41 / 203
生徒会勧誘編
前半戦②
再び漆間高校ボールでキックオフ。
今度は山田が最初から仕掛けて来ることはなかった。
一度、堂大寺会長までボールが下がり、ゆっくりと攻め上がってくる。
とはいっても、漆間高校の両サイドは素人だ。
特別な動き出しがあるわけでもなく、堂大寺会長の動きを見ながら一緒にゆっくりと上がってくるだけだ。
右サイドは前橋が抑えている。
山田は既に俺と神奈月先輩の間の位置におり、間からボールを受ける動きを繰り返している。
問題は左サイドだった。
新波先輩は固定位置からほとんど動いていない。
唯一堂大寺会長がパスを出すとするなら左サイドになるが、動きが分からない新波先輩に指示を出すわけにはいかない。
俺は左サイドのパスコースを切るようにして堂大寺会長の前に進んだ。
「真ん中がガラ空きだぜ!」
堂大寺会長が山田目掛けてパスを出した。
俺がズレたことによってフリーになっていた山田だったが、俺には神奈月先輩がマークする形で寄せてきているのが見えたためそのまま任せることに。
「前は向かせないよ!」
「おっ……! 意外と良い守備を……!」
山田がすぐさま左サイドへとボールを流した。
「ニーナ! 取りに行くんだ!」
「えっ? あ、は~い」
新波先輩がボールを取りに走り出した。
「げっ!!」
相手がトラップミスをしてくれたおかげで、ボールはラインの外へと出た。
「馬鹿野郎! 何やってんだ!」
「ち、違うんですよ……! 他の二つのボールに目がいっちゃって……」
「意味分かんねーこと言ってんじゃねーぞ織田! 球技は得意だとか言ってたじゃねーか!」
ああ……マジで戦術新波先輩が通用してるよ。
あんまり通用しちゃいけないやつだろ。
「んーと、えいっ」
新波先輩のパスが神奈月先輩に渡った。
「よーし、いくよ」
神奈月先輩がスピードを上げてドリブルを始め、俺は左前の方向に軽く走り出した。
堂大寺会長が俺にマークを付く一方、前橋が右サイドから中に走り込んできたのを見て神奈月先輩がパスを出した。
「遅れてるぞ宮本! フリーにするな!」
「ひえ~!」
前橋の動き出しに付いて来れなかった宮本と呼ばれる選手が後から追うも既に遅く、中央で前橋がフリーでパスを受けた。
ワンタッチで前を向くと同時に前橋と目が合った。
前橋が視線誘導でどのように動くか教えてくれ、俺はそれを一瞬で理解する。
「高坂!」
前橋からほぼシュートに近い威力でパスが飛んできた。
試合が始まる前にあらかじめ前橋には一つ話をしておいた。
〝パスは強くて構わない〟
ほぼ要求通りのパスだった。
パスが出る直前で自ら受けに行き、堂大寺会長のマークを一瞬外した俺は左足で足元にトラップ。
「はぁ!? 何でそんなピッタリ止められるんだよ!」
堂大寺会長がすぐに寄せてくるが、俺は一呼吸置いてポストプレーをし、前橋が丁度縦に真っ直ぐ走り込んできたタイミングで中へリターン。
どフリーな形で前橋がキーパーと1対1になり、そのままゴールを決めた。
「やったよ高坂!」
「ナイスプレー!」
前橋と二度目のハイタッチを交わした。
「うんうんナイスプレー。うちの1年生コンビは優秀だね」
「きい! 修斗! ナイスプレー!」
「僕のキーパーとしての出番はないかな」
開始5分で既に2対0。
試合内容もほぼ圧倒している状態だ。
「あのパスをトラップできるのは異常ですね」
「現役ユース選手は半端ねぇな……!」
「ん? いや、高坂は現役じゃないと思いますよ」
「何?」
どうやら、俺が怪我をしてサッカーをやっていないことを山田は知っているみたいだな。
だが、走りさえしなければ、プレー自体はそれなりに出来ることは分かったからな。
向こうがどう動いてくるのか見物だ。
「よし、俺に任せろ」
話し合いが終わったのか、再び漆間高校からのキックオフで始まった。
先程と同じく堂大寺会長がボールを持ち、山田が前線へと移動している。
だが、山田の位置がさっきよりも高い。
ほとんどゴールエリアの位置だ。
「ロングボールか……?」
「高坂ぁ……悪く思うなよ!」
堂大寺会長が突然スピードを上げてドリブルを開始した。
左から右へ少し角度をつけるように、俺から遠ざかるようなドリブル。
すぐに察した。
(スピードでゴリ押しか!)
