37 / 47
35・廊下がやけに長い件1
しおりを挟む
私が寒気を感じたのは己の存在の特異さについてであり、会場での事を思い出したからではないのだが、明日は神殿に戻らねばならない事もあるので、この機に乗じて今日はもう休ませていただく事にした。
またタイミングよく、客間の用意が整ったとメイドが呼びにきて、
「じゃあ、ついでだからヴァーナが、バアル様を御案内して差し上げて。
バアル様、本日はありがとうございました。」
と父が深夜のお茶会の終了を告げたのも手伝って。
急なこととはいえ一晩休むだけの支度にこんなに時間がかかったのは、客間のひとつひとつにバスタブと浴室がついていて、お湯をためるのに時間が必要だったからだ。
うちは平民ではあっても一応大商人のおうちなので使用人の質はたいそう良く、普段使っていない部屋だからとて、普段からの掃除を怠るなんてことはあり得ないのだ。えへん。
ちなみに前世でいうシャワー的な魔道具はない……というか、現在うちの商会で開発中の段階だそうだ。
勿論これも、以前私が何げなく『こういうのあるといいのに』という呟きを拾ったメルクールの発案である。
ゴローエンドのヒロインは、彼と結婚した後『この世界を楽しくする』をライフワークに、2人で世界を旅してまわる生活になってた筈だけど、この時空でもしマリエルがメルクールを射止めていたなら、欲しいものや必要なものを全て与えて、逆におうちから一歩も出なくていいくらいのレベルにまで囲い込むのかもしれない。
将来メルクールのお嫁さんになる人は、性格によってはその愛の重さに苦労しそうだ。
……まあ、そんな事は今はいいか。
「では本日はこちらでお休みになってくださいませ、バアル様。」
メイドから指示された客間のドアの前でそこを示すと、バアル様が軽く頭を下げた。
「かたじけない。……ヴァーナ殿。」
「はい?」
そのまま一礼して去ろうとしたら名を呼ばれ、反射的に高い位置にあるその顔を見上げる。
「……貴女はこれから、己が望む望まずを問わず、嫌でも『聖女』として注目を集める事になる。
不自由に思うことも多々あろうかと存じます。」
「………バアル様?」
その焦げ茶色の瞳が、ひどく真剣な色を帯びていて、先ほど肩に触れた手の温もりを不意に思い出し、今更ドキリとした。
「幸いにして、というべきかは判らないが、私にも経験のあること。
どこまで力になれるかは判りませぬが、叶う限り貴女の心に添いたく思います。
……もし何か困ったことがあるようならば、誰よりも先に、どうぞ私を頼って下さい。」
……そうだった。
『英雄バアル』は、他者視点から見れば明らかに自己評価が低い。
それは肝心な時に王子を守れなかった自責の念もあるが、それとは別に自身が『英雄』と呼ばれる事に納得していないという理由もあった。
故に、ゲームでは一躍『託宣の勇者』として国の運命を背負わされたファルコに、かつての自分を重ねて協力を願い出る。
…それが今回は、『聖女』などと大層な二つ名を付けられた私になったということか。ならば。
「……ならばひとつ、お願いがあるのです。バアル様。」
あちらから言ってくれたのを幸いと私が切り出すと、バアル様は一瞬だけ目を瞠いた。
「早速頼っていただけるのは嬉しい限り。
して、それはどのような?」
が、すぐに余裕の笑みを唇に浮かべ、問い返してくる。
若干心臓にくるのを必死に抑えて、私は一旦深呼吸をしてから、バアル様の瞳を見返して、言った。
「バアル様が騎士教官の職務に入るのは、明日からとうかがいました。
その授業に、うちのファルコを混ぜて欲しいのです。」
…私も明日から神殿の業務に戻る。
そして勇者育成期間もそこからスタートする。
ゲームの流れでは、本格的な育成が始まって最初の時期、協力者が全員揃わないうちは、『ファルコの近衛騎士』であるバアルの教えを必ず受ける事になる。
状況に多少のズレはあるが、現段階でこれがベストの筈だ。
「ファルコ殿を?」
「はい。まだ大々的に公表する段階ではありませんが、御存知の通り彼は、大神官様が『救国の勇者となる』と託宣を受けた者。
