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第一章
第19話 無理?
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アダマンタイトナイトには、戦技の使用を禁じた上に防御に徹するようにも指示をしてある。
だがそれでも、レベル的にはおそらくかなり下であろうガンズがここまで奮闘するとは思わなかった。
格下のものが格上のものに肉薄しているこの状況に、オレもちょっとゲーム時代を思い出して熱くなっていた。
巨大なバトルアックスと盾が何度も全力でぶつかって凄まじい轟音を打ち鳴らしており、そのあまりの戦闘の圧に、まわりのほとんどの冒険者たちは言葉を発する事すら出来ないでいた。
この戦いの圧を受けても話せるそれなりの実力を持つ少数の冒険者も、短い言葉を発するのがやっとのようだ。
「……ぎ、ギルマスすげぇ……」
「あのリビングアーマーもとんでもないぞ……」
これでメンツを保つという当初の目標は果たせただろう。
それにガンズも……そろそろ限界か?
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……いや、これは驚いたぜ……。さっき強化してるって言ってたが、おめぇ、これ強化ってレベルじゃねぇだろ……」
うん。そこは正解だ。
アダマンタイトナイトはリビングアーマー系統の魔物の中では最上位種なんだ。
そりゃぁ比べれば強化なんてレベルじゃない。
その上、レベル80のオレの能力によりさらに本当に強化されている。
普通のリビングアーマーとは強さの次元が違う。
「すまないな。つい、興がのって強化し過ぎてしまって」
「ぜぇ、ぜぇ……ほんとレスカは面白れぇやつだな……それで、このリビングアーマーがとんでもなく強いのはわかったが、それを証明してみせてどうするつもりなんだ?」
ガンズ自身もかなり熱くなっていたようだが、力を出し尽くしてちょっとすっきりした顔をしている。
根っからの戦闘狂かよ。
そういうの嫌いじゃないが。
「あぁ。そいつが強いのをわかって貰った上でもう一度言う」
「ん……? そりゃぁあれか? さっき言ってた……」
「そうだ。キューレはそいつより……圧倒的に強い」
オレのその言葉にまわりで息を飲む音が聞こえた。
「まじで言っているのかよ……」
構えを解き、ガンズがオレの後ろに立つキューレに視線を向けると、周りで見ていた冒険者たちも一斉につられるようにキューレの方を向いた。
まぁその大注目のキューレは、まったく気にした様子はないんだがな。
「おおまじだ。キューレ、ちょっとしたエキシビションマッチだ。アダマンタイトナイトと戦って皆にその実力をみせてやってくれ」
と言って振り向いたのだが……キューレはなぜかオレのその言葉に頬を膨らませる。
「え? どうしたんだ?」
「主さま、本気で言っているのですか?」
「そ、そうだが?」
「無理です」
なっ!? どうしたんだ?
同じ召喚ユニット同士だから戦えないとか?
いや、ゲーム時代でもフレンドリーファイアは無効に出来なかったから、普通にダメージは入っていた。
「おいおい……そりゃぁあんな化物と女の子が戦うのなんて無理だろ」
「無茶よ。いくら自分の配下だとしてもひどすぎるわ」
な、なんかオレがすごい酷い奴みたいな流れになってしまってる気がする……。
「無理って、キューレ……戦えないっていうのか?」
まさかとは思うが、この世界にきてユニットの強さがかわってしまっている?
などと心配したのだが、それは杞憂だった。
「もう!! いくら主さまでも怒りますよ? アダマンタイトナイトで私の実力をおみせするのがなんて無理です! 弱すぎます! せめて一〇体ぐらいは呼んでください!」
そういう意味での無理かよ!?
いや、まぁ確かにそれぐらいの実力差はあるんだが、心配させないで欲しい……。
「あぁ……悪かった。たしかにそうだよな」
しかし何体ぐらいまでならおかしく思われないのだろうか。
10体も呼び出すのはちょっとやめた方が良さそうに思える。
ユニット召喚枠はレベルが上がるにつれて増えていく。
まずは最初から持っているユニット枠が一つで、レベルが5ごとに一枠追加される。
さらにレベルが10ごとに一枠追加。
つまりレベル5ごとの一枠と合わせて、レベルが10になった時に二枠追加される。
そして、レベル50になった瞬間に七枠追加された。
おそらくレベル50ごとにさらに追加で五枠ということだろう。
ただ、ゲームではまだレベルキャップが80だったので、レベル100になってみないと本当にレベル50ごとに五枠追加なのか本当のところはわからないのだが。
とりあえず、以上のことからレベル80のオレはユニット枠が三〇ある。
だから最大アダマンタイトナイトだけなら三〇体呼び出せるのだが、実は特殊なユニットである戦乙女 Ωは1ユニットで五枠使っている。
つまりキューレとは、最大二五体のアダマンタイトナイトと戦わせることが出来るのだが、さすがにそんなことをすればこの世界の異邦人としては異常なのは確実なので、ちょっと自重しないといけないだろう。
ん~……とりあえず五体ぐらいでいいか?
