23 / 35
18.がんばった子猫へご褒美
しおりを挟む
戸締りをしたはずなのに、ドタドタと騒がしい足音が響いた。
「瘴気が発生したぞ!」
王宮騎士団の兵士達が一斉に裏庭へ駆け込んで来た。瘴気を察知したにしては、随分と早い到着だが…。一体、なぜだ…?
しかも、よりによって。
「コンラッド…!」
「見つけたぞ、私の子猫…」
瘴気を起こしたところを、コンラッドに見られてしまった。コンラッドには、醜い部分を知られたくなかったのに…。
「どうしてここに…?」
「ノワールの鈴に、私の魔力を込めたと言っただろう」
それでこの場所に辿り着いたのか。迂闊だった…!
「おい、何なんだ、こいつらは…?知り合いなのか?」
ビョルンは俺をじろりと睨んだ。
子供達もビョルンの影に隠れて、俺を非難するような目で見つめる。
「まさか、お前が騎士団を呼んだのか?」
「違うんだ。鈴に細工をされていて、それでこの場所が分かってしまったらしい」
「鈴…?」
ビョルンは不思議そうに首を傾げたが、子供達は俺の鈴に気がついたようだ。
「この間からずっと付けてたやつだ!」
「何だって?!何故、外さなかった!?」
何故って、コンラッドの飼い猫である鈴を無くしたくなかったからだ。
ただ、それだけ。
「ノワールは布で鳴らないようにして、隠してた!」
「隠していた…?まさか…!」
本当に悪気はなかったのだが、ビョルンや子どもたちは、完全に俺を疑ったようだ。
ビョルンはともかく、ずっと一緒に暮らしてきた子供達にさえ、信じてもらえないなんて…!
切なくて悔しくて涙が溢れそうになると、自分の感情に反応するように、背後の瘴気が勢いを増す…!
そしてその闇に囚われ、身動きが出来なくなった。
「く…っ、まずいな…!」
ビョルンは子供達を連れて、反対側へ駆け出す。
駆け出した、そのはずみで、ビョルンが持っていたバルちゃんの籠の蓋が開いた。するとそこへ瘴気が一気に流れ込む。
籠の内部で何かが鳴動した。骨の軋むような、低い咆哮のようでもあった。
次の瞬間、パンと音を立てて籠が弾けた。
黒い霧が爆ぜ、瘴気が奔流のように吹き荒れる。
その渦の中心で、蠢く影がゆっくりと形を成していった。
うねる鱗は光を呑み込み、闇を一層深くする。深い闇は、大きく立ち上がり、ゆっくりと羽を広げた。
「闇竜、バルドラース……!」
誰かがその名を呼ぶ声に応えるように、金の双眸が灯る。闇竜は頭をもたげ、空気を震わせる咆哮を上げた。
その振動で体がビリビリと震える。
動けない…!
バルドラースの縦裂瞳が細く光を絞り、俺を射抜いた。
闇竜には、俺の心が闇に囚われていると、見透かされているらしい。
俺ごと、瘴気を喰らう気だ!
「ノワール!逃げろっ!」
コンラッドの叫ぶ声は聞こえたが、身体が硬直して動かせない。
すると、闇竜の巨大な口がゆっくりと開いた。暗黒の奥まで見通せそうなほど大きく、鋭く光る牙が規則正しく並ぶ口から、黒い涎が垂れ落ちる。
翼で巻き起こる風で、その涎が粒になって顔や肩にボタボタと降り注いだ。
もうだめだ…!
目を瞑ると、何かが体にぶつかった。その反動で俺は地面に倒れ込んだ。
「う…、ぐ…っ!」
唸ったのは自分では無かった。
「コンラッド…!」
コンラッドは俺を突き飛ばし、闇竜の攻撃から守ってくれたのだ。
だがその代償に、牙で引き裂かれたのか、肩口に深い傷を負ってしまったらしい。地面に倒れ込み、苦しげに呻いている。
「ギャァァァッ!」
邪魔をされて怒った闇竜は上空に舞い上がり体勢を立て直すと、もう一度コンラッドに襲い掛かろうとしていた。
起き上がると、俺はコンラッドに駆け寄る。
「コンラッド…!き、傷が…!」
傷を見て目に涙が浮かんだ俺に、コンラッドは優しく笑いかけた。
「ノワール…。これまで必死に暮らして来たんだろう?まだ子猫なのに、偉かったな」
それ…、さっきの俺とビョルン、子供達との会話を聞いていたってこと…?
