【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

文字の大きさ
10 / 107
第一章 前半

第10話:実技試験

しおりを挟む
 今回の実技試験を受け持つのはA級冒険者の『ジョゼ』さん。
 なんでも彼はA級冒険者パーティー『紅い狐レッドフォックス』のリーダーで有名人らしい。

 思わず懐かしい麺類を食べたくなったのは置いておくとして、街で有数の実力者パーティーということなら先ほどの殺気も納得できるというものだ。

 と、さっき鍛錬場ここへの移動中に会ったカリンが聞きもしないのに色々と教えてくれた。

「ったく! 遅えぞお前ら!!」

「「「す、すみませんっ!!」」」

 遅れてきた三人が整列してようやく全員揃った。

「それじゃぁ今から実技試験を始める! この鍛錬場は普段はただの広場だが、今はそこの魔導具に魔石をセットして強力なダメージ軽減の結界をかけてある。さすがに首でも飛ばされればどうしようもねぇが、頭と心臓が無事なら何かあってもそこの女がだいたい治してくれる。安心しろ!」

 そう言って後ろに控えている女性を顎で紹介する。

「どもーよろしくー」

 その女性はあまりやる気が無いような態度で、気だるそうに手を振っていた。
 正直、安心できないのだが空気を読んで黙っておく……。

 それからオレたちはジョゼさんの指示に従い、それぞれ自分の武器を使って構えたり素振りしたりさせられた。

 ちなみにオレは、なんかジョゼさんの視線が異様に厳しかったので、ちょっとだけ手を抜いて軽めに型を披露しておいた。

 その後、受講生同士で模擬戦を行ったのだが、双子が短剣二刀流でそれぞれ相手をした男を終始圧倒。これにはオレもちょっと驚いた。

 そして最後にオレと残りの男。
 男は威勢よく飛び込んできたのだが隙だらけだった。さっき絡んできたのでちょっと痛い目にでもあわせるかとも思ったが、あまりにもお粗末だったので冷めてしまった。

 オレは最初の一撃を絡め取って武器を奪うと、そのまま槍の石突きで軽くこつき、五秒ほどでさくっと終わらせた。

 今回オレたちは全員前衛だったから模擬戦を行ったが、遠隔武器などを使用する後衛の場合は的を用意して射撃精度や有効射程を確認したり、魔法職の場合は魔法の威力、効果、発動までにかかった時間などを測定することで確認するそうだ。

「だいたいお前らの実力はわかった! この判定でギルドには報告しておく。依頼の斡旋はこの判定にもとづいて行われるからそのつもりにしておけ! と、本来ならこれで終了なんだが……そこのお前!」

 ん? オレが指さされてる?
 後ろを振り向いて見るがもちろん誰もいない。

「お前だお前。なに振り向いてんだ」

「はい? オレですか?」

「そうだ。コウガ、お前なにもんだ? お前だけ実力が読めねぇ。ってことで……お前、直接オレと模擬戦してみないか?」

「え? してみないですけど?」

 とりあえず理由もわからないし断っておく。

「…………」

「…………」

なんだ……この変な空気……。

「こいつ面白れぇな! 気に入った! 模擬戦だ!」

 いや、どこに気に入る要素が……?

 まぁさっきあまりにも一瞬で終わって不完全燃焼だったし、母さん以外のA級冒険者がどんなものなのか、正直言うとちょっと興味はある。

「でも、拒否権ないなら聞かないで欲しい……」

「おい……聞こえてるからな……」

 思わず心の声が漏れてしまったが、とりあえず耳は母さんなみのようだ……気をつけよう。



 模擬戦の準備をしていると、鍛錬場の周りがなんだか騒がしい。

「なんだ?」

 どうやら初心者講習が始まる時に鍛錬場を追い出された冒険者たちが、周りで見学しながら実技指導が終わるのを待っていたようだ。

「なんか面白いことになってるぞ! あの新人と講師で模擬戦だとよ」

「講師と直接模擬戦とか珍しいな」

「講師ってあの『紅い狐レッドフォックス』の狂犬ジョゼだろ? 新人相手に模擬戦って話にならねぇだろ」

「でもさぁ、講師が直接模擬戦するのって実力が測りきれない時だけじゃないの? 初心者講習では初めて見たんだけど?」

「え? ランクアップ試験じゃないのかよ」

 何かいろいろ言われて注目されているようだ。ちょっと緊張してきた……。

 だけど、気にしてばかりもいられない。
 相手はA級冒険者だ。ここからは集中しなければ……。

 大きく息を吐き出し、不要な情報を意識から追い出すと、必要な情報だけを残していく。
 母さんを相手すると思って本気でいこう。

 準備が終わったので、オレとジョゼさんは中央に歩み出て対峙する。

 ジョゼさんは凄腕のバスタードソードの使い手だ。
 しかもそのバスタードソードはカリン情報魔剣らしい

 あれ? ……魔剣とか反則じゃないのか?

 ちなみにバスタードソードとは、片手持ちのロングソードの剣の部分を少し長くし、柄の部分を両手で握れるようにした片手でも両手でも使える剣だ。

 母さんいわく、一見良いとこ取りで強そうに見えるがどっちつかずで扱いが難しいらしい。
 憧れてバスタードソードを購入したものの、結局両手剣のツーハンデッドソードや片手剣のロングソードと盾のオーソドックスなスタイルに落ち着く者が多いそうだ。

 と……余計なことを考えるな……集中集中……。

「それじゃぁ早速おっ始めるか。本気でこいよ!」

「はい! よろしくお願いします!」

 模擬戦の礼儀は母さんに嫌というほど叩き込まれている。

 手を抜いたら・・・・・・相手に失礼・・・・・だから、最初から全力で・・・いかせてもらおう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...