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遅延新入生勧誘編
説明責任②
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俺は新之助に連れられ教室へと戻ってきた。
クラス内では弥守の席の周りに多くの人だかりが出来ており、俺からしたら餌に群がるサメにしか見えなかった。
あの中に今から放り込まれんのか~……。
「おいお前ら、主役を連れてきたぞ」
「あ、高坂!」
「逃げんなよお前~」
「色々と話は鷺宮さんから聞いたぞ」
そんな話すような内容ないだろ。
ドイツでたまたま会いました。
5日間一緒に過ごしました。
それ以降会っていません。
ほれ見ろ、3行で終わる。
というか梨音と八幡がいないな。
人だかりに耐えかねて席を離れたのか?
ニノも自分の席に座って素知らぬ顔をしているし、厄介なのは新之助だけだな。
「噂によると、2人は将来を約束された仲なんだって?」
「……は?」
誰と誰のことだ、そんなまるで許嫁みたいな仲。
少なくとも俺の話ではないことは間違いない。
俺にそんな相手はいないからな。
「高坂と鷺宮さん」
…………聞き間違いじゃなかった。
最初から最後まで俺の話だった。
なんで弥守が来てから数十分でそんな噂が浮上してくんだよ。
そんな適当な噂流したのはどこのどいつだ。
ゴールポストに括り付けて無限ボール当ての刑にしてやる。
「それは私がパパにお願いしてただけの話って言ったでしょ。修斗が高校を出たらドイツにスカウトするって」
「あ、そっか。ごめんよ鷺宮さん」
弥守がつんけんとした態度で小宮山に言った。
なんだ、こいつが弥守に聞いた話を曲解しただけか。紛らわしいなシバくぞ。
「ちょっと修斗と話したいことあるから、みんないいかしら?」
弥守が立ち上がり、囲んでいるクラスメイト達に強く言い放った。
凛とした風体でこの発言力、周りを圧倒させる謎の迫力がある。
「ちょっと待ってくれよ、せっかく俺がこいつ連れてきたんだからここで話を───」
「何よあなた、邪魔」
おお……新之助に対する辛辣な一言。
何故だか優夜の奴を思い出したな。
「いーい? 修斗?」
「あ、ああ……」
俺は弥守に腕を引っ張られるようにして廊下へと向かう。
にしても固まっちゃったけど大丈夫かアイツ……。
「…………これはこれで、アリかも」
「佐川レベル高ーな」
この場合のレベルはきっと変態レベルのことだな。
「いやでも、あんな綺麗な子に強く言われたら変な性癖付きそうだよな」
「はぁ……男子はホント馬鹿ばっかり」
「でも鷺宮さん、あの態度はちょっとないよね」
「ねー。自分のこと可愛いって自覚してるみたい」
おいおい……女子からの評価が初手からガン下がりしてるけど大丈夫か?
今後の学校生活に支障をきたしそうな予感しかしないんだが……。
そんな俺の心配をよそに、俺は弥守に連れられて廊下へと出て、階段の前へと移動した。
「お、おい弥守。話ってなんだよ」
「やっと会えたね修斗!」
弥守はまたしてもガバッと抱きついてきた。
柔らかい身体が俺に密着し、髪の毛のシャンプーと思われる甘い香りが鼻をくすぐった。
「っ! だからそれやめろって! 誰かに見られたら誤解されんだろ!」
クラスメイト全員にはもう見られてるけどな!
「え~こんなの普通のハグじゃん。ドイツじゃ普通だよ」
普通のハグでも健全な高校生男子としては結構ヤバいんだよ!
ただでさえサッカーしかしてこなかった俺が、そういう恋愛観についてまともに意識し始めたのが最近なんだからよ!
「いいか!? ここは日本だ! 日本でハグは特別な意味しか持たないんだからすぐにハグするのはやめろ!」
「え~嫌なの~?」
「嫌じゃない! それは断言しておく!」
あ、最高にカッコ悪いシーンかもしれん今の。
「じゃあいいじゃーん。なんならキスも普通だけど……」
「頬にやる方だろ! 唇じゃないことぐらい俺でも知ってるわ!」
なんでこんな積極的なんだコイツ!?
この一年間の間に貞操観念狂ったのか!?
「あはは、冗談だよ冗談。久しぶりに修斗に会えたから嬉しくなっちゃった」
「冗談が過ぎるぞ……」
弥守が俺から離れた。
まだ心臓がバクバクと早鐘を打っている。
高円宮杯決勝でもこんなに動悸が激しくなった覚えはないぞ……!