【コマンド:ユニット多重召喚×5】
多重召喚はレベル50で解放されるユニットコマンドだ。
同種のものに限り一度のユニット召喚で五体のユニットを同時に召喚できる。
ちなみに戦乙女 Ωのようなユニークユニットは、一体しか呼び出す事が出来ず、このコマンドを使っても五体呼ぶことはできない。
【ユニット召喚:アダマンタイトナイト】
オレの前に五つの大きな魔法陣が現れ、五体のアダマンタイトナイトが追加される。
あ……もともとの一体とあわせて六体に……。
まぁ、いいか……。
だがそれでも、レベル的にはおそらくかなり下であろうガンズがここまで奮闘するとは思わなかった。
格下のものが格上のものに肉薄しているこの状況に、オレもちょっとゲーム時代を思い出して熱くなっていた。
巨大なバトルアックスと盾が何度も全力でぶつかって凄まじい轟音を打ち鳴らしており、そのあまりの戦闘の圧に、まわりのほとんどの冒険者たちは言葉を発する事すら出来ないでいた。
この戦いの圧を受けても話せるそれなりの実力を持つ少数の冒険者も、短い言葉を発するのがやっとのようだ。
「……ぎ、ギルマスすげぇ……」
「あのリビングアーマーもとんでもないぞ……」
これでメンツを保つという当初の目標は果たせただろう。
それにガンズも……そろそろ限界か?
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……いや、これは驚いたぜ……。さっき強化してるって言ってたが、おめぇ、これ強化ってレベルじゃねぇだろ……」
うん。そこは正解だ。
アダマンタイトナイトはリビングアーマー系統の魔物の中では最上位種なんだ。
そりゃぁ比べれば強化なんてレベルじゃない。
その上、レベル80のオレの能力によりさらに本当に強化されている。
普通のリビングアーマーとは強さの次元が違う。
「すまないな。つい、興がのって強化し過ぎてしまって」
「ぜぇ、ぜぇ……ほんとレスカは面白れぇやつだな……それで、このリビングアーマーがとんでもなく強いのはわかったが、それを証明してみせてどうするつもりなんだ?」
ガンズ自身もかなり熱くなっていたようだが、力を出し尽くしてちょっとすっきりした顔をしている。
根っからの戦闘狂かよ。
そういうの嫌いじゃないが。
「あぁ。そいつが強いのをわかって貰った上でもう一度言う」
「ん……? そりゃぁあれか? さっき言ってた……」
「そうだ。キューレはそいつより……圧倒的に強い」
オレのその言葉にまわりで息を飲む音が聞こえた。
「まじで言っているのかよ……」
構えを解き、ガンズがオレの後ろに立つキューレに視線を向けると、周りで見ていた冒険者たちも一斉につられるようにキューレの方を向いた。
まぁその大注目のキューレは、まったく気にした様子はないんだがな。
「おおまじだ。キューレ、ちょっとしたエキシビションマッチだ。アダマンタイトナイトと戦って皆にその実力をみせてやってくれ」
と言って振り向いたのだが……キューレはなぜかオレのその言葉に頬を膨らませる。
「え? どうしたんだ?」
「主さま、本気で言っているのですか?」
「そ、そうだが?」
「無理です」
なっ!? どうしたんだ?
同じ召喚ユニット同士だから戦えないとか?
いや、ゲーム時代でもフレンドリーファイアは無効に出来なかったから、普通にダメージは入っていた。
「おいおい……そりゃぁあんな化物と女の子が戦うのなんて無理だろ」
「無茶よ。いくら自分の配下だとしてもひどすぎるわ」
な、なんかオレがすごい酷い奴みたいな流れになってしまってる気がする……。
「無理って、キューレ……戦えないっていうのか?」
まさかとは思うが、この世界にきてユニットの強さがかわってしまっている?
などと心配したのだが、それは杞憂だった。
「もう!! いくら主さまでも怒りますよ? アダマンタイトナイトで私の実力をおみせするのがなんて無理です! 弱すぎます! せめて一〇体ぐらいは呼んでください!」
そういう意味での無理かよ!?
いや、まぁ確かにそれぐらいの実力差はあるんだが、心配させないで欲しい……。
「あぁ……悪かった。たしかにそうだよな」
しかし何体ぐらいまでならおかしく思われないのだろうか。
10体も呼び出すのはちょっとやめた方が良さそうに思える。
ユニット召喚枠はレベルが上がるにつれて増えていく。
まずは最初から持っているユニット枠が一つで、レベルが5ごとに一枠追加される。
さらにレベルが10ごとに一枠追加。
つまりレベル5ごとの一枠と合わせて、レベルが10になった時に二枠追加される。
そして、レベル50になった瞬間に七枠追加された。
おそらくレベル50ごとにさらに追加で五枠ということだろう。
ただ、ゲームではまだレベルキャップが80だったので、レベル100になってみないと本当にレベル50ごとに五枠追加なのか本当のところはわからないのだが。
とりあえず、以上のことからレベル80のオレはユニット枠が三〇ある。
だから最大アダマンタイトナイトだけなら三〇体呼び出せるのだが、実は特殊なユニットである戦乙女 Ωは1ユニットで五枠使っている。
つまりキューレとは、最大二五体のアダマンタイトナイトと戦わせることが出来るのだが、さすがにそんなことをすればこの世界の異邦人としては異常なのは確実なので、ちょっと自重しないといけないだろう。
ん~……とりあえず五体ぐらいでいいか?
【コマンド:ユニット多重召喚×5】
多重召喚はレベル50で解放されるユニットコマンドだ。
同種のものに限り一度のユニット召喚で五体のユニットを同時に召喚できる。
ちなみに戦乙女 Ωのようなユニークユニットは、一体しか呼び出す事が出来ず、このコマンドを使っても五体呼ぶことはできない。
【ユニット召喚:アダマンタイトナイト】
オレの前に五つの大きな魔法陣が現れ、五体のアダマンタイトナイトが追加される。
あ……もともとの一体とあわせて六体に……。
まぁ、いいか……。
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