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第一章
第21話 冒険者ランク
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突然オレが声をあげて驚いたことに、ガンズもリナシーもなにがあったのかとこちらを不思議そうに見ている。
だけど、それどころではなかった。
【おめでとうございます。キャンペーン『異界からの訪問者』のステージが進行しました】
なんてことだ……あのわけのわからないキャンペーンはまだ続いていたのか!?
前回このキャンペーンのステージが進行した直後に、オレはこの世界に連れてこられたと考えている。
だから、またこの後にどこかに転送、もしくはファストトラベルされるのではないかと身構えていたのだが……しばらく待っても何も起こる様子はなかった。
「おい? レスカ、大丈夫か? どうした?」
オレが焦った様子で周りを警戒していたからだろう。
ガンズがしばらく待ってから声をかけてきた。
「いや、すまない。なんでも、ないんだ」
「あの……私がなにかしてしまったのでしょうか」
「違う違う。すまないな。リナシーはなにもしてないし、なにも悪くない。誤解をさせて悪かった」
キューレにも心配かけて……と思ったが、こちらは杞憂だった。
オレの後ろでギルドカードをまだ嬉しそうに眺めていた。
もしかして、オレからギルドカードを渡したからか?
あくまでも勘だが、なんかそんな気がする……。
基本的にキューレはオレ以外にはあまり関心を示さない。
これはゲーム時代でもそうだったんだが、この世界に来てからはそれがさらに顕著になっている気がする。
今度なにかちゃんとしたものをプレゼントしてやるか……。
「それで、本当になんでもないのか? 今の焦りようはかなりのものだったぞ?」
「ん~……ちょっとな。詳しくは言えないが、まぁ魔法のようなものでメッセージを受け取ったと思ってくれ」
「ほ~? 今度はメッセージをやり取りする魔法か? レスカは本当にびっくり箱のような奴だな!」
あ……メッセージをやり取りする魔法ぐらい存在するかと思ったんだが……。
「なんだ? 知らないのか? メッセージの魔法は失われた魔法の一つだぞ? そんなのが使える仲間がいるのか?」
そのまんまの魔法が存在していたのは思った通りだったが、それが失われた魔法だというのは予想外だ……。
突然この世界に連れて来られてからまだ二日目なんだ。
ちょっといろいろ調べたり勉強する時間をくれ……。
「……ノーコメントだ……」
言い訳が思いつかないから、もうノーコメントで通そう。
「がははは! そうか! ノーコメントなら仕方ないな!」
いや、そんなことよりキャンペーンがまだ続いていたことの方を考えなければならない。
オレはこの世界にやってきて、もうそれでキャンペーンは終わったものと思っていた。
そもそもキャンペーンなんてものはリアルでは存在するわけがないと決めつけていた。
だがこうして、キャンペーンが進行したとのメッセージを受けたわけだから、その考えは改めなければ……。
これからキャンペーンに対してどういう行動をとるのか?
現在進行中のキャンペーンを確認する方法はあるのか?
キャンペーンを進行、またクリアすることに何か意味はあるのか? 報酬は?
そして……そもそもこの現実となった世界の中で、キャンペーンとは誰がだしているのか?
あまりにもわからないことが多すぎる。
システムメニューが使えなくなってキャンペーン関連の情報にアクセスできないのが痛い。
そんな思考の渦に飲み込まれそうになっていると……。
「あの~……問題ないのでしたら、冒険者についての説明をさせて頂いてもよろしいでしょうか? その、これも決まりなので……」
「あ~まぁそうか。冒険者登録するのなら、規則とかについての説明は必要だよな」
「はい。昔は冊子を配ってって話もあったのですが、冊子にお金がかかりますし、そもそも冒険者の方は読まない人が多かったので登録時に必ず規則の説明する決まりになっているんです」
「なるほど。それならさっそく頼む。あ、場所はギルド長室いいのか?」
いまオレたちはギルド長室にいる。
お決まりの定型的な説明だけなら、別の部屋でして貰った方がいいのではないかと思ったのだが、ここで問題ないとリナシーではなくガンズが答えた。
「登録時の説明だけなら他でやってもらってもいいんだがな。レスカと嬢ちゃんはランクアップ時にする説明があるんだよ」
話を聞いてみると、Cランクまではそこそこの冒険者が辿り着くらしく、そこまでは職員の方で説明をしているそうなのだが、BやAランクはごく少数のものしか辿り着けないランクらしく、ランクアップ時の説明は直接ギルドマスターがすることになっているのだそうだ。
その説明の過程でランクについても説明をうけたが、冒険者のランクは依頼をこなした数などのギルド貢献度ではなく、純粋な強さをあらわしているものらしい。
ただ、強さを判定するのにどのような依頼を達成したかでも判断されるらしいので、貢献度と置き換えても大きなズレはないかもしれない。
