76 / 203
遅延新入生勧誘編
強者蹂躙⑤
「修斗!」
呼び止められ振り返ると、わざわざ追いかけてきたのかまだユニフォーム姿の涼介がいた。
「良いプレーだったぜ涼介、ずば抜けた個人技は健在だな。光や賢治、それに優夜も当時からさらにレベルアップしていて素直に驚かされたよ。今年のヴァリアブルは3冠を狙えるな」
「この中にお前がいれば完璧だったんだ修斗。お前さえいれば……」
悔しそうに話す涼介を見て、心がじんわりと熱くなった。
本当に良い奴だこいつは。
「流星も中央のプレーヤーとして申し分ないだろ」
「それは間違いないが、流星の代わりができる奴は多い。だけど修斗、お前の代わりを務められる奴はいない、唯一無二なんだよ」
親友にそこまで言われて嬉しく思わないわけがない。
だからこそ俺は、涼介に変な期待は持たせたくないんだ。
俺のことを気にせず、そのまま走り抜けて行って欲しい。
「できないことは諦めるしかない。俺の夢、お前に託すよ涼介」
「修斗…………」
そう言って俺は手を伸ばし、握手を求めた。
俺の無念をこいつに引き継ぐ。
将来的にどうなるかは分からないが、涼介には気にせずサッカーで天下を取って欲しい。
だからここで、俺のことは断ち切ってもらう。
「…………分かった。俺は必ずプロに……いや、誰しもが憧れる世界的なサッカープレイヤーになってやる!」
「ああ、応援してるぜ」
吹っ切れたような表情の涼介に俺は頷き、ガッチリと握手を交わした。
会うことを躊躇っていた神上涼介。
しかし結果的に俺は会えて良かったと思っている。
あいつと会えたことで俺の中でも少し思うところが生まれた。
引っ張ってくれた桜川に感謝しないとだな。
涼介はグラウンドへと戻っていった。
「さて……早く戻らないと」
「あれ? 修斗じゃんか。なーにやってんだよこんなところで」
今度はちょうど正面玄関口から出てきた新之助に会った。
部活も何もやっていないのにまだ帰ってなかったのか。
「お前こそ何やってんだよ」
「俺か? しょーがねーな見せてやるよ俺の成果ってやつを」
そう言って新之助は自分の持っていた携帯の画面を俺に見せてきた。
そこには『妖怪GO!』というアプリの起動画面が映し出されていた。
「…………なんだこれ」
「はあ!? お前知らねーの最近話題のアプリ!!」
「ゲームなんかやらねーし」
携帯は所詮連絡を取り合うためだけのツールだろ。
「これは最新AR技術を用いたゲームでな、風景を携帯で写すと妖怪が画面上に映し出されるんだよ。それを捕獲するってやつだな」
「で、それをずっとやってたと?」
「おうよ! おかげで学校限定キャラのトイレの花子さんゲットだぜ!」
ニッコニコでガッツポーズをとる新之助を見て、俺の心がほっこりした。
やっぱこいつ面白いわ。
「なんかお前といると安心するな」
「お? なんだ急に褒めんじゃねえよ」
「何も悩み事とかなさそうな馬鹿っぷりがいい」
「喧嘩だてめぇ!」
新之助といて余計な心配事が起きたことが今まで一度もない。
まさにストレスフリー。
梨音だけじゃなく、今の高校生活が充実して楽しめるのは案外こいつの存在が大きかったりもするかもな。
「俺はまだ生徒会の仕事があるんだ。悪いけどまたな」
「何だ生徒会で残ってたのか。最近の生徒会はどうよ」
「ああ、委員会会議だの生徒会新聞で忙しそうにしてるよ。まだまだこれからやる事が多そうだな」
「違う違う、そうじゃなくて」
「は?」
「あんな美少女だらけの空間で、何か面白いことは起きてないのかって話だよ!」
なんだ下世話な方の話か。
相変わらず新之助はそういう話にはよく食いつく。
自分に似た話がないから、他の人の下世話な話に興味深々なのか? と考察してみる。
「残念ながらお前が喜ぶような話は何もねーよ」
「ということは修斗自身、何も起きてないってことか? ぷっ、むしろそっちの方が俺としてはご馳走です」
「は? 殺す」
その通りではあるが新之助に馬鹿にされると100倍ムカつく。
やっぱここらで1発シメとくのが正しいか。
「修斗」
俺が新之助の顔面に手を伸ばそうとした時、今度は正面玄関口に梨音が立っていた。
ちょっと顔がお怒りだ。
資料を取りに行ったまま全然帰ってこない上に、こんなところでアホの新之助とふざけていたのだから当然だろう。
たぶんこの後の流れとしては、俺が顔面クラッシャーされると思われる。
「じゃ、俺はこれにて失礼」
一目散に走り去って行った新之助。
空気を読む力はこんな時でも健在かこの野郎。
すぐに不穏な空気を察しやがった。
「こんなところで何してるの? 全然帰って来ないから心配になったんだけど」
「いやぁ…………ちょっと用事が」
「私の納得いく理由なんだよね? 佐川君と一緒にいたみたいだけど」
アイツは関係ないんだよなぁ……!
