2 / 36
一章
2.毒
しおりを挟む
「いつものこと、大丈夫だ 」
「はあっ?!」
「それよりお前どうやってここまで来た?俺は百年以上、この迷いの森からでられなかったのに…」
「そう言えばさっき、お前の母親がこいつのせいで『人間の気配が分からなかった』って言ってたけど…」
俺は恐る恐る、麻袋からはみ出している魔物を指さした。男はそれを見て、何か考え込んでいる。
「ってそれより、百年って何?!」
「俺はジークフリート。生まれてから百年以上、あいつとこの森を彷徨っている。ようやく、話が通じそうな奴に会えた……!」
いや…俺は、お前と話が通じそうな気がしないけどな?だってお前、俺の質問に答えてないじゃないか。
自分の常識が足元から崩れていくような感覚がしたと同時に膝に力が入らなくなり、尻もちをついた。男は俺に近寄って、顔を覗き込んでくる。
「お前は?」
「エリオだけど… 」
「エリオ!俺を迷いの森から連れ出してくれ。もうこんなところには飽き飽きしてるんだ…!」
その男…ジークフリートは俺の手を握って訴えた。顔の距離が近い……!あまりの美形に至近距離で見つめられ手を握られ懇願され、なんだか胸がぎゅっと苦しくなる。
「待て!ジークフリート!」
先ほど腕をバッサリ切り落とされたはずの巨大な魔物が、ジークフリートと俺に向かって、物凄い勢いで襲い掛かって来た。
間違いなく、さっきジークフリートに切断されてたよね?!何でそんな元気に動けるかなあ!?
魔物をチラリと見たジークフリートは俺を背中に背負って立ち上がると、腰にさした剣をすらりと抜く。
「俺は行く 」
「お前は分かっていない!外の世界の人間がどれだけ醜悪かを…!」
ジークフリートの『母親』だという魔物は森が震えるくらいの大声で叫んだ。しかしジークフリートは聞く気がないようで、迫りくる母親に向かって剣を構える。
ま…まさか、お前…?!
ーーその、まさかだった…!
ジークフリートは、大きな口を開き襲い掛かってくる魔物を、ためらいもせず剣で真っ二つにしたのだ。
あまりに見事な切れ味に、魔物は叫び声を上げることもなく、地面に崩れ落ちた。
「…大丈夫、いつものこと 」
「どんな日常なのっ?!」
ジークフリートは、魔物のどす黒い血を振り落とし剣を鞘にしまうと、落ちていた麻袋…『出来損ない』と呼ばれた小さな魔物と俺を一緒に担いで走り出す。
小さい魔物を連れて来たのは、コイツの母親に俺の匂いを悟られないためだろうか?
ジークフリートは「俺の匂いがする」と言って、俺が来た道を一心不乱に走って行く。
このまま進んで迷いの森を出ると、アルバスの農村に着いてしまう…。自分の母親を容赦なく切り捨てる魔物を、村へ行かせるわけにはいかない…!
どうしたものかと思案するうちに胸が苦しくなって、俺はジークフリートの背中に胃の中のものを吐き出してしまった。
さっき、胸が苦しくなったのは、ジークフリートの人ならざる美貌を見たからだと思ったけど、違った…。身体の中も外も痛くて、力が入らない。
ジークフリートの首に回していた手に力がはいらなくなり、背中から落ちそうになった。異変を感じ取ったジークフリートは落ちそうになる俺を抱えて立ち止まると、その場におろして寝かせ、はだけた胸の痣をまじまじと見つめる。
「これは?」
「コイツに肩を噛まれたあと、出たんだ 」
麻袋からひょっこり顔をだしている小さい魔物を指さした。ジークフリートがその魔物を見ると、魔物は怯えるような仕草で麻袋に再び引っ込む。
「……こいつは瘴気そのもの。噛まれて直接体内に瘴気を取り込み、生きている動物を見たことがない 」
「はあっ?!」
何だって…まさか…?!青ざめる俺をジークフリートは感情のわからない顔で見つめる。
「いいことを思いついた。試してみるか?」
「え?なに?助かるの?」
ジークフリートは剣を抜くと、自分の指を刃先に当てた。指からは血が滴る。
「舐めろ 」
「……」
フェリクスに魔物が出現するなど初めてだ。ましてや魔物に噛まれたものなど、聞いたことがない。王都に戻っても治療できるものはいないだろう。…それならこいつに、頼るしかないのではないか?
意を決して俺はジークフリートの指に滴る血を舐めた。
鉄のような味が口に広がるのかと思ったのだが…。
「甘い…… 」
舌が馬鹿になってしまったのだろうか…?俺が呟くと、ジークフリードは先ほどと同じ無表情な顔で俺に言う。
「俺の血は感覚を麻痺させる毒だ。お前が生きている限り、死の瞬間まで痛みを麻痺させる 」
「なななな、何てもの舐めさせたんだっ!!!」
俺は思わずジークフリードの胸倉をつかんで揺さぶった。ふざけんな…っ!怒りに任せて殴ろうかと思った、その時…。
「あれ?!」
痛みが消失して、身体に力が入れられるようになったことに気が付いた。感覚は麻痺しても、運動神経には影響しないらしい。不思議な、魔法みたいだ…!