『偉かった』なんて、初めて言われて、鼻の奥がつんとした。
それを誤魔化すように、可愛げのない言葉が口をつく。
「俺、もう成人していて子猫じゃないし!俺のことなんて、何も知らないだろ!」
「私なりに調べて少しだけ知っている」
「…俺は、瘴気を出すような、邪悪なやつで…」
自分の心の闇から、瘴気を発生させてしまった。そんな邪悪な人間なんだ。コンラッドに庇われる、資格がない。
しかしコンラッドは立ち上がり、剣を抜いた。
「……俺は、私のかわいい子猫を信じる」
「え…?」
まさか、そんな体で、闇竜と戦うつもりなのか?真っ青な顔で、向かってくる闇竜をまっすぐ見つめている。
「無茶だよ!コンラッド…!」
「頑張った子猫には、ご褒美をやらないとな…」
「ご褒美ならもう貰ったよ!」
コンラッドがくれた鈴…!
それにさっき、偉かったって褒めてくれた。
「それだけで、もう、十分だ…っ!」
コンラッドの剣を握ってやめさせようとしたが、闇竜の巨体はもはや目前に迫っている。
牙と翼が空を裂き、ぞっとするような音が耳を打った。
視界いっぱいに広がるのは、巨大な口、鋭い牙、そして燃え盛るような瘴気。
ーー闇竜に喰われる、寸前…!
その時俺は無意識に、闇竜の名を叫んでいた。
「バルドラース!」
そして顔を少し上げて顎を引き、真っ向からバルドラースを睨みつけた。
バルドラースの金色の瞳の奥には、漆黒の影が映し出される。
「止まれ!身の程を弁えろッ!」
喉の奥から出た声は、自分のものとは思えないほど低く、重く響いた。その声は地鳴りのように周囲の空気を震わせ、瘴気すら怯むように揺らめく。
その瞬間、闇竜の黄金の瞳はびくりと揺れた。
大きな頭がゆっくりと垂れ、翼はたたまれ、背の隆起もみるみる縮む。黒曜の鱗が光を吐きながら、瘴気の中で溶けるように消えていった。
巨大な咆哮はかすかな唸りに変わり、闇の塊はみるみるうちに小さく縮んだ。
闇竜はあっという間にビョルンの飼っていた蛇、『バルちゃん』に戻ってしまった。
怒鳴っただけだが…、闇竜には効果があったようだ。よかった…!
「……っ…」
それを見て安心したのか、コンラッドは再び地面に崩れ落ちた。
「コンラッド…!」
呼んだけれど、返事がない…。瘴気を浴びて顔色が真っ青になっている。
瘴気を吸収するため手を握ろうとしたが、騎士団の兵士たちが一斉に駆け寄ってきて、引き離されてしまった。
「コンラッド様ー!」
「団長、しっかり!まもなく聖女様がいらっしゃいますっ!」
…聖女が来る…?
