新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その10 ~決戦開始よ!~ 作戦名・日はまた昇る編

帯をほどかれてあーれー。正直ちょっと演じてみたい

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「おおっ、熱いな九州勢! さすが南国育ちってとこかっ」

 志布志隊の奮戦を目にし、恭介は賞賛の声を上げた。

「でも俺も負けてないさ! 突貫工事で取り付けた、正宗公ばりの兜飾りがあるからなっ」

 東北一のお洒落マンを自称する恭介は、この戦いのために機体を大幅にドレスアップしていた。

 あちこちに施されたペイント、そしてもちろん頭部に備えた、巨大な三日月型の前立て。

 もちろん恭介本人も、トレードマークの刺繍入りスタジャンに身を包み、髪もバッチリセットしている。

 心無い同僚からは、『古い漫画の主人公みてえだべ』と揶揄やゆされたが、恭介はこれが気に入っていた。

「そう、これが戦化粧いくさげしょうってやつだ。例え狙われやすくなっても、合戦でおシャレは不可欠っ! それこそが俺・松島恭介の……のわっ!?」

 格好つけている恭介の機体をかすめ、隊長たる凛子の人型重機が駆け抜けた。

「ぼけっとしてんな恭介っ、あたいらが抜かれたら、船がやられちまうだろっ!」

「うっ、うわっ、凛子隊長っ!?」

 恭介の機体はくるくる回転したが、今度は逆方向から孝二こうじの人型重機が追い抜いていく。

「ここが正念場だっ、口動かすより気合いだ恭介っ!」

 孝二の機体にも当たったため、今度は逆方向に回転を始めてしまう。

 なんとなく、帯をくるくるほどかれる町娘になった気分だったが、更に反対側からしぐれの機体がぶつかった。

「そうだべ恭介っ、舌べろばっかり達者じゃだめだべ!」

 もう一度逆方向に回転し、恭介は最早グロッキーになった。

 ふらふらと千鳥足でよろめいたが、そこで機体の手が何かを掴んだ。

「や、やっと止まった。この恭介様が無様にこけたら、正宗公に申し訳立たないからな……」

 恭介は安堵するが、そこで自らが触れた者の正体に気がつく。

 相手は餓霊……その中でも足が速く、先行していた火車というタイプのものだ。

 車体前面にある巨大な顔に手を置かれ、火車もどうしていいか分からないようだ。

「………………」

 一瞬、時が止まるのだったが、次の瞬間、恭介は絶叫した。

「あーっっっ、ああああああああああっっっ!!!???」

 無我夢中で機体を操り、わけもわからず応戦する。

 数十秒後、恭介の機体の周りには、無数の餓霊が倒れていたのだ。

「おお、やるな恭介! ようやくお前も気合いが入ったか!」

「そうだべ、これでやっと東北人だべ!」

 孝二達が称えてくれるが、恭介は全身汗だくで頷くばかりだ。

 先頭の火車達を始末すると、後方から新手の餓霊どもが殺到してきた。

 下半身は猫科の猛獣のような形で、上半身は鎧武者に似ている。

 かつて北陸で苦しめられた爪牙兵団を、更に強力にしたような印象である。

「ううりゃああっっっ、根性ぉおおおっっっ!!!」

 射撃をかわし、駆け抜けようとした相手に凛子の機体が突進した。

 転がりながら上になり下になり、それでも怯まず相手を組み敷く。

 その凛子を狙う他の餓霊数体を、孝二と恭介が同時に踏み込んで切り払った。

 何度も繰り返した得意のコンビネーションであり、体が勝手に反応したのだ。

「ナイスだべっ、二本松コンビ!」

『応っ!!!』

 しぐれの言葉に、孝二も恭介も画面上で答える。

 やがて相手を打ち倒し、凛子は機体を起こしながら叫んだ。

「こちとら雪と風で鍛えてるんだっ、九州の連中に負けてらんないよっ!」

 恭介はすかさず親指を立てて答える。

「まかせとけってんだ、凛子隊長っ!」

「……ほんと、最後まで舌べろばっかり達者だべな」

 しぐれは画面上で笑みを見せた。
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