82 / 206
第二章 旅は道連れ
82 クルトゥスさん 4
しおりを挟む
クルトゥスさんは暫く戻って来ませんでした。
「何なのかしら、最初の出会いがまずかったからなのか、ずっと距離を置いて接してくるの」
「でも、距離を置いている風で、実際は普通に仲が良いんだけどね。
本人は無意識なんだ。
しかもたまにハッと気付いて『馴れ合うのは…』とかなんとか言ってるんだよね。
ホント可愛い」
ライラヒルラさんとファラスさんが笑いながらクルトゥスさんとの関係を話しています。
利害関係だとか、距離をとか言っていましたけど、どうやら普通に仲の良いパーティの様ですね。
「依頼の報酬だって、『僕は血族から領地収入の一部を貰っているから、3人で分けなよ』とか言って、丸々私たちに渡してくるの」
「事情があって住む場所がない自分たちに『何かあった時近くに居るとすぐに合流できるから、城に住むように。これは命令だからね』とか言って無償で住まわせてくれてるし」
「口では利用するとか言ってるけど、住む所どころか、食事や着る物、武器や装備まで揃えてくれてるの」
「なんだかこちらが一方的に利用して搾取してる感じなんだけど」
「本人は気にしていないのか、気づいていないのか」
「「本当に可愛いよねー」」
えーと、30年前には現役の冒険者だったのですから、少なくても彼らよりクルトゥスさんの方が年上ですよね?
親世代?
下手すれば親より年上のはずなんですけど、なんだか……子供っぽい?
「でも優しいよ?」
「ええ、優しいわね。
優しくないとあんな事はやろうとも思わないでしょう」
あんな事とは、アインが調べた事なのでしょうか?
でも、クルトゥスさんが話してくれるまで、こちらから聞くのはやめておきましょう。
和やかに話をしていると、クルトゥスさんが戻って来ました。
「アース達は今日泊まって行くでしょ?
部屋の準備と夕食の準備しているから、もうちょっと待ってね」
私達は顔を見合わせて、思わず吹き出しました。
「「「ぷふふふふふふ」」」
「な、何だよ!人の顔見て何笑ってんだよ!」
「いやいや、クーは本当にお人よ……良いやつだなって」
ファラスさんの言葉に、顔を赤くしたクルトゥスさんは、また部屋を出て行きました。
「ファー、あんまりからかったら拗ねちゃうわよ」
「ライラも思いっきり笑ってたくせに」
「変わってないんだな、アイツは」
ブルースの言葉に、以前のクルトゥスさんの様子を教えてくれと言うライラヒルラさんとファラスさん。
「変わらぬぞ。
お節介でお人好し、たまに空回るが、基本優しい」
「つまりブルースと似た物同士なんですね」
「ぬぅ…」
アインの突っ込みに、食いつく二人。
「え?アーモストさんもそうなんですか?」
「今はブルースさんだろ?
それで、お二人が冒険者をしていた頃は、今から30年前なんですよね?
その頃って………」
二人が尋ねてブルースが答え、アインがツッコミを入れ、和やかです。
子供3人は何やら3人で盛り上がっています。
2メートル近いホラハ君は生まれて二年経っていたいそうです。
170ちょっとのシナトラが一才と数ヶ月、130cm程のチャックが一番年上なんですよね。
えーと、何て言うんでしたっけ?見た目詐欺?
種族によっての体格差で、年齢不詳になりますね。
「そう言やさ、なんであのクルトゥスさん?って言葉の感じが変わるの?」
シナトラがいうのは、言葉遣いが畏まったり砕けたりする事でしょうか?
「仕事の時とかは、きちんとした話し方をしないと舐められるからって、話し方を変えるって言ってたよ」
「あの人もいい歳した大人なんだろうから、使い分けるのは当たり前なんじゃない?」
「そんなもんなの?」
ホラハ君が首を傾げています。
「二人とももう少し大人になったらちゃんと話せる様になんないと、困る事が出てけると思うよ」
「へー、んじゃあチャック兄ちゃん教えてね」
「ボクはファーに教えてもらおっと」
「あのお姉さんにじゃないの?」
「ライラは……怖いから」
「あのお姉さん怖いの?」
「うん、討伐とか行くと『誰に向かって牙を向けているのかしら?身の程を弁えなさい!オーホホホホホホホホホ』とか言いながら魔法を打ち込むの」
「そりゃあ怖いわ」
「怖いね」
「だから逆らっちゃダメだよ?」
「「わかった」」
…………………………………ホラハくーん、声が大きいから、ライラヒルラさんにバッチリ聞かれてますよー。
後でお仕置きされないといいですね。
「何なのかしら、最初の出会いがまずかったからなのか、ずっと距離を置いて接してくるの」
「でも、距離を置いている風で、実際は普通に仲が良いんだけどね。
本人は無意識なんだ。
しかもたまにハッと気付いて『馴れ合うのは…』とかなんとか言ってるんだよね。
ホント可愛い」
ライラヒルラさんとファラスさんが笑いながらクルトゥスさんとの関係を話しています。
利害関係だとか、距離をとか言っていましたけど、どうやら普通に仲の良いパーティの様ですね。
「依頼の報酬だって、『僕は血族から領地収入の一部を貰っているから、3人で分けなよ』とか言って、丸々私たちに渡してくるの」
「事情があって住む場所がない自分たちに『何かあった時近くに居るとすぐに合流できるから、城に住むように。これは命令だからね』とか言って無償で住まわせてくれてるし」
「口では利用するとか言ってるけど、住む所どころか、食事や着る物、武器や装備まで揃えてくれてるの」
「なんだかこちらが一方的に利用して搾取してる感じなんだけど」
「本人は気にしていないのか、気づいていないのか」
「「本当に可愛いよねー」」
えーと、30年前には現役の冒険者だったのですから、少なくても彼らよりクルトゥスさんの方が年上ですよね?
親世代?
下手すれば親より年上のはずなんですけど、なんだか……子供っぽい?
「でも優しいよ?」
「ええ、優しいわね。
優しくないとあんな事はやろうとも思わないでしょう」
あんな事とは、アインが調べた事なのでしょうか?
でも、クルトゥスさんが話してくれるまで、こちらから聞くのはやめておきましょう。
和やかに話をしていると、クルトゥスさんが戻って来ました。
「アース達は今日泊まって行くでしょ?
部屋の準備と夕食の準備しているから、もうちょっと待ってね」
私達は顔を見合わせて、思わず吹き出しました。
「「「ぷふふふふふふ」」」
「な、何だよ!人の顔見て何笑ってんだよ!」
「いやいや、クーは本当にお人よ……良いやつだなって」
ファラスさんの言葉に、顔を赤くしたクルトゥスさんは、また部屋を出て行きました。
「ファー、あんまりからかったら拗ねちゃうわよ」
「ライラも思いっきり笑ってたくせに」
「変わってないんだな、アイツは」
ブルースの言葉に、以前のクルトゥスさんの様子を教えてくれと言うライラヒルラさんとファラスさん。
「変わらぬぞ。
お節介でお人好し、たまに空回るが、基本優しい」
「つまりブルースと似た物同士なんですね」
「ぬぅ…」
アインの突っ込みに、食いつく二人。
「え?アーモストさんもそうなんですか?」
「今はブルースさんだろ?
それで、お二人が冒険者をしていた頃は、今から30年前なんですよね?
その頃って………」
二人が尋ねてブルースが答え、アインがツッコミを入れ、和やかです。
子供3人は何やら3人で盛り上がっています。
2メートル近いホラハ君は生まれて二年経っていたいそうです。
170ちょっとのシナトラが一才と数ヶ月、130cm程のチャックが一番年上なんですよね。
えーと、何て言うんでしたっけ?見た目詐欺?
種族によっての体格差で、年齢不詳になりますね。
「そう言やさ、なんであのクルトゥスさん?って言葉の感じが変わるの?」
シナトラがいうのは、言葉遣いが畏まったり砕けたりする事でしょうか?
「仕事の時とかは、きちんとした話し方をしないと舐められるからって、話し方を変えるって言ってたよ」
「あの人もいい歳した大人なんだろうから、使い分けるのは当たり前なんじゃない?」
「そんなもんなの?」
ホラハ君が首を傾げています。
「二人とももう少し大人になったらちゃんと話せる様になんないと、困る事が出てけると思うよ」
「へー、んじゃあチャック兄ちゃん教えてね」
「ボクはファーに教えてもらおっと」
「あのお姉さんにじゃないの?」
「ライラは……怖いから」
「あのお姉さん怖いの?」
「うん、討伐とか行くと『誰に向かって牙を向けているのかしら?身の程を弁えなさい!オーホホホホホホホホホ』とか言いながら魔法を打ち込むの」
「そりゃあ怖いわ」
「怖いね」
「だから逆らっちゃダメだよ?」
「「わかった」」
…………………………………ホラハくーん、声が大きいから、ライラヒルラさんにバッチリ聞かれてますよー。
後でお仕置きされないといいですね。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる