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三章 町をつくる様です
134 北の酒場宿では
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北の森の王の国の王都の城下町の宿屋("の"が多過ぎでは?)へ到着したのは、予定より遅く、日付の変わった後でした。
この国の宿屋は、どこでも一階が、宿主の住居と酒場、二階が宿の二階建てなのだそうです。
元々この国は、他国から訪ねて来る者(商人や冒険者や旅人)が少なく、宿屋と言うよりは、飲んだ酔っ払いを寝かせるために、部屋を作っているのだそうです。
勿論、酒場だけの店もありますけど、圧倒的に酒場宿が多いです。
北の森の王の国は、ロスフォータの北東から西にかけて広がる大森林の北、大陸を二分する大渓谷寄りに有り、渓谷から年中冷たい風が吹き付けて来る国なのだそうです。
年中寒い国ですが、国民のほぼ全てが寒さに強い獣人な上に、年齢性別問わず、皆酒に強いのだとか。
家でも飲むけど、皆でワイワイ飲むのが好きで、町には酒場が多数あるし、楽しく飲んで飲み潰れたら、そのまま泊まれる宿屋の酒場が必須なんだそうですよ。
ワインにビールに果実酒、焼酎や日本酒……とは言いませんよね、米酒?どぶろく?など、お酒の種類は豊富です。
宿に着いたのが遅い時間でしたので、私達はそのまま休みました。
翌日起きて一階へ降りると、朝から迎え酒をしている人達が……。
その方々を見ていて気になったのですけど、何故か皆さん髪の毛が長いのです。
宿屋の女将さんは女性だから長くても普通ですけど、筋肉隆々な(多分)熊の獣人も、シベリアンハスキー系の(多分)犬の獣人も、ウサギの獣人も、皆座っていると尻に敷きそうな程の長髪なんです。
「あれは防寒の一種なのだそうですよ。
寒さの厳しい日には、首に巻きつけて寒さを凌ぐため、男性も髪を伸ばしているのです」
アインが教えてくれましたけど、マフラーで良く無いですか?
髪の毛ってチクチクするんじゃ無いですか。
それより、髪の毛巻きつけたからって、寒さを防げるものですか?
アインが言うには、冬毛と夏毛が有るそうです。
冬毛は暖かいそうなんですけど、うーん……。
………え?
もしかして、生え変わる時にごそっと抜けるのでしょうか?
恐ろしい事です。
北の酒場では髪の長い女は似合っても、髪の長いオッサンや爺さんは微妙だと思います。
とりあえず真似はしたく無いですし、チャックやシナトラにも真似させたく無いです。
頑張ってマフラー編みますよ、私が。
一階で朝食をいただき、謁見まで時間があるので部屋で少し休憩して、城へ向かいます。
朝食から時間が経ったのに、まだ迎え酒をしている方々が。
それだけでは無く、城への道筋で、覗く酒場全てに午前中から飲む方々が……。
思わず
「ここの方々は一日中飲み続けるのでしょうか」
と呟いたら、コニーが答えてくれました。
「流石にそれは無い。
昼から飲んでるのは、夜通し働いた奴らだよ。
昼働く奴らは夜に飲む、夜働く奴は昼に飲む。
だから一日中飲んでる様に見えるだけだよ」
成る程、日勤と夜勤の方がいらっしゃるのですね。
日本では24時間年中無休などは珍しくなかったですけど、こちらの世界では、皆夜になると休むものだと思い込んでいました。
「この国は獣人の国ですから、夜行性の方も多いのですよ。
私の城は大森林の入り口近い場所なのでそれ程ではありませんけど、ここは大森林の奥地ですから、獣や魔獣も夜行性のものが多く、それらを狩る仕事をしていますね」
大雑把な地図を見せてもらった事が有りますけど、大森林はロスフォータを囲む様に、東の山脈から北の国、西の国を含み海まで繋がっていて、大森林の北は大渓谷、西はかなり広範囲で広がっています。
【つ】の字を鏡文字(逆)にした感じですね。
つまりロスフォータの国々は、大渓谷と山脈と大森林、そして南は海となっており、他国から攻め入られにくい地形となっています。
更に東はコニーの本体、西はヨルゼル氏、北はこの国の王が守っているので、例え攻め込まれても、返り討ちなのだそうですよ。
で、その中央の平原部分に、戦うには力も魔力も足りない人族の国が有ると。
人族は守られていますね。
それをわかっているから、あの国の王様はアイン達に腰が低かったんですね。
息子さんは…アレでしたけど……。
「後はあれだね、大森林って奥地には珍しい植物が有るから、夜に仕事をする人が多いよね」
「珍しい植物、ですか?」
コニーが教えてくれましたけど、大森林の奥地で、さらに大渓谷近くのこの近辺にしか生息しない、珍しい植物があるそうです。
「光葉(こうよう)なんかは、魔法の得意でない人や、火の使えないダンジョンとかで冒険者から重宝されてるし」
紅葉?
