192 / 203
高坂修斗復帰編
補習王子①
しおりを挟む
【若元梨音目線】
「若元さん、俺と付き合ってください!」
「えっと…………その、ごめんなさい」
修斗が生徒会室に来なくなってから1ヶ月が経っていた。
私は空き教室に呼ばれ、同じクラスの藤本君に告白されていた。
最近、よく話しかけられて話すようになっていたけど、まさか告白されるとは思っていなかった。
こんなことは初めてだったので動揺したけど、なるべく藤本君が傷つかないように断りを入れた。
「そっかぁ…………そうだよなぁ」
「本当にごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど……」
「いやいや気にしないで! ほら、最近高坂とは一緒にいないからチャンスかな~って。付き合ってるわけじゃないんでしょ?」
「う、うん。ただの幼馴染で……」
「じゃあシンプルに俺の魅力が足りなかったわけだ。時間取らせてごめんね!」
そう言って藤本君は足早に空き教室から出ていった。
他の人から見ても、私が最近修斗と仲良くしていないことが分かるんだ。
確かに学校だけじゃなくて休みの日でも修斗とは別行動が多い。
休みの日に修斗はよくどこかに出掛けていた。
どこに行っているのか聞いてみたけど「サッカーだよ」とだけしか教えてもらえなかった。
今の状態の修斗に限って言えばそれは本当にサッカーで出掛けているんだと思うけど…………。
私も空き教室を出てクラスへと戻った。
「ナナ、大丈夫?」
「う、うん。ありがとう絵麻ちゃん、燈ちゃん」
「まぁ、しゃーないんじゃない。高坂、最近付き合い悪くなってたしさ」
戻る途中、廊下で修斗の話をしている三人とすれ違った。
同じクラスの椚田さんに、隣のクラスの仲哀さんと金成さんだった。
落ち込んでいる仲哀さんを二人が慰めているような状況だった。
(少し前に修斗がよく話していた人達だけど……どうしたんだろう)
その答えは放課後の教室、どこからか情報を仕入れてきた冬華が教えてくれた。
「高坂、6組の仲哀さんに告白されたらしいわよ」
「えっ!?」
「振られたみたいだけどね」
そっか…………だからあの時落ち込んでて……。
じゃあ……私と修斗は同じタイミングで別の人から告白されてたんだ。
修斗はなんて言って断ったんだろう。
「実は……私も今日告白されて……」
「そうなの!? 相手は!?」
「さすがに悪いから名前はちょっと出せないんだけど……」
「じゃあ高坂じゃないのね」
「なんで修斗が出てくるの」
「なんでって……。それで返事は?」
「断ったよ」
「まぁ…………そうよね。そもそも梨音は可愛いんだから本来はそれぐらいモテてもおかしくないのよ」
「そんなことないよ。だって人生で初めて告白されたんだよ?」
「高坂がいたからされてなかったに決まってるじゃない」
「?」
修斗?
なんで修斗が関係してるの?
「そんな不思議な表情されても……。中学の頃も高坂とずっと一緒にいたんでしょ?」
「うん。でも修斗はあの頃からサッカー一筋って感じだったよ?」
「それでも周りから見ればそういうのは分かるの、誰が誰のこと好きだとか。この前までだってそうよ。高坂と梨音が幼馴染だってことはみんな知ってたから一定の距離を保ってたけど、その二人が付き合ってもないし仲違いしてるって分かったら、そりゃみんな距離詰めるわよ」
そういう……ものなのかな。
私はそういうことをあまり気にして見ないから、他の人が誰かのことを気にしているかどうかまでは分からない。
でもそれが修斗のことだとしたら、確かに私も気付くかもしれない。
気になる人のことは自然と目で追ってしまっているから分かる、って話よね。
「でも私、別に修斗と仲違いしてるわけじゃ……」
「他の人はどう見るかしらね。たぶんだけど、今日みたいなことは今後も起きると思うわよ。今の高坂が誰かとくっつくとは思えないけど」
冬華の言葉はいつも私を焦らせる。
的を射ているだけに、反論もできないんだ。
「ふ、冬華はどうなのよ。誰か気になってる人とかいないの?」
「私? 私は別に───」
「ういーっす! 補習が終わった俺参上! 何やってんの美女二人で」
教室のドアが開いたと思ったら佐川君が飛び込んできた。
「だ、誰が美女よ!」
「褒めてんのに怒られてんの解せぬ。若元なんて言われ慣れてんのか否定しないぜ」
「言われ慣れてはないけど……」
「梨音は事実だからいいの」
「八幡だって事実なのによ」
「な、なによバカじゃないの」
「そうだ! これから帰りにマック寄ろうぜ!」
「ええ~補習終わりの人なんかと?」
「補習終わり関係ねぇだろ!」
「まったく、しょうがないわね」
なんか…………改めてさっきの話を踏まえて二人を見てるとなんか…………もしかして……?
「冬華」
「な、なに?」
「二人で行ってきていいよ」
「え? なんで?」
「私、帰ってお店手伝わないとだから」
「そ、そう。分かった」
「じゃ~またな若元!」
「うん」
そう言って私は先に教室を出て行った。
全然気付かなかったけどもしかして冬華って佐川君のこと…………。
ええ~いつからなんだろ!
