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サマーバケーション勧誘編
海水浴場①
当日、家で梨音と待っていると白色の車に乗ってもっちーさんがやってきた。
「お待たせっすー。レンタカーで軽自動車借りてきました。小さめのボックスタイプっすけど2シーターじゃないんで安心してください」
「そんな心配してませんけど……」
誰が二人乗りの車で来ること心配するんだよ。
「おー望月ちゃん。悪いな梨音と修斗の面倒見てもらっちゃうみたいで」
繁おじさんも店の中から出てきて見送りに来てくれた。
「いやいやいーんすよ店長。私も家でゲームばっかりしてるわけにはいかないっすから。海行けるなんてリア充っぽいですし」
「ほらよこれ。俺とかーさんから」
そう言って繁おじさんは茶封筒をもっちーさんに渡した。
もっちーさんが首をかしげながら受け取り、中を覗くと慌てて封筒を押し返した。
「いらないっすよ店長! 悪いっす!」
「なーに言ってんだ望月ちゃん。運転してくれてるわけだし、ガソリン代とか高速代とかもかかるだろ? それぐらいは出してやるから」
「いやでもっすね…………」
「そんなに言うなら昼飯分とかにも回してくれていいからよ、楽しんできな」
「店長……! ありがとうございます!」
どうやら繁おじさんが渡したのは現金のようだ。
俺達を海まで運転してくれる分の手数料のようなもののようだ。
俺もそこまで気が回っていなかった。
よく考えればガソリン代もレンタカー代もタダじゃないもんな。
もし俺が車を運転できるような立場になったら、そういうところにも気が回せるようになろう。
「じゃあお父さん、行ってきます」
「おう、気をつけてな」
俺と梨音はもっちーさんの車に乗り込んだ。
俺が助手席で梨音が後部座席だ。
「次は駅に向かえばいいんすよね?」
「はい。友人が駅まで来てくれるので、そこで拾ってもらえれば」
駅に着くと前橋が荷物を抱えて立って待っていた。
窓を開けて前橋を呼んだ。
「前橋、ここだよ」
「高坂…………」
「後ろの席な」
前橋は頷き、後ろの扉を開けて梨音の隣に座った。
「いらっしゃい~、きい」
「うん。あの……今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくっす~。望月日夏って言います~」
「あ、えと、前橋きいです」
「きいちゃんっすね。私のことはもっちーで大丈夫っすよ」
「は、はい……」
ぎこちないながらもしっかり挨拶をする前橋。
神奈月先輩からはもっと見聞を広めるようにと言われている前橋だが、俺と初めて会った時と比べれば社交的になったと言えなくもない。
新之助から向こうも既に出発している旨の連絡が来た。
間に休憩を挟みつつ、他愛無い話をしながらおおよそ2時間ほど車を走らせたところで景色が一変する。
「うわー! すごーい!」
一面に広がるオーシャンビュー。
梨音が感嘆の声を上げながら携帯を取り出し写真を撮り始めた。
かくいう俺も心のシャッターを切り始める。
海を見たことはもちろんある。
ただ、それは飛行機に乗った時の上からの景色で、当時の俺にとってゆっくりと景色を眺めることなんてしたことがなかった。
登下校時の風景と同じで、意識して記憶に留める必要のないものであった。
だが今、こうして眼前に広がる海を見て俺は単純な言葉しか出てこない気持ちになる。
これがあれか、感動するってやつか。
「…………なんか俺、みんなが夏に海に行きたがる理由が分かった気がする」
「うんうん、やっと修斗も人並みの感想を言えるようになったね」
「そんな今まで人に心が無かったような言い方」
「にしても、さすがにもうそこそこ人いるっすねー。駐車場はまだ空いてるっぽいすけど」
誘導員の指示に従って駐車場に車を停めた俺達は、既に到着しているという新之助達と合流するために荷物を持ち、車から降りた。
日差しが強く、海で遊ぶにはなんとも最適な天気である。
そして独特の磯の香り。
こんなにもハッキリと分かるものなのかと驚いた。
「お待たせっすー。レンタカーで軽自動車借りてきました。小さめのボックスタイプっすけど2シーターじゃないんで安心してください」
「そんな心配してませんけど……」
誰が二人乗りの車で来ること心配するんだよ。
「おー望月ちゃん。悪いな梨音と修斗の面倒見てもらっちゃうみたいで」
繁おじさんも店の中から出てきて見送りに来てくれた。
「いやいやいーんすよ店長。私も家でゲームばっかりしてるわけにはいかないっすから。海行けるなんてリア充っぽいですし」
「ほらよこれ。俺とかーさんから」
そう言って繁おじさんは茶封筒をもっちーさんに渡した。
もっちーさんが首をかしげながら受け取り、中を覗くと慌てて封筒を押し返した。
「いらないっすよ店長! 悪いっす!」
「なーに言ってんだ望月ちゃん。運転してくれてるわけだし、ガソリン代とか高速代とかもかかるだろ? それぐらいは出してやるから」
「いやでもっすね…………」
「そんなに言うなら昼飯分とかにも回してくれていいからよ、楽しんできな」
「店長……! ありがとうございます!」
どうやら繁おじさんが渡したのは現金のようだ。
俺達を海まで運転してくれる分の手数料のようなもののようだ。
俺もそこまで気が回っていなかった。
よく考えればガソリン代もレンタカー代もタダじゃないもんな。
もし俺が車を運転できるような立場になったら、そういうところにも気が回せるようになろう。
「じゃあお父さん、行ってきます」
「おう、気をつけてな」
俺と梨音はもっちーさんの車に乗り込んだ。
俺が助手席で梨音が後部座席だ。
「次は駅に向かえばいいんすよね?」
「はい。友人が駅まで来てくれるので、そこで拾ってもらえれば」
駅に着くと前橋が荷物を抱えて立って待っていた。
窓を開けて前橋を呼んだ。
「前橋、ここだよ」
「高坂…………」
「後ろの席な」
前橋は頷き、後ろの扉を開けて梨音の隣に座った。
「いらっしゃい~、きい」
「うん。あの……今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくっす~。望月日夏って言います~」
「あ、えと、前橋きいです」
「きいちゃんっすね。私のことはもっちーで大丈夫っすよ」
「は、はい……」
ぎこちないながらもしっかり挨拶をする前橋。
神奈月先輩からはもっと見聞を広めるようにと言われている前橋だが、俺と初めて会った時と比べれば社交的になったと言えなくもない。
新之助から向こうも既に出発している旨の連絡が来た。
間に休憩を挟みつつ、他愛無い話をしながらおおよそ2時間ほど車を走らせたところで景色が一変する。
「うわー! すごーい!」
一面に広がるオーシャンビュー。
梨音が感嘆の声を上げながら携帯を取り出し写真を撮り始めた。
かくいう俺も心のシャッターを切り始める。
海を見たことはもちろんある。
ただ、それは飛行機に乗った時の上からの景色で、当時の俺にとってゆっくりと景色を眺めることなんてしたことがなかった。
登下校時の風景と同じで、意識して記憶に留める必要のないものであった。
だが今、こうして眼前に広がる海を見て俺は単純な言葉しか出てこない気持ちになる。
これがあれか、感動するってやつか。
「…………なんか俺、みんなが夏に海に行きたがる理由が分かった気がする」
「うんうん、やっと修斗も人並みの感想を言えるようになったね」
「そんな今まで人に心が無かったような言い方」
「にしても、さすがにもうそこそこ人いるっすねー。駐車場はまだ空いてるっぽいすけど」
誘導員の指示に従って駐車場に車を停めた俺達は、既に到着しているという新之助達と合流するために荷物を持ち、車から降りた。
日差しが強く、海で遊ぶにはなんとも最適な天気である。
そして独特の磯の香り。
こんなにもハッキリと分かるものなのかと驚いた。
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