転生した世界で深愛に触れる

ゆら

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来訪

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 翌々日。まったりベッドで微睡んでいると、朝から早馬がやって来た。
 伝言によるとローレンツが向かっているという。

「え!?まだ手紙届いたくらいじゃないの!?」

 ノヴァーリス領まで馬車で2日。普通なら今頃届いた手紙を読んでいる頃だ。

「それが、手紙を出された頃には出立の準備をしていたようで、昼過ぎには到着なされる様です。旦那様からはゲストルームの準備をするよう仰せつかっております」
「そ、そう……ありがとう」

 ローレンツのあまりの行動の早さに呆気に取られる。まるで断られることはないとわかっていたかのようだ。

「ユリウス様も迎えのご準備を」
「あ、そうだった」

 使用人の言葉に呆けてる場合ではないとベッドから飛び起きる。
 まだ夜着のままだ。急いで支度をしなくては、あっという間にローレンツが来てしまうだろう。
 などという考えはドンピシャで当たってしまい、着替えを終える頃には屋敷のホールが騒がしくなった。

「ローレンツ!久しぶりだな。元気にしてたか?」
「アイル卿、ご無沙汰しております。お陰様で元気に過ごさせてもらってます。今日は突然申し訳ありません」
「気にするな。ユリウスから花祭りの誘いを受けたと聞いて予想はしていた。自分の家だと思ってゆっくりしてくれ」

 ローレンツが来たのだろうと慌てて駆けつけると、玄関ホールで父であるルーサーが対応していた。

「ロー!」
「ユーリ」

 階段を駆け下りる。
 久しぶりのローレンツだ。気持ちが高ぶり、思わず抱きついた。
 それをふらつくことなく受け止めたローレンツは、休暇の間にまた逞しくなった気がする。

「ユリウス来たのか。疲れているだろうから部屋へ案内してあげなさい。ローレンツ、晩餐の時にでもゆっくり話を聞かせてくれ」
「はい」

 ルーサーの言葉に頷いたローレンツを準備されたゲストルームへと案内する。案内すると言っても、ローレンツにとっても慣れた屋敷の中。あちこち説明する必要はない。

「手紙着いた頃かな、とか思ってたから、今日来るって聞いて驚いた」
「花祭りにユーリが行かないわけないからな」

 ふっと笑った顔がどこか大人びて見える。たった数週間会わなかっただけでこんなに男らしくなるのだろうか。

「ん?どうした?」

 つい見とれてしまっていると、ローレンツの顔が覗き込むようにグッと近くに迫ってきた。
 途端、心臓が痛いくらい跳ねる。

「なッ、なんでも、ない!」
「ふっ、変なユーリ」

 間近で柔らかく微笑まれ、心臓の高鳴りがやまない。

「ッて、手紙!すごくいい匂いだった!」

 悟られないようぎゅっと拳を握り、視線を逸らす。ついでに話題も逸らした。

「ああ、うちに咲いたバラで作った香水だ。ユーリ、うちのバラ好きだろう?喜ぶかなと思って」
「うん、すごく嬉しかった!しばらく匂い嗅いじゃったもん」
「ふっ、喜んでくれたならよかった」

 嬉しそうに口元を緩ませるローレンツ。折角話を逸らしてみても、その笑みを向けられるだけで心臓が更に跳ね上がってしまう。
 結局、惚れ込んでしまってるのだから、隣にいるというだけで何をどうしても心臓に悪いのだ。


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