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【第19話:三日目】
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「はぁぁ!!」
パズにこの『霊槍カッバヌーイ』を貰うまで、槍など触った事も無かったのに、まるで自分の手足の延長のように操れる。
パズ曰く、この世界には職業クラス同様に、武器適性というものが存在するらしい。
この適性と武器が一致すると、普通に努力して身につけるのが馬鹿らしくなるほど、思い通りにその武器を操れるようになるらしい。
もちろん、全員がそうなるわけでは無い。
武器適性にもランクがあり、オレの場合は槍適性が最高ランクのSだった。
ランクAでも達人クラスらしいので、そりゃぁ、自由自在に操れるわけだ。
「ふっ!!」
武器を持った手を狙い、二連撃で突きを放って二人の武器を弾き落とすと、オレは二人の脇を走り抜け、先に見えた広場へと飛び込んだ。
「くっ!? 何をやってる!? 追えぇ!!」
オレは上がったステータス全開で男たちを置き去りにして広場まで辿り着くと、くるりと身体を反転させて、槍をぶんと振るって構えをとった。
「ぐっ!? 調子に乗るなぁ!!」
「死ねぇやぁ!!」
そこへ、命知らずにも真正面から斬り込んでくるのだから、見た目と違って実力は大したことはなさそうだ。
武器の長さが違うのだから、少しは警戒しろよ……。
オレは相手の間合いの外から、逆に構えた霊槍カッバヌーイの石突を遠慮なく鳩尾に叩き込む。
「ふごっ!?」
そして、嗚咽を漏らして屈みこんだ男に、くるりと槍を半回転させて、そのまま柄で吹き飛ばして意識を刈り取った。
「まず一人!」
槍をぶん回した勢いを利用し、そのままその場で一回転すると、次の男が今度は若干ビビりながらも、片手剣を振りかぶって突っ込んできた。
「てて、てめぇ!!」
「だから、間合いが違い過ぎるでしょ……」
オレはさっきの焼き直しのように石突で鳩尾に強烈な突きをお見舞いすると、更に一歩踏み込んで、槍を振り上げ、顎に強烈な一撃をお見舞いして吹き飛ばした。
「これで二人!」
回り込んだ男二人を倒したわけだが、倒した二人目の男が目の前に転がってきたために、後続の四人の足が鈍った。
まだ槍のような長物の扱いは慣れていないが、剣の鍛錬は毎日頑張っていた。
ただ、剣で今やったような動きが出来るかと言われれば、ここまでスムーズには出来ないだろう。
これが武器適性の効果なのか……。
それでも、剣で必死に鍛錬を続けていたからこそ、槍を扱う上での突いて、払うという動きを戸惑わないで行えているわけだし、足運びなどは、ほぼそのまま流用できているので、これまでの努力だって無駄ではなかった。
「はぁぁっ!!」
足の鈍った男の中から一人の男が飛び出してきたが、それも悪手だ。
同時にかかってこられると厄介だと思っていたが、一人飛び出た形になったので、遠慮なく返り討ちにする。
「うぎゃっ!?」
今度は顔面にモロに強烈な突きが炸裂する。
いくら刃が付いていなくても、これは痛い……。
しかし、地面で悶絶して転がっている男が、いい具合に障害物になってくれている。
オレは、男を盾にするように回り込むと、一対一の状況をもう一度作り出し、脛を思い切り薙ぎ払った。
「ふぎゃっ!?」
「う……これは痛そうだ……」
オレが槍をもっと使いこなしていれば、さっくり意識を刈り取ることも出来るのだろうが、悪いが槍はまだ三日目なんだ。許してくれ……。
しかし、今度は残りの男二人が連携を取るように斬り込んできた。
「っ!? はぁぁぁっ!!」
タイミングを合わせて二人がかりで斬りかかってきたのでちょっと焦ったが、上ったステータスでごり押した。
大きく円を描くように、力いっぱい振り抜いた槍は、上ったステータスに遠心力も加わり、男たちを纏めて吹き飛ばすことに成功する。