「若元さん、俺と付き合ってください!」
「えっと…………その、ごめんなさい」
修斗が生徒会室に来なくなってから1ヶ月が経っていた。
私は空き教室に呼ばれ、同じクラスの藤本君に告白されていた。
最近、よく話しかけられて話すようになっていたけど、まさか告白されるとは思っていなかった。
こんなことは初めてだったので動揺したけど、なるべく藤本君が傷つかないように断りを入れた。
「そっかぁ…………そうだよなぁ」
「本当にごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど……」
「いやいや気にしないで! ほら、最近高坂とは一緒にいないからチャンスかな~って。付き合ってるわけじゃないんでしょ?」
「う、うん。ただの幼馴染で……」
「じゃあシンプルに俺の魅力が足りなかったわけだ。時間取らせてごめんね!」
そう言って藤本君は足早に空き教室から出ていった。
他の人から見ても、私が最近修斗と仲良くしていないことが分かるんだ。
確かに学校だけじゃなくて休みの日でも修斗とは別行動が多い。
休みの日に修斗はよくどこかに出掛けていた。
どこに行っているのか聞いてみたけど「サッカーだよ」とだけしか教えてもらえなかった。
今の状態の修斗に限って言えばそれは本当にサッカーで出掛けているんだと思うけど…………。
私も空き教室を出てクラスへと戻った。
「ナナ、大丈夫?」
「う、うん。ありがとう絵麻ちゃん、燈ちゃん」
「まぁ、しゃーないんじゃない。高坂、最近付き合い悪くなってたしさ」
戻る途中、廊下で修斗の話をしている三人とすれ違った。
同じクラスの椚田さんに、隣のクラスの仲哀さんと金成さんだった。
落ち込んでいる仲哀さんを二人が慰めているような状況だった。
(少し前に修斗がよく話していた人達だけど……どうしたんだろう)
その答えは放課後の教室、どこからか情報を仕入れてきた冬華が教えてくれた。
「高坂、6組の仲哀さんに告白されたらしいわよ」
「えっ!?」
「振られたみたいだけどね」
そっか…………だからあの時落ち込んでて……。
じゃあ……私と修斗は同じタイミングで別の人から告白されてたんだ。
修斗はなんて言って断ったんだろう。
「実は……私も今日告白されて……」
「そうなの!? 相手は!?」
「さすがに悪いから名前はちょっと出せないんだけど……」
「じゃあ高坂じゃないのね」
「なんで修斗が出てくるの」
「なんでって……。それで返事は?」
「断ったよ」
「まぁ…………そうよね。そもそも梨音は可愛いんだから本来はそれぐらいモテてもおかしくないのよ」
「そんなことないよ。だって人生で初めて告白されたんだよ?」
「高坂がいたからされてなかったに決まってるじゃない」
「?」
修斗?
なんで修斗が関係してるの?
「そんな不思議な表情されても……。中学の頃も高坂とずっと一緒にいたんでしょ?」
「うん。でも修斗はあの頃からサッカー一筋って感じだったよ?」
「それでも周りから見ればそういうのは分かるの、誰が誰のこと好きだとか。この前までだってそうよ。高坂と梨音が幼馴染だってことはみんな知ってたから一定の距離を保ってたけど、その二人が付き合ってもないし仲違いしてるって分かったら、そりゃみんな距離詰めるわよ」
そういう……ものなのかな。
私はそういうことをあまり気にして見ないから、他の人が誰かのことを気にしているかどうかまでは分からない。
でもそれが修斗のことだとしたら、確かに私も気付くかもしれない。
気になる人のことは自然と目で追ってしまっているから分かる、って話よね。
「でも私、別に修斗と仲違いしてるわけじゃ……」
「他の人はどう見るかしらね。たぶんだけど、今日みたいなことは今後も起きると思うわよ。今の高坂が誰かとくっつくとは思えないけど」
冬華の言葉はいつも私を焦らせる。
的を射ているだけに、反論もできないんだ。
「ふ、冬華はどうなのよ。誰か気になってる人とかいないの?」
「私? 私は別に───」
「ういーっす! 補習が終わった俺参上! 何やってんの美女二人で」
教室のドアが開いたと思ったら佐川君が飛び込んできた。
「だ、誰が美女よ!」
「褒めてんのに怒られてんの解せぬ。若元なんて言われ慣れてんのか否定しないぜ」
「言われ慣れてはないけど……」
「梨音は事実だからいいの」
「八幡だって事実なのによ」
「な、なによバカじゃないの」
「そうだ! これから帰りにマック寄ろうぜ!」
「ええ~補習終わりの人なんかと?」
「補習終わり関係ねぇだろ!」
「まったく、しょうがないわね」
なんか…………改めてさっきの話を踏まえて二人を見てるとなんか…………もしかして……?
「冬華」
「な、なに?」
「二人で行ってきていいよ」
「え? なんで?」
「私、帰ってお店手伝わないとだから」
「そ、そう。分かった」
「じゃ~またな若元!」
「うん」
そう言って私は先に教室を出て行った。
全然気付かなかったけどもしかして冬華って佐川君のこと…………。
ええ~いつからなんだろ!
10
あなたにおすすめの小説
訳あって学年の三大美少女達とメイドカフェで働くことになったら懐かれたようです。クラスメイトに言えない「秘密」も知ってしまいました。
亜瑠真白
青春
「このことは2人だけの秘密だよ?」彼女達は俺にそう言った―――
高校2年の鳥屋野亮太は従姉に「とあるバイト」を持ちかけられた。
従姉はメイドカフェを開店することになったらしい。
彼女は言った。
「亮太には美少女をスカウトしてきてほしいんだ。一人につき一万でどうだ?」
亮太は学年の三大美少女の一人である「一ノ瀬深恋」に思い切って声をかけた。2人で話している最中、明るくて社交的でクラスの人気者の彼女は、あることをきっかけに様子を変える。
赤くなった顔。ハの字になった眉。そして上目遣いで見上げる潤んだ瞳。
「ほ、本当の私を、か、かかか、可愛いって……!?」
彼女をスカウトしたことをきっかけに、なぜか「あざと系美少女」や「正体不明のクール系美少女」もメイドカフェで働くことに。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
負けヒロインに花束を!
遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。
葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。
その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる