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兄登場
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ベッドの上であれこれ考えていると、控えめなノックの音がしたから返事をする。
「キャシー、気がついたのかい」
そっと開けた扉からこっちを見ているのは垂れ目気味の甘いマスクの銀髪碧眼の美少女フェイスの美青年(なにそれ)な兄上、アルバートだ。
「アル兄様、ご心配をおかけしました」
起き上がる俺に手をあげて「そのままで」と部屋の中に入って来る。
「踊っている途中で倒れたのだろう?
リズヴァーンに何かされたのでは無いのか?」
この兄上、妹大好きっ子で、俺としてはちょっと引くけど、女性目線からすると「妹大好きって可愛い」だそうなのだ。
でもそれが行き過ぎると「うわっ、キモ」となるのだとか?
その匙加減が難しいのよと姉は言ってたけど………
うん、わからん。
リズヴァーンはキャスティーヌの憧れの人で、濃紺の髪と瞳を持つ辺境伯の跡取り。
兄の同級生で兄と仲が良く、家に遊びにも来る。
兄はスリムな美少女フェイス美青年、リズヴァーンは武芸に秀でた細マッチョ。
二人が並んだスチルには力を入れてもらったって姉貴が言ってたけど、甘い美少女美青年(長いから略す)の兄と精悍な細マッチョ、うん、ある層狙ってるよね。
兄は四六時中キャスティーヌに構うので、必然的にリズヴァーンも近くに居ることが多く、キャスティーヌは仄かな思いを彼に寄せて…………って、キャスティーヌって俺かい!
ナイワー、ひとまわり近く年下の男に仄かな思いをって鳥肌立つわー。
思わずブルリと震えた俺に、兄がベッドに腰掛け俺の頬に手を当てる。
ゾワッ……
「やっぱり奴に何かされたのでは?」
「いえ、お兄様、少し寒かっただけですわ。
リズヴァーン様は何もなさってはいないわ。
恥ずかしながら私、緊張しすぎてしまったようですの」
鳥肌立つけどこの喋り方に慣れないと……
「本来なら僕がエスコートするはずだったのに、父上に使いを頼まれてしまって……。
僕が居ればキャシーが倒れることもなかったろうに」
本当に大丈夫なのかい?と、頬に当てた手で撫でる。
このお使いとは、兄が余りにもシスコ……妹大好きっ子なので、父が社交界デビューの時くらいは引き離さないと、嫁の貰い手がいなくなるとかで、どうしても直接手紙を祖父に届ける様にと計らったものだ。
父に逆らうことは出来ず、かと言ってそこいらの男に任せるのも気に入らない。
苦肉の策で、そこいらの有象無象よりはまだマシと、リズヴァーンにエスコートを頼んだのだ。
ハッキリ言おう、兄の目は曇まくりである!
キャスティーヌはキューピット役、つまりモブだ。
ヒロインの引き立て役だ。
つまり、可愛いけど言うほどのものか?程度だ。
ぶっちゃけ俺の好みではあるけどね。
茶色の髪に兄と同じ碧の目、青銀色の髪にコバルトブルーの瞳のヒロインと並ぶと地味に見える色合いだ。
ライバルポジの悪役令嬢の赤髪紅目の方が派手で人目を引く。
赤髪紅目のライバル、その名もそのままスカーレットって、ライバルに愛がないわー。
因みにキャスティーヌの名前は
「私たちの名前ってお揃いみたいね、これからはキャシーって呼んで良い?
私の事はクリスと呼んでね」
と言うシナリオからだ。
「キャシー、先ほどからぼーっとしてどうしたんだい?
まだ気分が悪いのか?」
おっと、ぼけっとし過ぎた。
ここは機嫌をとって早めに解放してもらおう。
「いえ、少し眠くなってしまいましたの。
お兄様が優しく撫でて下さるから、倒れた不安も何処かへ行ってしまいましたわ」
ニッコリ笑って言うと、更にニッコリとした笑顔を返されてしまった。
そう、さっきから頭を撫で撫でされています。
「そうか、僕が撫でると安心するのか」
「ええ、お陰で安心して眠れますわ。
ありがとうお兄様」
「キャシーが安心して眠れるなら僕も安心だよ。
それじゃあ邪魔しちゃあいけないから僕は部屋へ戻るね。
何かあればすぐに呼ぶんだよ」
頭から手を下ろしにっこり微笑むのは、眩し過ぎて目がチカチカする。
「ありがとうお兄様、良い夢を」
「ああ、キャシーも良い夢を」
立ち上がった兄は身を屈めて頬にキスをして部屋を出て行った……。
ウヒャー!美少女美青年に、ほっぺにチューされちゃったよ!
こっぱずかしいなあ!
って思いましたら毎晩のことだったよ!!
