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Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第47話:却下だ】
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最後にリルラが命じて放った攻撃は『ホワイトテンペスト』と言う技だった。
しかし風の大精霊自身の名を冠するその攻撃は、召喚者にも多大な負担をかけるようでリルラもさすがに少し疲れた様子だった。
「リルラ!大丈夫か!」
オレの呼びかけに振り返ったリルラは、シグルステンペストを精霊界に戻すとフラフラになりながらも駆け寄って来て、
「や、やりましたよ!コウガ様!!」
嬉しそうにオレの腰にまたぎゅっと抱きついて来た。
「リルラは本当に凄いな。オレももっと頑張らないといけないようだ」
オレはそう言ってリルラの頭をワシャワシャ撫でてあげるのだが、
「何を言っているのですか!コウガ様は十分お強いです!」
と、なぜか怒られてしまった。
~
その後オレたちは、メグスラシルを倒して少し落ち着きを取り戻し、皆で勝利を喜んでいた。
「リルラ、お疲れ様。凄かったわ。ホントにびっくりしちゃった……にゃ」
「リルラ、これからリルラちゃんとは呼ばない……にゃ」
「えっと……嬉しいですけど、私の方がお姉ちゃんなんだけど、呼び捨てなのですね……」
「リルラお姉ちゃんって呼んでたら、私達変な目で見られる……にゃ」
まぁリリーの言う通りだろう。リルラの見た目はどう上に見ても10歳が限度だ。
リリーとルルーもオレと同じ13歳だが、どちらかと言うと大人びていてもう少し上に見えるからな。
「あららら?リルラもお姉ちゃんぶりたい歳なのね~」
うん。そりゃぁ1200歳だしな……。絶対怒るから言わないけど。
「しかし……あの圧倒的な強さのシグルステンペストをジルは歯牙にも掛けないんだよな~」
「ジルさんの本気を見たことがないので、あの大精霊を圧倒する力と言うのが正直もう想像もつきません……にゃ」
オレたちが、そんな風に先ほどの戦いを振り返って色々話していると、急にビアンカが叫びだした。
「もうぅぅぅぅっ!!あなた達いったい何者なんですの!?私、もうさっきからずっと訳がわからなくて一人置いてけぼりじゃないですか!」
そう言えばビアンカにどう説明するのか決めて無かったな……。
「まぁなんだ……秘密って事でよろしくっ」
とりあえず秘密って事で頼んでみた。
「えっ!?そんな簡単な問題!?このとんでもない出来事を私は『よろしくっ』の一言でずっと秘密にしてておかないといけないの!?」
「え?ダメなのか?」
とりあえず押し切れるか試してみよう。
「えっ?何さも当然のように『ダメなのか』とか聞いてるんですか!?」
まぁやっぱりここまでの事を目撃しておいて事情も説明しないってのはダメだよなぁ。
頬を膨らませて怒る姿は可愛いが、その姿をいつまでも眺めているわけにもいかない。
≪主よ。何なら我がその娘の記憶を消しておこうか?≫
「え?ジルってそんな事まで出来るの?」
≪出来るぞ。ただ、自分の名前も忘れてしまうのでそれでも良け「却下だ!!」≫
「ひぃ!?」
ジルは相変わらずとんでもない事をシレッと言うから恐ろしい。
もうビアンカがマジでビビってしまっているじゃぁないか……。
「あぁビアンカさん、すまない。絶対しないし、絶対させないから安心してくれ」
「わわ、わかったわ。ほ、本当にお願いしますわよ……」
さぁ、もうこうなると本当のことを話して黙っていてもらう約束をするしかないか。
ビアンカはまだ出会ったばかりだけど、悪い子じゃないのは確かだろう。
そもそも もうバレてもジルがいれば何とかなる気はするが、それは最終手段って事でせめてもう少しの間は普通の生活が送りたい。
「それじゃぁ、ウィンドアさんも一緒に聞いてください。それと秘密が漏れると国が混乱する可能性があるので絶対に他言無用でお願いします」
