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高坂修斗復帰編
元野球少年⑥
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【高坂修斗目線】
「…………とまぁ、去年の俺は結構散々な目に合ってたんだぜ」
「新之助…………お前」
「見る目変わったか?」
「本当に野球やってたんだな」
「気にするとかそこじゃねぇだろうがい!」
怪我でサッカーをすることができなくなった俺。
親友に裏切られて野球を辞めた新之助。
確かに境遇は似ている。
「粗暴になった時の俺はそりゃもう良くなかったぜ。そのまま道を踏み外してりゃ、いつか身内の大切な人にも手を出してたかもな。周りを切り捨てようとしてるってのは、そういうことだ」
「何も俺は手を出したりしているわけじゃないぜ」
「誰かを傷付けるってのは、手を挙げることだけを指すんじゃない。言葉や行動だって人を傷付けることはできるんだ。俺はあの時、妹の雫を巻き込んで泣かせちまった。俺が苦しんでいた時、そばにいてくれた大切な人を泣かせちまった」
「………………」
「だから俺は死んでも妹を悲しませるようなことはしないと誓った。修斗、お前が苦しんでいた時、隣にいてくれた人がいたんじゃないのか?」
新之助の言葉に思わずハッとした。
俺が怪我をして、医者からサッカーは出来なくなるかもしれないと話を聞いてクラブからも見捨てられた時、俺を支えてくれたのは梨音だった。
入院していた俺に会うためにほぼ毎日病院に来てくれて、俺が無理矢理明るく振る舞っていたことを見抜いていたのかは分からないが、絶対に俺を見捨てたりすることはなかった。
リハビリが続いて、一人で歩けるようになった時、梨音も一緒になって喜んでくれていたのを覚えている。
どうして忘れていたんだろう。
梨音は俺のことを見捨てたりはしていなかったというのに、俺は復讐に取り憑かれて優先順位なんてものを付けて、俺のことを1番に考えてくれている人を切り捨ててしまった。
(なんて…………情けない奴なんだよ俺は)
自分の不甲斐なさが嫌になる。
誰かに言われないと気付かないなんて。
「新之助…………梨音は泣いてたのか?」
「ああ。そりゃもうナイアガラの滝レベルよ」
「バカっぽい表現はともかく、悲しませてたのは事実らしいな……」
俺の知らないところで梨音が泣いていた。
俺自身は単に放課後の道草や遊びに付き合わないようにしていただけだと思っていたのに、どうやら無自覚の間に梨音を傷付けてしまっていたようだ。
はっ、とんだ大馬鹿野郎じゃないか。
「なあ修斗、修斗にとって若元はただの幼馴染か?」
新之助の質問に俺は一度頭の中で整理をつけ、新之助に向きあいながらハッキリと答えた。
「いや、違う。梨音は俺にとって大切な人だ」
「なら大切な人を悲しませる選択肢を取るんじゃねぇ。今ならまだ、お前はやり直せる」
「ああ」
俺は立ち上がり、すぐに家に帰る準備をした。
「新之助、やっぱりお前は凄ぇやつだよ」
「だろ。なんたって俺はお前の〝親友〟だからな!」
新之助がグッと親指を立てた。
新之助の親友という言葉がいつもより重く感じて、俺は少し小っ恥ずかしくなりながらもその場を走って後にした。
新之助には大きな借りができてしまった。
いつ返せるかは分からないが、この気持ちは忘れないようにしよう。
そうだ。
そのためにも俺は梨音に限らず、みんなを切り捨てるようなことはしちゃいけない。そもそも性に合ってないんだ。
その上で東京ヴァリアブルの連中を見返すことは忘れない。
大丈夫だ。
新之助に気付かされてから、思考がとてもクリアに感じる。
俺が辿るべきロードマップが見えた。
ここまでの1ヶ月半も無駄にはしない。
まずは家に帰って梨音に俺の気持ちをちゃんと伝えよう。
そして、みんなとの関係性を壊さずにサッカーで一番になるために。
俺は、瑞都高校サッカー部に入部する!
