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文化祭勧誘編
田舎出身⑦
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ヴァリアブルが攻めあぐねている状況で、少しでも早く点を取りたいグレイブだが、同じように攻撃に厚みを持たせられない状態だった。
確かに守備の練度は高いが、それでもヴァリアブルのDF陣を上回るほどの攻撃力は無いようだ。
ヴァリアブルも攻めの際のパスミスはするが、守りでの致命的なミスは起こしていない。両者共に攻めあぐねていた。
後半、時間を置いたことで何かしらの指示があったのか、ヴァリアブルが動いた。
選手を1人交代させ、FWの枚数を一枚増やしたのだ。入ってきたのは2年の藤宮樹。
攻め方は変わらないのだが、ボールをサイドいっぱいまで広げ始めた。
そしてその動きに合わせるように、グレイブのWBが釣られて前に出たところのスペースを安達が走り込む。
そのマークのためにCBがズレていき…………というように相手のDFを動かし始めた。
そうすることで生まれたスペース、そこを支配していきシュートコースをこじ開けるという算段だ。
このやり方なら、無策にサイドから仕掛けてクロスをあげるよりも今のヴァリアブルには得点の匂いがするだろう。
ペナルティエリア手前までボールが回り、トップ下の翔平にボールが渡った。
その瞬間、大石弟がボールをインターセプトした。
一瞬マークが外れたがためにパスが回ってきたのだが、それはわざと外したように見せただけか。
もしかして意外と策士なのか? 大石弟。
すぐさまヴァリアブルがプレスに寄せにくるが、大石弟は最前線に向けて大きくクリアをした。
いや……クリアじゃないな。
最終ラインにいる陽翔とグレイブのFWが並走してボールを追っている。狙ったスルーパスだ。
FWの選手が先に触り、体を寄せられながらもペナルティエリア付近からシュートを放ち、ボールはポスト脇を逸れていった。
残念ながらゴールとはならなかったようだ。
「うっわぁ、惜しいべ今の」
「いいカウンターでしたね」
「かうんたー? って言うんだねぇ」
大石弟が起点になったいい攻撃だ。
躊躇いなくFWが走っていたのを見るに、今のは予定されていた攻撃の一つってところか。
ともあれ試合が始まってから両チーム含めて初めて得点の匂いがしたシーンだ。
ヴァリアブルは赤坂コーチがやりたいことを実践しているのは分かるが、足元の技術が追いついていないように見える。
流石にまだジュニアユースだからかもな。
(とかいう俺も去年までは同じ立ち位置だったわけだけど)
その後、ヴァリアブルはトライアンドエラーによる攻撃の内の一つが成功し、安達から樹へのクロスで点を決めることができた。
ボールポゼッションもヴァリアブルが高く、一見して優勢に見えていたのはヴァリアブルだったが、そのほとんどは持たされていただけで戦術としてはグレイブが機能していただけにこの失点は悔しいものだろう。
結果、1ー0でヴァリアブルジュニアユースが勝利することとなった。
「惜しかったねぇ」
「良い形で封じ込めてはいたんですけどね、グレイブ側は攻撃に変化をもたらせるキーマンが足りませんでしたね」
「?? そうかぁ」
あんまりよく分かってなさそう。
純真な笑顔は輝いてるんだけど。
「ちょっとヴァリアブルの方に顔出してきますね。少ししたら戻ってきますので」
「はーい」
俺は観客席からヴァリアブル側のベンチ近くに移動した。
勝てた割には少し顔が暗いか。
あんまり良いプレーが出来なかったからかな。
「この後は試合のフィードバックをするからな。汗の処理はちゃんとしておけよ」
赤坂コーチが選手に指揮を取っているのを見て、俺は観客席の上から声を掛けた。
「赤坂コーチ」
「ん? …………おお!? 高坂じゃないか! 久しぶりだな、今度は俺が驚かされたよ。試合見に来てくれてたのか?」
「ええ、向こうのグレイブに知り合いがいまして。ついでに顔を出そうかなと」
「えっ…………修斗さんじゃないっすか」
「うわほんとだ!! 修斗さーん!! 久しぶりー!!」
俺に気付いた2、3年生が一斉に寄ってきた。
俺がいなくなってから1年経つのに覚えててくれてるとは。
2年生に至っては夏にいなくなってるのに。
「修斗さん足は大丈夫なんすか?」
安達が聞いてきた。
「それなりにな。それより安達、お前今日ダメダメだな」
「相手の守備がかてーんすもん! つーか修斗さん、なんで相変わらず俺は苗字呼びなんすかー!」