「あららら?それは絶対に口を滑らせないようにしないといけないわね~」
「混乱する?……国が?……わ、わかりましたわ!」
こうしてオレはリリーやリルラに補足してもらいながら、オレたち『恒久の転生竜』の秘密を話すのだった。
~
結局、オレが転生者とかジルが悪名高いジルニトラである事などは伏せて、最上位の竜の一種である『古代竜』であり、『竜と道を共にする者』のようなギフトの力でテイムしたという事にして一通りの話を終える。
ちなみにギフト『竜と道を共にする者』とはリシュテイン公国の公爵家にのみ代々授けられているギフトで、竜を完全にテイムするわけではなく友として認められる力だと言われている。
どんなギフトなのか一度詳しく話を聞いてみたいが、絶対厄介な事になりそうなので用がない限りは公国には近づかないつもりだ。
王家とか貴族とかとかかわると、色々なしがらみに巻き込まれそうなので極力さけたい。
「正直にわかには信じられないようなお話ですけど、あれだけの事を目の前で見せられては信じる他ないですわね……」
「あぁ、嘘は言っていない事は誓おう」
ジルは古代竜より古い神代の竜だが、古代竜の広義の意味では神代の竜も古代竜として扱われるから嘘ではない……はず。
オレの転生者の話もジルがあの邪竜ジルニトラだという事も、そもそも言ってないだけだ。うん。確かに嘘は言っていないぞ。
「そう。じゃぁ私はコウガを信じるわ」
「信じて貰って良かったよ。後はこの話は秘密で頼む。命にかかわるような自体の時は漏らして貰ってかまわないが、王家や貴族に漏れて厄介ごとに巻き込まれるのは勘弁したいからな」
ビアンカは貴族の令嬢っぽいが、まぁこれ以上漏れなければ大丈夫だろう。
「あららら?それは困ったわね~」
ウィンドアさんが何故か「急に困ったわね~」と頬に両手を当てて頭を傾けている。
「何が困ったんですか?」
何だか凄く嫌な予感がする……。
「だって~。ビアンカさんはこの国の王女様ですもの~」
「「「……え?……」」」
やっぱり記憶を消して貰ったらダメだろうか……。
しかし風の大精霊自身の名を冠するその攻撃は、召喚者にも多大な負担をかけるようでリルラもさすがに少し疲れた様子だった。
「リルラ!大丈夫か!」
オレの呼びかけに振り返ったリルラは、シグルステンペストを精霊界に戻すとフラフラになりながらも駆け寄って来て、
「や、やりましたよ!コウガ様!!」
嬉しそうにオレの腰にまたぎゅっと抱きついて来た。
「リルラは本当に凄いな。オレももっと頑張らないといけないようだ」
オレはそう言ってリルラの頭をワシャワシャ撫でてあげるのだが、
「何を言っているのですか!コウガ様は十分お強いです!」
と、なぜか怒られてしまった。
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その後オレたちは、メグスラシルを倒して少し落ち着きを取り戻し、皆で勝利を喜んでいた。
「リルラ、お疲れ様。凄かったわ。ホントにびっくりしちゃった……にゃ」
「リルラ、これからリルラちゃんとは呼ばない……にゃ」
「えっと……嬉しいですけど、私の方がお姉ちゃんなんだけど、呼び捨てなのですね……」
「リルラお姉ちゃんって呼んでたら、私達変な目で見られる……にゃ」
まぁリリーの言う通りだろう。リルラの見た目はどう上に見ても10歳が限度だ。
リリーとルルーもオレと同じ13歳だが、どちらかと言うと大人びていてもう少し上に見えるからな。
「あららら?リルラもお姉ちゃんぶりたい歳なのね~」
うん。そりゃぁ1200歳だしな……。絶対怒るから言わないけど。
「しかし……あの圧倒的な強さのシグルステンペストをジルは歯牙にも掛けないんだよな~」
「ジルさんの本気を見たことがないので、あの大精霊を圧倒する力と言うのが正直もう想像もつきません……にゃ」
オレたちが、そんな風に先ほどの戦いを振り返って色々話していると、急にビアンカが叫びだした。