「…………とまぁ、去年の俺は結構散々な目に合ってたんだぜ」
「新之助…………お前」
「見る目変わったか?」
「本当に野球やってたんだな」
「気にするとかそこじゃねぇだろうがい!」
怪我でサッカーをすることができなくなった俺。
親友に裏切られて野球を辞めた新之助。
確かに境遇は似ている。
「粗暴になった時の俺はそりゃもう良くなかったぜ。そのまま道を踏み外してりゃ、いつか身内の大切な人にも手を出してたかもな。周りを切り捨てようとしてるってのは、そういうことだ」
「何も俺は手を出したりしているわけじゃないぜ」
「誰かを傷付けるってのは、手を挙げることだけを指すんじゃない。言葉や行動だって人を傷付けることはできるんだ。俺はあの時、妹の雫を巻き込んで泣かせちまった。俺が苦しんでいた時、そばにいてくれた大切な人を泣かせちまった」
「………………」
「だから俺は死んでも妹を悲しませるようなことはしないと誓った。修斗、お前が苦しんでいた時、隣にいてくれた人がいたんじゃないのか?」
新之助の言葉に思わずハッとした。
俺が怪我をして、医者からサッカーは出来なくなるかもしれないと話を聞いてクラブからも見捨てられた時、俺を支えてくれたのは梨音だった。
入院していた俺に会うためにほぼ毎日病院に来てくれて、俺が無理矢理明るく振る舞っていたことを見抜いていたのかは分からないが、絶対に俺を見捨てたりすることはなかった。
リハビリが続いて、一人で歩けるようになった時、梨音も一緒になって喜んでくれていたのを覚えている。
どうして忘れていたんだろう。
梨音は俺のことを見捨てたりはしていなかったというのに、俺は復讐に取り憑かれて優先順位なんてものを付けて、俺のことを1番に考えてくれている人を切り捨ててしまった。
(なんて…………情けない奴なんだよ俺は)
自分の不甲斐なさが嫌になる。
誰かに言われないと気付かないなんて。
「新之助…………梨音は泣いてたのか?」
「ああ。そりゃもうナイアガラの滝レベルよ」
「バカっぽい表現はともかく、悲しませてたのは事実らしいな……」
俺の知らないところで梨音が泣いていた。
俺自身は単に放課後の道草や遊びに付き合わないようにしていただけだと思っていたのに、どうやら無自覚の間に梨音を傷付けてしまっていたようだ。
はっ、とんだ大馬鹿野郎じゃないか。
「なあ修斗、修斗にとって若元はただの幼馴染か?」
新之助の質問に俺は一度頭の中で整理をつけ、新之助に向きあいながらハッキリと答えた。
「いや、違う。梨音は俺にとって大切な人だ」
「なら大切な人を悲しませる選択肢を取るんじゃねぇ。今ならまだ、お前はやり直せる」
「ああ」
俺は立ち上がり、すぐに家に帰る準備をした。
「新之助、やっぱりお前は凄ぇやつだよ」
「だろ。なんたって俺はお前の〝親友〟だからな!」
新之助がグッと親指を立てた。
新之助の親友という言葉がいつもより重く感じて、俺は少し小っ恥ずかしくなりながらもその場を走って後にした。
新之助には大きな借りができてしまった。
いつ返せるかは分からないが、この気持ちは忘れないようにしよう。
そうだ。
そのためにも俺は梨音に限らず、みんなを切り捨てるようなことはしちゃいけない。そもそも性に合ってないんだ。
その上で東京ヴァリアブルの連中を見返すことは忘れない。
大丈夫だ。
新之助に気付かされてから、思考がとてもクリアに感じる。
俺が辿るべきロードマップが見えた。
ここまでの1ヶ月半も無駄にはしない。
まずは家に帰って梨音に俺の気持ちをちゃんと伝えよう。
そして、みんなとの関係性を壊さずにサッカーで一番になるために。
俺は、瑞都高校サッカー部に入部する!
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