うるせえ死ね、と叫ぶ鬼から逃げる誠だったが、反対からもう数体の鬼が迫るのを見てひっくり返った。
「なんで増えてるんですか!」
「言い忘れたが、時間と共に相手はどんどん増えていくぞ。実戦は1対1とは限らぬからな」
女神はしれっと酷い事を言ってのける。
(どうする俺、どうやってこの状況を生き延びる!? まさか、神器の太刀を使うのか……!?)
誠は後頭部をかすめる金棒を感じながら考えた。
神器の太刀……つまり女神から預かった武器を使えば助かるかも知れないが、あの太刀を使えば、誠は少しずつ戦国時代の記憶を取り戻してしまう。
さすれば困った事に、前世で『あの姫』に抱いた恋心が復活してしまうのだ。
(だめだッ、あれを使えば前世の記憶が戻る、ヒメ子に惚れるっ! それだけは絶対に避けたい……!!!)
折角最近はあの感情がおさまっていたのに、また太刀を使えば元の木阿弥なのだから。
必死の逃走劇を繰り広げる誠だったが、床面積の2割を鬼が埋め尽くした事で逃げ場が無くなり、金棒の一撃で宙に舞った。
きりもみしながら落下すると、落下点にいる別の鬼が、金棒をホームランバッターのように振り抜くのだ。
だが女神はお構いなしに話を続けた。
「大丈夫だ、ギリ死なぬ程度に威力は抑えてあるから、安心して励めよ」
「そ、そうですか……」
壁にめり込んだまま相槌を打つ誠だったが、そこで慌しい足音が響くと、1人の少女が姿を見せた。
歳は誠と同程度……恐らく16、7ぐらいだろう。
空色の着物に、戦国ふうの鎧姿。肩に届かぬセミロングの髪と、きりりと締めた白いハチマキ。
飾り気や化粧っ気こそないものの、健康的な魅力に満ちた面立ちは、一応美少女と言っても差し支えないだろう。
名を大祝鶴姫という彼女こそ、500年ぶりに現世に戻り、四国地区を奪還した救国の聖者なのである。
鶴の肩には子犬サイズの狛犬が乗っていて、振り落とされないようにしがみついていた。
鶴は足元から煙を出して停止すると、誠に向かい呼びかけた。
「黒鷹―っ!」
「ひっ!?」
鬼達が震え上がって青ざめるのは、鶴がこないだまで血の池地獄を牙城としており、鬼を力で従えていたからだ。
(しめた、ヒメ子だ! これなら抜け出せる!!!)
誠は一縷の望みを見い出した。
だが女神は鶴に目をやり、嗜めるように言った。
「こら鶴よ、黒鷹は大事な鍛錬中なのだ。些細な用なら後にしなさい」
「まあ、大事なお勤めね。それなら仕方ないわ」
鶴はあっさり納得すると、どこからか座布団を取り出し、神使とお茶を飲み始めたのだ。
誠はたまらずツッコミを入れる。
「ヒメ子お前っ、なんでこういう時だけ聞き分けがいいんだよっ!?」
「私はこう見えて賢いのよ。お勤めを邪魔するほど野暮じゃないわ」
誠の叫びに、鶴は得意げに胸を張った。
尚も抗議する誠だったが、背後から迫る鬼に追いかけられ、ステージの緞帳をよじ上っていく。
女神はそんな誠を眺めつつ、念のために鶴に尋ねた。
「ところで鶴よ。一応聞くが、何の用だったのだ?」
鶴は湯飲みを傾けつつ、何でもない事のように答えた。
「大した事じゃないわ。小豆島の方に、敵が攻めて来るのよ」
「そうか…………」
一瞬、女神は黙ったが……やがて高らかにツッコミが響いた。
「それは些細な用ではないっ!!!」
全身から滝のような汗を流しながら、誠は眼前の鬼を見上げた。
身の丈3メートル近いそいつは、筋骨隆々の体に虎柄の腰巻き。頭に2本の角があり、およそ昔話の情報通りだ。
鬼は手をバキボキ鳴らし、ニヤニヤ笑いながら誠を見下ろすのだ。
「へへ、てめえブッ殺してやるぜ……!」
誠達がいるのは、かつて高校の体育館だった場所である。
先日のクーデターで大きく破損したこの場所は、急ピッチの補修作業が終わったばかり。
壁には学校時代のスローガンであろう『みんな仲良く、手を取り合って』の垂れ幕が掛かっているが、それも鬼の心には届いていない。
(考えろ俺ッ、打開策を考えるんだッ! 諦めた時が死ぬ時だ……!)
