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Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第78話:共同作業】
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その影は突然現れた。
オレがヴィーヴルたちと緩んだ会話をしている時、突然空中に巨大な何かが現れたのだ。
振り返り仰ぎ見る空中にはただただ巨大な影。
先ほどのドラゴンゾンビを超える巨躯のドラゴン。
いや、ドラゴンゾンビだった。
「え?……何で……?」
オレの呟きに答えるのはゼクトたちの叫び声だった。
「ぐがぁ!?」
叫び声を残し、吹き飛ぶゼクトたち。
それがドラゴンゾンビが放った尾の一撃だと気付いたのは、その攻撃がオレに向けられた時だった。
咄嗟に雷槍ヴィジュランダで受けるが、当然その質量を受け止めれるわけもなく、数十メートルを吹き飛ばされダンジョンの壁に大きなひびを作る事になる。
「ぐふ……痛てて……」
邪竜の加護が無ければ、恐らく今の一撃だけで死んでいた。
油断していたわけではないが、まさかこれほど巨大なドラゴンゾンビが突然空中に現れるなんて完全に予想の埒外だ。
そもそもついさっきドラゴンゾンビ倒したばかりなのに、いったいどう言うことだ。
「ヴィーヴル! ゼクト! 大丈夫ですか!」
「私は大丈夫よ! コウガさんこそ大丈夫なの!?」
「こっちはちょっとヤバイな……骨を何本かやってしまったようだ。だいたい竜化していなければ死んでる所だというのに……コウガは何でピンピンしているんだ……?」
ヴィーヴルはさっきの尾の一撃を喰らっていないようで怪我がなくて良かったが、纏めて薙ぎ払われたゼクトたちはちょっと戦闘は難しそうだ。
「ところでこの状況はどういう事……? なんでドラゴンゾンビが突然?」
「コウガさん、私たちは竜人は今、魔王軍と戦争をしているのよ。それで私たちの一族は魔王軍の先遣隊を返り討ちにしたのだけれど、今度は次々とドラゴンゾンビを送り込まれて……」
ヴィーヴルの話を聞くに、魔王軍を率いている魔将がネクロマンサーなようで、延々と不死の軍団を送り込まれているようだ。
最初は普通の魔物のゾンビやスケルトンだったので難なくその不死の軍勢は全滅させたのだが、数日前からは突然ドラゴンゾンビが何体も送り込まれ出したそうだ。
それでも屈強な竜人たちは何とか返り討ちに成功し、その出現場所を特定してここまでおってきたそうなのだ。
迷宮中のいたるところが破壊されていたのは、何体ものドラゴンゾンビと戦闘を繰り広げてきたからだったのだ。
そしてとうとう最後の1体を撃破した。
そう、先ほどのドラゴンゾンビが一番強い個体で最後の一体だったのだ。
さっきまでは。
「これはどう見てもさっきのドラゴンゾンビよりも強そうだよな……そっちは自力で退避できますか!」
「あぁ! 戦闘はしばらく無理だが移動ぐらいは問題ない! 回復させたら戻ってくるが任せて大丈夫か!」
怪我を負ったゼクトたちに確認すると、意外と皆元気なようでこれなら退避は問題なさそうだ。
「じゃぁ、とりあえず試して見ますか」
オレはそう呟くと、ヴィジュランダをクルリと回転させてドラゴンゾンビに向けて構えを取る。
「死に損ない! こっちだ!!」
空を飛ぶドラゴンゾンビに、オレは挨拶がわりの【雷鳴】を放つ。
すると、ヴィーヴルを追いかけようとしていたドラゴンゾンビは、標的をこちらに変えたようで声にならない咆哮をあげる。
「く!? 精神干渉か!?」
その咆哮には何らかの魔法効果が付与されていたようで一瞬身がすくむ。
ただ、ジルの威圧と比べればなんてことはない。
オレは咆哮の効果を振り払うと、立体的に【月歩】を繰り出して宙を舞うドラゴンゾンビの翼に次々と奥義を叩き込んでいく。
「私もいることを忘れないで!」
ドラゴンゾンビがオレの攻撃に翻弄されていると、ヴィーヴルがその隙をついて竜気を漲らせた爪でとうとう片方の翼を瘴気ごと切り裂く事に成功する。
羽ばたく翼の揚力だけで飛んでいるわけではないようだが、それでも翼がないと飛べないようで、とうとうドラゴンゾンビを地上に叩き落とす事に成功する。
「やったわ!」
ヴィーヴルがうまく連携して飛行を封じてくれた事は嬉しいが、せっかく追加されたドラゴンゾンビだからS級試験のために出来れば手出しはもう少し待ってほしい。
「ヴィーヴル! ちょっと悪いけど一人で戦わせてくれないか!」
「えぇ? せっかくコウガさんとの初めての共同作業なのに~」
「冒険者ギルドの試験なんだ! 頼む!」
なんか前世の結婚式の花嫁みたいなセリフを吐いて渋っているが、何とか納得して一旦下がってくれた。
ただ、このまま戦っていてもさっきのドラゴンゾンビと同じように負けもしないが勝てもしないだろう。
おまけにネクロマンサーが絡んでいるならオレのギフトが当たったとしても従えれる可能性はほぼ無いだろう。
だから……今回は最初から奥の手を出す!
