【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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四章 再会

202 町を案内しました

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翌日の朝食は、私が作りました。
ご飯と豆腐の味噌汁、リアンスで、サバが水揚げされてたので、それを購入して来て塩焼きに。
後はお漬物と甘い卵焼き……といきたかったんですけど、丸型のフライパンでは上手いこと巻くことができず、甘いスクランブルエッグです。
いくらスキルが有っても、器用さが必要な物や専用の道具がいるような物は、なかなか上手く再現できないんですよ。

「まあまあ、本当にお料理が出来るのね」
昨夜は顔合わせも兼ねて、ごはん屋で夕食を取ったので、私もやればできるんですよと言う証拠を兼ねて、朝ご飯を作りましたけど、思いの外喜ばれました。

食器の片付けは、特注の箱に水と木の葉を入れて、魔法を一発。

「【食洗】」
食器洗浄機をイメージした魔法です。
一緒に入れた木の葉は、北の森の王の国の近隣に生えている低木の葉で、石鹸の様に泡立ち汚れを落とす物です。

この世界では【毒の木】と呼ばれていたんですけど、そりゃあ石鹸を食べると、体を壊しますよね。

説明を受けた時に、何気なく鑑定してみたら、油分を含む土の有る場所に生えていて、地中の油分がどうにかなって、石鹸の様な葉になっているとか。

食器だけではなく洗濯にも使えるので、【シャボンの葉】と名前を変えて、サーベラス商会の商品の一つとなっています。

話が逸れましたね。

ご飯の後片付けの後は、風魔法で埃を飛ばし、お掃除完了。
「……拭き掃除はしないの?」
と聞かれましたけど、ゴミや埃さえ飛ばせば良いのでは?

飲み物をこぼしたとか、水回りやお風呂などは、誰かにクリーンをかけて貰えば綺麗になりますし。
そう伝えると、「そうなの…」と言いながらも、納得できない顔をされました。


一通り家のことが終わったら、町の案内です。

色んなお店を回り、ギルドに顔を出し、ガラス工房のルリャル兄弟と、何だかんだ無茶なリクエストに答えてくれる鍛治職人のラウィンさん、それとカカルの民の織り人のアイライラさん達に挨拶に向かいました。

広場を案内していると、そこで遊んでいた白雪が、一緒に遊ぼうと誘って来ましたけど、
「ごめんね白雪、今日はリリーに町の中を案内したいから、また今度ね」
と謝ると、ちょっと寂しそうな顔をされましたけど、納得してくれました。
聞き分けの良い白雪が可愛い!


オファド商会で、ちょっとした小物、櫛や髪留めや小物入れなど、使いやすそうな物を購入しました。

クラーラル商会では、チャックが勉強をしているのをこっそり覗き、調味料の補充と、おやつ用にドライフルーツをいくつか購入し、北西のログハウスで小休憩。

「まあまあ、素敵な隠れ家ね。
暖炉も素敵ね」
「ログハウスと言えば暖炉ってイメージですからね。
もっともイメージと言うなら、この暖炉の上に家族写真を並べたいですよね」
「うふふ、わかる気がするわ」
「あと、蝋燭が三本立った燭台とか」
「暖炉の前で床に座って、肩から毛布を掛けて、両手で持った温かい飲み物を飲む…とかかしら」
「そう!それ!」
「…………………」
「……………………………うふふふ」
「あは…あはははははは」

余りにも偏ったイメージに、二人で笑い出してしまいました。


ログハウスで休憩した後は、デイビッドの養鶏場へ向かいました。
妻はデイビッドの奥さんのヴィリナさんと意気投合した様で、楽しそうに話をしています。

こうして町を回ってみると、私の周りって、男性ばかりですね。
意図したわけでは無いのですけど、こうなっていました。

これからは女性の知り合いも増やさないといけませんかねえ…。
いやそこは妻に任せれば大丈夫ですよね。


一通り町を案内したら、結構いい時間になりました。
今日も晩御飯はごはん屋でいただき、家へ戻ります。

「町はどうでしたか?」
私室でソファーに腰掛け、聞いてみると、にっこりと笑顔で、
「素敵な町ね」
と言って貰えました。

「皆さん穏やかで、でも活気はあって、とても暮らし易そうね」
「住民一人一人面接しましたからね。
それでもガラの悪い奴や、悪いことを考えている奴などが町に入って来ないように、兵士と言うか自警団みたいな物を作ろうと思っていたんだけど、なかなかね。
やる事が沢山で時間も取れなかったし、住民は穏やかだしで、後回しになっているうちに一年過ぎちゃったんですよね」

祭りの時は、流石に冒険者ギルドに依頼を出して、見回りなどをしてもらいましたけど、普段は揉め事もほぼ無いですし、ブルースやシナトラが町中をウロウロしているので、抑止力になっている様です。

それとアインやコニーから、
【悪意を持つ者を侵入させない結界魔法】
と言うものを教えてもらったので、その結界で、町と、その周りの農地をすっぽりと覆っているのです。
なので、このまま、有事の際だけ冒険者ギルドに依頼を出す形で良いかな、と思っています。

「色々考えているのね」
「住み良い町にしたいですからね、そのための労力は厭いませんよ。
リリーも何か思いつく事があれば言って下さいね。
女性視点も大事ですから」

私が言うと、
「そうね、何か思いついたら言うわ。
今日はちょっと疲れたみたいで、思い浮かばないから」

そうでした、この世界に来たばかりだと言うのに、嬉しさにあちらこちらと引っ張り回してしまいましたからね、疲れもするでしょう。

話はまた明日と、今日は休むことにしました。

はしゃぎ過ぎないようにしないといけませんよね。
反省です。







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