「毒をもって毒を制す 」
「制されてない……。麻痺で痛みを感じないだけで、身体から瘴気…毒は消えていないんだから 」
相変わらず無表情なジークフリートだが、俺の返事を聞いた後の表情は少し、がっかりしたように見える。
毒が消えた訳じゃないけど、コイツなりに、俺を助けようと考えて行動してくれたのに、全否定するのはまずかったな……。
「でも、動けるようになって嬉しい!ありがとう……!」
考えを改めてお礼を言うと、ジークフリートはすぐに聞き返してきた。
「『嬉しい』、『ありがとう』って何?」
『嬉しい』、『ありがとう』の意味を知らないのか?ジークフリートの母親は人間の言葉を話していたけど…、魔物だから『感情』までは教えられなかったのだろうか…?
「『ありがとう』は感謝の言葉で…。感謝はわかる?」
ジークフリートは首を傾げている。そ……、そこから?!
お前、百年間何してたんだよ…?
「『感謝』はありがたいと思ってるってことで、『うれしい』は良いことがあってよかった~、みたいな意味だよ。さっきまで身体が痛くて動けなかったけど、動けるようにしてもらってうれしい、ジークフリートに感謝してる、ってこと 」
『うれしい』と『ありがとう』は良い感情だから、俺はジークフリートに笑顔を向けた。その方が伝わりやすいと思ったのだが…。
「ふうん…… 」
ジークフリートは相変わらず無表情で返事をして、目を伏せた。そして、背中に付着した俺の吐瀉物を無造作に、手で払おうとする。
「まってくれ…!それは川で洗おう!」
川を指さすと、ジークフリートは俺を抱き上げた。
「もう歩けるよ!」
「……まだ、この辺りはアイツが追ってくるかもしれないから、急ごう」
ジークフリートは俺をおろすつもりがないようだ。また、あの魔物に襲われたら怖いし、大人しくしていることにした。
ただ……、背中は汚れていて背負えなかったようで、必然的にお姫様抱っこの体勢になってしまった。
もう成人した男が、お姫様抱っこなんて…!恥ずかしくて、顔が赤くなる…。
ジークフリートの顔も少し、赤くなっているように感じたけど、気のせいだろうか…。
「はあっ?!」
「それよりお前どうやってここまで来た?俺は百年以上、この迷いの森からでられなかったのに…」
「そう言えばさっき、お前の母親がこいつのせいで『人間の気配が分からなかった』って言ってたけど…」
俺は恐る恐る、麻袋からはみ出している魔物を指さした。男はそれを見て、何か考え込んでいる。
「ってそれより、百年って何?!」
「俺はジークフリート。生まれてから百年以上、あいつとこの森を彷徨っている。ようやく、話が通じそうな奴に会えた……!」
いや…俺は、お前と話が通じそうな気がしないけどな?だってお前、俺の質問に答えてないじゃないか。
自分の常識が足元から崩れていくような感覚がしたと同時に膝に力が入らなくなり、尻もちをついた。男は俺に近寄って、顔を覗き込んでくる。
「お前は?」
「エリオだけど… 」
「エリオ!俺を迷いの森から連れ出してくれ。もうこんなところには飽き飽きしてるんだ…!」
その男…ジークフリートは俺の手を握って訴えた。顔の距離が近い……!あまりの美形に至近距離で見つめられ手を握られ懇願され、なんだか胸がぎゅっと苦しくなる。
「待て!ジークフリート!」
先ほど腕をバッサリ切り落とされたはずの巨大な魔物が、ジークフリートと俺に向かって、物凄い勢いで襲い掛かって来た。
間違いなく、さっきジークフリートに切断されてたよね?!何でそんな元気に動けるかなあ!?
魔物をチラリと見たジークフリートは俺を背中に背負って立ち上がると、腰にさした剣をすらりと抜く。
「俺は行く 」
「お前は分かっていない!外の世界の人間がどれだけ醜悪かを…!」
ジークフリートの『母親』だという魔物は森が震えるくらいの大声で叫んだ。しかしジークフリートは聞く気がないようで、迫りくる母親に向かって剣を構える。
ま…まさか、お前…?!
ーーその、まさかだった…!
ジークフリートは、大きな口を開き襲い掛かってくる魔物を、ためらいもせず剣で真っ二つにしたのだ。
あまりに見事な切れ味に、魔物は叫び声を上げることもなく、地面に崩れ落ちた。
「…大丈夫、いつものこと 」
「どんな日常なのっ?!」
ジークフリートは、魔物のどす黒い血を振り落とし剣を鞘にしまうと、落ちていた麻袋…『出来損ない』と呼ばれた小さな魔物と俺を一緒に担いで走り出す。
小さい魔物を連れて来たのは、コイツの母親に俺の匂いを悟られないためだろうか?