神殿の中だけで教育するのも限界があります。」
…ディーナの家庭教師の時間に、一緒に勉強させて貰っている間、ファルコの教育をどう進めていくか、私なりに真剣に考えていた。
ゲームならばカーソルを当ててボタンで選択すれば良かったが、これは現実だからそれでは済まない。
リセットも効かない現実に、失敗は許されないのだから。
「いっそ父に後見させて、王立学院に入れることも考えましたが、あの子は聡い子ですがまだまだ世間を知りませんので、いきなり知らない人間しか居ない中に放り込むのは、ハードルが高いかと思うのです。
バアル様にお任せできるのであれば、これ以上の教育環境は他にないかと思いまして。」
託宣が与えられた以上、ファルコの育成はこの世界に与えられた使命と言っていい。
ゲームの攻略対象は即ちその協力者達でもある。
だが実際にはだいたい私のせいで、ヒロインは勇者ブースターと共に早々にストーリー離脱して、更に、協力者がひとり王都を去っている。
しかも最初からの協力者は激しくポンコツ化して頼りになりそうにないし、その分うちの弟がゲームより明らかに有能になっているものの、ゴローの正体を知らなかったマリエルならまだしも、姉として彼が多忙である事を知っている私が、そう度々弟に協力を仰ぐわけにもいくまい。
いや本当に困ったときは頼るに決まってるけど!
つまり言い方は悪いが、ヒロインより明らかに手駒の少ないハードモードで、私はこの試練をクリアしなければならないのだ。
勇者ブースターであるアドラーの離脱がこうなると痛い。
バアル様が騎士教官となられたことは、多分この状況においては好都合の筈。
ゲームの育成パートならば、システム上の都合で一週間にひとつのカリキュラムしか選べないが、近衛騎士見習い達に混じって王宮の騎士養成教室で学ぶことができれば、一週間でひと通りの授業を受けることができる。
ちなみに神殿所属の神聖騎士団にはこういう制度はない。
ダリオが騎士団入りした時は国中から志願者を一斉募集した時だったので、近衛騎士団の制度を真似た養成教室が一時的に設けられていたそうだが現在はそれも行われておらず、2年に1人くらいの割合で入ってくる騎士見習いは、神官見習いと同じ修行をしながら、先輩騎士達に教えを乞う形になる。
今のファルコも大体は同じような感じで、王宮の騎士団に比べて神聖騎士団全体の規律が割とふわっとしてしまっているのはこのせいじゃないかと思ってる。
ファルコがあちらで勉強して騎士らしい品格を身につけていけば、こちらの騎士団も変わっていくかも…という思いもある。
私も、なし崩しに職務に忙殺されて婚期を逃したという気持ちはあるものの、娘時代から10年を過ごしてきた神殿に対して、まったく愛着がないわけではないのだ。
私がこの先、どれほどの時間をあそこに縛られる事になるかは知らないが、その間になんらかのいい影響を与えられればいい、くらいのことは思っている。
「勿論特別扱いは要りませんし、送り迎えも不要ですわ。
許可していただければ、毎日歩いて通わせます。
それも日々の修行のひとつですもの。
……駄目でしょうか?」
最初の2、3日は迷子にならないよう、誰かが同行しなければならないだろうが、ファルコは基本賢い子なので道はすぐに覚える筈。
というか、王宮奪還の時と王女婿の葬儀の時の2回、私と一緒に王宮へは行っているから、もう覚えてしまっているかもしれないし。
バアル様は私の話を黙って聞いていたが、私が話し終えたのを確認してから、ひとつ頷いて口を開いた。
「…それはむしろ、こちらから願いたき事です。
お会いしたのはあの時一度限りのことであったが、どこか懐かしい空気を、かの御仁から感じました故。」
…それは恐らく、ファルコの正体に起因するものだろう。
そういった気持ちを、バアルがファルコに抱いている描写はなかった筈だが、ゲーム時空においてのバアルの心理にも、このような感情があったのかもしれない。
「まして他ならぬ貴女の頼みなれば、このバアル・イルージオ、喜んでお引き受け致します。
改めて我が剣と忠誠を……」
「そういうのはいいですありがとうございます!
