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遅延新入生勧誘編
次元超越③
「描けましたよ」
「崇拝……!!」
「崇拝?」
梨音から渡された絵を見ながら新波先輩は感激のあまり涙を流していた。
その場の空気にいまいち乗り切れない俺は大鳥先輩に一言告げ、飲み物を買いに生徒会室を出た。
「あんまり先輩のああいう姿は見たくはなかった気もするな……」
誰しも夢中になれるものの一つや二つはあると思うが、度が過ぎれば若干引いてしまう。
それはもちろん俺にも言えたことだがな。
あの場は同類の梨音に任せて、落ち着いた頃に戻るとするか。
自販機に飲み物を買いに行く途中、奇遇にも弥守に会った。
もう17時近くなるというのにまだ残っていたのか。
ちょうどいい、赤坂コーチに俺のことを何故話したのか、その辺りを問いただすチャンスだ。
「弥守」
「修斗~! こんなところで会えるなんて奇遇ね! 生徒会の仕事は?」
「飲み物を買いに来た途中だよ。それよりも少し時間いいか?」
「なに、デートのお誘い? 修斗のためならいくらでも時間は───」
「赤坂コーチとこの前公園で会った。俺が普段そこでボールを蹴っていると話したのはお前だな?」
「そうよ」
弥守は何も悪びれることなく答えた。
むしろ会えて良かったとでも言いたげな顔だ。
「なんでそんなことをわざわざ」
「なんでって……そりゃあ赤坂さんが修斗にとってサッカーをやる上で重要な人だからよ」
「後をつけるような真似はやめてくれって、前にも言ったよな」
「それでどうだった? 赤坂さんと話して、修斗は何か刺激を受けた?」
俺の話は聞いちゃいねぇ。
最近の弥守はなんというか遠慮を知らなくなってきているな。
「俺の中でも気持ちは大きく揺らいだよ。サッカーを続けているヴァリアブルの奴らを見てサッカーに対する想いの強さを再認識させられたし、赤坂コーチは未だに俺の心配をしてくれていて、来年にはユースの指揮を執ることも聞いた。もし一緒にやれたら最高だろうな」
「なら───!」
「でも今の俺はサッカーがなくとも充実している毎日を過ごせている。足の怪我のせいでサッカーから離れられざるを得なくなったとも言えるが、前ほどサッカーに依存している環境ではないし、無理して復帰を目指そうと思っているほどではねーよ。まぁ将来的にサッカーができるようになればいいとは思っているけどな」
そう言って俺は気楽に笑った。
サッカーができないからと言って悲観するような時期はもう終わった。
前に弥守が優夜に対して話してくれたように、サッカー以外で俺を必要としてくれている人達がこの学校にはいる。
既に新しい生活様式に向けてシフトし始めたんだ。
そんな俺を肯定してくれた弥守ならもちろん俺の考えが伝わると思っていた。
しかし、現実の弥守の反応は俺が想像していたものとは大きく異なっていた。
「どうして……」
「え?」
「どうしてサッカーを続けないのよ!」
「み、弥守……?」
「全部全部全部全部全部!! 全部修斗のためにやってきたのに!! なんで上手くいかないの!? どうして修斗はサッカーを諦めるの!?」
顔を真っ赤にして地団駄を踏みながら今まで見せたことがないくらい取り乱す弥守に対して、俺は何も言えずにただ固まってしまっていた。
「修斗の失った戦意を取り戻すためにここまでしてきたのに……! あの修斗がサッカーをやらないなんて絶対間違ってる……!!」
「ここまでしてきたって……なんの話だよ」
「…………いいよ、全部話してあげる。修斗のために私がこれまでしてきたことを」
そう言って弥守が話し始めたのは、約半年前からのことだった。
「崇拝……!!」
「崇拝?」
梨音から渡された絵を見ながら新波先輩は感激のあまり涙を流していた。
その場の空気にいまいち乗り切れない俺は大鳥先輩に一言告げ、飲み物を買いに生徒会室を出た。
「あんまり先輩のああいう姿は見たくはなかった気もするな……」
誰しも夢中になれるものの一つや二つはあると思うが、度が過ぎれば若干引いてしまう。
それはもちろん俺にも言えたことだがな。
あの場は同類の梨音に任せて、落ち着いた頃に戻るとするか。
自販機に飲み物を買いに行く途中、奇遇にも弥守に会った。
もう17時近くなるというのにまだ残っていたのか。
ちょうどいい、赤坂コーチに俺のことを何故話したのか、その辺りを問いただすチャンスだ。
「弥守」
「修斗~! こんなところで会えるなんて奇遇ね! 生徒会の仕事は?」
「飲み物を買いに来た途中だよ。それよりも少し時間いいか?」
「なに、デートのお誘い? 修斗のためならいくらでも時間は───」
「赤坂コーチとこの前公園で会った。俺が普段そこでボールを蹴っていると話したのはお前だな?」
「そうよ」
弥守は何も悪びれることなく答えた。
むしろ会えて良かったとでも言いたげな顔だ。
「なんでそんなことをわざわざ」
「なんでって……そりゃあ赤坂さんが修斗にとってサッカーをやる上で重要な人だからよ」
「後をつけるような真似はやめてくれって、前にも言ったよな」
「それでどうだった? 赤坂さんと話して、修斗は何か刺激を受けた?」
俺の話は聞いちゃいねぇ。
最近の弥守はなんというか遠慮を知らなくなってきているな。
「俺の中でも気持ちは大きく揺らいだよ。サッカーを続けているヴァリアブルの奴らを見てサッカーに対する想いの強さを再認識させられたし、赤坂コーチは未だに俺の心配をしてくれていて、来年にはユースの指揮を執ることも聞いた。もし一緒にやれたら最高だろうな」
「なら───!」
「でも今の俺はサッカーがなくとも充実している毎日を過ごせている。足の怪我のせいでサッカーから離れられざるを得なくなったとも言えるが、前ほどサッカーに依存している環境ではないし、無理して復帰を目指そうと思っているほどではねーよ。まぁ将来的にサッカーができるようになればいいとは思っているけどな」
そう言って俺は気楽に笑った。
サッカーができないからと言って悲観するような時期はもう終わった。
前に弥守が優夜に対して話してくれたように、サッカー以外で俺を必要としてくれている人達がこの学校にはいる。
既に新しい生活様式に向けてシフトし始めたんだ。
そんな俺を肯定してくれた弥守ならもちろん俺の考えが伝わると思っていた。
しかし、現実の弥守の反応は俺が想像していたものとは大きく異なっていた。
「どうして……」
「え?」
「どうしてサッカーを続けないのよ!」
「み、弥守……?」
「全部全部全部全部全部!! 全部修斗のためにやってきたのに!! なんで上手くいかないの!? どうして修斗はサッカーを諦めるの!?」
顔を真っ赤にして地団駄を踏みながら今まで見せたことがないくらい取り乱す弥守に対して、俺は何も言えずにただ固まってしまっていた。
「修斗の失った戦意を取り戻すためにここまでしてきたのに……! あの修斗がサッカーをやらないなんて絶対間違ってる……!!」
「ここまでしてきたって……なんの話だよ」
「…………いいよ、全部話してあげる。修斗のために私がこれまでしてきたことを」
そう言って弥守が話し始めたのは、約半年前からのことだった。
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