走って追いかけることの出来ない俺は、角度をつけて走られると追いつくことができない。
ほぼ徒歩に近いジョギングしか見せていない俺を、怪我で走ることが出来ないと予想したんだろう。
まったく大当たりだよ!
「はっはー! 高坂、守備で恐るるに足らずだぜ!」
「すいません神奈月先輩!」
「こればっかりは仕方ないさ!」
神奈月先輩は山田を見ているためディフェンスにはいけない。
そこで前橋がすかさずカバーに入った。
「一人フリーができてるぜ」
前橋がいなくなった右サイドへパスが出される。
おぼつかない足取りながらも宮本と呼ばれた人がボールを収めた。
「宮本さん!」
山田が神奈月先輩からいつの間にか離れ、ボールを受けた。
ゴール前には前橋と神奈月先輩がいる、人数は足りてる。
「ふっ!」
華麗な足技。
これがフットサルならではの個人技なのだろう、前橋があっさりとかわされ、シュートを撃たれた。
「こえええ!!」
とビビりながらも、大鳥先輩がボールを弾き出した。
根性あるなあの人。
「かーっ! 止められたぁ!」
「ナイキー!」
「ナイスキーパーだよ大鳥君!」
「手、痛いです……。でも何度でも止めてみせますよ」
この戦い、どちらが多く点を取れるかの勝負になりそうだな。
今度は山田が最初から仕掛けて来ることはなかった。
一度、堂大寺会長までボールが下がり、ゆっくりと攻め上がってくる。
とはいっても、漆間高校の両サイドは素人だ。
特別な動き出しがあるわけでもなく、堂大寺会長の動きを見ながら一緒にゆっくりと上がってくるだけだ。
右サイドは前橋が抑えている。
山田は既に俺と神奈月先輩の間の位置におり、間からボールを受ける動きを繰り返している。
問題は左サイドだった。
新波先輩は固定位置からほとんど動いていない。
唯一堂大寺会長がパスを出すとするなら左サイドになるが、動きが分からない新波先輩に指示を出すわけにはいかない。
俺は左サイドのパスコースを切るようにして堂大寺会長の前に進んだ。
「真ん中がガラ空きだぜ!」
堂大寺会長が山田目掛けてパスを出した。
俺がズレたことによってフリーになっていた山田だったが、俺には神奈月先輩がマークする形で寄せてきているのが見えたためそのまま任せることに。
「前は向かせないよ!」
「おっ……! 意外と良い守備を……!」
山田がすぐさま左サイドへとボールを流した。
「ニーナ! 取りに行くんだ!」
「えっ? あ、は~い」
新波先輩がボールを取りに走り出した。
「げっ!!」
相手がトラップミスをしてくれたおかげで、ボールはラインの外へと出た。
「馬鹿野郎! 何やってんだ!」
「ち、違うんですよ……! 他の二つのボールに目がいっちゃって……」
「意味分かんねーこと言ってんじゃねーぞ織田! 球技は得意だとか言ってたじゃねーか!」
ああ……マジで戦術新波先輩が通用してるよ。
あんまり通用しちゃいけないやつだろ。
「んーと、えいっ」
新波先輩のパスが神奈月先輩に渡った。
「よーし、いくよ」
神奈月先輩がスピードを上げてドリブルを始め、俺は左前の方向に軽く走り出した。
堂大寺会長が俺にマークを付く一方、前橋が右サイドから中に走り込んできたのを見て神奈月先輩がパスを出した。
「遅れてるぞ宮本! フリーにするな!」
「ひえ~!」
前橋の動き出しに付いて来れなかった宮本と呼ばれる選手が後から追うも既に遅く、中央で前橋がフリーでパスを受けた。
