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13.チェリーブロッサム
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孤児院に帰り、ルナちゃんに餌を食べさせた後、ここに代々伝わる『闇魔法全集』を始めから読み直した。
始めからといっても十巻ある内、数冊しか読んだことが無かったから、三冊目くらいからは初見である。ただ、魔法自体は前の院長が口頭で教えてくれたものがほとんどで飽きてしまい、眠気との戦いとなった。
読み進めて八巻を超えると今度は、教わったことがない危険そうな魔法がたくさん出て来た。ぜったい使っちゃダメなやつだから、読みたくないし見たくない。
それでも、バルちゃんを助けなければ…。
…と、歯を食いしばり、読むこと丸二日……。
「完全な猫になる方法が、載ってるー♡」
バルちゃんを治す方法は載っていなかったが、完全に猫になる方法は載ってたあー!ひゃっほー!
「なになに、『まず、材料を集めましょう。闇竜の鱗一枚、魔王の生き血小さじ一、世界一かわいい猫の毛一つまみ。それを刻んでよく混ぜて人肌にあたためましょう。最後に魔法を唱えて出来上がり。アマ・メ・エテルヌム』」
最後まで読んで、俺は意気消沈した。だって魔王は数百年前に勇者に討伐されているし、この間、闇竜はやっつけちゃったし!
三つのうち二つ、絶対手に入らない材料じゃねーか…っ!
いきなり俺の、コンラッドと一生にゃんにゃん計画が暗礁に乗り上げた。他に何か方法ないのぉ?!
「とりあえず、世界一可愛い猫の毛だけ、手に入れておくか…」
俺はルナの毛を手に入れるべく、ブラシに手を伸ばした。すると…。
「しゃぁぁぁーーっ!」
「ルナちゃん…!ブラシ大嫌いだったー!」
触らせるつもりはないぜって顔で睨んでるぅー!こわいい!恐ろしい顔もかわいいけど、ルナちゃん、もっときゅるんってお顔して俺を癒して!
…俺は失望して、崩れ落ちるように眠った。
「うーん、うーん、ベッドが固すぎる…!」
丸一日眠ってしまい、翌日、目を覚ますと、既に日は高く昇っていた。
「これからどうしよう…」
何も、手掛かりがない……。
押し切られる形で、あの男の家に子供達を預けて来てしまったが、これっていわば、人質を取られた様なものじゃ無いか?!
こ、こうしてはいられない。
あと、頼れるのは…。俺にはもうあいつしかいない…!
俺は娼館へと急いだ。娼館に来るだろう、前院長を探すために…。
「まだ昼間だ、流石に来ないかな…」
娼館に不用意に近付いてエミリアに見つかると厄介だ。物陰に潜み様子をうかがっていると、背後から肩を叩かれる。
そこにいたのは、全く知らない男だった。
「ねぇ、君…、この間伝説を作った娼館のノルちゃんだろ?」
「伝説…?」
「客が天国にいっちゃったっていう、伝説だよ♡」
でも、そいつちゃんと天国から帰ってきて、幼馴染と馬乗ってほんのりいちゃついてたよ?
怪訝な顔をすると、そいつは気色悪い声で、金貨を一枚俺に差し出した。
「俺も連れてって…、天国♡」
「お、お断りしますっ!」
「娼館を通さない方が、そのまま全部自分の取り分になるよ?!」
そういうことじゃなくてー!
俺は手を振り払い、物陰から逃げ出した。
勢いのまま、慌てて通りに飛び出してしまい、大勢の人に気付かれてしまった。
まずい…!
「あ、あいつ!伝説の娼夫『ノル』だ!」
「ギルドに依頼が出てた、捕まえろー!」
ひいい!なんか有名になってるし、ギルドに依頼まで…?!
俺は必死に走って、路地裏へ逃げた。しかし、そこは行き止まり…!
急いで服を脱ぎ、マジックバッグにしまった。
「我が身よ変われっ」
まだ昼間だが、背に腹は代えられない!俺は子猫に姿を変えた。
「いない…!」
「消えた…?!」
裏路地まで追いかけてきた連中は目を白黒させている。
良かった、間に合って…。
こっそり、奴らの足の間をすり抜け、逃げ出す。
様子を見に戻ると、娼館の前は既に、大騒ぎになっていた。ここは危ない…!
その場を離れ、俺は逆方向へ向かうことにした。
****
娼館のある繁華街の逆側は、王都の市場だ。まだ昼間ということもあって、多くの人で賑わっている。
いや、人だけじゃ無い。市場には見渡す限り、猫、猫、猫…!そこかしこに、猫があふれている。先日、闇竜を倒した時は、こんなにいなかったはずだが…。
なんだ、どうしたんだ、これは?!