それではおやすみなさいバアル様!!」
「我が愛しの女神、良い夢を。」
ただでさえ心臓にくる声が甘い言葉を紡ぐのをこれ以上聞いていられず、私は一礼してその場を、逃げるように立ち去った。
背中から渋い忍び笑いが聞こえたのは、気のせいという事にしておく。
またタイミングよく、客間の用意が整ったとメイドが呼びにきて、
「じゃあ、ついでだからヴァーナが、バアル様を御案内して差し上げて。
バアル様、本日はありがとうございました。」
と父が深夜のお茶会の終了を告げたのも手伝って。
急なこととはいえ一晩休むだけの支度にこんなに時間がかかったのは、客間のひとつひとつにバスタブと浴室がついていて、お湯をためるのに時間が必要だったからだ。
うちは平民ではあっても一応大商人のおうちなので使用人の質はたいそう良く、普段使っていない部屋だからとて、普段からの掃除を怠るなんてことはあり得ないのだ。えへん。
ちなみに前世でいうシャワー的な魔道具はない……というか、現在うちの商会で開発中の段階だそうだ。
勿論これも、以前私が何げなく『こういうのあるといいのに』という呟きを拾ったメルクールの発案である。
ゴローエンドのヒロインは、彼と結婚した後『この世界を楽しくする』をライフワークに、2人で世界を旅してまわる生活になってた筈だけど、この時空でもしマリエルがメルクールを射止めていたなら、欲しいものや必要なものを全て与えて、逆におうちから一歩も出なくていいくらいのレベルにまで囲い込むのかもしれない。
将来メルクールのお嫁さんになる人は、性格によってはその愛の重さに苦労しそうだ。
……まあ、そんな事は今はいいか。
「では本日はこちらでお休みになってくださいませ、バアル様。」
メイドから指示された客間のドアの前でそこを示すと、バアル様が軽く頭を下げた。
「かたじけない。……ヴァーナ殿。」
「はい?」
そのまま一礼して去ろうとしたら名を呼ばれ、反射的に高い位置にあるその顔を見上げる。
「……貴女はこれから、己が望む望まずを問わず、嫌でも『聖女』として注目を集める事になる。
不自由に思うことも多々あろうかと存じます。」
「………バアル様?」
その焦げ茶色の瞳が、ひどく真剣な色を帯びていて、先ほど肩に触れた手の温もりを不意に思い出し、今更ドキリとした。
「幸いにして、というべきかは判らないが、私にも経験のあること。
どこまで力になれるかは判りませぬが、叶う限り貴女の心に添いたく思います。
……もし何か困ったことがあるようならば、誰よりも先に、どうぞ私を頼って下さい。」
……そうだった。
『英雄バアル』は、他者視点から見れば明らかに自己評価が低い。
それは肝心な時に王子を守れなかった自責の念もあるが、それとは別に自身が『英雄』と呼ばれる事に納得していないという理由もあった。
故に、ゲームでは一躍『託宣の勇者』として国の運命を背負わされたファルコに、かつての自分を重ねて協力を願い出る。
…それが今回は、『聖女』などと大層な二つ名を付けられた私になったということか。ならば。
「……ならばひとつ、お願いがあるのです。バアル様。」
あちらから言ってくれたのを幸いと私が切り出すと、バアル様は一瞬だけ目を瞠いた。
「早速頼っていただけるのは嬉しい限り。
して、それはどのような?」
が、すぐに余裕の笑みを唇に浮かべ、問い返してくる。
若干心臓にくるのを必死に抑えて、私は一旦深呼吸をしてから、バアル様の瞳を見返して、言った。
「バアル様が騎士教官の職務に入るのは、明日からとうかがいました。
その授業に、うちのファルコを混ぜて欲しいのです。」
…私も明日から神殿の業務に戻る。
そして勇者育成期間もそこからスタートする。
ゲームの流れでは、本格的な育成が始まって最初の時期、協力者が全員揃わないうちは、『ファルコの近衛騎士』であるバアルの教えを必ず受ける事になる。
状況に多少のズレはあるが、現段階でこれがベストの筈だ。
「ファルコ殿を?」
「はい。まだ大々的に公表する段階ではありませんが、御存知の通り彼は、大神官様が『救国の勇者となる』と託宣を受けた者。
神殿の中だけで教育するのも限界があります。」
…ディーナの家庭教師の時間に、一緒に勉強させて貰っている間、ファルコの教育をどう進めていくか、私なりに真剣に考えていた。
ゲームならばカーソルを当ててボタンで選択すれば良かったが、これは現実だからそれでは済まない。
リセットも効かない現実に、失敗は許されないのだから。
「いっそ父に後見させて、王立学院に入れることも考えましたが、あの子は聡い子ですがまだまだ世間を知りませんので、いきなり知らない人間しか居ない中に放り込むのは、ハードルが高いかと思うのです。
バアル様にお任せできるのであれば、これ以上の教育環境は他にないかと思いまして。」
託宣が与えられた以上、ファルコの育成はこの世界に与えられた使命と言っていい。
ゲームの攻略対象は即ちその協力者達でもある。
だが実際にはだいたい私のせいで、ヒロインは勇者ブースターと共に早々にストーリー離脱して、更に、協力者がひとり王都を去っている。
しかも最初からの協力者は激しくポンコツ化して頼りになりそうにないし、その分うちの弟がゲームより明らかに有能になっているものの、ゴローの正体を知らなかったマリエルならまだしも、姉として彼が多忙である事を知っている私が、そう度々弟に協力を仰ぐわけにもいくまい。
いや本当に困ったときは頼るに決まってるけど!
