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プロローグ ~弁天様とおかしな聖女!?~

現実の異世界軍は、クソゲーレベルの激強モンスターだった

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もし現代いまの社会にモンスターが出てきたら、いきり立つ人も多いと思う。

ゴブリン? 任せろ!

ゾンビ? 超がつくほど余裕っす!

かくいう俺こと鳴瀬真琴なるせまこともその1人だった。

小さい頃から友達とゲームに明け暮れ、スキルもレベルもカンストするまでやり込んでは、「もし現実にこいつらがいたら、ああしてこうしてこうしようぜ」と楽しく議論していた。

自分なら生き残れると自信満々だったし、むしろそんな未来を待ち望んでいた。

……だけど16歳になった現在、俺はもう気付いていた。

俺がゲームを謳歌おうか出来たのは、製作者クリエイターがうまく難易度を調整してくれてたからだ。

ゴブリンはすばしこいけど、小さいし力が弱い。オークはでかいけど、ノロくていかんせん頭が弱い。

余程レベル差がない限り、どこかに付け入る隙があるように作られてるし、そもそも最初からレベル差のあるモンスターなんて出てこない。

だって全く歯が立たないなら、あっというまに「クソゲー」「無理ゲー」でレビューが埋まり、過疎→サ終への約束されたコンボだからだ。

でもよく考えて欲しい。もし現実に外から敵が襲ってきたらどうなるだろう?

電撃作戦で人の混乱を狙うなら、当然最初はレベルカンスト付近のモンスターを送り込むはずだ。

戦車や対地攻撃機のように、機動力とパワーのあるドラゴン系・巨人系のモンスターで、一気に世界を火の海にするはず。

低レベルのゴブリンなぞは、人の残党を刈る程度の出番しかない。既に占領した地域の維持・パトロール要員なのだ。

……そしてもっと恐ろしい事がある。

そのゴブリンのような末端のザコモンスターですら、人より小さいとは限らないのではないか?

身長5~6メートル、体重数トンあるゴブリンキング級が刃物を持って、素早く飛び跳ねながら襲ってきたら……どんな抵抗をしようが喰われる。

……まず初見で殺られるだろうし、レベル上げなど不可能だろう。

いわゆるクソゲーのごとき状況だったが、そもそもがよその世界を侵略するべく送り込む軍なのだから、末端の部隊でもかなりの精兵。これが当たり前の現実なのだ。

つまり何が言いたいかというとだ。

西暦2034年、この国を襲った巨大モンスター達の軍団は、そのぐらいのクソゲー設定だったという事。

もしこれでクリア出来るヤツがいるなら、世界中から英雄として称えられるだろう。

一生食うに困らないし、社畜となって働く事も嫌な事もしなくていい。

デートも結婚も子育てもマイホームも全部無料だ。

たぶん利用額無制限の勇者クレジットカードを与えられ、めでたしめでたしで楽園のような生涯を終えられるはずだ。

……そう、もしもこのクソゲーみたいな世界を変えられるヤツがいるなら、さ。

まさか自分がその力を得るとも思わず、あの時の俺は、他人事ひとごとみたいにそう思っていたのだ。

巨大なオーク型のゾンビ?に機体ごと蹴られ、きりもみしながら宙を舞って、死にかけながら考えていたのだ。

もしと。
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