しかし、その時だった。
「ちょっとちょっと~、揉め事ならよそでやってくんな」
その広場に面した家の裏口から、一人の女性が顔を出した。
「え? え? な、なんだよこれ!?」
せいぜい喧嘩程度だと思っていたのだろう。
それが、全員剣やナイフ、槍のような人を簡単に殺せる武器を持っているという物騒な状況に気付き、慌てて家に戻ろうとしたのだが……遅かった。
「待てや! おんな~!!」
「きゃっ!? いや!? 放しておくれよ!!」
残りは口だけの男二人だと思って油断した。
あっという間に女を捕まえると、ナイフを胸に突き当ててしまった。
「おぃ! その人は無関係だろ!」
その状況を見て、オレも思わず反射的に叫んでしまっていた。
不味った……嘘でもここは、そんな女に人質の価値はないと荒っぽい態度でも取るべきだったかもしれない。
「おぉっと動くな! 無関係だよなぁ? お前のせいで巻き込まれて、可哀そうだよなぁ? えぇ、そう思うだろぉ?」
そして、その女が人質になると判断した男が、案の定、オレを脅してきた。
「お、お前、汚い真似を……」
「はっはっは。何とでも言えよっ! 最終的に勝ちゃぁいいんだよ!! 勝ちゃぁなぁ!!」
「ふふふ。そうだぜ~坊主。ちょっとばかり腕が立つからって、慣れない真似すると痛い目を見るって、たっぷり教えてやるぜ」
これは不味い事になった。
どうするべきかと悩んでいると、更に悪い事に、最後に吹き飛ばした二人の男が起き上がり、なにやらポーションのようなものを取り出している。
普通に出回っている回復ポーションは、回復魔法ほどの効果は無いが、それでも打ち身やちょっとした怪我は一時間ほどで治す事ができる。
それに一時間も待たなくても、痛みだけなら結構すぐに取れるので、今倒れている奴らの分もあるなら最悪全員戦線復帰してしまう。
そして最悪な事に、男たちは人数分の回復ポーションを持っていたようだ。
まだ多少痛がりつつも、全員が武器を拾い、立ち上がってしまった……。
「さて……坊主、さっさとその槍を捨てろっ!!」
パズにこの『霊槍カッバヌーイ』を貰うまで、槍など触った事も無かったのに、まるで自分の手足の延長のように操れる。
パズ曰く、この世界には職業クラス同様に、武器適性というものが存在するらしい。
この適性と武器が一致すると、普通に努力して身につけるのが馬鹿らしくなるほど、思い通りにその武器を操れるようになるらしい。
もちろん、全員がそうなるわけでは無い。
武器適性にもランクがあり、オレの場合は槍適性が最高ランクのSだった。
ランクAでも達人クラスらしいので、そりゃぁ、自由自在に操れるわけだ。
「ふっ!!」
武器を持った手を狙い、二連撃で突きを放って二人の武器を弾き落とすと、オレは二人の脇を走り抜け、先に見えた広場へと飛び込んだ。
「くっ!? 何をやってる!? 追えぇ!!」
オレは上がったステータス全開で男たちを置き去りにして広場まで辿り着くと、くるりと身体を反転させて、槍をぶんと振るって構えをとった。
「ぐっ!? 調子に乗るなぁ!!」
「死ねぇやぁ!!」
そこへ、命知らずにも真正面から斬り込んでくるのだから、見た目と違って実力は大したことはなさそうだ。
武器の長さが違うのだから、少しは警戒しろよ……。
オレは相手の間合いの外から、逆に構えた霊槍カッバヌーイの石突を遠慮なく鳩尾に叩き込む。
「ふごっ!?」
そして、嗚咽を漏らして屈みこんだ男に、くるりと槍を半回転させて、そのまま柄で吹き飛ばして意識を刈り取った。
「まず一人!」
槍をぶん回した勢いを利用し、そのままその場で一回転すると、次の男が今度は若干ビビりながらも、片手剣を振りかぶって突っ込んできた。
「てて、てめぇ!!」
「だから、間合いが違い過ぎるでしょ……」
オレはさっきの焼き直しのように石突で鳩尾に強烈な突きをお見舞いすると、更に一歩踏み込んで、槍を振り上げ、顎に強烈な一撃をお見舞いして吹き飛ばした。