ワンタッチで前を向くと同時に前橋と目が合った。
前橋が視線誘導でどのように動くか教えてくれ、俺はそれを一瞬で理解する。
「高坂!」
前橋からほぼシュートに近い威力でパスが飛んできた。
試合が始まる前にあらかじめ前橋には一つ話をしておいた。
〝パスは強くて構わない〟
ほぼ要求通りのパスだった。
パスが出る直前で自ら受けに行き、堂大寺会長のマークを一瞬外した俺は左足で足元にトラップ。
「はぁ!? 何でそんなピッタリ止められるんだよ!」
堂大寺会長がすぐに寄せてくるが、俺は一呼吸置いてポストプレーをし、前橋が丁度縦に真っ直ぐ走り込んできたタイミングで中へリターン。
どフリーな形で前橋がキーパーと1対1になり、そのままゴールを決めた。
「やったよ高坂!」
「ナイスプレー!」
前橋と二度目のハイタッチを交わした。
「うんうんナイスプレー。うちの1年生コンビは優秀だね」
「きい! 修斗! ナイスプレー!」
「僕のキーパーとしての出番はないかな」
開始5分で既に2対0。
試合内容もほぼ圧倒している状態だ。
「あのパスをトラップできるのは異常ですね」
「現役ユース選手は半端ねぇな……!」
「ん? いや、高坂は現役じゃないと思いますよ」
「何?」
どうやら、俺が怪我をしてサッカーをやっていないことを山田は知っているみたいだな。
だが、走りさえしなければ、プレー自体はそれなりに出来ることは分かったからな。
向こうがどう動いてくるのか見物だ。
「よし、俺に任せろ」
話し合いが終わったのか、再び漆間高校からのキックオフで始まった。
先程と同じく堂大寺会長がボールを持ち、山田が前線へと移動している。
だが、山田の位置がさっきよりも高い。
ほとんどゴールエリアの位置だ。
「ロングボールか……?」
「高坂ぁ……悪く思うなよ!」
堂大寺会長が突然スピードを上げてドリブルを開始した。
左から右へ少し角度をつけるように、俺から遠ざかるようなドリブル。
すぐに察した。
(スピードでゴリ押しか!)
走って追いかけることの出来ない俺は、角度をつけて走られると追いつくことができない。
ほぼ徒歩に近いジョギングしか見せていない俺を、怪我で走ることが出来ないと予想したんだろう。
まったく大当たりだよ!
「はっはー! 高坂、守備で恐るるに足らずだぜ!」
「すいません神奈月先輩!」
「こればっかりは仕方ないさ!」
神奈月先輩は山田を見ているためディフェンスにはいけない。
そこで前橋がすかさずカバーに入った。
「一人フリーができてるぜ」
前橋がいなくなった右サイドへパスが出される。
おぼつかない足取りながらも宮本と呼ばれた人がボールを収めた。
「宮本さん!」
山田が神奈月先輩からいつの間にか離れ、ボールを受けた。
ゴール前には前橋と神奈月先輩がいる、人数は足りてる。
「ふっ!」
華麗な足技。
これがフットサルならではの個人技なのだろう、前橋があっさりとかわされ、シュートを撃たれた。
「こえええ!!」
とビビりながらも、大鳥先輩がボールを弾き出した。
根性あるなあの人。
「かーっ! 止められたぁ!」
「ナイキー!」
「ナイスキーパーだよ大鳥君!」
「手、痛いです……。でも何度でも止めてみせますよ」
この戦い、どちらが多く点を取れるかの勝負になりそうだな。
あなたにおすすめの小説
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。