誠は17年の人生で得た知恵をフル回転させ、鬼を説得しようと試みた。
「いやあ、殺すなんて物騒じゃないですか。お会い出来たのも何かの縁だし、どうか仲良くしませんか」と提案する誠だったが、鬼から返る言葉は「ブッ殺すぜ!」の一辺倒。とりつくしまもない。
神や仏に祈ろうにも、当の女神は椅子に座って、物見遊山を決め込んでいる。赤い杯を片手に、暢気に酒を楽しむ始末だ。
「さあ黒鷹よ。これからの戦いに備え、まずはその鬼と手合わせといこう。ちなみに神器の太刀は使ってもよいぞ?」
長い黒髪に切れ長の目をした女神・岩凪姫は、そう言って杯を口に運んだ。
女神の足元には、キツネや狛犬、牛に猿……つまりは神社における神使達がいて、誠ではなく鬼の方を応援していた。
「そこや、いてまえ! 何ならワイらが手を貸すで!」
「頑張れ鬼助、お前ならやれるんじゃい!」
関西弁のキツネ、眼帯を付けた狛犬が叫ぶと、メガネをかけた賢そうな牛、森の石松のような旅装束の猿が続ける。
「私の計算によりますと、黒鷹さんは完全絶命。モウ者になります」
「いやあ残念、黒鷹さん。今日でウキ世とおさらばでござんすね」
今は子犬ぐらいの大きさで、見た目だけは可愛い神使達は、えぐい言葉を投げかけてくる。
唯一誠を応援するのは、他の神使より数倍大きい、ずんぐり体型の龍だけだ。
「いいか、停滞期には新しいトレーニングが大事なんだ! このチャンスでより筋肉を肥大させるんだぞ!」
「だから刺激が強すぎるんだよっ!」
結局彼も止める気がないので、誠は龍に怒鳴り返した。
一体なぜ、こんな事になってしまったのか?
10年前、日本を襲った正体不明の巨大な怪物、餓霊と呼ばれる人喰いの活動死体達。
国土の殆どが彼らに奪われ、四国の避難区が壊滅寸前になった時、日本神話に名だたる女神と、戦国時代の姫君……大祝鶴姫が降臨した。
それからは、まるで魔法のごとき連戦連勝。姫君は神懸かり的な指揮を執り、誠達は見事、四国地区から化け物どもを追い払ったのだ。
そして誠は、女神からこう依頼された。
『あの子を守り、共に日の本を立て直してやってくれ。これは命令ではなく願いである』
普段なら、ちょっと引くような荷の重さだったが、誠自身、故郷を奪還出来た高揚感でおかしくなっていたのだろう。感極まって快諾したのだ。
その挙げ句が女神のスパルタ特訓であり、鬼との危険な個人レッスンなのだから、人生一寸先は闇なのである。
「うおお、俺の馬鹿あっ、何であんな事軽々しく言っちゃうかなあ!」
頭を抱えて悶える誠に、女神が声をかけてくる。
「心配するな、鬼といっても地獄から来た獄卒なのだ。いわば刑務官だから良い鬼だが、戦い方は悪鬼どもと同じ。慣れておけば、恐らく今後の役に立つぞ」
「良い鬼……?」
てめえブッ殺してやる、などと呟いている鬼を眺め、誠はぶんぶん首を振った。
「いやいや、明らかに日頃のウサ晴らし出来るって顔してますよ!?」
うるせえ死ね、と叫ぶ鬼から逃げる誠だったが、反対からもう数体の鬼が迫るのを見てひっくり返った。
「なんで増えてるんですか!」
「言い忘れたが、時間と共に相手はどんどん増えていくぞ。実戦は1対1とは限らぬからな」
女神はしれっと酷い事を言ってのける。
(どうする俺、どうやってこの状況を生き延びる!? まさか、神器の太刀を使うのか……!?)
