新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART4 ~双角のシンデレラ~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

文字の大きさ
15 / 110
第四章その2 ~大活躍!~ 関東からの助っ人編

雪菜、第3船団へ

しおりを挟む
 どこまでも広がる雲海を、機体は滑るように飛行している。

 雪菜が乗るのは、第5船団の有するU114・超高速多用途輸送機である。

 ジェット機を小型化・かつスリムにした形状であるこの機体は、双発そうはつ式圧縮斥力場の推力により、超々音速ちょうちょうおんそくの飛行が可能だったし、極めて静粛性せいしゅくせいの高い名機だった。

 淡いベージュのゆったりしたVIPシートは、特に心配事さえ無ければ、快適な空の旅を約束してくれるのだろう。

 …………そう、気がかりさえ無ければだ。

 タイトスカートに乗せた端末の画面を見ながら、雪菜ゆきなはぎゅっと手に力を込めた。

 唐突に起きた魔王の復活、そして侵攻の開始。

 生き延びた先遣隊の映像から、ほとんど無敵とも思える魔王ディアヌスに対し、まだ何が有効な攻撃手段なのかは分かっていない。

 現在は光のドームに閉じ込められ、動きを止めているディアヌスだったが、再侵攻すれば東海から関東方面へ動く可能性が高い。

 そうなった場合、関東への大幅な増援が必要となるため、第5船団……つまり瀬戸内海沿岸を管轄する地方政府は、指揮官の雪菜を関東に派遣したのだった。

「…………っ!」

 緊張に耐えきれず、雪菜は大きく息をついた。

 かつて日本最高のパイロット集団だった自分達『神武勲章レジェンド隊』を、虫けらのように薙ぎ払った魔王との再戦だ。

 何度落ち着こうとしても体に力が入ってしまうが、雪菜には他にも気がかりがあった。他ならぬ鳴瀬少年達の負傷である。

 彼らを救助してくれた第3船団から、命に別状がない旨の連絡は入っていたが、だからと言って心配でないわけではない。

 彼らの回復が少しでも早い事を願いつつ、雪菜は窓に目をやった。

 ガラスに反射した自らの髪は、今は明るい金色である。

 かつて魔王と対峙した際、強い邪気を受けて体質が変わった証であるが、その際に受けた雪菜のダメージをいやすべを、鳴瀬少年は必死に見つけてくれたのだ。

 彼の真心に気付いた時、先輩やお姉さんパイロットとしてではなく、1人の女として体中が熱くなるのを感じた。

 だから今度は、自分が返す番なのである。

(そうよ雪菜、ど根性よ! 今度は私が、鳴瀬くん達を守らなきゃ……!)

 雪菜が無意味に拳を握り、気合を入れまくっている間に、航空機は既に降下を開始していた。

 眼下に広がる、旧神奈川県の南に位置する相模湾さがみわん

 その洋上に浮かぶ第3船団の旗艦『武蔵むさし』の甲板に、機体は垂直に降り立った。

 属性添加機の発達により、VTOL(※垂直離着陸)設計の航空機でなくとも、機体下部の斥力力場せきりょくりきばを調整するだけで、こうした離着陸が可能なのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

処理中です...