怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
166 / 203
文化祭勧誘編

OB目線②

 周りを見ると1、2年生のヴァリアブルの選手の多くが残っていた。
 中には見に来ていた親と既に帰ってしまった人もいたが、それでもまだ半分以上も残っている。
 それに合わせて、大石さんの他にもこのミニゲームを見ている人達が観客席にはたくさんいた。
 中には当時、話をしたことのある親御さん達もいる。
 久しぶりの俺を見定めているのかあるいは───。

「怪我の無いようにな」

「はい」

 赤坂コーチにそう言われたが、それについてこの中で一番理解しているのは俺だろう。
 怪我だけは絶対にしてはならない。

 俺達は赤色のビブスを着て、向こうは黄色のビブスを着て配置についた。

「それでは……キックオフ」

 上空に蹴られたボールを即座に安達とアツが奪い取ろうと競り合った。
 上手く体を入れ込んだ安達が落ちてきたボールを足元でトラップし、忠姫にパスをした。
 そのままアツがプレッシングをかけるが、パスを回すようにして繋いできた。
 特に指定されていなくても多くても3タッチ以内にパスを回してきている。
 そもそものヴァリアブルの攻撃スタイルがショートパスによる素早いカウンターなので、短い距離感でのパス回しができなければベンチ入りすることすら出来ない。
 この程度のことが出来なくては話にならないのだ。

「ひらやん、中に向かせずに外に逃がせ。義助は───」

「縦のカバーっすよね!」

 俺が指示するよりも早く義助が動いていた。
 この守備意識の高さは驚いたな。

 ボールを持っていた優太がそれを見て一度バックラインに戻した。
 そこで瞬時に逆サイドで浮いていた健太に出すか、2対1を突破できる実力があれば感心ものだったけどさすがにそれは無理か。

 ボールが安達に渡った。

「みんなこんなチャンス滅多にないんだぜ? だったらやることは一つでしょ」

 安達がギアを上げて俺に向かってきた。

「修斗さん、尋常に勝~負!!」

「それでこそFWだぜ」

 重心を落として体を少し半身にする。
 左足を後ろにタイミングを見計らいながらステップをする。
 安達がスピードに乗った状態でボールを少し右に寄せた。
 左にカットか縦にスピードか。安達が得意なのは縦にスピードのはずだ───。

「はっ!」

 予測とは外れて安達は左にカットした。
 俺が知っている情報は既に1年前のもの、予測が外れるのは無理もない。
 だから意識をカットにも残していて正解だった。
 一瞬崩された体勢をすぐに戻し、残していた左足を使い、足裏でボールを奪取した。

「うっそ!?」

「甘いな!」

 本来であればそのままボールを前線に運ぶ。
 だが俺にはダイレクトタッチのみの制限があるため、もうボールに触ることはできない。
 なので誰かが取りに来るまでキープしなければならない。

「返せ修斗さん!」

「やなこった」

 安達がすぐに取りにきたが、体をボールとの間に入れ込んで防いだ。
 思ったよりも衝撃があって倒れそうになる。
 中三とは言ってもヴァリアブルジュニアユースのエースを張っている奴だ、フィジカルが普通じゃない。

「成長してるな、お前」

「修斗さん相手とは言え、怪我明けの人にタコられたら立つ瀬がないんで!」

 緋月がすぐに俺のボールを拾っていった。
 アツとのワンツーで忠姫をかわし、健太に体を当てられるもそのままボールを運んだ。
 ゴール前に優太がいるが、さらにアツとのワンツーを狙った。しかし、パスボールが少し伸びてしまい、アツがダイレクトでパスを出すことができず、その隙をつかれて忠姫にボールをカットされてしまった。

 ボールは簡易タッチラインを超えてしまった。
 とりあえずはマイボールだ。

「わりぃ、パスミスった」

「シュートでも良かったぜ今のは」

「ゴロだと止められそうだったから確実な方取ったんだよ」

「アツ、緋月、形は良かったぞ。次はミス無く行こう」

「はい、修斗さん」

 ヴァリアブルのメンバー同士のコンビネーションに問題はなさそうだ。
 ともすれば、あとは義助がどこまで合わせられるかってところだが…………。

「てめっ、ミニゲームまで俺にくっついてくるんじゃねーよ!!」

「さっきリベンジするって言ってたすけ、だから俺にマークつけってことじゃないんすかー?」

「ちっげーよ!」

 またやってるよあそこ……。
 義助は完全に守備の人間だな。
 逆によくもまぁあそこまで徹底して守備したがるもんだよ。
 点を取りたい俺にはいまいち分からん。賢治とかと気が合うんじゃないか?
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。