誠は後頭部をかすめる金棒を感じながら考えた。
神器の太刀……つまり女神から預かった武器を使えば助かるかも知れないが、あの太刀を使えば、誠は少しずつ戦国時代の記憶を取り戻してしまう。
さすれば困った事に、前世で『あの姫』に抱いた恋心が復活してしまうのだ。
(だめだッ、あれを使えば前世の記憶が戻る、ヒメ子に惚れるっ! それだけは絶対に避けたい……!!!)
折角最近はあの感情がおさまっていたのに、また太刀を使えば元の木阿弥なのだから。
必死の逃走劇を繰り広げる誠だったが、床面積の2割を鬼が埋め尽くした事で逃げ場が無くなり、金棒の一撃で宙に舞った。
きりもみしながら落下すると、落下点にいる別の鬼が、金棒をホームランバッターのように振り抜くのだ。
だが女神はお構いなしに話を続けた。
「大丈夫だ、ギリ死なぬ程度に威力は抑えてあるから、安心して励めよ」
「そ、そうですか……」
壁にめり込んだまま相槌を打つ誠だったが、そこで慌しい足音が響くと、1人の少女が姿を見せた。
歳は誠と同程度……恐らく16、7ぐらいだろう。
空色の着物に、戦国ふうの鎧姿。肩に届かぬセミロングの髪と、きりりと締めた白いハチマキ。
飾り気や化粧っ気こそないものの、健康的な魅力に満ちた面立ちは、一応美少女と言っても差し支えないだろう。
名を大祝鶴姫という彼女こそ、500年ぶりに現世に戻り、四国地区を奪還した救国の聖者なのである。
鶴の肩には子犬サイズの狛犬が乗っていて、振り落とされないようにしがみついていた。
鶴は足元から煙を出して停止すると、誠に向かい呼びかけた。
「黒鷹―っ!」
「ひっ!?」
鬼達が震え上がって青ざめるのは、鶴がこないだまで血の池地獄を牙城としており、鬼を力で従えていたからだ。
(しめた、ヒメ子だ! これなら抜け出せる!!!)
誠は一縷の望みを見い出した。
だが女神は鶴に目をやり、嗜めるように言った。
「こら鶴よ、黒鷹は大事な鍛錬中なのだ。些細な用なら後にしなさい」
「まあ、大事なお勤めね。それなら仕方ないわ」
鶴はあっさり納得すると、どこからか座布団を取り出し、神使とお茶を飲み始めたのだ。
誠はたまらずツッコミを入れる。
「ヒメ子お前っ、なんでこういう時だけ聞き分けがいいんだよっ!?」
「私はこう見えて賢いのよ。お勤めを邪魔するほど野暮じゃないわ」
誠の叫びに、鶴は得意げに胸を張った。
尚も抗議する誠だったが、背後から迫る鬼に追いかけられ、ステージの緞帳をよじ上っていく。
女神はそんな誠を眺めつつ、念のために鶴に尋ねた。
「ところで鶴よ。一応聞くが、何の用だったのだ?」
鶴は湯飲みを傾けつつ、何でもない事のように答えた。
「大した事じゃないわ。小豆島の方に、敵が攻めて来るのよ」
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