「これで二人!」
回り込んだ男二人を倒したわけだが、倒した二人目の男が目の前に転がってきたために、後続の四人の足が鈍った。
まだ槍のような長物の扱いは慣れていないが、剣の鍛錬は毎日頑張っていた。
ただ、剣で今やったような動きが出来るかと言われれば、ここまでスムーズには出来ないだろう。
これが武器適性の効果なのか……。
それでも、剣で必死に鍛錬を続けていたからこそ、槍を扱う上での突いて、払うという動きを戸惑わないで行えているわけだし、足運びなどは、ほぼそのまま流用できているので、これまでの努力だって無駄ではなかった。
「はぁぁっ!!」
足の鈍った男の中から一人の男が飛び出してきたが、それも悪手だ。
同時にかかってこられると厄介だと思っていたが、一人飛び出た形になったので、遠慮なく返り討ちにする。
「うぎゃっ!?」
今度は顔面にモロに強烈な突きが炸裂する。
いくら刃が付いていなくても、これは痛い……。
しかし、地面で悶絶して転がっている男が、いい具合に障害物になってくれている。
オレは、男を盾にするように回り込むと、一対一の状況をもう一度作り出し、脛を思い切り薙ぎ払った。
「ふぎゃっ!?」
「う……これは痛そうだ……」
オレが槍をもっと使いこなしていれば、さっくり意識を刈り取ることも出来るのだろうが、悪いが槍はまだ三日目なんだ。許してくれ……。
しかし、今度は残りの男二人が連携を取るように斬り込んできた。
「っ!? はぁぁぁっ!!」
タイミングを合わせて二人がかりで斬りかかってきたのでちょっと焦ったが、上ったステータスでごり押した。
大きく円を描くように、力いっぱい振り抜いた槍は、上ったステータスに遠心力も加わり、男たちを纏めて吹き飛ばすことに成功する。
しかし、その時だった。
「ちょっとちょっと~、揉め事ならよそでやってくんな」
その広場に面した家の裏口から、一人の女性が顔を出した。
「え? え? な、なんだよこれ!?」
せいぜい喧嘩程度だと思っていたのだろう。
それが、全員剣やナイフ、槍のような人を簡単に殺せる武器を持っているという物騒な状況に気付き、慌てて家に戻ろうとしたのだが……遅かった。
「待てや! おんな~!!」
「きゃっ!? いや!? 放しておくれよ!!」
残りは口だけの男二人だと思って油断した。
あっという間に女を捕まえると、ナイフを胸に突き当ててしまった。
「おぃ! その人は無関係だろ!」
その状況を見て、オレも思わず反射的に叫んでしまっていた。
不味った……嘘でもここは、そんな女に人質の価値はないと荒っぽい態度でも取るべきだったかもしれない。
「おぉっと動くな! 無関係だよなぁ? お前のせいで巻き込まれて、可哀そうだよなぁ? えぇ、そう思うだろぉ?」
そして、その女が人質になると判断した男が、案の定、オレを脅してきた。
「お、お前、汚い真似を……」
「はっはっは。何とでも言えよっ! 最終的に勝ちゃぁいいんだよ!! 勝ちゃぁなぁ!!」
「ふふふ。そうだぜ~坊主。ちょっとばかり腕が立つからって、慣れない真似すると痛い目を見るって、たっぷり教えてやるぜ」
これは不味い事になった。
どうするべきかと悩んでいると、更に悪い事に、最後に吹き飛ばした二人の男が起き上がり、なにやらポーションのようなものを取り出している。
普通に出回っている回復ポーションは、回復魔法ほどの効果は無いが、それでも打ち身やちょっとした怪我は一時間ほどで治す事ができる。
それに一時間も待たなくても、痛みだけなら結構すぐに取れるので、今倒れている奴らの分もあるなら最悪全員戦線復帰してしまう。
そして最悪な事に、男たちは人数分の回復ポーションを持っていたようだ。
まだ多少痛がりつつも、全員が武器を拾い、立ち上がってしまった……。
「さて……坊主、さっさとその槍を捨てろっ!!」
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