冒険者ギルドの受付嬢と女性冒険者を愉しむ異世界奇行

鎔ゆう

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Sid.95 剣士の装備を購入

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 リッカルドに洞窟内の化け物が異常だと伝える。入る前に尋常では無い化け物が居る、と伝えられてはいたが、それでも限度を超えていると説明した。
 人が扱える武器では歯が立たないこと、魔法も高威力でないと通じないこと。

「閉鎖前に調査に入った職員も命からがら逃げた、と言うしな」

 大型の化け物は狭い場所には入れない。それで辛うじて逃げ果せたそうだ。
 そうなると閉鎖したダンジョンは、俺以外には解放できないだろうと。

「スーペラティブでも苦戦したのか?」

 即座にクリスタとテレーサが「赤子の手を捻るが如くです」だの「殴っても倒せると思う」とか、そこまで楽勝な相手では無かったぞ。確かにブリクスト一発で倒せる相手も居たが。ミノは二発必要だったし。
 二人のアホな言い分に俺を見て「向かうところ敵無しか」と、うんうん頷いてるし。真に受けて欲しくない。

「それで、今日行ったダンジョン以外も入るのか?」
「明日以降、入ってみる予定だ」
「ならば、また情報を上げて欲しい」

 他のダンジョンも閉鎖したままがいいのか、それとも開放できるか判断したいそうだ。

「調査料も支払うぞ」

 ギルド職員では手に余ることから、調査をしたくてもできず仕舞い。ゆえに任せたいそうだ。
 それと今日行ったダンジョンのマップがあれば、預からせて欲しいと言ってきた。
 複製しておきたいそうで。
 クリスタとミリヤムに確認すると「構わないですが、相応の報酬を」と言い出す。まあ、手間暇掛かってるし、何かないとな。

「マップの報酬も支払うぞ。幾らがいい?」
「言い値?」
「労の多い作業だからな、常識の範囲内でなら」

 二人を見ると「トールさんにお任せします」だそうだ。俺の一存でいいのかよ。作ったのは二人なんだから、この際吹っ掛ければいいものをと言うと「トールさんが居なければ、マップを作ることもできません」だそうで。俺が居なければミノと対峙した時点で全滅してると。生きて帰ることができるのも俺のお陰だと言って憚らない。

「じゃあ、一グルド」
「少ないな」
「え、そうなのか?」
「三グルド支払うぞ」

 気前がいいなあ。ダンジョンで利益を得ているからか、ここのギルドの財力は相当なもののようだ。
 ダンジョンで得た鉱石と魔石、そしてマップ代として相当な額を手に入れられた。
 急ぎ金を用意するようリスベツに指示を出すリッカルドだ。

「では、こちらが今回の報酬になります」

 トレーに載せて差し出される。じっと見つめてる。これはもしかして、と思いもするが、疑り深いリスベツのことだ。まだ俺を認めてはいないだろう、と言うことで金を受け取るとリッカルドに挨拶して、カウンターから離れギルド内併設の、装備品コーナーを見ることに。
 テレーサが何やら口にしてる。

「珍しいよね」
「何がだ?」
「トールのこと、信じない人が居るなんて」
「自分の目で見たものしか信じないんだろ」

 ならばダンジョンに連れて行って、その目で確認させればいいとか言い出した。
 冒険者でもない戦闘も熟せない受付嬢なんて、ダンジョンに連れて行けるわけがない。面倒見切れないし、死なれたりしたら困る。ギルドだって許可するわけ無いだろうに。なんで認めさせたがる。疑うなら疑わせておけばいい。

「放置で」
「ええ、でも」
「俺は別に構わん。ダンジョンには入れるのだから」
「でもぉ。トールの凄さを知れば」

 そこまでして抱かせたいのか?
 もう何人も相手してきてるし、この四人の相手だけで充分なんだが。これ以上増えても手に余るし干からびる。

「ソーニャの装備を揃えなおさないとな」

 バックラーは破損してしまったし、もう少し強度のある奴がいい。
 それとブロードソードも上質な奴を。

「金属製のラウンドシールドがいいんじゃないか?」
「重いし動きが鈍る」
「今なら大丈夫だと思うが」

 試して無理なら木製のバックラーで。行けそうなら金属製のラウンドシールドに。
 いろいろ見て手にして重さと、扱いやすさを見ているようだ。背中に背負ってからの構えに移行して背中に背負い直すの繰り返し。
 で、俺を見て「前より軽く感じる」だそうだ。

「それだけ力が付いた証拠だ」
「一応女子なのに力自慢って」
「いいじゃないか。その分、生存確率が上がる」

 筋肉質ではあるが筋骨隆々ではないし、女性らしさもあるし、引き締まったボディは魅力がある、と言うと嬉しそうだ。

「ねえ、トール。あたしは?」
「いいと思うぞ」
「なんか雑。硬いのが趣味なんだ」
「そうじゃない」

 アニタの柔らかさは最高だと思うし、マルギットのばるんばるんも抗い難い。
 クリスタのちっぱいも、感度良好でいいと思うからな。
 ああ、俺ってなんでもいいんだ。四十年間、童貞だったのは伊達じゃないな。選べる立場に無かったせいだ。

 ソーニャの装備を整え直し、俺も頑丈な剣が欲しいと言うことで、見てみるが。

「トールにはあれ以外、意味無いと思う」
「確かにそうですね。市販品はすぐ壊れます」
「力が尋常じゃないし」

 人が扱える武器は俺の力では壊れると。どうせだから鍛冶屋に鉄の塊を用意させればいい、などと言い出す始末だ。

「撲殺専用巨大ハンマーとか」
「なんだそれ」
「やはりトールさんにはミョルニルです」
「だから違うっての」

 結局、剣なんてあってもすぐ壊れる、と言うことでフレイルを薦められる。

「蛮族だな」
「殴り倒すのに都合がいいです」
「鉄球だけ飛んで行くぞ」
「危ない」

 振り回したら鎖が切れて鉄球だけ飛んで行くのが目に見えてる。
 俺にはギガントソードしか無いのか。あれじゃ、邪魔になるんだよな。巨大過ぎて。
 ファンタジーの世界なのだから、ミスリルとか聖剣とか魔剣なんて、あればいいと思うのだが。素材としてのミスリルなんて、あるわけも無いか。意外と現実的な世界だし。
 そうなると、剣より銃とかロケット弾とか、爆弾なんかがあればなんて。
 弾頭にはタングステンを使うとか。少々硬くても貫通すると思うけどなあ。

 魔法なんてのがあるから、銃なんて考えもしないか。でも、破壊力だけは使用者の能力に左右されないからなあ。命中精度や扱う上での慣れはあれど。
 あとはあれか、メンテナンスも欠かせないが、それでも弱い魔法よりは。

 誰か作って欲しい。

「仕方ない。粗悪品のブロードソードは残り九本ある」

 使い捨てとし使い切ったら補充することにした。どうせすぐ折れる。

「鍛冶屋で作ってもらうとか」
「一日や二日でできないだろ」

 テレーサはお気楽だ。特注品なんて数日程度じゃ無理。ベルマンのギルドで用意してくれたダガーにしても、スローイングナイフにしても、かなりの日数を要したのだから。
 ああ、そうか。特注品だったから、あの戦闘で使えたのか。そこらのダガーじゃ壊れて死んでたかもしれない。

 ソーニャの武具だけ購入し宿に向かうことに。
 宿に着くと昨日と同じ部屋になり、今夜もまた貪られるようだ。
 揃いも揃って服を脱ぎ捨てベッドの上で誘ってくるし。この世界の女性は性豪ばかりだ。

「トール。今夜はあたしと」
「私とですよ」
「クリスタは明日」
「ずるいです」

 誰でもいいよ。
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