要約すると、冒険者のランクはこのような解釈になるだろうか。
Fランクは冒険者見習い、もしくはそれに準ずる強さしか持たない者。
Eランクは一般的な強さの冒険者。
Dランクはベテラン冒険者、もしくはそれに見合う強さを持つ冒険者。
Cランクは戦闘に関する素養を持ち、戦技や魔法などが扱える冒険者。
Bランクは戦闘に関する素養を持ち、戦技や魔法などを高いレベルで扱える一流の冒険者。
AランクはBランクよりもさらに高い次元で扱える超一流の冒険者といったところか。
ちなみにガンズは、ギルドマスターであると同時に今でも現役のAランク冒険者なのだそうだ。
こういうとこの世界の者たちがすごく弱そうに感じるかもしれないが、それはあくまでもゲームとしてのベルジール戦記に登場するユニットと比べた場合の話だ。
なぜなら、話を聞く限りCランクの時点でその強さは既に十分人外の域に達しているし、元いた世界の人間と比べるのなら、おそらくEランクでも世界で通用するレベルの強さを持っているはずだ。
「ランクについてはよろしいですか? それでは続いて主な禁止されている行為などを説明させていただきます」
その後も、さまざまな仕組みや規則についての説明を受けたが特別変わったものはなかった。
冒険者は一般市民への暴力は厳禁だとか、直接依頼主に会っては駄目などという禁止事項から始まり、冒険者ランクごとに受けられる依頼が決まっていることの説明。
依頼を達成しても報告が遅れるとペナルティがあることや、そもそも依頼を期限内に終わらせることが出来なかった場合は重めの罰則がある話など。
それから依頼を達成時の支払いには是非ギルドの口座をという営業トークまで……。
「登録時の説明は以上ですが、わからなかったところや質問などはありませんか?」
「あぁ、大丈夫だ。これで説明は全部か?」
リナシーの説明は、てきぱきと慣れた様子でわかりやすかった。
でも……まだ説明は終わりではないようだ。
「いいえ。本来はここまでなのですが、Cランクにアップした時の説明がまだ残っています。まず依頼についてですが、Cランク以上の冒険者には専属のギルド職員がつき、できるだけギルド側から提示された依頼の中から受けていただけるようにお願いしております。それから……」
一気に高ランクになった弊害だろう。
まだまだ話は続きそうだった……。
だけど、それどころではなかった。
【おめでとうございます。キャンペーン『異界からの訪問者』のステージが進行しました】
なんてことだ……あのわけのわからないキャンペーンはまだ続いていたのか!?
前回このキャンペーンのステージが進行した直後に、オレはこの世界に連れてこられたと考えている。
だから、またこの後にどこかに転送、もしくはファストトラベルされるのではないかと身構えていたのだが……しばらく待っても何も起こる様子はなかった。
「おい? レスカ、大丈夫か? どうした?」
オレが焦った様子で周りを警戒していたからだろう。
ガンズがしばらく待ってから声をかけてきた。
「いや、すまない。なんでも、ないんだ」
「あの……私がなにかしてしまったのでしょうか」
「違う違う。すまないな。リナシーはなにもしてないし、なにも悪くない。誤解をさせて悪かった」
キューレにも心配かけて……と思ったが、こちらは杞憂だった。
オレの後ろでギルドカードをまだ嬉しそうに眺めていた。
もしかして、オレからギルドカードを渡したからか?
あくまでも勘だが、なんかそんな気がする……。
基本的にキューレはオレ以外にはあまり関心を示さない。
これはゲーム時代でもそうだったんだが、この世界に来てからはそれがさらに顕著になっている気がする。
今度なにかちゃんとしたものをプレゼントしてやるか……。
「それで、本当になんでもないのか? 今の焦りようはかなりのものだったぞ?」
「ん~……ちょっとな。詳しくは言えないが、まぁ魔法のようなものでメッセージを受け取ったと思ってくれ」
「ほ~? 今度はメッセージをやり取りする魔法か? レスカは本当にびっくり箱のような奴だな!」
あ……メッセージをやり取りする魔法ぐらい存在するかと思ったんだが……。
「なんだ? 知らないのか? メッセージの魔法は失われた魔法の一つだぞ? そんなのが使える仲間がいるのか?」
そのまんまの魔法が存在していたのは思った通りだったが、それが失われた魔法だというのは予想外だ……。
突然この世界に連れて来られてからまだ二日目なんだ。
ちょっといろいろ調べたり勉強する時間をくれ……。
「……ノーコメントだ……」
言い訳が思いつかないから、もうノーコメントで通そう。
「がははは! そうか! ノーコメントなら仕方ないな!」
いや、そんなことよりキャンペーンがまだ続いていたことの方を考えなければならない。
オレはこの世界にやってきて、もうそれでキャンペーンは終わったものと思っていた。
そもそもキャンペーンなんてものはリアルでは存在するわけがないと決めつけていた。
だがこうして、キャンペーンが進行したとのメッセージを受けたわけだから、その考えは改めなければ……。
これからキャンペーンに対してどういう行動をとるのか?