「夜茸(よるだけ)は珍味だし」
夜だけ珍味??
「月夜種(つきよだね)はこの国の奴らにとっては、最重要だろうね」
月夜だね???
混乱している私に、アインが詳細を教えてくれました。
光葉は、水に漬けると光る葉で、雨の夜に採りに行き、魔法が不得意な方々(主に人族)や、光魔法の使えない方に販売されているそうです。
正確には、広葉樹に付着している菌が、水分を得ると光るそうなので、雨の降る夜でないと、どの葉が光葉なのか分からないのだそうです。
毎晩水に浸けて一月近くもつし、必要のない時は水から出せば光は消える便利な葉っぱは、魔力を節約したい冒険者の必需品でもあるそうです。
夜茸は陽が落ちるとカサが開き、開いている間に採取し茹でると、ちょっとピリッとした刺激のある、お酒によく合う珍味になるそうです。
このキノコは毒があり、陽が当たると毒が発生し、陽が暮れカサが開くと毒が抜ける、不思議キノコなのだそうです。
なので、毒が抜けてから採り、再び毒を蓄える前に茹でてしまえば安全だとか。
月夜種は月夜草の種で、月光を浴びると発酵するので、それを採取して醸造すると、アルコール度数の高い透明感のあるお酒になるそうです。
種になるまでに浴びた月光の量により、醸造した時のアルコール度数が変わるので、アルコール度数の高い種を手に入れるには、熟練の感が要る様です。
お酒の大好きなこの国では、夜茸と月夜種は最早必需品なので、夜に働く方が必要なのだそうです。
勿論酒の木も沢山植えられているそうです。
どんだけ酒好きやねん!
この国の宿屋は、どこでも一階が、宿主の住居と酒場、二階が宿の二階建てなのだそうです。
元々この国は、他国から訪ねて来る者(商人や冒険者や旅人)が少なく、宿屋と言うよりは、飲んだ酔っ払いを寝かせるために、部屋を作っているのだそうです。
勿論、酒場だけの店もありますけど、圧倒的に酒場宿が多いです。
北の森の王の国は、ロスフォータの北東から西にかけて広がる大森林の北、大陸を二分する大渓谷寄りに有り、渓谷から年中冷たい風が吹き付けて来る国なのだそうです。
年中寒い国ですが、国民のほぼ全てが寒さに強い獣人な上に、年齢性別問わず、皆酒に強いのだとか。
家でも飲むけど、皆でワイワイ飲むのが好きで、町には酒場が多数あるし、楽しく飲んで飲み潰れたら、そのまま泊まれる宿屋の酒場が必須なんだそうですよ。
ワインにビールに果実酒、焼酎や日本酒……とは言いませんよね、米酒?どぶろく?など、お酒の種類は豊富です。
宿に着いたのが遅い時間でしたので、私達はそのまま休みました。
翌日起きて一階へ降りると、朝から迎え酒をしている人達が……。
その方々を見ていて気になったのですけど、何故か皆さん髪の毛が長いのです。
宿屋の女将さんは女性だから長くても普通ですけど、筋肉隆々な(多分)熊の獣人も、シベリアンハスキー系の(多分)犬の獣人も、ウサギの獣人も、皆座っていると尻に敷きそうな程の長髪なんです。
「あれは防寒の一種なのだそうですよ。
寒さの厳しい日には、首に巻きつけて寒さを凌ぐため、男性も髪を伸ばしているのです」
アインが教えてくれましたけど、マフラーで良く無いですか?
髪の毛ってチクチクするんじゃ無いですか。
それより、髪の毛巻きつけたからって、寒さを防げるものですか?
アインが言うには、冬毛と夏毛が有るそうです。
冬毛は暖かいそうなんですけど、うーん……。
………え?