「こんにちは」
驚いていると、近くにいた縞模様の猫がもじもじと話しかけてきた。
「ねえ君、何歳?」
「十八だけど…」
「えー?!うそぉ!じゃあ発情期きてるよね?俺もなんだ!あっちで俺とにゃんにゃんしない?!」
「へ?!」
何言ってんだこの猫…!俺、にゃん玉ついてるオスだし!こいつもにゃん玉ついてるし!第一、俺、にゃんにゃんはコンラッド以外無理だしっ!
「やだよ俺オスだし!」
「大丈夫だって!そこをなんとか!」
断られてもお願いしてきたー!オスだって言ってるのに、見境いのないやつ!
それとも俺のこの姿、無意識に闇魔法の『魅了』を発動しているのか?
「赤ちゃんつくろー!」
「いやだっ!」
……ここで、考えている暇はない!
俺は身の危険を感じ、一目散に逃げ出した。しかし、少し走るとまた、ドンと、もふもふにぶつかる。
犬も歩けば棒に、じゃなくて子猫が歩いたらオス猫にぶつかった!
「おいお前、何歳?」
これ、答えちゃいけないやつ!
逃げようとしたが、後ろからさっきの猫が追いかけてきている。
は、挟み撃ちだあー!たすけてえー!
「コンラッドーっ!」
コンラッドの名を叫ぶと、突然、俺を追いかけていた猫が消えた。
え?!なんで?!
顔を上げると、見覚えのある亜麻色の髪に、碧眼の女性が俺に笑いかけていた。
「ノワールちゃんじゃない♡♡」
「お母様ーーーーっ!」
コンラッドのお母様だー!
お母様はひょいっと俺を抱き上げて、隣にいた女に話しかけた。
「ありがとうナタリー!危ないところだったわ!」
「ええ。間に合ってよかったです!危うくノワール様が気の立ったオス猫の餌食になるところでした!」
ナタリーは鉄のカゴを持っていた。先ほど俺を襲おうとしたオス猫二匹を彼女が捕まえてくれたらしい。二匹は籠の中で小さく丸まっている。
「でもナタリー、この猫ちゃん達は、悪い子じゃないのよ。悪いのは暗黒神を信仰するあまり、無責任に野良猫に餌をやって、猫をいたずらに繁殖させた人間よ!」
「確かにそうですわね…」
「さきほど聞いた限りでは、他の地域から猫がここに捨てられているらしいの」
「それで、こんなに…」
「糞尿問題も出ている。このままでは、猫ちゃんが悪者になってしまう!それだけは防がないと!」
ナタリーは神妙な顔でうなずくと、俺をお母様から受け取った。ふかふかの布が敷かれた目の粗い木の籠に入れ、上蓋をそっと閉じる。
「じゃあ、ノワールちゃん、他の猫ちゃんも、ハーケンベルクの屋敷にご招待するわ♡」
奥様の号令で、俺と、鉄カゴの猫達は馬車に乗せられた。俺はお母様の隣に、野良猫はナタリーの隣に置かれたのだが、二匹は怖いくらいガクガクと震えている。
かわいそうになって、俺は二匹に話しかけた。
『ハーケンベルク家はお日さまぽかぽかで、天国みたいに良いところだよ!だから怖がらなくても大丈夫!』
『天国…?地獄だろ!あいつに捕まった猫はみんな、耳とにゃん玉を切られて帰ってくるんだぞ?!』
『へ……?!』
にゃ、にゃん玉を、切る…だと…?!
『な、な、な、なんでー?!』
『去勢されて、子を作れなくされるんだ。発情期もなくなって…。俺は、初めての発情期だったのに、一生童貞決定だあ!』
『だから耳とにゃん玉を切られた猫は桜猫って呼ばれてるんだぞ!』
童貞だけにぃ。
なにそれ、うまーい!
……じゃ、なくてーーーーっ!
俺は籠の隙間から、お母様を見上げた。
お母様、俺に、そんな事しないよね?そんなおそろしい事、しないよね…!
「奥様、ノワールちゃんは、どうなさるのですか?」
「もちろん、去勢するわ。そうしなければいずれ、子供を作るでしょう?」
「ノワールちゃんの飼い主に、許可は?」
「外へ出しているのですから、去勢は義務よ。それをして差し上げるのですから感謝してほしいくらいです。」
「まだ子猫のようですが。」
「子猫のうちに済ませた方がいいのよ。発情を知ってしまうと、余計つらいんですって」
……完全に、やる気だ…。
お母様ーーっ!
俺はコンラッドが好きなオスだから子供は作れません!だから俺からにゃん玉を取る必要なんてないんだよ!