現在進行中のキャンペーンを確認する方法はあるのか?
キャンペーンを進行、またクリアすることに何か意味はあるのか? 報酬は?
そして……そもそもこの現実となった世界の中で、キャンペーンとは誰がだしているのか?
あまりにもわからないことが多すぎる。
システムメニューが使えなくなってキャンペーン関連の情報にアクセスできないのが痛い。
そんな思考の渦に飲み込まれそうになっていると……。
「あの~……問題ないのでしたら、冒険者についての説明をさせて頂いてもよろしいでしょうか? その、これも決まりなので……」
「あ~まぁそうか。冒険者登録するのなら、規則とかについての説明は必要だよな」
「はい。昔は冊子を配ってって話もあったのですが、冊子にお金がかかりますし、そもそも冒険者の方は読まない人が多かったので登録時に必ず規則の説明する決まりになっているんです」
「なるほど。それならさっそく頼む。あ、場所はギルド長室いいのか?」
いまオレたちはギルド長室にいる。
お決まりの定型的な説明だけなら、別の部屋でして貰った方がいいのではないかと思ったのだが、ここで問題ないとリナシーではなくガンズが答えた。
「登録時の説明だけなら他でやってもらってもいいんだがな。レスカと嬢ちゃんはランクアップ時にする説明があるんだよ」
話を聞いてみると、Cランクまではそこそこの冒険者が辿り着くらしく、そこまでは職員の方で説明をしているそうなのだが、BやAランクはごく少数のものしか辿り着けないランクらしく、ランクアップ時の説明は直接ギルドマスターがすることになっているのだそうだ。
その説明の過程でランクについても説明をうけたが、冒険者のランクは依頼をこなした数などのギルド貢献度ではなく、純粋な強さをあらわしているものらしい。
ただ、強さを判定するのにどのような依頼を達成したかでも判断されるらしいので、貢献度と置き換えても大きなズレはないかもしれない。
要約すると、冒険者のランクはこのような解釈になるだろうか。
Fランクは冒険者見習い、もしくはそれに準ずる強さしか持たない者。
Eランクは一般的な強さの冒険者。
Dランクはベテラン冒険者、もしくはそれに見合う強さを持つ冒険者。
Cランクは戦闘に関する素養を持ち、戦技や魔法などが扱える冒険者。
Bランクは戦闘に関する素養を持ち、戦技や魔法などを高いレベルで扱える一流の冒険者。
AランクはBランクよりもさらに高い次元で扱える超一流の冒険者といったところか。
ちなみにガンズは、ギルドマスターであると同時に今でも現役のAランク冒険者なのだそうだ。
こういうとこの世界の者たちがすごく弱そうに感じるかもしれないが、それはあくまでもゲームとしてのベルジール戦記に登場するユニットと比べた場合の話だ。
なぜなら、話を聞く限りCランクの時点でその強さは既に十分人外の域に達しているし、元いた世界の人間と比べるのなら、おそらくEランクでも世界で通用するレベルの強さを持っているはずだ。
「ランクについてはよろしいですか? それでは続いて主な禁止されている行為などを説明させていただきます」
その後も、さまざまな仕組みや規則についての説明を受けたが特別変わったものはなかった。
冒険者は一般市民への暴力は厳禁だとか、直接依頼主に会っては駄目などという禁止事項から始まり、冒険者ランクごとに受けられる依頼が決まっていることの説明。
依頼を達成しても報告が遅れるとペナルティがあることや、そもそも依頼を期限内に終わらせることが出来なかった場合は重めの罰則がある話など。
それから依頼を達成時の支払いには是非ギルドの口座をという営業トークまで……。
「登録時の説明は以上ですが、わからなかったところや質問などはありませんか?」
「あぁ、大丈夫だ。これで説明は全部か?」
リナシーの説明は、てきぱきと慣れた様子でわかりやすかった。
でも……まだ説明は終わりではないようだ。
「いいえ。本来はここまでなのですが、Cランクにアップした時の説明がまだ残っています。まず依頼についてですが、Cランク以上の冒険者には専属のギルド職員がつき、できるだけギルド側から提示された依頼の中から受けていただけるようにお願いしております。それから……」
一気に高ランクになった弊害だろう。
まだまだ話は続きそうだった……。
応援ありがとうございます!
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