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【第12話:樹氷】
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「話が盛り上がって青春している所悪いが……特待生にするつもりはないぞい?」
話の流れ的に、絶対に特待生にするという話だと思ったいたセリアとローズは、
「へっ? いや、でも、満点だしたのに……?」
「え? 違うのですか??」
ワグナー校長の「特待生にするつもりはない」と言う言葉に、喜んだらいいのか文句を言ったらいいのか迷っているようです。
僕もてっきり特待生にするとかいう話をされるのかと、孤児院を出ていく覚悟を決めようと思っていたのですが、どうもそういう訳ではなさそうです。
「えっと、僕個人としてはその方がありがたいのですが、そうするとこの話はどういう話なのでしょうか?」
「うむ。まずは適正検査のような簡単な検査ではなく、どの程度の力を持っておるのか? ギフトやその潜在能力も含めて見極めさせて貰う……いや、貰おうと思っておったのじゃが、モンスターウェーブが発生してしもうたじゃろ……?」
そう言って一度言葉を切ると、大きなため息をつくワグナー校長。
そしてどこか悪そうな笑みを口元に浮かべると、
「そこでじゃ。せっかくじゃから、実戦でその実力を測らせてくれんかのぅ?」
そう言ったのでした。
「こ、こうちょ……じゃなくてエロ爺は、エロいだけでなくて頭まで耄碌されたのですか!?」
「そそ、そうだよ! エロお爺ちゃん! いきなり実戦で実力を確認とか何言ってるんですか!?」
「お、お主ら……ちょ、ちょっと話を最後まで聞くのじゃ!」
ワグナー校長がたじたじになりながらも、何とか二人を落ち着かせます。
「わ、儂結構偉いんじゃがのぅ……」
「何か言いましたか? 早くしっかりと説明してください」
「と、とりあえず儂の呼び方については置いておくが……実はある人物に頼まれたのじゃ。ダインを是非実戦で鍛えさせて欲しいとな」
「ある人物に頼まれた? 僕は孤児院以外にあまり知り合いはいないと思うのですが……どなたですか?」
僕はまだこの街に来て一年ですし、この一年は孤児院でマリアンナさんやローズ、セリアに家庭教師になってもらって、ほとんど付きっ切りで一般教養や一般常識を教えて貰っていたので、孤児院以外にほとんど知り合いがいないはずです。
唯一よく出かけていたのが図書館ですが、司書のお姉さんってわけもないですよね。
記憶喪失を補う知識をつけるために、毎日のように図書館に通っていたのですが、他に思い当たる人がいません。
いったい誰なんだろう?
「ダイン、お主も一度会っておる相手じゃぞ」
「一度だけ……ですか?」
そういう事なら、わからなくても仕方ないですね。
それに一度だけならそれなり会った人は多いので、まったく誰かわかりません。
「そう。一度だけじゃが……『樹氷』と言えばわかるかの?」
「え? わかりませんけど?」
二つ名がついているという事は守護者の方の様ですが、樹氷とい二つ名は僕は聞いた事がありませんでした。
「えぇぇぇ!? どうして『樹氷のフォレンティーヌ』さんがダインに!? というか、ダイン一度会ってるの!?」
セリアの反応見る限り、樹氷さんって、何か有名人みたいですね。
でも、知らないものは知らないのです。
「すみません。全く知らない人なのですが、どういう方なんですか?」
「シグルス七枚盾唯一の女性で、序列第4席のSランク守護者よ」
おかしいな? 七枚盾に女の人なんていなかった気がするけど?
「あれ? 序列第4席って『深海のサバロン』さんとか言う人じゃありませんでしたっけ?」
孤児院に来てすぐぐらいに『七枚盾』の事を教えて貰った時、たしかにそう聞いたはずなのですが。
「それは三か月前までの話じゃな。サバロンは怪我で利き腕を失ってしまってのぉ。残念じゃが、引退しよった」
「その時にフォレンティーヌさんが、ちょうど大きな功績をあげて4席になったの」
校長とローズの説明を聞いて納得しました。
最近、入れ替わりがあったのなら僕が知らなくてもおかしくないですね。
三か月前に魔物の襲撃があった時、門が破られたと言う話は僕も覚えています。
その時にサバロンという人が魔物の侵入を阻止するためにかなりの無茶をしたそうで、侵入を防ぐことは成功したものの、その代償に片腕を失ってしまったそうです。
そしてその同じ戦いで凄い功績をあげたのがフォレンティーヌさんで、引き継ぐように第4席に収まったという事でした。
「フォレンティーヌさん、凄い人気なのよ! 一年前に突然現れたかと思うと、ランキング一気に駆け上がったの! それに街中でチラッと見たけど、凄い美人だし、スタイル良いし、カッコイイし、強いし、憧れちゃうなぁ~♪」
何かセリアがキラキラした目で遠くを見ながら熱く語っています……。
この世界メリナードは、魔導学のお陰で特定の技術や文化は凄く発達しているのですが、娯楽らしい娯楽があまりありません。
そんな中、守護者ギルドは定期的にコロシアムで実力判定のための模擬戦を公開しており、この世界で一番の娯楽として普及しているのです。
セリアはたまにお小遣いを貯めて見に行っているみたいなので、そこでファンにでもなったのでしょう。
「でも、ワグナー校長。樹氷のフォレンティーヌさんがどういった方かはわかりましたが、僕はその方の事を今知ったばかりなんですが?」
フォレンティーヌさんの事はわかりましたが、それでも僕との接点に思い当たる所がありません。