「ジル!! 聞こえているか! 遠隔サポート頼む!」
≪心得た≫
そしてオレの願いはすぐさま叶えられた。
≪滾れ! 『竜気功』!≫
オレがヴィーヴルたちと緩んだ会話をしている時、突然空中に巨大な何かが現れたのだ。
振り返り仰ぎ見る空中にはただただ巨大な影。
先ほどのドラゴンゾンビを超える巨躯のドラゴン。
いや、ドラゴンゾンビだった。
「え?……何で……?」
オレの呟きに答えるのはゼクトたちの叫び声だった。
「ぐがぁ!?」
叫び声を残し、吹き飛ぶゼクトたち。
それがドラゴンゾンビが放った尾の一撃だと気付いたのは、その攻撃がオレに向けられた時だった。
咄嗟に雷槍ヴィジュランダで受けるが、当然その質量を受け止めれるわけもなく、数十メートルを吹き飛ばされダンジョンの壁に大きなひびを作る事になる。
「ぐふ……痛てて……」
邪竜の加護が無ければ、恐らく今の一撃だけで死んでいた。
油断していたわけではないが、まさかこれほど巨大なドラゴンゾンビが突然空中に現れるなんて完全に予想の埒外だ。
そもそもついさっきドラゴンゾンビ倒したばかりなのに、いったいどう言うことだ。
「ヴィーヴル! ゼクト! 大丈夫ですか!」
「私は大丈夫よ! コウガさんこそ大丈夫なの!?」
「こっちはちょっとヤバイな……骨を何本かやってしまったようだ。だいたい竜化していなければ死んでる所だというのに……コウガは何でピンピンしているんだ……?」
ヴィーヴルはさっきの尾の一撃を喰らっていないようで怪我がなくて良かったが、纏めて薙ぎ払われたゼクトたちはちょっと戦闘は難しそうだ。
「ところでこの状況はどういう事……? なんでドラゴンゾンビが突然?」
「コウガさん、私たちは竜人は今、魔王軍と戦争をしているのよ。それで私たちの一族は魔王軍の先遣隊を返り討ちにしたのだけれど、今度は次々とドラゴンゾンビを送り込まれて……」
ヴィーヴルの話を聞くに、魔王軍を率いている魔将がネクロマンサーなようで、延々と不死の軍団を送り込まれているようだ。
最初は普通の魔物のゾンビやスケルトンだったので難なくその不死の軍勢は全滅させたのだが、数日前からは突然ドラゴンゾンビが何体も送り込まれ出したそうだ。
それでも屈強な竜人たちは何とか返り討ちに成功し、その出現場所を特定してここまでおってきたそうなのだ。
迷宮中のいたるところが破壊されていたのは、何体ものドラゴンゾンビと戦闘を繰り広げてきたからだったのだ。
そしてとうとう最後の1体を撃破した。
そう、先ほどのドラゴンゾンビが一番強い個体で最後の一体だったのだ。
さっきまでは。
「これはどう見てもさっきのドラゴンゾンビよりも強そうだよな……そっちは自力で退避できますか!」
「あぁ! 戦闘はしばらく無理だが移動ぐらいは問題ない! 回復させたら戻ってくるが任せて大丈夫か!」
怪我を負ったゼクトたちに確認すると、意外と皆元気なようでこれなら退避は問題なさそうだ。
「じゃぁ、とりあえず試して見ますか」
オレはそう呟くと、ヴィジュランダをクルリと回転させてドラゴンゾンビに向けて構えを取る。
「死に損ない! こっちだ!!」
空を飛ぶドラゴンゾンビに、オレは挨拶がわりの【雷鳴】を放つ。
すると、ヴィーヴルを追いかけようとしていたドラゴンゾンビは、標的をこちらに変えたようで声にならない咆哮をあげる。
「く!? 精神干渉か!?」
その咆哮には何らかの魔法効果が付与されていたようで一瞬身がすくむ。
ただ、ジルの威圧と比べればなんてことはない。
オレは咆哮の効果を振り払うと、立体的に【月歩】を繰り出して宙を舞うドラゴンゾンビの翼に次々と奥義を叩き込んでいく。
「私もいることを忘れないで!」
ドラゴンゾンビがオレの攻撃に翻弄されていると、ヴィーヴルがその隙をついて竜気を漲らせた爪でとうとう片方の翼を瘴気ごと切り裂く事に成功する。
羽ばたく翼の揚力だけで飛んでいるわけではないようだが、それでも翼がないと飛べないようで、とうとうドラゴンゾンビを地上に叩き落とす事に成功する。
「やったわ!」
ヴィーヴルがうまく連携して飛行を封じてくれた事は嬉しいが、せっかく追加されたドラゴンゾンビだからS級試験のために出来れば手出しはもう少し待ってほしい。
「ヴィーヴル! ちょっと悪いけど一人で戦わせてくれないか!」
「えぇ? せっかくコウガさんとの初めての共同作業なのに~」
「冒険者ギルドの試験なんだ! 頼む!」
なんか前世の結婚式の花嫁みたいなセリフを吐いて渋っているが、何とか納得して一旦下がってくれた。
ただ、このまま戦っていてもさっきのドラゴンゾンビと同じように負けもしないが勝てもしないだろう。
おまけにネクロマンサーが絡んでいるならオレのギフトが当たったとしても従えれる可能性はほぼ無いだろう。
だから……今回は最初から奥の手を出す!
「ジル!! 聞こえているか! 遠隔サポート頼む!」
≪心得た≫
そしてオレの願いはすぐさま叶えられた。
≪滾れ! 『竜気功』!≫
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