146 / 203
サマーバケーション勧誘編
真剣勝負③
「finalステージでは狙って頂く的は一つだけです」
案内人の言葉と同時に掛けられていた幕が下ろされた。
そこにあったのは小さな的が一つだけ。
ゴールの中央で1番と書かれた的は、ド派手な金色で輝いていた。
「あちらの的は直径にして約50cmほど。その大きさはボール二つ分に相当します。あちらの的を、2ndステージと同じ距離の位置から狙って頂きます」
今までの的よりも遥かに小さく、ペナルティエリアの枠から立って指で輪っかを作ればピッタリフィットな大きさだ。
確かに1st、2ndと比べればシンプルだが難易度は上がっている。
だが…………。
「この程度、今までと何も変わんねえよ」
熊埜御堂の呟きに、俺も少なからず同感だった。
決められた位置にボールを蹴り込むだけならば、的の大きさは俺達にとって障害にはならない。
キーパーと壁を置いてゴールを決めろと言われる方がまだ難しいかもしれない。
「finalステージでは交互にボールを蹴っていただき、先に的に当てた人の勝ちとなります。持ち球は一人10球。もしも5球打っても両者当たらない場合は、救済措置として1stステージと同じ距離から挑戦していただきます」
救済措置ねぇ……。
下手すれば1球で終わるかもしれないのにか。
「その程度か、と落胆しているお二人、安心してください」
別に落胆はしてねーよ。
どこの裸芸人だ。
パンツ履いてるアピールか。
「実はもう一つギミックがあります。あちらのレール、気になっていたでしょう」
いやまぁ気にはなっていたけども。
ゴール前に敷かれたレールと、端に寄せられて幕が掛けられている謎の物体。
いつ紹介されるのかと思ってました。
「こちらもご覧ください」
そう言って下ろされた幕の中から出てきたのは、的と同じ大きさの穴が空いた壁だった。
それを見た瞬間、すぐにその意図が理解できた。
なるほどそういうことか。
ともすれば確かに厄介だ。
「こちらの壁がレールの上を左右に動きます。そしてちょうど的と重なる瞬間、そこを狙って打ち抜いてください」
要は、ただ精度を求められるわけではなく、タイミングも求められるらしい。
以前、テレビでも似たようなことをやっていたのをキックターゲットを調べる際に動画で見た。
それは走行するバスの窓を通り抜けて的を狙うというものだった。
それを当てていたのは流石に興奮したものだ。
まさか同じようなものに挑戦できるとは。
「順番はどうされますか? 本来は成績順にしようと思っていたのですが…………」
「俺が先に蹴る」
そう言って熊埜御堂が立候補した。
俺はどちらでも良かったので、順番はそのまま熊埜御堂先行、俺が後攻となった。
すぐに熊埜御堂がボールをセットし、挑戦する体勢を整えた。
俺は待機エリアまで下がり、レールに設置された壁が左右に動き始めるのを眺めた。
意外にも動きはそれほど速くない。
早歩きと同じくらいか。
『ついに勝負はfinalステージ! 挑戦するのはここまで異例のオールパーフェクトを叩き出している二人、熊埜御堂将太朗選手と高坂修斗選手! ユース界隈では世間を賑やかせているヴァリアブル世代と呼ばれる熊埜御堂選手と、その中心にいたと評される高坂選手の一騎打ち! いやー上尾さん、残るべくして残った二人ということになりますねぇ』
『私個人としては高坂選手がここまで圧倒的な結果を残してくれていることに驚きを隠せませんね。怪我でサッカーから離れていたのだとしたら、今後は当時のようにヴァリアブル世代として日本サッカーの将来を担っていける立場になれるかもしれないということですから。非常に楽しみです』
『私も今後は彼のことを追ってみようと思います!』
いや、今後はどうなるか分からないんで俺は。
『さて、finalステージはこれまでとは難易度がグンと上がっています。直径50cmの的を、左右に動いて妨害する壁に空いた穴を通しながら狙わなければならないというものです。これを交互に挑戦し、先に的を抜いた者の勝ちとなります』
『…………この二人でも流石に無理なんじゃないですか?』
『スタッフさん達はここまでしたのに、熊埜御堂選手や高坂選手ならすぐに決めてしまいそうだと震えてましたよ』
『ここまで大掛かりなセットを作ったのに、1発で決められでもしたら泣くでしょうね』
ドッと会場で笑い声が上がった。
『…………さあ、どうやら熊埜御堂選手の準備は万端のようです。それでは挑戦していただきましょう。finalステージです!!』
案内人の言葉と同時に掛けられていた幕が下ろされた。
そこにあったのは小さな的が一つだけ。
ゴールの中央で1番と書かれた的は、ド派手な金色で輝いていた。
「あちらの的は直径にして約50cmほど。その大きさはボール二つ分に相当します。あちらの的を、2ndステージと同じ距離の位置から狙って頂きます」
今までの的よりも遥かに小さく、ペナルティエリアの枠から立って指で輪っかを作ればピッタリフィットな大きさだ。
確かに1st、2ndと比べればシンプルだが難易度は上がっている。
だが…………。
「この程度、今までと何も変わんねえよ」
熊埜御堂の呟きに、俺も少なからず同感だった。
決められた位置にボールを蹴り込むだけならば、的の大きさは俺達にとって障害にはならない。
キーパーと壁を置いてゴールを決めろと言われる方がまだ難しいかもしれない。
「finalステージでは交互にボールを蹴っていただき、先に的に当てた人の勝ちとなります。持ち球は一人10球。もしも5球打っても両者当たらない場合は、救済措置として1stステージと同じ距離から挑戦していただきます」
救済措置ねぇ……。
下手すれば1球で終わるかもしれないのにか。
「その程度か、と落胆しているお二人、安心してください」
別に落胆はしてねーよ。
どこの裸芸人だ。
パンツ履いてるアピールか。
「実はもう一つギミックがあります。あちらのレール、気になっていたでしょう」
いやまぁ気にはなっていたけども。
ゴール前に敷かれたレールと、端に寄せられて幕が掛けられている謎の物体。
いつ紹介されるのかと思ってました。
「こちらもご覧ください」
そう言って下ろされた幕の中から出てきたのは、的と同じ大きさの穴が空いた壁だった。
それを見た瞬間、すぐにその意図が理解できた。
なるほどそういうことか。
ともすれば確かに厄介だ。
「こちらの壁がレールの上を左右に動きます。そしてちょうど的と重なる瞬間、そこを狙って打ち抜いてください」
要は、ただ精度を求められるわけではなく、タイミングも求められるらしい。
以前、テレビでも似たようなことをやっていたのをキックターゲットを調べる際に動画で見た。
それは走行するバスの窓を通り抜けて的を狙うというものだった。
それを当てていたのは流石に興奮したものだ。
まさか同じようなものに挑戦できるとは。
「順番はどうされますか? 本来は成績順にしようと思っていたのですが…………」
「俺が先に蹴る」
そう言って熊埜御堂が立候補した。
俺はどちらでも良かったので、順番はそのまま熊埜御堂先行、俺が後攻となった。
すぐに熊埜御堂がボールをセットし、挑戦する体勢を整えた。
俺は待機エリアまで下がり、レールに設置された壁が左右に動き始めるのを眺めた。
意外にも動きはそれほど速くない。
早歩きと同じくらいか。
『ついに勝負はfinalステージ! 挑戦するのはここまで異例のオールパーフェクトを叩き出している二人、熊埜御堂将太朗選手と高坂修斗選手! ユース界隈では世間を賑やかせているヴァリアブル世代と呼ばれる熊埜御堂選手と、その中心にいたと評される高坂選手の一騎打ち! いやー上尾さん、残るべくして残った二人ということになりますねぇ』
『私個人としては高坂選手がここまで圧倒的な結果を残してくれていることに驚きを隠せませんね。怪我でサッカーから離れていたのだとしたら、今後は当時のようにヴァリアブル世代として日本サッカーの将来を担っていける立場になれるかもしれないということですから。非常に楽しみです』
『私も今後は彼のことを追ってみようと思います!』
いや、今後はどうなるか分からないんで俺は。
『さて、finalステージはこれまでとは難易度がグンと上がっています。直径50cmの的を、左右に動いて妨害する壁に空いた穴を通しながら狙わなければならないというものです。これを交互に挑戦し、先に的を抜いた者の勝ちとなります』
『…………この二人でも流石に無理なんじゃないですか?』
『スタッフさん達はここまでしたのに、熊埜御堂選手や高坂選手ならすぐに決めてしまいそうだと震えてましたよ』
『ここまで大掛かりなセットを作ったのに、1発で決められでもしたら泣くでしょうね』
ドッと会場で笑い声が上がった。
『…………さあ、どうやら熊埜御堂選手の準備は万端のようです。それでは挑戦していただきましょう。finalステージです!!』
あなたにおすすめの小説
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。