その言葉通り、邸の門の方から白い法衣を纏った団体がこちらに走って来るのが見えた。
「コンラッド!」
「聖女様!団長が瘴気を食らってしまって…!」
聖女は横たわるコンラッドの前に跪き、静かに浄化魔法の詠唱を始めた。次の瞬間、聖なる光が彼の身を包み、穢れを洗い流していく。
傍目からも顔色が良くなったのが分かったが、まだコンラッドは目覚めない。
「聖女様!まだ、意識が戻りませんが…」
「…もう少し治療する必要があります。ハーケンベルク家に連絡を!」
「かしこまりました!」
コンラッドはあっという間に運ばれて行ってしまった。聖女もぴったりと、コンラッドに寄り添っている。
聖女に任せておけば、大丈夫だろう…。
でも…。
自分のせいでコンラッドをあんな目に合わせた。その、治療をすることも出来ないなんて…。
「……」
また自分の中に、モヤモヤとした澱が蓄積していくのを感じて、頭を振った。
コンラッドが運ばれた後、残った騎士団の兵士達は、バルちゃんを取り囲んだ。
「おいっ!やめろ…っ!」
するとビョルンが悲鳴のような声を上げる。
騎士団の兵士がバルちゃんを捕まえようと、槍で突こうとしていたのだ。
「バルちゃんにそんな物を向けて、どうするつもりだっ!」
「バルちゃんだと…?なんだそれは?!」
「バルちゃんは私の…世界で一番かわいい我が子だっ!」
「我が子?!」
騎士団の兵士たちはその発言に、顔を見合わせた。何やらひそひそと話し合っている。
「つまり、お前、闇竜を飼っていたってことか?」
「そうか…、お前が、コンラッド団長が追っていた暗黒神の教祖だな?!」
コンラッドは誰が教祖かまでは伝えていなかったらしい。完全に兵士たちはビョルンが教祖だと誤解をしてしまった。
「バルちゃん、逃げろっ!!」
「あっ、こいつ蛇を逃がそうとしてる!」
「やっぱりこいつが教祖だ!捕まえろーっ!」
ビョルンは必死でバルちゃんを逃がしたのだが、そのせいで、騎士団に捕まり、そのまま連れて行かれてしまった。
「ビョルンが連れて行かれちゃった…」
子供たちは泣きながら、俺を睨んだ。
「あの騎士、ノワールの鈴を追って来たっていってた!」
「じゃあ、ビョルンが捕まったの、ノワールのせいだ!」
「ノワール酷いよ!ビョルンはバルちゃんを元気にしたかっただけなのに!」
「……」
返す言葉もない。全て、俺の責任だ…。
「……とりあえず、邸に戻ろう」
「……」
俺は子供たちを連れて邸に戻った。そして院長に子供たちを預けて、子猫に変身すると捕まったビョルンを追って邸を出た。
「瘴気が発生したぞ!」
王宮騎士団の兵士達が一斉に裏庭へ駆け込んで来た。瘴気を察知したにしては、随分と早い到着だが…。一体、なぜだ…?
しかも、よりによって。
「コンラッド…!」
「見つけたぞ、私の子猫…」
瘴気を起こしたところを、コンラッドに見られてしまった。コンラッドには、醜い部分を知られたくなかったのに…。
「どうしてここに…?」
「ノワールの鈴に、私の魔力を込めたと言っただろう」
それでこの場所に辿り着いたのか。迂闊だった…!
「おい、何なんだ、こいつらは…?知り合いなのか?」
ビョルンは俺をじろりと睨んだ。
子供達もビョルンの影に隠れて、俺を非難するような目で見つめる。
「まさか、お前が騎士団を呼んだのか?」
「違うんだ。鈴に細工をされていて、それでこの場所が分かってしまったらしい」
「鈴…?」
ビョルンは不思議そうに首を傾げたが、子供達は俺の鈴に気がついたようだ。
「この間からずっと付けてたやつだ!」
「何だって?!何故、外さなかった!?」
何故って、コンラッドの飼い猫である鈴を無くしたくなかったからだ。
ただ、それだけ。
「ノワールは布で鳴らないようにして、隠してた!」
「隠していた…?まさか…!」
本当に悪気はなかったのだが、ビョルンや子どもたちは、完全に俺を疑ったようだ。
ビョルンはともかく、ずっと一緒に暮らしてきた子供達にさえ、信じてもらえないなんて…!
切なくて悔しくて涙が溢れそうになると、自分の感情に反応するように、背後の瘴気が勢いを増す…!