つまり言い方は悪いが、ヒロインより明らかに手駒の少ないハードモードで、私はこの試練をクリアしなければならないのだ。
勇者ブースターであるアドラーの離脱がこうなると痛い。
バアル様が騎士教官となられたことは、多分この状況においては好都合の筈。
ゲームの育成パートならば、システム上の都合で一週間にひとつのカリキュラムしか選べないが、近衛騎士見習い達に混じって王宮の騎士養成教室で学ぶことができれば、一週間でひと通りの授業を受けることができる。
ちなみに神殿所属の神聖騎士団にはこういう制度はない。
ダリオが騎士団入りした時は国中から志願者を一斉募集した時だったので、近衛騎士団の制度を真似た養成教室が一時的に設けられていたそうだが現在はそれも行われておらず、2年に1人くらいの割合で入ってくる騎士見習いは、神官見習いと同じ修行をしながら、先輩騎士達に教えを乞う形になる。
今のファルコも大体は同じような感じで、王宮の騎士団に比べて神聖騎士団全体の規律が割とふわっとしてしまっているのはこのせいじゃないかと思ってる。
ファルコがあちらで勉強して騎士らしい品格を身につけていけば、こちらの騎士団も変わっていくかも…という思いもある。
私も、なし崩しに職務に忙殺されて婚期を逃したという気持ちはあるものの、娘時代から10年を過ごしてきた神殿に対して、まったく愛着がないわけではないのだ。
私がこの先、どれほどの時間をあそこに縛られる事になるかは知らないが、その間になんらかのいい影響を与えられればいい、くらいのことは思っている。
「勿論特別扱いは要りませんし、送り迎えも不要ですわ。
許可していただければ、毎日歩いて通わせます。
それも日々の修行のひとつですもの。
……駄目でしょうか?」
最初の2、3日は迷子にならないよう、誰かが同行しなければならないだろうが、ファルコは基本賢い子なので道はすぐに覚える筈。
というか、王宮奪還の時と王女婿の葬儀の時の2回、私と一緒に王宮へは行っているから、もう覚えてしまっているかもしれないし。
バアル様は私の話を黙って聞いていたが、私が話し終えたのを確認してから、ひとつ頷いて口を開いた。
「…それはむしろ、こちらから願いたき事です。
お会いしたのはあの時一度限りのことであったが、どこか懐かしい空気を、かの御仁から感じました故。」
…それは恐らく、ファルコの正体に起因するものだろう。
そういった気持ちを、バアルがファルコに抱いている描写はなかった筈だが、ゲーム時空においてのバアルの心理にも、このような感情があったのかもしれない。
「まして他ならぬ貴女の頼みなれば、このバアル・イルージオ、喜んでお引き受け致します。
改めて我が剣と忠誠を……」
「そういうのはいいですありがとうございます!
それではおやすみなさいバアル様!!」
「我が愛しの女神、良い夢を。」
ただでさえ心臓にくる声が甘い言葉を紡ぐのをこれ以上聞いていられず、私は一礼してその場を、逃げるように立ち去った。
背中から渋い忍び笑いが聞こえたのは、気のせいという事にしておく。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる