怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
12 / 203
部活勧誘編

部屋突入②

「そういや梨音は部活とか入るのか?」

「まだ特に決めてないけど」

「なんか見たそうにしてたの一個あったろ。それはどうなんだよ」

「そんなのないけど……」

 そう言って目を明後日の方向に逸らす梨音。
 嘘をつくのが下手くそすぎて分かりやすい。

「俺が聞いた時に濁してたじゃん。気になる部活があるんだろ?」

「あったとしても修斗には言わないし」

「何でそんな冷たいこと言うんだよ。ほら、ケーキ食べて心をあったかくしな」

「失礼過ぎない? この人」

 とか言いつつも俺が買ってきたチョコレートケーキを取り出し、付属してきたプラスチックのフォークを使って頬張り始めた。
 甘いものを食べて仏頂面になる人なんていない。
 見ろよこの笑顔。
 頬が緩み切ってる。

「……何でニヤニヤしてるのよ」

「ニヤニヤなんてしてないよ。どう、美味い?」

「不本意ながら」

「何で不本意なんだよ。そこは本意であれよ」

「修斗も一口いる?」

「久しぶりに少し食べるか」

「はい」

「ん」

 フォークに乗っかったケーキを梨音に差し出され、そのままパクリと頂いた。
 チョコレート特有の甘味と大人の苦味が口の中に広がる。
 ケーキなんて小学生振りかもしれない。

「どう? 美味しいよね」

「うん。美味いな」

「あむっ」

 梨音が最後の一口を食べたところでふと気が付いた。

「そういや…………当たり前過ぎて何とも思わんかったが、今のも間接キスになるんだな」

「!!」

「なんつって。いやマジ今さら過ぎるな」

「~~~~!!」

「……………梨音? なんでそんな顔真っ赤に───」

「修斗が変なこと言うからじゃん!」

「えっ!? 俺変なこと言った!?」

 そんな変なこと言った覚えないんだけど!
 当たり前の事実を述べただけでは?

「もしかして俺の知らない内に間接キスの定義変わったとか?」

「変わってないよ!」

「あ、間接キスを気にしてんの? 何言ってんだお前それぐらい! 昔から食べ物のわけっこぐらいやってるじゃねーか!」

「そうだけど改めて言われると恥ずかしいの!」

「そんなん下着姿を見られたことに比べれば全然大したことねーだ……からテーブルはダメだって!!」

 再びテーブルを構えられる。
 しかも今度は向きが角を向いている。
 殺傷力3割増しだこれ。

「命を置いていきなさい……!」

「もはや選択肢すらくれないただの殺害予告! 落ち着いて良く考えろ梨音。さっきの俺の回答を良く思い出して欲しい……! あの時俺はお前の体を見て90点と言ったんだ。それは俺を含めた男子から見た女子の理想のプロポーションとも言えるし、ぶっちゃけ褒め言葉100%だ!」

「……………確かに……?」

「痩せ過ぎているわけでもなく、太っているわけでもない……! 梨音は運動をあまりしていないはずなのに、そこまで整った容姿をキープできるのは素直に誇れることだと思う!」

「うんうん」

 よし!
 テーブルの高さが徐々に下がってきた。
 後一押しで機嫌が良くなるはずだ!

「つまり! 最終的に何が言いたいのかと言うと!」

「うん」

「梨音の体は大変エロいということで─────」

 ゴッ!!

 何か鈍い音がしたかと思ったら目の前が真っ暗になった。

 誰だ電源落としたやつ。
 何も見えなくて困ってんだけど。
 つーか体も動かねーしよ、どうなってんだ一体。

 すると、正面に梨音が立っているのが見えた。
 仁王立ちしている。
 仁王様か。
 その前にはボールがいくつも転がっていた。
 何だこれ、どういう状況?

「梨音ー。これなんなん──────ってなんじゃこりゃあ!」

 俺はゴールネットの真ん中に括り付けられ動けなくされていた。
 動けない俺の目の前にボールがセットされ、立っている梨音。
 考えられるシナリオは一つ。

「や、やめろ……無限にボールを蹴り当ててこようとするのは……や、やめろぉ!!」

 梨音が蹴り飛ばしたボールが豪速球のごとく顔面へと迫ってくる。

「うぉああああ!!」

 飛び起きた。
 もちろんのことながら夢。
 とんでもない悪夢だ。
 現実で起きてもおかしくない悪夢。

「び、びっくりした……。急に飛び起きないでよ」

 起きあがった目の前に梨音がいた。
 どうやら俺は梨音のベッドの上で寝ていたらしい。
 なんでだ?

「ん? なんだこれ……」

 額の部分に濡れたタオルがのっていた。
 どうやら小さなコブが出来ており、それを冷やすために置かれていたもののようだ。

「い、いや……まさか気絶までするなんて思ってなかったから……」

 梨音が申し訳なさそうにオドオドしながら話した。
 俺はどうやらホントにテーブルでいかれたらしい。
 とんでもない衝撃だったのは覚えているが、まさか気絶したとは。

「その……大丈夫?」

「…………ぷっ……くっくっ……」

「な、何で笑うのよー。ホントに心配したんだからー」

「いや、ちょっと昔を思い出して……ははっ」

「なにそれ……」

 小さい頃は殴り合いのケンカもしてた。
 男女という壁は無く、幼馴染という枠組みでいたからだ。
 途中から俺はサッカーに夢中になり、一緒に遊んだり喧嘩したりすることは少なくなったが、梨音には応援してもらったり飯を食わせてもらったりしていた。
 サッカーという縛りがなくなった今、改めてくだらない喧嘩をしていると思うと、なんだか笑いが込み上げてきてくる。
 裸を見たから何だ。
 結局、今も昔も俺と梨音の関係性は何も変わらない。
 仲のいい、幼馴染ってことさ。 
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。