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第六章その2 ~あきらめないわ!~ 不屈の本州脱出編
ガンマンとかヘンゼルとグレーテルとか
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誠達を乗せた車両は、ひたすら海を目指していた。
路面コンディションは多少良くなり、速度が出やすくなっていたが、何かが道を塞いでいた場合はそこでジ・エンドである。
「しつこいやっちゃな、まだ追って来てるで」
難波が焦った様子で顔をしかめた。
既に邪気の濃いエリアは越えたはずなのに、一部の餓霊はまだ追いかけて来ている。
黄泉醜女程ではないものの、武器がほとんど効かない強力な餓霊は、それだけで恐ろしい脅威である。
捕まればたちまち貪り喰われるし、振り切れなくてもせめて距離をあけたかった。船に乗る時間を稼ぐためだ。
「……でも港って何箇所もあるでしょ? どっちに行けばいいか分かる?」
そこでカノンが尋ねてくる。
言えば皆の気持ちが乱れる……そう分かってはいるものの、言わねばならない事だからだ。
輸送班やバスの運転手も黙り、しばし無言の時が流れた。
さっきから試みている味方への通信も、今のところ繋がらないのだ。
「ヒメ子、神器の地図でまだ見れないか?」
「ごめんね黒鷹、今探してるわ」
鶴は虚空に半透明の地図を表示し、必死に周囲を調べているが、邪気が濃いせいでなかなかうまくいかないようだ。
(考えろ、考えるんだ、何か手がある……!)
……だがその時、誠の目に妙な物が映った。
前方の道路……その上に掲げられた、青く四角い案内標識。その標識に、何かカラフルなものが貼り付けてあるのだ。
(何だ……?)
誠が映像を拡大すると、どうやら女性用の衣類のようだ。
ド派手なピンクでよく目立つそれは、胸の部分に妙な柄が描かれている。
西部劇のガンマンを模したキャラクターであり、両手の指を銃の形に構え、裸の上半身にはLOVEの文字が刻まれていた。
次の瞬間、誠は咄嗟に叫んでいた。
「左だっ!!! 左、左に進んで下さいっ!!!」
音羽氏も車両班も驚いていたが、ともかく車両は火花を上げて、交差点を左に曲がった。
「な、鳴っち、どないしたん?」
難波達が尋ねるも、今は答える暇は無い。
誠は食い入るように前を見つめ、次なる手がかりを探した。
「次は真っ直ぐ!」
「次は右、右に行って!」
車は唸りを上げて道路を駆け抜け、その風圧で文房具が舞い上がった。
まるでヘンゼルとグレーテルのように、所々に撒かれた文房具。
そして標識には、目立つド派手なガンマン柄の衣類。
明らかに故意的に置かれたものであり、こちらに道を教えているのだ。
「そうか……文字で残すと、敵に読まれる可能性があるんだ。だから……!」
先に避難した人達が、後から来る誠達のために、手がかりを残してくれていたのだ。
普段なら悪趣味と思えたであろうガンマンも、何だか世界一かっこよく見える。
『帰れるぜ。帰り道はこっちだぜ』
そう教えてくれるかのように、ガンマンはタフな笑みを浮かべている。
路面コンディションは多少良くなり、速度が出やすくなっていたが、何かが道を塞いでいた場合はそこでジ・エンドである。
「しつこいやっちゃな、まだ追って来てるで」
難波が焦った様子で顔をしかめた。
既に邪気の濃いエリアは越えたはずなのに、一部の餓霊はまだ追いかけて来ている。
黄泉醜女程ではないものの、武器がほとんど効かない強力な餓霊は、それだけで恐ろしい脅威である。
捕まればたちまち貪り喰われるし、振り切れなくてもせめて距離をあけたかった。船に乗る時間を稼ぐためだ。
「……でも港って何箇所もあるでしょ? どっちに行けばいいか分かる?」
そこでカノンが尋ねてくる。
言えば皆の気持ちが乱れる……そう分かってはいるものの、言わねばならない事だからだ。
輸送班やバスの運転手も黙り、しばし無言の時が流れた。
さっきから試みている味方への通信も、今のところ繋がらないのだ。
「ヒメ子、神器の地図でまだ見れないか?」
「ごめんね黒鷹、今探してるわ」
鶴は虚空に半透明の地図を表示し、必死に周囲を調べているが、邪気が濃いせいでなかなかうまくいかないようだ。
(考えろ、考えるんだ、何か手がある……!)
……だがその時、誠の目に妙な物が映った。
前方の道路……その上に掲げられた、青く四角い案内標識。その標識に、何かカラフルなものが貼り付けてあるのだ。
(何だ……?)
誠が映像を拡大すると、どうやら女性用の衣類のようだ。
ド派手なピンクでよく目立つそれは、胸の部分に妙な柄が描かれている。
西部劇のガンマンを模したキャラクターであり、両手の指を銃の形に構え、裸の上半身にはLOVEの文字が刻まれていた。
次の瞬間、誠は咄嗟に叫んでいた。
「左だっ!!! 左、左に進んで下さいっ!!!」
音羽氏も車両班も驚いていたが、ともかく車両は火花を上げて、交差点を左に曲がった。
「な、鳴っち、どないしたん?」
難波達が尋ねるも、今は答える暇は無い。
誠は食い入るように前を見つめ、次なる手がかりを探した。
「次は真っ直ぐ!」
「次は右、右に行って!」
車は唸りを上げて道路を駆け抜け、その風圧で文房具が舞い上がった。
まるでヘンゼルとグレーテルのように、所々に撒かれた文房具。
そして標識には、目立つド派手なガンマン柄の衣類。
明らかに故意的に置かれたものであり、こちらに道を教えているのだ。
「そうか……文字で残すと、敵に読まれる可能性があるんだ。だから……!」
先に避難した人達が、後から来る誠達のために、手がかりを残してくれていたのだ。
普段なら悪趣味と思えたであろうガンマンも、何だか世界一かっこよく見える。
『帰れるぜ。帰り道はこっちだぜ』
そう教えてくれるかのように、ガンマンはタフな笑みを浮かべている。
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