ジークフリートは「俺の匂いがする」と言って、俺が来た道を一心不乱に走って行く。
このまま進んで迷いの森を出ると、アルバスの農村に着いてしまう…。自分の母親を容赦なく切り捨てる魔物を、村へ行かせるわけにはいかない…!
どうしたものかと思案するうちに胸が苦しくなって、俺はジークフリートの背中に胃の中のものを吐き出してしまった。
さっき、胸が苦しくなったのは、ジークフリートの人ならざる美貌を見たからだと思ったけど、違った…。身体の中も外も痛くて、力が入らない。
ジークフリートの首に回していた手に力がはいらなくなり、背中から落ちそうになった。異変を感じ取ったジークフリートは落ちそうになる俺を抱えて立ち止まると、その場におろして寝かせ、はだけた胸の痣をまじまじと見つめる。
「これは?」
「コイツに肩を噛まれたあと、出たんだ 」
麻袋からひょっこり顔をだしている小さい魔物を指さした。ジークフリートがその魔物を見ると、魔物は怯えるような仕草で麻袋に再び引っ込む。
「……こいつは瘴気そのもの。噛まれて直接体内に瘴気を取り込み、生きている動物を見たことがない 」
「はあっ?!」
何だって…まさか…?!青ざめる俺をジークフリートは感情のわからない顔で見つめる。
「いいことを思いついた。試してみるか?」
「え?なに?助かるの?」
ジークフリートは剣を抜くと、自分の指を刃先に当てた。指からは血が滴る。
「舐めろ 」
「……」
フェリクスに魔物が出現するなど初めてだ。ましてや魔物に噛まれたものなど、聞いたことがない。王都に戻っても治療できるものはいないだろう。…それならこいつに、頼るしかないのではないか?
意を決して俺はジークフリートの指に滴る血を舐めた。
鉄のような味が口に広がるのかと思ったのだが…。
「甘い…… 」
舌が馬鹿になってしまったのだろうか…?俺が呟くと、ジークフリードは先ほどと同じ無表情な顔で俺に言う。
「俺の血は感覚を麻痺させる毒だ。お前が生きている限り、死の瞬間まで痛みを麻痺させる 」
「なななな、何てもの舐めさせたんだっ!!!」
俺は思わずジークフリードの胸倉をつかんで揺さぶった。ふざけんな…っ!怒りに任せて殴ろうかと思った、その時…。
「あれ?!」
痛みが消失して、身体に力が入れられるようになったことに気が付いた。感覚は麻痺しても、運動神経には影響しないらしい。不思議な、魔法みたいだ…!
「毒をもって毒を制す 」
「制されてない……。麻痺で痛みを感じないだけで、身体から瘴気…毒は消えていないんだから 」
相変わらず無表情なジークフリートだが、俺の返事を聞いた後の表情は少し、がっかりしたように見える。
毒が消えた訳じゃないけど、コイツなりに、俺を助けようと考えて行動してくれたのに、全否定するのはまずかったな……。
「でも、動けるようになって嬉しい!ありがとう……!」
考えを改めてお礼を言うと、ジークフリートはすぐに聞き返してきた。
「『嬉しい』、『ありがとう』って何?」
『嬉しい』、『ありがとう』の意味を知らないのか?ジークフリートの母親は人間の言葉を話していたけど…、魔物だから『感情』までは教えられなかったのだろうか…?
「『ありがとう』は感謝の言葉で…。感謝はわかる?」
ジークフリートは首を傾げている。そ……、そこから?!
お前、百年間何してたんだよ…?
「『感謝』はありがたいと思ってるってことで、『うれしい』は良いことがあってよかった~、みたいな意味だよ。さっきまで身体が痛くて動けなかったけど、動けるようにしてもらってうれしい、ジークフリートに感謝してる、ってこと 」
『うれしい』と『ありがとう』は良い感情だから、俺はジークフリートに笑顔を向けた。その方が伝わりやすいと思ったのだが…。
「ふうん…… 」
ジークフリートは相変わらず無表情で返事をして、目を伏せた。そして、背中に付着した俺の吐瀉物を無造作に、手で払おうとする。
「まってくれ…!それは川で洗おう!」
川を指さすと、ジークフリートは俺を抱き上げた。
「もう歩けるよ!」
「……まだ、この辺りはアイツが追ってくるかもしれないから、急ごう」
ジークフリートは俺をおろすつもりがないようだ。また、あの魔物に襲われたら怖いし、大人しくしていることにした。
ただ……、背中は汚れていて背負えなかったようで、必然的にお姫様抱っこの体勢になってしまった。
もう成人した男が、お姫様抱っこなんて…!恥ずかしくて、顔が赤くなる…。
ジークフリートの顔も少し、赤くなっているように感じたけど、気のせいだろうか…。
48
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
優秀な婚約者が去った後の世界
月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。
パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。
このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる