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部活勧誘編
部屋突入①
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「……ただ───」
ただいまと言おうとしてやっぱりやめた。
ただいまと言うにはまだ少し恥ずかしくて落ち着かない。
どちからと言えばお邪魔しますの方がしっくりくる。
表では定食屋を営業しているため、裏から入った。
リビングを覗いてみたが、梨音はいなかった。
靴はあるから帰ってきているのは間違いない。
俺は梨音のために買ってきたケーキを持って梨音の部屋へと向かった。
梨音の部屋は俺が借りている部屋の丁度真向かいにある。
俺は昔からの通り、ノックせず無遠慮に梨音の部屋のドアを開けた。
「梨音ー。これ、お前の分買ってきたから食べ───」
お互いにフリーズ。
目の前には丁度制服のワイシャツを着替えようとして脱いでいた梨音がいた。
下はスカートをまだ履いており、女の子を強調する胸を隠すためのピンク色のブラがハッキリと俺の目に飛び込んできた。
「な、な、な──────!」
梨音が顔を赤くし震え始める。
考えろ俺。
今までの人生経験の中から最適解の選択肢を導き出し、この場を切り抜けなければ俺の明日は三途の川越え待ったなし。
梨音を怒らせないようにするための一言は───。
「うん、90点」
しまった。
俺の本能が勝ちやがった。
最悪の選択肢を脊髄反射で答えてしまった。
「~~~んの変態! 何でノックしないのよ!!」
梨音が近場にあった服を投げつけてきて、俺の顔にヒットした。
「いやいやほら、ノックなんて今までしなくても良かったじゃん。いつでもウェルカムの梨音だったじゃん」
「それは修斗が遊びに来てた時だからでしょ! そんな時に着替えたりしないよ!」
「なるほど確かに。でも梨音も凄い女の子っぽくなったというか、エロい体付きになってて正直驚い───待て待てテーブルはヤバい死ぬから!! さすがにそれは俺も死ぬから!!」
「命を置いてくか記憶を置いてくか好きな方を選びなさい……!!」
「記憶を置いていくって何!?」
「いいから早く出てってよ!!」
「はいすいませんでした!!」
俺はサッカーでも見せなかったほどの反転ターンを繰り出し、梨音の部屋から飛び出してそのまま自分の部屋へと危険タックルをかました。
流石に今のは10対0で俺が悪い。
5回コールドもやむを得ないほどだ。
命があっただけでも良しとしよう。
「梨音の家に来て早々にこんな事件が起こるとは思わなかった」
まだ目に梨音の下着姿が焼き付いている。
運動もあまりしていないはずなのに良い感じに体が引き締まってて、気付かない内に女の子らしさが良く出てるというか…………。
「いやホント………………梨音ってあんな可愛かったっけ…………?」
今までそんな風に見てこなかっただけに、変に意識してしまっている。
いかんいかん。
俺と梨音は幼馴染だ。
そんな気を使うような関係性じゃねぇ。
こういうことは時間を置かずに直ぐに謝罪したほうが悪化せずに済むもんだ。
リカバリーはなるべく早くするのはサッカーと同じ。
俺は自分の部屋から出て、再び梨音の部屋の前に立った。
手には詫びケーキ。
本当はこのために買ったわけではなかったが、上手いこと功を制したみたいだ。
今度はしっかりとノックをする。
「……………………はい」
長い間の後に返事が聞こえた。
少しホッとする。
「あーっと……梨音、いや梨音さん、いや梨音様」
「ふざけてるでしょ」
「すいません。先程のことについての謝罪とお詫びの品を持って参りましたので、お邪魔してもよろしいでしょうか」
「……………………どうぞ」
再び長い間の後に返事が返ってきた。
俺はドアノブに手を掛け、恐る恐るドアを開けた。
既に部屋着に着替え終えていた梨音がベッドの上に腰掛けていた。
「この度は配慮に欠けた行動によって多大なご迷惑を───」
「いいよ。修斗はそんな柄じゃないでしょ。一言言わなかった私も悪かったし」
流れるようにして土下座へ移行しようとした俺を梨音が止めた。
さすがに見苦しすぎたのか。
いや、梨音の優しさだなこれは。
「これ、ケーキ買ってきたから」
俺はそう言って梨音にケーキを手渡した。
「駅前のところの…………今買ってきたわけじゃないよね?」
「そんな超能力持ちに見えるか?」
「見えない。じゃあ何で買ってきてたの?」
「それは…………」
一緒に帰ってやれなかったから、と本来なら何食わぬ顔で言えたはずなのに、さっきの後だと中々に言いづらい。
「ケーキが食べたくなったから」
「でも修斗はこういうの食べないじゃん。食生活は体の資本作りにも大切だからって言って。ほら、ケーキも一つしか買ってない」
「うっ……よくご存知で」
「そりゃ知ってるよ。何年一緒にいると思ってるの」
「夫婦かってぐらい長いよな」
「……………………」
「……………………」
何で沈黙だよ。
昨日までこんな感じではなかっただろ。
何も気にすることなく冗談とか言える関係性だったじゃんか。
ただいまと言おうとしてやっぱりやめた。
ただいまと言うにはまだ少し恥ずかしくて落ち着かない。
どちからと言えばお邪魔しますの方がしっくりくる。
表では定食屋を営業しているため、裏から入った。
リビングを覗いてみたが、梨音はいなかった。
靴はあるから帰ってきているのは間違いない。
俺は梨音のために買ってきたケーキを持って梨音の部屋へと向かった。
梨音の部屋は俺が借りている部屋の丁度真向かいにある。
俺は昔からの通り、ノックせず無遠慮に梨音の部屋のドアを開けた。
「梨音ー。これ、お前の分買ってきたから食べ───」
お互いにフリーズ。
目の前には丁度制服のワイシャツを着替えようとして脱いでいた梨音がいた。
下はスカートをまだ履いており、女の子を強調する胸を隠すためのピンク色のブラがハッキリと俺の目に飛び込んできた。
「な、な、な──────!」
梨音が顔を赤くし震え始める。
考えろ俺。
今までの人生経験の中から最適解の選択肢を導き出し、この場を切り抜けなければ俺の明日は三途の川越え待ったなし。
梨音を怒らせないようにするための一言は───。
「うん、90点」
しまった。
俺の本能が勝ちやがった。
最悪の選択肢を脊髄反射で答えてしまった。
「~~~んの変態! 何でノックしないのよ!!」
梨音が近場にあった服を投げつけてきて、俺の顔にヒットした。
「いやいやほら、ノックなんて今までしなくても良かったじゃん。いつでもウェルカムの梨音だったじゃん」
「それは修斗が遊びに来てた時だからでしょ! そんな時に着替えたりしないよ!」
「なるほど確かに。でも梨音も凄い女の子っぽくなったというか、エロい体付きになってて正直驚い───待て待てテーブルはヤバい死ぬから!! さすがにそれは俺も死ぬから!!」
「命を置いてくか記憶を置いてくか好きな方を選びなさい……!!」
「記憶を置いていくって何!?」
「いいから早く出てってよ!!」
「はいすいませんでした!!」
俺はサッカーでも見せなかったほどの反転ターンを繰り出し、梨音の部屋から飛び出してそのまま自分の部屋へと危険タックルをかました。
流石に今のは10対0で俺が悪い。
5回コールドもやむを得ないほどだ。
命があっただけでも良しとしよう。
「梨音の家に来て早々にこんな事件が起こるとは思わなかった」
まだ目に梨音の下着姿が焼き付いている。
運動もあまりしていないはずなのに良い感じに体が引き締まってて、気付かない内に女の子らしさが良く出てるというか…………。
「いやホント………………梨音ってあんな可愛かったっけ…………?」
今までそんな風に見てこなかっただけに、変に意識してしまっている。
いかんいかん。
俺と梨音は幼馴染だ。
そんな気を使うような関係性じゃねぇ。
こういうことは時間を置かずに直ぐに謝罪したほうが悪化せずに済むもんだ。
リカバリーはなるべく早くするのはサッカーと同じ。
俺は自分の部屋から出て、再び梨音の部屋の前に立った。
手には詫びケーキ。
本当はこのために買ったわけではなかったが、上手いこと功を制したみたいだ。
今度はしっかりとノックをする。
「……………………はい」
長い間の後に返事が聞こえた。
少しホッとする。
「あーっと……梨音、いや梨音さん、いや梨音様」
「ふざけてるでしょ」
「すいません。先程のことについての謝罪とお詫びの品を持って参りましたので、お邪魔してもよろしいでしょうか」
「……………………どうぞ」
再び長い間の後に返事が返ってきた。
俺はドアノブに手を掛け、恐る恐るドアを開けた。
既に部屋着に着替え終えていた梨音がベッドの上に腰掛けていた。
「この度は配慮に欠けた行動によって多大なご迷惑を───」
「いいよ。修斗はそんな柄じゃないでしょ。一言言わなかった私も悪かったし」
流れるようにして土下座へ移行しようとした俺を梨音が止めた。
さすがに見苦しすぎたのか。
いや、梨音の優しさだなこれは。
「これ、ケーキ買ってきたから」
俺はそう言って梨音にケーキを手渡した。
「駅前のところの…………今買ってきたわけじゃないよね?」
「そんな超能力持ちに見えるか?」
「見えない。じゃあ何で買ってきてたの?」
「それは…………」
一緒に帰ってやれなかったから、と本来なら何食わぬ顔で言えたはずなのに、さっきの後だと中々に言いづらい。
「ケーキが食べたくなったから」
「でも修斗はこういうの食べないじゃん。食生活は体の資本作りにも大切だからって言って。ほら、ケーキも一つしか買ってない」
「うっ……よくご存知で」
「そりゃ知ってるよ。何年一緒にいると思ってるの」
「夫婦かってぐらい長いよな」
「……………………」
「……………………」
何で沈黙だよ。
昨日までこんな感じではなかっただろ。
何も気にすることなく冗談とか言える関係性だったじゃんか。
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