やだー!
「コンラッドーっ!」
たすけてぇーー!!!!
始めからといっても十巻ある内、数冊しか読んだことが無かったから、三冊目くらいからは初見である。ただ、魔法自体は前の院長が口頭で教えてくれたものがほとんどで飽きてしまい、眠気との戦いとなった。
読み進めて八巻を超えると今度は、教わったことがない危険そうな魔法がたくさん出て来た。ぜったい使っちゃダメなやつだから、読みたくないし見たくない。
それでも、バルちゃんを助けなければ…。
…と、歯を食いしばり、読むこと丸二日……。
「完全な猫になる方法が、載ってるー♡」
バルちゃんを治す方法は載っていなかったが、完全に猫になる方法は載ってたあー!ひゃっほー!
「なになに、『まず、材料を集めましょう。闇竜の鱗一枚、魔王の生き血小さじ一、世界一かわいい猫の毛一つまみ。それを刻んでよく混ぜて人肌にあたためましょう。最後に魔法を唱えて出来上がり。アマ・メ・エテルヌム』」
最後まで読んで、俺は意気消沈した。だって魔王は数百年前に勇者に討伐されているし、この間、闇竜はやっつけちゃったし!
三つのうち二つ、絶対手に入らない材料じゃねーか…っ!
いきなり俺の、コンラッドと一生にゃんにゃん計画が暗礁に乗り上げた。他に何か方法ないのぉ?!
「とりあえず、世界一可愛い猫の毛だけ、手に入れておくか…」
俺はルナの毛を手に入れるべく、ブラシに手を伸ばした。すると…。
「しゃぁぁぁーーっ!」
「ルナちゃん…!ブラシ大嫌いだったー!」
触らせるつもりはないぜって顔で睨んでるぅー!こわいい!恐ろしい顔もかわいいけど、ルナちゃん、もっときゅるんってお顔して俺を癒して!
…俺は失望して、崩れ落ちるように眠った。
「うーん、うーん、ベッドが固すぎる…!」
丸一日眠ってしまい、翌日、目を覚ますと、既に日は高く昇っていた。
「これからどうしよう…」
何も、手掛かりがない……。
押し切られる形で、あの男の家に子供達を預けて来てしまったが、これっていわば、人質を取られた様なものじゃ無いか?!
こ、こうしてはいられない。
あと、頼れるのは…。俺にはもうあいつしかいない…!
俺は娼館へと急いだ。娼館に来るだろう、前院長を探すために…。
「まだ昼間だ、流石に来ないかな…」
娼館に不用意に近付いてエミリアに見つかると厄介だ。物陰に潜み様子をうかがっていると、背後から肩を叩かれる。
そこにいたのは、全く知らない男だった。
「ねぇ、君…、この間伝説を作った娼館のノルちゃんだろ?」
「伝説…?」
「客が天国にいっちゃったっていう、伝説だよ♡」
でも、そいつちゃんと天国から帰ってきて、幼馴染と馬乗ってほんのりいちゃついてたよ?
怪訝な顔をすると、そいつは気色悪い声で、金貨を一枚俺に差し出した。
「俺も連れてって…、天国♡」
「お、お断りしますっ!」
「娼館を通さない方が、そのまま全部自分の取り分になるよ?!」
そういうことじゃなくてー!
俺は手を振り払い、物陰から逃げ出した。
勢いのまま、慌てて通りに飛び出してしまい、大勢の人に気付かれてしまった。
まずい…!
「あ、あいつ!伝説の娼夫『ノル』だ!」
「ギルドに依頼が出てた、捕まえろー!」
ひいい!なんか有名になってるし、ギルドに依頼まで…?!
俺は必死に走って、路地裏へ逃げた。しかし、そこは行き止まり…!
急いで服を脱ぎ、マジックバッグにしまった。
「我が身よ変われっ」
まだ昼間だが、背に腹は代えられない!俺は子猫に姿を変えた。
「いない…!」
「消えた…?!」
裏路地まで追いかけてきた連中は目を白黒させている。
良かった、間に合って…。
こっそり、奴らの足の間をすり抜け、逃げ出す。
様子を見に戻ると、娼館の前は既に、大騒ぎになっていた。ここは危ない…!
その場を離れ、俺は逆方向へ向かうことにした。
****
娼館のある繁華街の逆側は、王都の市場だ。まだ昼間ということもあって、多くの人で賑わっている。
いや、人だけじゃ無い。市場には見渡す限り、猫、猫、猫…!そこかしこに、猫があふれている。先日、闇竜を倒した時は、こんなにいなかったはずだが…。
なんだ、どうしたんだ、これは?!
「こんにちは」
驚いていると、近くにいた縞模様の猫がもじもじと話しかけてきた。
「ねえ君、何歳?」
「十八だけど…」
「えー?!うそぉ!じゃあ発情期きてるよね?俺もなんだ!あっちで俺とにゃんにゃんしない?!」
「へ?!」
何言ってんだこの猫…!俺、にゃん玉ついてるオスだし!こいつもにゃん玉ついてるし!第一、俺、にゃんにゃんはコンラッド以外無理だしっ!
「やだよ俺オスだし!」
「大丈夫だって!そこをなんとか!」
断られてもお願いしてきたー!オスだって言ってるのに、見境いのないやつ!
それとも俺のこの姿、無意識に闇魔法の『魅了』を発動しているのか?
「赤ちゃんつくろー!」
「いやだっ!」
……ここで、考えている暇はない!
俺は身の危険を感じ、一目散に逃げ出した。しかし、少し走るとまた、ドンと、もふもふにぶつかる。
犬も歩けば棒に、じゃなくて子猫が歩いたらオス猫にぶつかった!
「おいお前、何歳?」
これ、答えちゃいけないやつ!
逃げようとしたが、後ろからさっきの猫が追いかけてきている。
は、挟み撃ちだあー!たすけてえー!
「コンラッドーっ!」
コンラッドの名を叫ぶと、突然、俺を追いかけていた猫が消えた。
え?!なんで?!
顔を上げると、見覚えのある亜麻色の髪に、碧眼の女性が俺に笑いかけていた。
「ノワールちゃんじゃない♡♡」
「お母様ーーーーっ!」
コンラッドのお母様だー!
お母様はひょいっと俺を抱き上げて、隣にいた女に話しかけた。
「ありがとうナタリー!危ないところだったわ!」
「ええ。間に合ってよかったです!危うくノワール様が気の立ったオス猫の餌食になるところでした!」
ナタリーは鉄のカゴを持っていた。先ほど俺を襲おうとしたオス猫二匹を彼女が捕まえてくれたらしい。二匹は籠の中で小さく丸まっている。
「でもナタリー、この猫ちゃん達は、悪い子じゃないのよ。悪いのは暗黒神を信仰するあまり、無責任に野良猫に餌をやって、猫をいたずらに繁殖させた人間よ!」
「確かにそうですわね…」
「さきほど聞いた限りでは、他の地域から猫がここに捨てられているらしいの」
「それで、こんなに…」
「糞尿問題も出ている。このままでは、猫ちゃんが悪者になってしまう!それだけは防がないと!」
ナタリーは神妙な顔でうなずくと、俺をお母様から受け取った。ふかふかの布が敷かれた目の粗い木の籠に入れ、上蓋をそっと閉じる。
「じゃあ、ノワールちゃん、他の猫ちゃんも、ハーケンベルクの屋敷にご招待するわ♡」
奥様の号令で、俺と、鉄カゴの猫達は馬車に乗せられた。俺はお母様の隣に、野良猫はナタリーの隣に置かれたのだが、二匹は怖いくらいガクガクと震えている。
かわいそうになって、俺は二匹に話しかけた。
『ハーケンベルク家はお日さまぽかぽかで、天国みたいに良いところだよ!だから怖がらなくても大丈夫!』
『天国…?地獄だろ!あいつに捕まった猫はみんな、耳とにゃん玉を切られて帰ってくるんだぞ?!』
『へ……?!』
にゃ、にゃん玉を、切る…だと…?!
『な、な、な、なんでー?!』
『去勢されて、子を作れなくされるんだ。発情期もなくなって…。俺は、初めての発情期だったのに、一生童貞決定だあ!』
『だから耳とにゃん玉を切られた猫は桜猫って呼ばれてるんだぞ!』
童貞だけにぃ。
なにそれ、うまーい!
……じゃ、なくてーーーーっ!
俺は籠の隙間から、お母様を見上げた。
お母様、俺に、そんな事しないよね?そんなおそろしい事、しないよね…!
「奥様、ノワールちゃんは、どうなさるのですか?」
「もちろん、去勢するわ。そうしなければいずれ、子供を作るでしょう?」
「ノワールちゃんの飼い主に、許可は?」
「外へ出しているのですから、去勢は義務よ。それをして差し上げるのですから感謝してほしいくらいです。」
「まだ子猫のようですが。」
「子猫のうちに済ませた方がいいのよ。発情を知ってしまうと、余計つらいんですって」
……完全に、やる気だ…。
お母様ーーっ!
俺はコンラッドが好きなオスだから子供は作れません!だから俺からにゃん玉を取る必要なんてないんだよ!
やだー!
「コンラッドーっ!」
たすけてぇーー!!!!
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