「1年とちょっとぶりね修斗!」
「そうだな…………つーか凄ぇ偶然だな。たまたま同じ高校になるとか……」
「偶然じゃないよ」
「…………なに?」
「修斗がここに入学するかもしれないって知ってたから、私もここを選んだの」
「いやいや待て待て。話の全容が全然見えないんだが……」
「ん~……どこから話そうかな」
クラス内では弥守の席の周りに多くの人だかりが出来ており、俺からしたら餌に群がるサメにしか見えなかった。
あの中に今から放り込まれんのか~……。
「おいお前ら、主役を連れてきたぞ」
「あ、高坂!」
「逃げんなよお前~」
「色々と話は鷺宮さんから聞いたぞ」
そんな話すような内容ないだろ。
ドイツでたまたま会いました。
5日間一緒に過ごしました。
それ以降会っていません。
ほれ見ろ、3行で終わる。
というか梨音と八幡がいないな。
人だかりに耐えかねて席を離れたのか?
ニノも自分の席に座って素知らぬ顔をしているし、厄介なのは新之助だけだな。
「噂によると、2人は将来を約束された仲なんだって?」
「……は?」
誰と誰のことだ、そんなまるで許嫁みたいな仲。
少なくとも俺の話ではないことは間違いない。
俺にそんな相手はいないからな。
「高坂と鷺宮さん」
…………聞き間違いじゃなかった。
最初から最後まで俺の話だった。
なんで弥守が来てから数十分でそんな噂が浮上してくんだよ。
そんな適当な噂流したのはどこのどいつだ。
ゴールポストに括り付けて無限ボール当ての刑にしてやる。
「それは私がパパにお願いしてただけの話って言ったでしょ。修斗が高校を出たらドイツにスカウトするって」
「あ、そっか。ごめんよ鷺宮さん」
弥守がつんけんとした態度で小宮山に言った。
なんだ、こいつが弥守に聞いた話を曲解しただけか。紛らわしいなシバくぞ。
「ちょっと修斗と話したいことあるから、みんないいかしら?」
弥守が立ち上がり、囲んでいるクラスメイト達に強く言い放った。
凛とした風体でこの発言力、周りを圧倒させる謎の迫力がある。
「ちょっと待ってくれよ、せっかく俺がこいつ連れてきたんだからここで話を───」
「何よあなた、邪魔」
おお……新之助に対する辛辣な一言。
何故だか優夜の奴を思い出したな。
「いーい? 修斗?」
「あ、ああ……」
俺は弥守に腕を引っ張られるようにして廊下へと向かう。
にしても固まっちゃったけど大丈夫かアイツ……。
「…………これはこれで、アリかも」
「佐川レベル高ーな」
この場合のレベルはきっと変態レベルのことだな。
「いやでも、あんな綺麗な子に強く言われたら変な性癖付きそうだよな」
「はぁ……男子はホント馬鹿ばっかり」
「でも鷺宮さん、あの態度はちょっとないよね」
「ねー。自分のこと可愛いって自覚してるみたい」
おいおい……女子からの評価が初手からガン下がりしてるけど大丈夫か?
今後の学校生活に支障をきたしそうな予感しかしないんだが……。
そんな俺の心配をよそに、俺は弥守に連れられて廊下へと出て、階段の前へと移動した。
「お、おい弥守。話ってなんだよ」
「やっと会えたね修斗!」
弥守はまたしてもガバッと抱きついてきた。
柔らかい身体が俺に密着し、髪の毛のシャンプーと思われる甘い香りが鼻をくすぐった。
「っ! だからそれやめろって! 誰かに見られたら誤解されんだろ!」
クラスメイト全員にはもう見られてるけどな!
「え~こんなの普通のハグじゃん。ドイツじゃ普通だよ」
普通のハグでも健全な高校生男子としては結構ヤバいんだよ!
ただでさえサッカーしかしてこなかった俺が、そういう恋愛観についてまともに意識し始めたのが最近なんだからよ!
「いいか!? ここは日本だ! 日本でハグは特別な意味しか持たないんだからすぐにハグするのはやめろ!」
「え~嫌なの~?」
「嫌じゃない! それは断言しておく!」
あ、最高にカッコ悪いシーンかもしれん今の。
「じゃあいいじゃーん。なんならキスも普通だけど……」
「頬にやる方だろ! 唇じゃないことぐらい俺でも知ってるわ!」
なんでこんな積極的なんだコイツ!?
この一年間の間に貞操観念狂ったのか!?
「あはは、冗談だよ冗談。久しぶりに修斗に会えたから嬉しくなっちゃった」
「冗談が過ぎるぞ……」
弥守が俺から離れた。
まだ心臓がバクバクと早鐘を打っている。
高円宮杯決勝でもこんなに動悸が激しくなった覚えはないぞ……!
「1年とちょっとぶりね修斗!」
「そうだな…………つーか凄ぇ偶然だな。たまたま同じ高校になるとか……」
「偶然じゃないよ」
「…………なに?」
「修斗がここに入学するかもしれないって知ってたから、私もここを選んだの」
「いやいや待て待て。話の全容が全然見えないんだが……」
「ん~……どこから話そうかな」
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