【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

文字の大きさ
43 / 107
第一章 中盤

第43話:隠された真実

しおりを挟む
 封印が解かれてる? それって聞いた話とちょっと違うような?

「あららら? やっぱり間違いないみたいね~。私が・・一〇〇年前に施した結界・・が解かれてしまっているわ~」

 まぁどうしましょう~? と言って手に頬を当てている姿は緊迫感の欠片もないのだが、ビアンカさんの様子を見るに一大事のようだ。

「そ、そんな!? 昔、学院長が長い時間をかけて施した結界が……」

 あれ? やっぱり聞いた話と違う?
 たしか封印の施された扉があって先に進めないから、攻略が一〇階で止まったって言ってたはずだ。

「あ!?」

 あ? なんだろうか?

「あぁぁぁ!? あなた達! このことは絶対に他言無用よ!」

 オレたちはビアンカさんに他言無用だと何度も約束させられた上で真実を聞かせてもらった。
 いや、別に教えてくれとは言っていないのだが?

 もう正直、いろいろと隠し事多くてしんどいんだけど……。

 でも聞いてしまったものは仕方ない。
 話はこういうことだった……。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 昔、トリアデン王国は、当時有名だった高ランク冒険者たちを雇い、大勢の兵士とともに大々的にこの塔の攻略を始めた。
 攻略は国が主導で行なっていたこともあり、豊富な人材と資金が投じられて瞬く間に七階まで進めることに成功する。
 それに気を良くした王国は、塔の攻略状況を市民や他国にも喧伝し、それはいつしかこの国の威信をかけた大プロジェクトとなっていた。

 順風満帆に九階まで攻略を進めるが、その攻略が一〇階に到達した時に風向きが変わる。
 大量のゴーレムが押し寄せ、攻略部隊ははじめて惨敗を喫することになったのだ。

 今まで順調だったことを喧伝していただけに、ここで引くわけには行かないと沢山の兵が投じられた。
 しかし、ストーンゴーレムを中心とした魔物は武器では攻撃が通りにくく、かといって魔法で与えた傷も、生半可なものでは時間経過で回復してしまい、泥沼の様相を呈することになってしまう。

 その後も様々な手を尽くした王国だったが、事態は完全にこう着状態になってしまった。

 このままでは駄目だと、その状況を打破するために白羽の矢が立ったのが、当時大陸で勇名をはしていたS級冒険者のウィンドアさんだ。

 そしてウィンドアさんは実力を遺憾なく発揮し、攻略部隊はたった一日で一〇階の石の魔物たちを討伐することに成功する。だが……勢いづいた攻略部隊はウィンドアさんの制止も聞かず、そのまま十一階の攻略に向かってしまったのだ。

 攻略部隊には、他にもS級冒険者の剣士や、その冒険者に匹敵する強さの王国戦士長などが揃っており、物理攻撃が普通に通る敵であれば負けるはずがなかった。

 しかし……攻略部隊は十二階への階段目前、扉の前に現れたたった一匹の魔物・・・・・・・・に全滅させられてしまう。
 いや、正確に言えばウィンドアさんを除いて全滅させられたのだ。

 ウィンドアさんは最後まで攻略部隊と共に戦い、魔法であらゆる支援を行なった。だが、頼りのS級冒険者の剣士と王国戦士長が倒された後は、もう流れを止めることはできなかった。

 ひとりになったウィンドアさんは、逃げながらも幾重にも結界を張って追っ手を妨害することで何とか一〇階まで辿り着く。そして、そこからは時間をかけて自身最強の結界魔法を施し、事の顛末を王国に報告した。

 だけど、王国は真実を公表するのを嫌がり、あくまでも解けない封印があったために攻略は一〇階で打ち切ったということにして、真実は王国の重鎮とウィンドアさんだけのものとなったのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


「なるほどな。でも、ビアンカさんが言ってた一年がかりで封印っていうのは?」

「あららら? それは~ビアンカさんが目をキラキラさせながら話を聞いてくれていたので、つい盛ってしまいましたわ~」

 鳩が豆鉄砲を食ったようなとは、きっと今のビアンカさんみたいな様子をさす言葉なんだろうな……。

「えっ……」

 リルラのお婆ちゃんの自由奔放振りがすごい……。
 涙目になって学院長に抗議するビアンカさんがちょっと可愛くて、可愛そうだった。

 ちなみにこのあたりのことは本当は学院の生徒であろうと秘密らしいのだが、ビアンカさんが封印について興味を持って調べているうちにバレてしまったそうだ。
 それで下手に誤魔化すぐらいなら真実を教えて秘密にしてもらったほうが安全だと判断したらしい。

「そ、それより! 今の話で理解してもらったと思うけど、封印が解けてるなら早くもう一度張り直さないと危険なの。あなたたちが冒険者でしょ? 後で指名依頼として処理してもらうようにするから、詠唱中の学院長の護衛をお願いしていい?」

 まぁリルラのお婆ちゃんだし、オレたちに断る理由もない。

「わかった。じゃぁウィンドアさんとビアンカさんの護衛ってことで受ける。結界を張るのはすぐに始められるのか?」

「わ、私まで護衛する必要なんて……いいえ、わかったわ。あなたたちが私よりずっと強いのはさっき見たものね。じゃぁ、私も含めてお願いするわ」

 さっきから全部ビアンカさんが決めてるけど、ウィンドアさんはそれでいいのか? 学院長だよね?
 などと思っていると、ジルから声がかかった。

≪主よ。ちょっといいだろうか? すこしの間隠蔽を解くぞ≫

「え? 急にどうしたんだ?」

 先に理由を聞こうと思ったのだが、次の瞬間にはもう隠蔽を解いてしまっていた。

「へ? ……ど、ドラゴン!? なんでこんな所に? あれ? さっきからいたわよね? え? ……いったいどういうこと?」

「あららら? 私の目まで欺く隠蔽魔法なんて初めて見たわ~。しかもお話までできるの? すごいドラゴンさんね~」

 ビアンカさんが理解が追いつかず混乱し、ウィンドアさんは自分が見抜けないような隠蔽魔法や話せることに驚いている。いや、これでも本気で驚いているようなんだ……。

「す、すみません! 後で説明しますので、ちょっとジルと……あ、えっと、このフェアリードラゴンと話をさせてください。テイムしてあるので安全ですから」

「い、いくらちいさくてもドラゴンをテイムしてるなんて……」

「あららら? ドラゴンテイマーなんてお伽噺みたいね~」

 本当はいろいろと聞きたそうだったが、二人ともひとまずは待ってくれるようだ。

「それでジル。急にどうしたんだ?」

≪主よ。すまないな。ちょっと手遅れになっては不味いと思い、先に行動に移させてもらった≫

「それはいいんだが、手遅れってなにか起こってるのか?」

≪主は我が抑えているステータス強化を解放すれば死なないかもしれぬが、他の者が危ないのでな≫

 ジルはそう言うと膨大な魔力を解き放ち……。

≪喰らい尽くせ『次元の顎門あぎと』≫

 迫るなにか・・・・・を呑み込んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...