「もうぅぅぅぅっ!!あなた達いったい何者なんですの!?私、もうさっきからずっと訳がわからなくて一人置いてけぼりじゃないですか!」
そう言えばビアンカにどう説明するのか決めて無かったな……。
「まぁなんだ……秘密って事でよろしくっ」
とりあえず秘密って事で頼んでみた。
「えっ!?そんな簡単な問題!?このとんでもない出来事を私は『よろしくっ』の一言でずっと秘密にしてておかないといけないの!?」
「え?ダメなのか?」
とりあえず押し切れるか試してみよう。
「えっ?何さも当然のように『ダメなのか』とか聞いてるんですか!?」
まぁやっぱりここまでの事を目撃しておいて事情も説明しないってのはダメだよなぁ。
頬を膨らませて怒る姿は可愛いが、その姿をいつまでも眺めているわけにもいかない。
≪主よ。何なら我がその娘の記憶を消しておこうか?≫
「え?ジルってそんな事まで出来るの?」
≪出来るぞ。ただ、自分の名前も忘れてしまうのでそれでも良け「却下だ!!」≫
「ひぃ!?」
ジルは相変わらずとんでもない事をシレッと言うから恐ろしい。
もうビアンカがマジでビビってしまっているじゃぁないか……。
「あぁビアンカさん、すまない。絶対しないし、絶対させないから安心してくれ」
「わわ、わかったわ。ほ、本当にお願いしますわよ……」
さぁ、もうこうなると本当のことを話して黙っていてもらう約束をするしかないか。
ビアンカはまだ出会ったばかりだけど、悪い子じゃないのは確かだろう。
そもそも もうバレてもジルがいれば何とかなる気はするが、それは最終手段って事でせめてもう少しの間は普通の生活が送りたい。
「それじゃぁ、ウィンドアさんも一緒に聞いてください。それと秘密が漏れると国が混乱する可能性があるので絶対に他言無用でお願いします」
「あららら?それは絶対に口を滑らせないようにしないといけないわね~」
「混乱する?……国が?……わ、わかりましたわ!」
こうしてオレはリリーやリルラに補足してもらいながら、オレたち『恒久の転生竜』の秘密を話すのだった。
~
結局、オレが転生者とかジルが悪名高いジルニトラである事などは伏せて、最上位の竜の一種である『古代竜』であり、『竜と道を共にする者』のようなギフトの力でテイムしたという事にして一通りの話を終える。
ちなみにギフト『竜と道を共にする者』とはリシュテイン公国の公爵家にのみ代々授けられているギフトで、竜を完全にテイムするわけではなく友として認められる力だと言われている。
どんなギフトなのか一度詳しく話を聞いてみたいが、絶対厄介な事になりそうなので用がない限りは公国には近づかないつもりだ。
王家とか貴族とかとかかわると、色々なしがらみに巻き込まれそうなので極力さけたい。
「正直にわかには信じられないようなお話ですけど、あれだけの事を目の前で見せられては信じる他ないですわね……」
「あぁ、嘘は言っていない事は誓おう」
ジルは古代竜より古い神代の竜だが、古代竜の広義の意味では神代の竜も古代竜として扱われるから嘘ではない……はず。
オレの転生者の話もジルがあの邪竜ジルニトラだという事も、そもそも言ってないだけだ。うん。確かに嘘は言っていないぞ。
「そう。じゃぁ私はコウガを信じるわ」
「信じて貰って良かったよ。後はこの話は秘密で頼む。命にかかわるような自体の時は漏らして貰ってかまわないが、王家や貴族に漏れて厄介ごとに巻き込まれるのは勘弁したいからな」
ビアンカは貴族の令嬢っぽいが、まぁこれ以上漏れなければ大丈夫だろう。
「あららら?それは困ったわね~」
ウィンドアさんが何故か「急に困ったわね~」と頬に両手を当てて頭を傾けている。
「何が困ったんですか?」
何だか凄く嫌な予感がする……。
「だって~。ビアンカさんはこの国の王女様ですもの~」
「「「……え?……」」」
やっぱり記憶を消して貰ったらダメだろうか……。
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