もしかして、生え変わる時にごそっと抜けるのでしょうか?
恐ろしい事です。
北の酒場では髪の長い女は似合っても、髪の長いオッサンや爺さんは微妙だと思います。
とりあえず真似はしたく無いですし、チャックやシナトラにも真似させたく無いです。
頑張ってマフラー編みますよ、私が。
一階で朝食をいただき、謁見まで時間があるので部屋で少し休憩して、城へ向かいます。
朝食から時間が経ったのに、まだ迎え酒をしている方々が。
それだけでは無く、城への道筋で、覗く酒場全てに午前中から飲む方々が……。
思わず
「ここの方々は一日中飲み続けるのでしょうか」
と呟いたら、コニーが答えてくれました。
「流石にそれは無い。
昼から飲んでるのは、夜通し働いた奴らだよ。
昼働く奴らは夜に飲む、夜働く奴は昼に飲む。
だから一日中飲んでる様に見えるだけだよ」
成る程、日勤と夜勤の方がいらっしゃるのですね。
日本では24時間年中無休などは珍しくなかったですけど、こちらの世界では、皆夜になると休むものだと思い込んでいました。
「この国は獣人の国ですから、夜行性の方も多いのですよ。
私の城は大森林の入り口近い場所なのでそれ程ではありませんけど、ここは大森林の奥地ですから、獣や魔獣も夜行性のものが多く、それらを狩る仕事をしていますね」
大雑把な地図を見せてもらった事が有りますけど、大森林はロスフォータを囲む様に、東の山脈から北の国、西の国を含み海まで繋がっていて、大森林の北は大渓谷、西はかなり広範囲で広がっています。
【つ】の字を鏡文字(逆)にした感じですね。
つまりロスフォータの国々は、大渓谷と山脈と大森林、そして南は海となっており、他国から攻め入られにくい地形となっています。
更に東はコニーの本体、西はヨルゼル氏、北はこの国の王が守っているので、例え攻め込まれても、返り討ちなのだそうですよ。
で、その中央の平原部分に、戦うには力も魔力も足りない人族の国が有ると。
人族は守られていますね。
それをわかっているから、あの国の王様はアイン達に腰が低かったんですね。
息子さんは…アレでしたけど……。
「後はあれだね、大森林って奥地には珍しい植物が有るから、夜に仕事をする人が多いよね」
「珍しい植物、ですか?」
コニーが教えてくれましたけど、大森林の奥地で、さらに大渓谷近くのこの近辺にしか生息しない、珍しい植物があるそうです。
「光葉(こうよう)なんかは、魔法の得意でない人や、火の使えないダンジョンとかで冒険者から重宝されてるし」
紅葉?
「夜茸(よるだけ)は珍味だし」
夜だけ珍味??
「月夜種(つきよだね)はこの国の奴らにとっては、最重要だろうね」
月夜だね???
混乱している私に、アインが詳細を教えてくれました。
光葉は、水に漬けると光る葉で、雨の夜に採りに行き、魔法が不得意な方々(主に人族)や、光魔法の使えない方に販売されているそうです。
正確には、広葉樹に付着している菌が、水分を得ると光るそうなので、雨の降る夜でないと、どの葉が光葉なのか分からないのだそうです。
毎晩水に浸けて一月近くもつし、必要のない時は水から出せば光は消える便利な葉っぱは、魔力を節約したい冒険者の必需品でもあるそうです。
夜茸は陽が落ちるとカサが開き、開いている間に採取し茹でると、ちょっとピリッとした刺激のある、お酒によく合う珍味になるそうです。
このキノコは毒があり、陽が当たると毒が発生し、陽が暮れカサが開くと毒が抜ける、不思議キノコなのだそうです。
なので、毒が抜けてから採り、再び毒を蓄える前に茹でてしまえば安全だとか。
月夜種は月夜草の種で、月光を浴びると発酵するので、それを採取して醸造すると、アルコール度数の高い透明感のあるお酒になるそうです。
種になるまでに浴びた月光の量により、醸造した時のアルコール度数が変わるので、アルコール度数の高い種を手に入れるには、熟練の感が要る様です。
お酒の大好きなこの国では、夜茸と月夜種は最早必需品なので、夜に働く方が必要なのだそうです。
勿論酒の木も沢山植えられているそうです。
どんだけ酒好きやねん!
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