偶然会っただけで良く分からんアプリの話してただけだし。
そもそも最初から梨音に1発は叩かれる予定だったんだ。
素直に話した方が吉だよな。
「実は……ヴァリアブルの奴らがここに練習試合しに来てたんだよ。それで久しぶりに会うために……」
「そうなの? それだったら最初から言ってくれれば良いのに」
おや?
流れ変わったな。
「クラブ時代の人達だよね。ゆっくり話せた?」
「ああ。相変わらず良い奴だったよ」
「そっか……。修斗もいつか、サッカーできるようになるといいね」
これは叩かれずに済む奴か。
良かった良かった、どうやら俺の考えすぎだったみたいだ。
そもそも梨音がそんなことで怒ったりしないよな。
「それはそれとして、資料は?」
「………………ん?」
「ん? じゃなくて、資料。試合見に行くにしても先に図書室から持ってきてくれてるんでしょ?」
「………………ん?」
おや?
流れ変わったな。
ダラダラと冷や汗が止まらないぜ。
「まさか……まだ取りに行ってないとか言わないよね。もう図書室の利用時間、終わっちゃうんだけど」
「梨音、例えばの話をしよう。もしも、もしもまだ資料を取ってきてないって言ったらどうする?」
「砕く」
「どこを!?」
予定調和というべきか、俺は顔面をクラッシャーされた。
一番の強者は梨音なのかもしれない。
呼び止められ振り返ると、わざわざ追いかけてきたのかまだユニフォーム姿の涼介がいた。
「良いプレーだったぜ涼介、ずば抜けた個人技は健在だな。光や賢治、それに優夜も当時からさらにレベルアップしていて素直に驚かされたよ。今年のヴァリアブルは3冠を狙えるな」
「この中にお前がいれば完璧だったんだ修斗。お前さえいれば……」
悔しそうに話す涼介を見て、心がじんわりと熱くなった。
本当に良い奴だこいつは。
「流星も中央のプレーヤーとして申し分ないだろ」
「それは間違いないが、流星の代わりができる奴は多い。だけど修斗、お前の代わりを務められる奴はいない、唯一無二なんだよ」
親友にそこまで言われて嬉しく思わないわけがない。
だからこそ俺は、涼介に変な期待は持たせたくないんだ。
俺のことを気にせず、そのまま走り抜けて行って欲しい。
「できないことは諦めるしかない。俺の夢、お前に託すよ涼介」
「修斗…………」
そう言って俺は手を伸ばし、握手を求めた。
俺の無念をこいつに引き継ぐ。
将来的にどうなるかは分からないが、涼介には気にせずサッカーで天下を取って欲しい。
だからここで、俺のことは断ち切ってもらう。
「…………分かった。俺は必ずプロに……いや、誰しもが憧れる世界的なサッカープレイヤーになってやる!」
「ああ、応援してるぜ」
吹っ切れたような表情の涼介に俺は頷き、ガッチリと握手を交わした。
会うことを躊躇っていた神上涼介。
しかし結果的に俺は会えて良かったと思っている。
あいつと会えたことで俺の中でも少し思うところが生まれた。
引っ張ってくれた桜川に感謝しないとだな。
涼介はグラウンドへと戻っていった。
「さて……早く戻らないと」
「あれ? 修斗じゃんか。なーにやってんだよこんなところで」
今度はちょうど正面玄関口から出てきた新之助に会った。
部活も何もやっていないのにまだ帰ってなかったのか。
「お前こそ何やってんだよ」
「俺か? しょーがねーな見せてやるよ俺の成果ってやつを」
そう言って新之助は自分の持っていた携帯の画面を俺に見せてきた。
そこには『妖怪GO!』というアプリの起動画面が映し出されていた。
「…………なんだこれ」
「はあ!? お前知らねーの最近話題のアプリ!!」
「ゲームなんかやらねーし」
携帯は所詮連絡を取り合うためだけのツールだろ。
「これは最新AR技術を用いたゲームでな、風景を携帯で写すと妖怪が画面上に映し出されるんだよ。それを捕獲するってやつだな」