そしてその闇に囚われ、身動きが出来なくなった。
「く…っ、まずいな…!」
ビョルンは子供達を連れて、反対側へ駆け出す。
駆け出した、そのはずみで、ビョルンが持っていたバルちゃんの籠の蓋が開いた。するとそこへ瘴気が一気に流れ込む。
籠の内部で何かが鳴動した。骨の軋むような、低い咆哮のようでもあった。
次の瞬間、パンと音を立てて籠が弾けた。
黒い霧が爆ぜ、瘴気が奔流のように吹き荒れる。
その渦の中心で、蠢く影がゆっくりと形を成していった。
うねる鱗は光を呑み込み、闇を一層深くする。深い闇は、大きく立ち上がり、ゆっくりと羽を広げた。
「闇竜、バルドラース……!」
誰かがその名を呼ぶ声に応えるように、金の双眸が灯る。闇竜は頭をもたげ、空気を震わせる咆哮を上げた。
その振動で体がビリビリと震える。
動けない…!
バルドラースの縦裂瞳が細く光を絞り、俺を射抜いた。
闇竜には、俺の心が闇に囚われていると、見透かされているらしい。
俺ごと、瘴気を喰らう気だ!
「ノワール!逃げろっ!」
コンラッドの叫ぶ声は聞こえたが、身体が硬直して動かせない。
すると、闇竜の巨大な口がゆっくりと開いた。暗黒の奥まで見通せそうなほど大きく、鋭く光る牙が規則正しく並ぶ口から、黒い涎が垂れ落ちる。
翼で巻き起こる風で、その涎が粒になって顔や肩にボタボタと降り注いだ。
もうだめだ…!
目を瞑ると、何かが体にぶつかった。その反動で俺は地面に倒れ込んだ。
「う…、ぐ…っ!」
唸ったのは自分では無かった。
「コンラッド…!」
コンラッドは俺を突き飛ばし、闇竜の攻撃から守ってくれたのだ。
だがその代償に、牙で引き裂かれたのか、肩口に深い傷を負ってしまったらしい。地面に倒れ込み、苦しげに呻いている。
「ギャァァァッ!」
邪魔をされて怒った闇竜は上空に舞い上がり体勢を立て直すと、もう一度コンラッドに襲い掛かろうとしていた。
起き上がると、俺はコンラッドに駆け寄る。
「コンラッド…!き、傷が…!」
傷を見て目に涙が浮かんだ俺に、コンラッドは優しく笑いかけた。
「ノワール…。これまで必死に暮らして来たんだろう?まだ子猫なのに、偉かったな」
それ…、さっきの俺とビョルン、子供達との会話を聞いていたってこと…?
『偉かった』なんて、初めて言われて、鼻の奥がつんとした。
それを誤魔化すように、可愛げのない言葉が口をつく。
「俺、もう成人していて子猫じゃないし!俺のことなんて、何も知らないだろ!」
「私なりに調べて少しだけ知っている」
「…俺は、瘴気を出すような、邪悪なやつで…」
自分の心の闇から、瘴気を発生させてしまった。そんな邪悪な人間なんだ。コンラッドに庇われる、資格がない。
しかしコンラッドは立ち上がり、剣を抜いた。
「……俺は、私のかわいい子猫を信じる」
「え…?」
まさか、そんな体で、闇竜と戦うつもりなのか?真っ青な顔で、向かってくる闇竜をまっすぐ見つめている。
「無茶だよ!コンラッド…!」
「頑張った子猫には、ご褒美をやらないとな…」
「ご褒美ならもう貰ったよ!」
コンラッドがくれた鈴…!
それにさっき、偉かったって褒めてくれた。
「それだけで、もう、十分だ…っ!」
コンラッドの剣を握ってやめさせようとしたが、闇竜の巨体はもはや目前に迫っている。
牙と翼が空を裂き、ぞっとするような音が耳を打った。
視界いっぱいに広がるのは、巨大な口、鋭い牙、そして燃え盛るような瘴気。
ーー闇竜に喰われる、寸前…!
その時俺は無意識に、闇竜の名を叫んでいた。
「バルドラース!」
そして顔を少し上げて顎を引き、真っ向からバルドラースを睨みつけた。
バルドラースの金色の瞳の奥には、漆黒の影が映し出される。
「止まれ!身の程を弁えろッ!」
喉の奥から出た声は、自分のものとは思えないほど低く、重く響いた。その声は地鳴りのように周囲の空気を震わせ、瘴気すら怯むように揺らめく。
その瞬間、闇竜の黄金の瞳はびくりと揺れた。
大きな頭がゆっくりと垂れ、翼はたたまれ、背の隆起もみるみる縮む。黒曜の鱗が光を吐きながら、瘴気の中で溶けるように消えていった。
巨大な咆哮はかすかな唸りに変わり、闇の塊はみるみるうちに小さく縮んだ。
闇竜はあっという間にビョルンの飼っていた蛇、『バルちゃん』に戻ってしまった。
怒鳴っただけだが…、闇竜には効果があったようだ。よかった…!
「……っ…」
それを見て安心したのか、コンラッドは再び地面に崩れ落ちた。
「コンラッド…!」
呼んだけれど、返事がない…。瘴気を浴びて顔色が真っ青になっている。
瘴気を吸収するため手を握ろうとしたが、騎士団の兵士たちが一斉に駆け寄ってきて、引き離されてしまった。
「コンラッド様ー!」
「団長、しっかり!まもなく聖女様がいらっしゃいますっ!」
…聖女が来る…?
その言葉通り、邸の門の方から白い法衣を纏った団体がこちらに走って来るのが見えた。
「コンラッド!」
「聖女様!団長が瘴気を食らってしまって…!」
聖女は横たわるコンラッドの前に跪き、静かに浄化魔法の詠唱を始めた。次の瞬間、聖なる光が彼の身を包み、穢れを洗い流していく。
傍目からも顔色が良くなったのが分かったが、まだコンラッドは目覚めない。
「聖女様!まだ、意識が戻りませんが…」
「…もう少し治療する必要があります。ハーケンベルク家に連絡を!」
「かしこまりました!」
コンラッドはあっという間に運ばれて行ってしまった。聖女もぴったりと、コンラッドに寄り添っている。
聖女に任せておけば、大丈夫だろう…。
でも…。
自分のせいでコンラッドをあんな目に合わせた。その、治療をすることも出来ないなんて…。
「……」
また自分の中に、モヤモヤとした澱が蓄積していくのを感じて、頭を振った。
コンラッドが運ばれた後、残った騎士団の兵士達は、バルちゃんを取り囲んだ。
「おいっ!やめろ…っ!」
するとビョルンが悲鳴のような声を上げる。
騎士団の兵士がバルちゃんを捕まえようと、槍で突こうとしていたのだ。
「バルちゃんにそんな物を向けて、どうするつもりだっ!」
「バルちゃんだと…?なんだそれは?!」
「バルちゃんは私の…世界で一番かわいい我が子だっ!」
「我が子?!」
騎士団の兵士たちはその発言に、顔を見合わせた。何やらひそひそと話し合っている。
「つまり、お前、闇竜を飼っていたってことか?」
「そうか…、お前が、コンラッド団長が追っていた暗黒神の教祖だな?!」
コンラッドは誰が教祖かまでは伝えていなかったらしい。完全に兵士たちはビョルンが教祖だと誤解をしてしまった。
「バルちゃん、逃げろっ!!」
「あっ、こいつ蛇を逃がそうとしてる!」
「やっぱりこいつが教祖だ!捕まえろーっ!」
ビョルンは必死でバルちゃんを逃がしたのだが、そのせいで、騎士団に捕まり、そのまま連れて行かれてしまった。
「ビョルンが連れて行かれちゃった…」
子供たちは泣きながら、俺を睨んだ。
「あの騎士、ノワールの鈴を追って来たっていってた!」
「じゃあ、ビョルンが捕まったの、ノワールのせいだ!」
「ノワール酷いよ!ビョルンはバルちゃんを元気にしたかっただけなのに!」
「……」
返す言葉もない。全て、俺の責任だ…。
「……とりあえず、邸に戻ろう」
「……」
俺は子供たちを連れて邸に戻った。そして院長に子供たちを預けて、子猫に変身すると捕まったビョルンを追って邸を出た。
128
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【完結】婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる