【完結】アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー

七地潮

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東の国から

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以前サイオンジに見せてもらった、未完成品の世界地図を少し説明させてもらおう。


勿論大和の国の地図だから、中心が大和の国だ。
そこから西へ向かった場所に俺たちの住む大陸がある。
大陸の名前は無いのか、【西の大陸】と書き込まれている。

その大陸の形は、【右を向いて座っている首の太いめっちゃ鳩胸のカルガモ】って感じの大陸だ。
その羽の付け根の辺りにうちの国が有る。
真ん中より右だね。

頭の先の部分がほとんど交流の無い北の国、そして北の国との間の太い首の部分が【未開の大地】だ。
その未開の大地との間にあるのが、天をつくほどの山脈で、これは首の付け根から背中の半分まで続いている。

過去何度か山脈を越えて北の国へ向かおうとしたそうだけど、無理ゲーだったそうだよ。
うちの国では未開の大地と呼んでいるけど、きっと北の国では違う呼び名が付いているんだろうね。

そして、【めちゃ鳩胸の突き出た部分】が東の国。
東の国は海に面しているのに、断崖絶壁で、港を作る場所もなく、船をつける場所がないので、交易もできない。
元は大森林を開拓して海寄りにできた国なので、国の歴史は一番浅く、未だに開拓をしているけれど、この大森林は針葉樹が多く、実をつける樹はほぼない。
しかも大地はやせており、塩害もあるので農作物も育ちにくい。
収入は金脈があるので、今はまだなんとかなっていても、そのうち底をつくのはわかっている。
だからこそうちの国の土地を狙っているんだよね。

話が横道に行ってしまった、東の国はもういいや。

で、その断崖絶壁は足の付け根くらいまで続いていて、その絶壁が終わった下腹部辺りが南の国だ。
【いかにも南国】な、漁業大国。
魚介の加工技術も発達していて、加工食品を、他国に売って外貨を稼ぐだけでなく、他の大陸との交易も盛んだ。

んー、イメージ的に首の後ろから、スパーンと切り取った右側にその四国が集まっている感じ?
残りの胴体全部が西の国だ。

元々全ての国は西の国から枝分かれしたと言われている。
めちゃくちゃ広い国をよく治めているなあと思うよ。

聞こえてこないだけで内乱とかもあるんだろうけど、西の国の王都は遠過ぎて噂も殆ど届かない。
交流も西の国の東側の町(西だ東だとややこしい)とは有るけど、王都は遠いので、なかなか。

まあ、そんな感じの大陸だ。

世界地図の上やら下やらにも大陸はある。
そして、うちの国と大和の国の間の下辺りに点々がいっぱい描かれている。
【カエザルオン諸島連合】
長い間島々で主権を巡り争っていたけれど、30年ほど前にやっと落ち着いて、諸島連合国として歩み出したばかりの新生国家。

その諸島連合の人達は、今あちらこちらの大陸との交流を始めているそうだ。


*****



午後の仕事もひと段落して、4人でお茶を飲んでたら、執事が血相を変えて飛び込んできた。

「おくつろぎのところ失礼します、国境警備隊から飛蜥蜴(ひとかげ)が到着しました。
伝言はこちらです」

火蜥蜴?ポケモ⚪️か?
いや、サラマンダーか?
そう思った俺は悪くないと思う。
だって知らなかったんだもん。

この世界では所謂【時空魔法】みたいなのはない。
転移、転送魔法とかインベントリみたいなやつだね。

姉貴曰く、
『時空の概念のない世界で時空魔法はナイワ。それにどんなに時間がかかっても馬を飛ばして会いに行くとか、届かない手紙ですれ違いとかの方が萌えるじゃない』

だそうだ。
なのにマジックバックはあると言うご都合主義。

『大荷物を持ち歩くなんて見た目が悪いじゃない。
なんなら自分の背丈より長さのある大剣も、マジックバックから抜き出すのアリだと思う』

なんてのたまっていましたよ。
姉貴のセンスって………あ、話が逸れまくり。

とにかく、スマホもない世界、情報伝達は早馬が主で、国の機関は伝書鳩的な羽があって飛ぶ蜥蜴、飛蜥蜴を飛ばすんだって。

でもこれは本当の緊急事態だけで、しかも所持しているのが国の主要機関だけなので、一般ピーポーは見たことも聞いたこともないってのが当たり前なんですよ。
だからモブ寄り一般人の俺も初めて聞いたし初めて見た。

……ってか、ミニドラゴンじゃん!
小型ワイバーンじゃん!
いや、蜥蜴っちゃあ蜥蜴だろうけど、何故ドラゴンやワイバーンじゃダメなの?
責任者(姉貴)呼んで来い!って言いたいよ。

………ああ、話が進まない!!
ええと、とにかく国境警備隊から書状が届いている、その内容が緊急を要する事で、執事が慌てて書状を持って来た、それをトーマおじさんが読んでいる←今ココ って状態デス。

「父上、警備隊は何と言ってきたのですか?」
書状を読んで難しい顔をしているトーマおじさんに、リズヴァーンが尋ねる。
「東の大森林から砦を伺う複数名の男達が居るそうだ。
しかも全員武装していると」
室内の温度が下がる。

「和平が結ばれて大人しくしていたのに、今更戦争を始めるつもりなのかしら」
マギーおばさんの声を聞きつつ、おじさんとリズヴァーンが席を立つ。

「俺達は砦へ向かう。
マギー、家のことを頼めるか?」
少し不満そうな顔で頷くマギーおばさん。

「そうね、私も行きたいけれど、キャスティーヌちゃんも居ることだし、今回は残ることにするわ」
頼む、と言う一言を残して、おじさんとリズヴァーン、そのお付きの人達と執事が部屋から出て行く。


東の国の武装集団…え?戦争がおきるの?
ここって乙女ゲームの世界だよね?
いやいやいや、そんな展開聞いてないよ!
前世だって戦争なんて過去や他国の話な日本人の俺には、ちょっとヘビーな展開になるの?
責任者出てこんかい!

血の気がひいてしまったのか、気持ちが悪くなる。
そんな俺を見ておばさんが「部屋で休んでいなさい」と勧めてくれたので、部屋に引き上げることにした。

いやいやいや、本当戦争とかゴメンなんですけど。
クラクラし過ぎたのか吐き気もしてきた俺は、ベッドに潜り込んだ。






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