「で、それをずっとやってたと?」
「おうよ! おかげで学校限定キャラのトイレの花子さんゲットだぜ!」
ニッコニコでガッツポーズをとる新之助を見て、俺の心がほっこりした。
やっぱこいつ面白いわ。
「なんかお前といると安心するな」
「お? なんだ急に褒めんじゃねえよ」
「何も悩み事とかなさそうな馬鹿っぷりがいい」
「喧嘩だてめぇ!」
新之助といて余計な心配事が起きたことが今まで一度もない。
まさにストレスフリー。
梨音だけじゃなく、今の高校生活が充実して楽しめるのは案外こいつの存在が大きかったりもするかもな。
「俺はまだ生徒会の仕事があるんだ。悪いけどまたな」
「何だ生徒会で残ってたのか。最近の生徒会はどうよ」
「ああ、委員会会議だの生徒会新聞で忙しそうにしてるよ。まだまだこれからやる事が多そうだな」
「違う違う、そうじゃなくて」
「は?」
「あんな美少女だらけの空間で、何か面白いことは起きてないのかって話だよ!」
なんだ下世話な方の話か。
相変わらず新之助はそういう話にはよく食いつく。
自分に似た話がないから、他の人の下世話な話に興味深々なのか? と考察してみる。
「残念ながらお前が喜ぶような話は何もねーよ」
「ということは修斗自身、何も起きてないってことか? ぷっ、むしろそっちの方が俺としてはご馳走です」
「は? 殺す」
その通りではあるが新之助に馬鹿にされると100倍ムカつく。
やっぱここらで1発シメとくのが正しいか。
「修斗」
俺が新之助の顔面に手を伸ばそうとした時、今度は正面玄関口に梨音が立っていた。
ちょっと顔がお怒りだ。
資料を取りに行ったまま全然帰ってこない上に、こんなところでアホの新之助とふざけていたのだから当然だろう。
たぶんこの後の流れとしては、俺が顔面クラッシャーされると思われる。
「じゃ、俺はこれにて失礼」
一目散に走り去って行った新之助。
空気を読む力はこんな時でも健在かこの野郎。
すぐに不穏な空気を察しやがった。
「こんなところで何してるの? 全然帰って来ないから心配になったんだけど」
「いやぁ…………ちょっと用事が」
「私の納得いく理由なんだよね? 佐川君と一緒にいたみたいだけど」
アイツは関係ないんだよなぁ……!
偶然会っただけで良く分からんアプリの話してただけだし。
そもそも最初から梨音に1発は叩かれる予定だったんだ。
素直に話した方が吉だよな。
「実は……ヴァリアブルの奴らがここに練習試合しに来てたんだよ。それで久しぶりに会うために……」
「そうなの? それだったら最初から言ってくれれば良いのに」
おや?
流れ変わったな。
「クラブ時代の人達だよね。ゆっくり話せた?」
「ああ。相変わらず良い奴だったよ」
「そっか……。修斗もいつか、サッカーできるようになるといいね」
これは叩かれずに済む奴か。
良かった良かった、どうやら俺の考えすぎだったみたいだ。
そもそも梨音がそんなことで怒ったりしないよな。
「それはそれとして、資料は?」
「………………ん?」
「ん? じゃなくて、資料。試合見に行くにしても先に図書室から持ってきてくれてるんでしょ?」
「………………ん?」
おや?
流れ変わったな。
ダラダラと冷や汗が止まらないぜ。
「まさか……まだ取りに行ってないとか言わないよね。もう図書室の利用時間、終わっちゃうんだけど」
「梨音、例えばの話をしよう。もしも、もしもまだ資料を取ってきてないって言ったらどうする?」
「砕く」
「どこを!?」
予定調和というべきか、俺は顔面をクラッシャーされた。
一番の強者は梨音なのかもしれない。
あなたにおすすめの小説
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。