色々思い出したトドメにほっぺにチューで俺のライフゲージ激減です。
この後お付きのメイドがやって来て、顔と手を拭かれ、枕元に水差しとか置いて部屋の明かりを消してとかしてたけど、魂半分抜けた状態でした。
「キャシー、気がついたのかい」
そっと開けた扉からこっちを見ているのは垂れ目気味の甘いマスクの銀髪碧眼の美少女フェイスの美青年(なにそれ)な兄上、アルバートだ。
「アル兄様、ご心配をおかけしました」
起き上がる俺に手をあげて「そのままで」と部屋の中に入って来る。
「踊っている途中で倒れたのだろう?
リズヴァーンに何かされたのでは無いのか?」
この兄上、妹大好きっ子で、俺としてはちょっと引くけど、女性目線からすると「妹大好きって可愛い」だそうなのだ。
でもそれが行き過ぎると「うわっ、キモ」となるのだとか?
その匙加減が難しいのよと姉は言ってたけど………
うん、わからん。
リズヴァーンはキャスティーヌの憧れの人で、濃紺の髪と瞳を持つ辺境伯の跡取り。
兄の同級生で兄と仲が良く、家に遊びにも来る。
兄はスリムな美少女フェイス美青年、リズヴァーンは武芸に秀でた細マッチョ。
二人が並んだスチルには力を入れてもらったって姉貴が言ってたけど、甘い美少女美青年(長いから略す)の兄と精悍な細マッチョ、うん、ある層狙ってるよね。
兄は四六時中キャスティーヌに構うので、必然的にリズヴァーンも近くに居ることが多く、キャスティーヌは仄かな思いを彼に寄せて…………って、キャスティーヌって俺かい!
ナイワー、ひとまわり近く年下の男に仄かな思いをって鳥肌立つわー。
思わずブルリと震えた俺に、兄がベッドに腰掛け俺の頬に手を当てる。
ゾワッ……
「やっぱり奴に何かされたのでは?」
「いえ、お兄様、少し寒かっただけですわ。
リズヴァーン様は何もなさってはいないわ。
恥ずかしながら私、緊張しすぎてしまったようですの」
鳥肌立つけどこの喋り方に慣れないと……
「本来なら僕がエスコートするはずだったのに、父上に使いを頼まれてしまって……。
僕が居ればキャシーが倒れることもなかったろうに」
本当に大丈夫なのかい?と、頬に当てた手で撫でる。
このお使いとは、兄が余りにもシスコ……妹大好きっ子なので、父が社交界デビューの時くらいは引き離さないと、嫁の貰い手がいなくなるとかで、どうしても直接手紙を祖父に届ける様にと計らったものだ。
父に逆らうことは出来ず、かと言ってそこいらの男に任せるのも気に入らない。
苦肉の策で、そこいらの有象無象よりはまだマシと、リズヴァーンにエスコートを頼んだのだ。
ハッキリ言おう、兄の目は曇まくりである!
キャスティーヌはキューピット役、つまりモブだ。
ヒロインの引き立て役だ。
つまり、可愛いけど言うほどのものか?程度だ。
ぶっちゃけ俺の好みではあるけどね。
茶色の髪に兄と同じ碧の目、青銀色の髪にコバルトブルーの瞳のヒロインと並ぶと地味に見える色合いだ。
ライバルポジの悪役令嬢の赤髪紅目の方が派手で人目を引く。
赤髪紅目のライバル、その名もそのままスカーレットって、ライバルに愛がないわー。
因みにキャスティーヌの名前は
「私たちの名前ってお揃いみたいね、これからはキャシーって呼んで良い?
私の事はクリスと呼んでね」
と言うシナリオからだ。
「キャシー、先ほどからぼーっとしてどうしたんだい?
まだ気分が悪いのか?」
おっと、ぼけっとし過ぎた。
ここは機嫌をとって早めに解放してもらおう。
「いえ、少し眠くなってしまいましたの。
お兄様が優しく撫でて下さるから、倒れた不安も何処かへ行ってしまいましたわ」
ニッコリ笑って言うと、更にニッコリとした笑顔を返されてしまった。
そう、さっきから頭を撫で撫でされています。
「そうか、僕が撫でると安心するのか」
「ええ、お陰で安心して眠れますわ。
ありがとうお兄様」
「キャシーが安心して眠れるなら僕も安心だよ。
それじゃあ邪魔しちゃあいけないから僕は部屋へ戻るね。
何かあればすぐに呼ぶんだよ」
頭から手を下ろしにっこり微笑むのは、眩し過ぎて目がチカチカする。
「ありがとうお兄様、良い夢を」
「ああ、キャシーも良い夢を」
立ち上がった兄は身を屈めて頬にキスをして部屋を出て行った……。
ウヒャー!美少女美青年に、ほっぺにチューされちゃったよ!
こっぱずかしいなあ!
って思いましたら毎晩のことだったよ!!
色々思い出したトドメにほっぺにチューで俺のライフゲージ激減です。
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