「だってお前の名前、相手にボール渡すみたいで嫌なんだよ」
「人の名前なのにヒデーっす!」
貢だもん。
申し訳ないがプレー中に呼びたくないです。
確かに守備の練度は高いが、それでもヴァリアブルのDF陣を上回るほどの攻撃力は無いようだ。
ヴァリアブルも攻めの際のパスミスはするが、守りでの致命的なミスは起こしていない。両者共に攻めあぐねていた。
後半、時間を置いたことで何かしらの指示があったのか、ヴァリアブルが動いた。
選手を1人交代させ、FWの枚数を一枚増やしたのだ。入ってきたのは2年の藤宮樹。
攻め方は変わらないのだが、ボールをサイドいっぱいまで広げ始めた。
そしてその動きに合わせるように、グレイブのWBが釣られて前に出たところのスペースを安達が走り込む。
そのマークのためにCBがズレていき…………というように相手のDFを動かし始めた。
そうすることで生まれたスペース、そこを支配していきシュートコースをこじ開けるという算段だ。
このやり方なら、無策にサイドから仕掛けてクロスをあげるよりも今のヴァリアブルには得点の匂いがするだろう。
ペナルティエリア手前までボールが回り、トップ下の翔平にボールが渡った。
その瞬間、大石弟がボールをインターセプトした。
一瞬マークが外れたがためにパスが回ってきたのだが、それはわざと外したように見せただけか。
もしかして意外と策士なのか? 大石弟。
すぐさまヴァリアブルがプレスに寄せにくるが、大石弟は最前線に向けて大きくクリアをした。
いや……クリアじゃないな。
最終ラインにいる陽翔とグレイブのFWが並走してボールを追っている。狙ったスルーパスだ。
FWの選手が先に触り、体を寄せられながらもペナルティエリア付近からシュートを放ち、ボールはポスト脇を逸れていった。
残念ながらゴールとはならなかったようだ。
「うっわぁ、惜しいべ今の」
「いいカウンターでしたね」
「かうんたー? って言うんだねぇ」
大石弟が起点になったいい攻撃だ。
躊躇いなくFWが走っていたのを見るに、今のは予定されていた攻撃の一つってところか。
ともあれ試合が始まってから両チーム含めて初めて得点の匂いがしたシーンだ。
ヴァリアブルは赤坂コーチがやりたいことを実践しているのは分かるが、足元の技術が追いついていないように見える。
流石にまだジュニアユースだからかもな。
(とかいう俺も去年までは同じ立ち位置だったわけだけど)
その後、ヴァリアブルはトライアンドエラーによる攻撃の内の一つが成功し、安達から樹へのクロスで点を決めることができた。
ボールポゼッションもヴァリアブルが高く、一見して優勢に見えていたのはヴァリアブルだったが、そのほとんどは持たされていただけで戦術としてはグレイブが機能していただけにこの失点は悔しいものだろう。
結果、1ー0でヴァリアブルジュニアユースが勝利することとなった。
「惜しかったねぇ」
「良い形で封じ込めてはいたんですけどね、グレイブ側は攻撃に変化をもたらせるキーマンが足りませんでしたね」
「?? そうかぁ」
あんまりよく分かってなさそう。
純真な笑顔は輝いてるんだけど。
「ちょっとヴァリアブルの方に顔出してきますね。少ししたら戻ってきますので」
「はーい」
俺は観客席からヴァリアブル側のベンチ近くに移動した。
勝てた割には少し顔が暗いか。
あんまり良いプレーが出来なかったからかな。
「この後は試合のフィードバックをするからな。汗の処理はちゃんとしておけよ」
赤坂コーチが選手に指揮を取っているのを見て、俺は観客席の上から声を掛けた。
「赤坂コーチ」
「ん? …………おお!? 高坂じゃないか! 久しぶりだな、今度は俺が驚かされたよ。試合見に来てくれてたのか?」
「ええ、向こうのグレイブに知り合いがいまして。ついでに顔を出そうかなと」
「えっ…………修斗さんじゃないっすか」
「うわほんとだ!! 修斗さーん!! 久しぶりー!!」
俺に気付いた2、3年生が一斉に寄ってきた。
俺がいなくなってから1年経つのに覚えててくれてるとは。
2年生に至っては夏にいなくなってるのに。
「修斗さん足は大丈夫なんすか?」
安達が聞いてきた。
「それなりにな。それより安達、お前今日ダメダメだな」
「相手の守備がかてーんすもん! つーか修斗さん、なんで相変わらず俺は苗字呼びなんすかー!」
「だってお前の名前、相手にボール渡すみたいで嫌なんだよ」
「人の名前なのにヒデーっす!」
貢だもん。
申し訳ないがプレー中に呼びたくないです。
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