「お主は大怪我をして気を失って負ったからのぉ。1年前、お主を見つけた守護者と言うのが彼女じゃ」
どうやら僕の命の恩人の方だったようです。
話の流れ的に、絶対に特待生にするという話だと思ったいたセリアとローズは、
「へっ? いや、でも、満点だしたのに……?」
「え? 違うのですか??」
ワグナー校長の「特待生にするつもりはない」と言う言葉に、喜んだらいいのか文句を言ったらいいのか迷っているようです。
僕もてっきり特待生にするとかいう話をされるのかと、孤児院を出ていく覚悟を決めようと思っていたのですが、どうもそういう訳ではなさそうです。
「えっと、僕個人としてはその方がありがたいのですが、そうするとこの話はどういう話なのでしょうか?」
「うむ。まずは適正検査のような簡単な検査ではなく、どの程度の力を持っておるのか? ギフトやその潜在能力も含めて見極めさせて貰う……いや、貰おうと思っておったのじゃが、モンスターウェーブが発生してしもうたじゃろ……?」
そう言って一度言葉を切ると、大きなため息をつくワグナー校長。
そしてどこか悪そうな笑みを口元に浮かべると、
「そこでじゃ。せっかくじゃから、実戦でその実力を測らせてくれんかのぅ?」
そう言ったのでした。
「こ、こうちょ……じゃなくてエロ爺は、エロいだけでなくて頭まで耄碌されたのですか!?」
「そそ、そうだよ! エロお爺ちゃん! いきなり実戦で実力を確認とか何言ってるんですか!?」
「お、お主ら……ちょ、ちょっと話を最後まで聞くのじゃ!」
ワグナー校長がたじたじになりながらも、何とか二人を落ち着かせます。
「わ、儂結構偉いんじゃがのぅ……」
「何か言いましたか? 早くしっかりと説明してください」
「と、とりあえず儂の呼び方については置いておくが……実はある人物に頼まれたのじゃ。ダインを是非実戦で鍛えさせて欲しいとな」
「ある人物に頼まれた? 僕は孤児院以外にあまり知り合いはいないと思うのですが……どなたですか?」
僕はまだこの街に来て一年ですし、この一年は孤児院でマリアンナさんやローズ、セリアに家庭教師になってもらって、ほとんど付きっ切りで一般教養や一般常識を教えて貰っていたので、孤児院以外にほとんど知り合いがいないはずです。
唯一よく出かけていたのが図書館ですが、司書のお姉さんってわけもないですよね。
記憶喪失を補う知識をつけるために、毎日のように図書館に通っていたのですが、他に思い当たる人がいません。
いったい誰なんだろう?
「ダイン、お主も一度会っておる相手じゃぞ」
「一度だけ……ですか?」
そういう事なら、わからなくても仕方ないですね。
それに一度だけならそれなり会った人は多いので、まったく誰かわかりません。
「そう。一度だけじゃが……『樹氷』と言えばわかるかの?」
「え? わかりませんけど?」
二つ名がついているという事は守護者の方の様ですが、樹氷とい二つ名は僕は聞いた事がありませんでした。
「えぇぇぇ!? どうして『樹氷のフォレンティーヌ』さんがダインに!? というか、ダイン一度会ってるの!?」
セリアの反応見る限り、樹氷さんって、何か有名人みたいですね。
でも、知らないものは知らないのです。
「すみません。全く知らない人なのですが、どういう方なんですか?」
「シグルス七枚盾唯一の女性で、序列第4席のSランク守護者よ」
おかしいな? 七枚盾に女の人なんていなかった気がするけど?
「あれ? 序列第4席って『深海のサバロン』さんとか言う人じゃありませんでしたっけ?」
孤児院に来てすぐぐらいに『七枚盾』の事を教えて貰った時、たしかにそう聞いたはずなのですが。
「それは三か月前までの話じゃな。サバロンは怪我で利き腕を失ってしまってのぉ。残念じゃが、引退しよった」
「その時にフォレンティーヌさんが、ちょうど大きな功績をあげて4席になったの」
校長とローズの説明を聞いて納得しました。
最近、入れ替わりがあったのなら僕が知らなくてもおかしくないですね。
三か月前に魔物の襲撃があった時、門が破られたと言う話は僕も覚えています。
その時にサバロンという人が魔物の侵入を阻止するためにかなりの無茶をしたそうで、侵入を防ぐことは成功したものの、その代償に片腕を失ってしまったそうです。
そしてその同じ戦いで凄い功績をあげたのがフォレンティーヌさんで、引き継ぐように第4席に収まったという事でした。
「フォレンティーヌさん、凄い人気なのよ! 一年前に突然現れたかと思うと、ランキング一気に駆け上がったの! それに街中でチラッと見たけど、凄い美人だし、スタイル良いし、カッコイイし、強いし、憧れちゃうなぁ~♪」
何かセリアがキラキラした目で遠くを見ながら熱く語っています……。
この世界メリナードは、魔導学のお陰で特定の技術や文化は凄く発達しているのですが、娯楽らしい娯楽があまりありません。
そんな中、守護者ギルドは定期的にコロシアムで実力判定のための模擬戦を公開しており、この世界で一番の娯楽として普及しているのです。
セリアはたまにお小遣いを貯めて見に行っているみたいなので、そこでファンにでもなったのでしょう。
「でも、ワグナー校長。樹氷のフォレンティーヌさんがどういった方かはわかりましたが、僕はその方の事を今知ったばかりなんですが?」
フォレンティーヌさんの事はわかりましたが、それでも僕との接点に思い当たる所がありません。
「お主は大怪我をして気を失って負ったからのぉ。1年前、お主を見つけた守護者と言うのが彼女じゃ」
どうやら僕の命の恩人の方だったようです。
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